2016年9月21日発売
迷惑、顰蹙、無理難題。人生、困ってからがおもしろい。脱サラで会社を興した38歳の社長、渋滞中の車にどんどん知らない人を乗せる妻、住み込みで働く職場の謎めいた同僚…。著者お気に入りの短編から、唯一のショートショート、敬愛するイッセー尾形氏、山田太一氏との対談まで、あれこれ楽しい贅沢な一冊!!蔵出し短編集!
冬の山中で神隠しのように姿を消した一人の少年。誘拐か、殺人かー。事件性が疑われはじめ、容疑者として浮上したのは少年の父親だった。本庁の警察犬が足跡を掴めない中、“殺意の匂い”を嗅ぎ分けることができるトイプードルのメグレだけが、事件の意外な真相を指し示す。訓練士の早乙女俊介と刑事の佐倉綾香が辿り着く、十年前に起きた謎多き児童誘拐事件との関係とは!?
13匹の猫の首をビルの屋上から投げ落とし、自らも身を投げると異世界にいくことができる。都市伝説のはずだった“猫殺し13きっぷ”は真実となり、猫殺しの犯人に巻き込まれた少年少女たちは、現実世界とかけ離れた最果ての地に散り散りで飛ばされてしまう。絶望と孤独に追い詰められる中、みんなの行方を捜し始めた魚住二葉の存在が、止まっていた時間を動かしていくー。
鍋釜から、手拭い、紅まで店に並ぶものは三十八文均一の「みとや」。猪牙舟を漕がせたら船頭も怖れる看板娘・お瑛と、極楽とんぼの兄・長太郎が切り盛りする。ある日、お瑛は売り物の簪が一本足りないことに気づく。消えた簪を探すうちにお瑛は、その意匠の秋の七草から、元吉原の花魁・お花にたどりつくのだが…。江戸下町の人情あふれる時代連作短編集、シリーズ第二弾。
高校を卒業したばかりの空手少女、杏那と研修医の優。人気テーマパーク“ハッピーファンタジア”のデートでふたりの距離は縮まるはずだった。“それ”が起こらなければー突然、別々の世界に引き裂かれた二人。魔王からもうひとつの世界を守るため、ヒーロー“ハッピー・パピー”の命を受けて旅立つ杏那。現実のパークで密室殺人の謎を解き、杏那を見つけ出そうとする優。それぞれの戦いが今始まるー。現実と夢の国、二つの密室の犯人消失、パズルと魔法、消去法とねじれた論理。天文学的数字とただ一つの答え。ミステリー・ラバーズに捧ぐ、これは、夢の国からの挑戦状。
ここにはかつて「世界」があった。各地に点在する遺された町ー風ノ町、犬ノ町、日ノ町etc-は、それぞれ独自の意匠を持ち、かろうじて生き永らえてきた。ここに、一人の旅人がある。彼女は旅先で、己の意志とは無関係に、様々な不思議に巻き込まれてゆく。ここでは一体、何が起こっているのか?
今は学生でいたくなかった。きっかけになったトラブルはある。でも、うまく説明できないし、自分でも整理がついていない。実家を出て、バイトしながら、まったく違う世界で、自分を見つめ直すつもりだった。「歴史を変えた」と言われる伝説のあのラジオ番組が小説内でオンエア!「青春小説」に名作がまた誕生した。
正伝一刀流皆伝の祖父を持つ東堂絆は、本庁・所轄の垣根を取り払うべく、警視庁組織犯罪対策部特別捜査隊所属となった。ガラの悪い刑事たちもいつの間にか魅了する天性の明るさを持つ絆の前に、非合法ドラッグ「ティアドロップ」の売買を巡って殺人事件が発生。背後には底知れぬ闇社会の陰謀が!?
那覇市大道の栄町にある売春宿の息子・香太郎は、高校最後の夏休みに近所のゲストハウスでバイトをする。悠々自適なマスター、個性的な美女たちに囲まれ、それなりに充実した毎日を過ごしていた。そんな中、栄町界隈で殺人事件が発生。当初、金の絡む単純な構図に思えた事件は、十八年前のある秘密が引き起こした悲劇だったー。
「視聴率が十二パーセントを超えたら、無差別に人を殺す」。国民的人気番組に届いた前代未聞の脅迫状が、バブルに沸く日本を揺るがせる。これは単なるいたずらか、それとも全視聴者への挑戦なのか。そして、背後に秘められた哀しい純愛物語とは?乱歩賞作家が、バブルの狂乱と、その中で生きる人々の葛藤を描く傑作ミステリー。
全面核戦争を生き延びた情報技術者の田中翼と仲間は、ネット環境を求め荒廃した地上を探索する。“セルフ・クラフト”内では、世界の一画が虚無と化す謎の消滅現象が多発していた。民主主義教を奉じる竜の高僧ミンドンは、始祖マインドの墓の発掘調査から寺院に帰還してすぐ、消滅現象の対策のため総本山に呼び出される。すると寺に住む寺人のエミカがなぜか同行を申し出て…奇跡のゲームが現実を変革する3部作完結篇。
企業の内部告発者ケネス・C・Oの行方を追うなかで、ウフコックはパートナーのロックと弁護士サムを“クインテット”による惨殺された。保護証人を失ったイースターズ・オフィスは事件不成立により調査を中断するが、ウフコックはサムの遺志を継いで“クインテット”への潜入捜査を始める。ハンターの緻密な戦略のもと、アンダーグラウンドを制圧する“クインテット”の悪徳を、ウフコックはただ傍観するほかなかった。
冲方丁作品の二次創作による新人賞「冲方塾」。その小説部門に応募されたマルドゥック・シリーズを題材とした短篇の中から、優秀作品を精選ーボイルドの誤爆を目撃した男の物語、“疑似重力”の謎に挑む二人の刑事、クルツとオセロットの日常、『スクランブル』実写映画化の裏側などマルドゥック・シリーズの世界を自由に解釈し、想像力を広げた11篇に、冲方自身が書き下ろした二次創作短篇を併録した公式アンソロジー。
この荒廃した世界では、理不尽な暴力で大切な人を奪われることもしばしばだ。強盗に妹と両親を殺された少女リリイは、「リリイ・ザ・フラッシャー」と綽名される、早撃ちで有名な国一番の銃の使い手。そしてその親友カレンは、記した事柄を忘れることができるふしぎな本“ダイアリー”の持ち主だ。その本は、クリニックを営むカレンの家に代々伝わるもので、医師だったカレンの祖父や父親によって、忘れられない辛い記憶に苦しむ人々のために秘密裏に使われていた。しかし、クリニックを継げなかったカレンの叔父が、“ダイアリー”を狙い、悪い仲間を集めて父親を殺してしまった。幸い“ダイアリー”は奪われなかったが、復讐を誓ったカレンは、リリイを用心棒に誘い、大型バイクに二人でまたがって、国の各都市に散らばった、父を襲った犯人たちを探す旅に出る。ひとりずつ憎い仇を痛めつけ、“ダイアリー”を用いて仇の復讐された記憶を消すのだ。そうすれば、そこで復讐の連鎖は途切れるはず、だった…第5回アガサ・クリスティー賞と小説推理新人賞、ダブル受賞でデビューした超大型新人が瑞々しい筆致で描く、ふしぎなダイアリーをめぐる、少女二人の復讐ロードノベル。受賞第一作。
不思議な公園にぽつんと佇む優しい形をしたベンチ。きょうもここで待っている。あの人を。あなたをー見えない、歩けない、居場所がない、コミュニケーションができない。心の傷や生きづらさを抱えながらも、健気にしなやかに生きる愛すべき人々の「普通の」物語。
レトロな丘の山商店街にある神崎食堂の人気NO.1は、揚げ出し豆腐。三軒隣の豆腐屋から仕入れた豆腐に、優しい味わいの餡が絡む絶品だ。看板娘の神崎花は今日も店に立つが、ある日、見知らぬ男に突然プロポーズされる。以来、揚げ出し豆腐が好きだと毎日店にやって来る彼はいったい何者ー!?ふわふわの豆腐がしあわせを運ぶ、「小説家になろう」発、話題のグルメ小説。ほかほか定食、召し上がれ。
裁縫屋の季衣子が作る商品はオリジナル性が高く、人気があった。あるとき、騒音が原因で仕事ができず困っていると、看護師の友人から、長期入院する女性が家の管理人を探しているという話を聞く。早速、引き受け向かうと、そこは湖畔に立つ素敵な洋館で、季衣子が今の仕事を選ぶ契機となった憧れの古いオブジェがあった。なぜここに?と聞く季衣子に、女性は過去を語るが…。女性達が紡ぐ美しい物語。