2016年発売
本来は農民や職人むけのおもしろくてためになる、実用志向の読み物だった「暦物語」。ブレヒトの本作品は、老子やソクラテスやカエサルなどの有名な人物から無名の兵士、子どもまでが登場する“下から目線”のちょっといい話が満載のミリオンセラー短編集だ。ブレヒトの魅力を再発見する!
高級タワーマンションに暮らす岩見有紗は窒息寸前だ。ままならぬ子育て、しがらみに満ちたママ友たちとの付き合い、海外出張中の夫・俊平からの離婚申し出、そして誰にも明かせない彼女自身の過去。軋んでいく人間関係を通じて、徐々に明らかとなるそれぞれの秘密。華やかな幸せの裏側に潜む悪意と空虚を暴き出す。人気女性誌「VERY」連載時から話題沸騰の衝撃作!
東北の港町・仙河海市の中学校で教師を勤める和也。担任するクラスに転校してきた早坂希は、問題を抱える少女だった。朝帰りの噂を聞いた和也が早朝、様子を見に行くと、希のジョギングする姿が。和也は、顧問を務める陸上部への入部を希に勧めるがー。多感な中学生と若き教師の心温まる物語。東日本大震災以降、仙河海市を舞台にした著書の先駆けとなった作品。
定年間近の石神井署の刑事・片倉康孝は、孤独死した小切間清という老人の捜査を担当する。が、部屋には身元を示すものは何一つない。さらにスーツケースから古びた白骨死体が発見される!部屋にあった写真の女か?遺留品をたよりに柳ヶ瀬に飛んだ片倉は、女が舞台女優だったこと、小切間清が伊勢湾台風で亡くなっていたことを突き止めるー。哀切さが心に沁みる傑作。
総武線で隣を並走する電車に乗っていた、自分に瓜二つの男。後日その男と再会した俺は、気づけば犯罪者にさせられていた。顔が同じことを利用して周到に仕組まれたらしい冤罪。あいつはいったい誰だ?なぜこんなことを?日常を突然奪われた俺の、必死の逃走劇が始まった。自分から過去から警察から、逃げて逃げて逃げまくれ。疾走する新感覚のエンタメ小説。
街いちばんの名探偵の元には、奇妙な依頼人ばかりがやって来る。熱狂的ファンの中年男に、執拗に真似をされる恐怖を語る人気アイドル。(「アイドルストーカー」)何者かに太る薬を盛られていると訴えるダイエットマニアの女。(「ダイエット」)事務所から一歩も出ないものぐさな探偵の推理とは?全編に仕掛けられた巧妙な罠と黒い笑い。奇才が放つ連作ミステリー。
如月七、通称セブン。都内M署の女性刑事だ。管轄の湯島にあるラブホテルで女子高生が殺された。絞殺され、非常階段の踊り場に吊されていたのだ。防犯カメラの映像には、彼女とホテルに入った後、独りで去る男の姿が。被害者は、秋葉原の街で特殊なアルバイトをしていたらしいのだが…。美貌の女性警官が悪魔のように狡猾な犯人を追う、衝撃のシリーズ第一弾!
六歳の真子のもとに、ある日子猫がやってくる。みゃーと名付けられた子猫は、しきりと人間に話しかけてくる。話すことが苦手だった真子は、みゃーとの会話を大切にしながら成長していった。だが真子が大学に進学したときから、その関係に変化が…。(「ネコの時間」)精一杯繋がろうとする人と猫。幸せも哀しみも、猫からもらったたくさんの想いが胸を熱くする感動の七編。
テレビのお宝鑑定番組に、大坂城落城の際に千姫が頭にかぶったという打かけが出品された。持ち主は千姫の末裔を名乗る、気品に満ちた美女だった。彼女が出品した打かけに、買いたいという申し出が相次ぐ。だが、彼女に近づく者は、次々と悲惨な死を遂げていった。謎めいた美女の周囲で続く殺人事件ー十津川が解き明かした、そのあまりにも哀切な真相とは?
大手都市銀行元役員から消費者金融の最大手・富福に迎えられた大宮紘平は、資金調達や、銀行の系列化阻止に辣腕を振るい、社長に昇格する。が、絶対君主として君臨するオーナー会長・里村栄一に阻まれ、経営の多角化もままならない。一方、過剰融資や貸し倒れの増大など、社内外には問題が山積みー。消費者金融の暗部を抉り出し、その後の凋落を予言した傑作経済小説。
為永春水、恋川春町、式亭三馬、山東京伝など。どこをとっても個性的な江戸の戯作者たちは、娯楽を求める庶民の熱狂的支持を得、笑いと嘘で社会・文化を支えた。権力におもねることなく物語を書いた戯作者たちと、彼らを取り巻くちょっとハミ出た市井の人々の紡ぎ出すドラマを、史実を踏まえて生き生きと描き出す。江戸の空気感たっぷり、粋な井上節が炸裂、痛快。
紀伊勝浦藩の御家騒動に仕掛けられた、老中の罠を切り抜けたジョゼフ按針。共に戦った松平慶次郎に従って長崎に赴き、キリシタンたちの動静を探っていた。一方、黒幕の老中は、ガレオン船団を率いるポルトガルの代表と密会していた。島原で高まるキリシタンたちの緊張の裏には、老中とポルトガル人のさらなる陰謀が!破天荒な旗本の活躍を描く時代活劇、完結編!
小普請の御家人ながら辻占をしている鏑木左京之介。ある日、吉原の大門に屍体がはりつけられた。その横には、左京之介への意趣返しなのか、「腹を切れ」との文言が記されていた。その後も続く殺人に業を煮やした町方から、七日以内に下手人があがらなければ切腹しろという要求を突きつけられ、左京之介、絶体絶命の危機。はたして下手人はー。好調シリーズ、第三弾。
陽一の指導によってT校は都大会を制覇、全国大会へと進む。エース加賀屋のプロ入りを後押しするため、メンバー一丸となって全国優勝を目指すが、二メートルを超す外国人留学生や、日本代表候補を有する超強豪校が立ちふさがる。満身創痍となりながらもチームワークで接戦を制していくが…。夢と希望をボールに託す、青春小説シリーズ第七弾。
アラフォーを迎えて落ち目になった女優の麻矢は、元アイドルの桜とこずえを誘い新作映画を企画する。艶かしい媚態でスタッフを誘い、スキャンダルを揉み消すために股間に顔を埋める麻矢。「あぁ、感じちゃう。もっと上から下まで…お願い、監督」。一方、桜とこずえは濡れ場の撮影で我を忘れ、淫らに熱を溜めた下腹部を男の中心部に擦りつけたー。人気女流官能作家、待望の長篇新作!
「この女を知らないか?」。暴力的な情事の後、刑事・榊木に一人の風俗嬢の写真を見せられたフリーライターの美久。天使のように美しいその女の名前は「ユア」。行方を捜すと、彼女を抱いた男たちはみな壊れ、狂人のようになっていた。「ユアは特別な女なんだ」。彼女は何者なのか。やがて美久は、自らもその愛欲の渦に巻き込まれていくー。狂気の官能サスペンス。
「北条家の旧領関東二百四十万石を差し上げよう」天正十八年、落ちゆく小田原城を眺めながら、関白・豊臣秀吉は徳川家康に囁いた。その真意は、水びたしの低湿地ばかりが広がる土地と、豊饒な現在の所領、駿河、遠江、三河、甲斐、信濃との交換であった。愚弄するかのような要求に家臣団が激怒する中、なぜか家康はその国替え要求を受け入れた…。ピンチをチャンスに変えた究極の天下人の、面目躍如の挑戦を描く快作誕生!
20世紀イギリス文学を代表する作家ロレンスの自伝的小説。19世紀後半から20世紀初頭にかけてのイギリスを舞台に、主人公ポール・モレルの生い立ちと成長が、親子、兄弟、仕事、恋愛、性、生死など人生の重要な要素と局面を中心に、喜びと悲しみの両方向から力強く生き生きと描かれている。全著作の中でも、とりわけ芸術性が高く、しかも親しみやすい傑作を、完全復元版の新訳で。ちくま文庫オリジナル。