2016年9月1日発売
中学3年の築館凛は、4歳のときに両親が離婚して以来、新聞記者の母・深雪との母子家庭。 夏休みに入った7月末、深雪が海外出張中のため従姉夫婦が営んでいるペンションで過ごしていたが、強盗に襲われ従姉夫婦は殺されてしまう。 凛は間一髪で助かったが、さらに深雪が海外で行方不明に。執拗に凛を追う強盗たちは、どうやら築館家に伝わる秘文「ドチリナ」を探しているらしい。 凛は、仕方なく離婚以来会っていなかった言語学者である父・桜小路賢史(さくらこうじさとし)を頼ることに。 桜小路は、凛の携帯電話のマイクロSDカードの中から、「ドチリナ・カムイモシリ」と書かれた古文書を見つけるーー。 岩手の山奥に350年以上守られた「ドチリナ」の謎が明かされるとき、黄金伝説が蘇る!
あなたの知らない若冲をお見せしましょう。 若冲没後百年を経た明治37年、セントルイス万博に突如〈若冲の間〉というパビリオンが出現する。この時〈Jakuchu〉の名を世界に広めたのは誰だったのか?京の図案家神坂雪佳は、若冲の末裔という芸者から、〈若冲の妹〉と呼ばれた美しい女性の話を聞く。 宝暦13(1763)年、京都錦の青物問屋〈枡源〉に、一人の少女がやってきた。主の若冲が飼う鶏や、珍しい鳥、美しい毒草などの世話をするために。その名は美以。体からは不思議な芳香が漂っていた。若冲はその匂いに、かつての異国の女の面影を重ね合わながらも美以を自分の弟に与えてしまう。若冲を慕う美以は、以後〈若冲の妹〉として思いを秘めたまま生きていくことになる。 『動植綵絵』の完成間際に錦市場を揺るがす事件が起こり、その弟が謎の死を遂げる。彼は本当は若冲の何だったのだろうか。さらに天明の大火による被災……だが、若冲が本来の絵師として蘇生するのはそれからだ。そして、いつも傍らには〈妹〉の姿があった。 心の中の〈奇〉を描かずにはいられなかった絵師、若冲。時空を超え魅了し続けるその素顔と秘密に、江戸と明治の二つの時代軸で迫った渾身の書き下ろし小説。
したたかで賢いシンデレラ、近親姦の匂いがする白雪姫、メタファーを読み解くと、謎めいた行動の真意が判明し、従来の通説を覆す解釈が浮上。日本に導入される過程で加えられた改変も分析し、新たな解釈を提示する。
仕事が増えず、マネージャーからもクビを宣告され、彼氏にも振られた、グラビアアイドル・雨野はな。落ち込むばかりのはなは、カメラマンの秋崎と出会い、激しく撮られる、抱かれることで、女性としての輝きを放ち始め、見違えるような活躍をするようになっていく。しかし、そんな二人の時間は、そう長くは続かない…。「あなたに、もっと撮られたい!」現役グラビアアイドルが書く等身大のラブストーリー。
くりす亭は、静かな住宅街にある古い一軒家のお店。美人なマスター、麻布留さんと選りすぐりの日本酒を目当てに、毎晩、酒の肴になる話題を常連客が持ち込んでは騒ぐ。麻布留さんの趣味は、お客のほろ酔い話を強引に事件へと変換し、名探偵になりきって推理をしていくこと。バイトのはずの僕はなぜか、その助手にさせられ、謎解きの手伝いをする羽目に…。わがまま店主の勝手に謎解きミステリー!!
ヘンリー・ジェイムズ没後100周年記念。本邦初訳で短編四編を紹介。南北戦争を題材にした最後の未訳作品「ある年の物語」、ヨーロッパ社交界の洗礼を浴びる青年の姿を描いた「ユージーン・ピカリング」、ジェイムズ作品の中で異彩を放つ「べンヴォーリオ」、結婚と恋愛の逆説をあつかった「進むべき道」の四編を所収。 ある年の物語(一八六五) ユージーン・ピカリング(一八七四) ベンヴォーリオ(一八七五) 進むべき道(一八八四) 訳者あとがき