2016年7月27日発売
物流の雄、コンゴウ陸送経営企画部の郡司は、世界的外資系ネット通販会社スイフトの配送利益率が著しく低いことに危機感を抱いていた。上司に進言したところ、入社18年目にして初めて営業部への異動を命じられ、スイフトの担当課長となる。するとすぐにスイフトの女性執行役員・堀田から、生鮮食品の直売を始めるプランを明かされた。取扱量は増えるものの膨大な設備投資を強いられるその計画を、コンゴウ陸送は苦渋の決断で呑む。スイフトの合理的すぎる企業姿勢に反抗心を抱いた郡司。打倒スイフトを目指し考え抜いた秘策は、買い物難民を救い、商店街を活性化するとともに、世界に通ずるものだったー。
おとなしい性格の夫・立夏は、妻の恵里香の浮気を疑い尾行する。車が到着した場所は、自分が持つ東京郊外の土地だった。そこで恵里香と義妹の茉菜は、車のトランクから身体の自由を奪った少女を連れ出す。義弟の柳が一部始終をハンディカメラで撮影する中、恵里香は少女にナイフを突き立てた。思わず立夏が声を上げると、その隙をついて、死んだはずの少女が駆け出したー
イラストレーターの北崎は、日々の生活のためクライアントの要求に応えていた。血のにじむ努力の後に完成したイラストでも、勝手に配色を変えられる。イラストを描いた本がどれだけ売れても、金銭的には還元されない。ある日、不思議な女性の夢を見てから目が覚めるとー視界からC、青と緑を含んだ色が消えていた。極彩色の世界への渇望と情熱を描く青春小説。
第155回芥川賞受賞作! 36歳未婚女性、古倉恵子。 大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。 これまで彼氏なし。 オープン当初からスマイルマート日色駅前店で働き続け、 変わりゆくメンバーを見送りながら、店長は8人目だ。 日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、 清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、 毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。 仕事も家庭もある同窓生たちからどんなに不思議がられても、 完璧なマニュアルの存在するコンビニこそが、 私を世界の正常な「部品」にしてくれるーー。 ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、 そんなコンビニ的生き方は 「恥ずかしくないのか」とつきつけられるが……。 現代の実存を問い、 正常と異常の境目がゆらぐ衝撃のリアリズム小説。
長く甲子園で栄光を極めてきた天堂北高校野球部がたび重なる不祥事と校長の代替わりで部員募集を停止した。廃部一直線の中で、選手たちは校長と一か八かの賭けに出る。無謀な条件をクリアするため、学生監督・朝日奈凱の挑戦が始まるが…。リミットは3カ月、県ベスト4に進めなければ即廃部!
突如現れた父とその恋人に連れられ、テオはようやく希望を見出しかけたニューヨークを後にした。ラスベガスの突き抜けるほど青い空、砂漠、ギャンブル、そしてドラッグ。そこではじまる新たな学校生活ーニューヨークとは全く異なるその地で、テオは生涯の友となるボリスと出会う。数ヶ国語を操るボリスとの狂騒的日々のなか、テオの運命は回り出し、物語は意外な方向へと動き始める…。世界32カ国で翻訳された大ベストセラー、待望の第2巻。
8年後、天才家具職人ホービーのもとで骨董ディーラーとしての道を歩みはじめたテオはある日、かつて身を寄せたバーバー家の長男ブラットと出会った。そしてバーバー家の変わり果てた姿を目にする。一方で、骨董店の顧客から何度も届く手紙に、テオは焦りをつのらせる。運命は残酷で、生きるとは災難なのかもしれないが、この世界から退却するわけにはいかないー寡作の世界的ベストセラー作家による11年ぶりの超大作、第3巻。
肉機械が渦巻くー両親を殺害され、みずからも氷のハンマーによって傷を負ったオリガは、犯人たちへの復讐を誓う。一方、光の兄弟たちは、驚異的な心臓の力をもつ少年ゴルンを得る。フィンランドの武器庫に隠された氷のハンマー、中国の秘密工場で働く「死んだ雌犬の仲間たち」、コギャルを愛する殺し屋…最初の指導者ブロの覚醒から七十七年を経て、二万三千人の仲間が「原初の光」のために結集を始める。“氷三部作”怒涛の完結編!!!!