2016年発売
東京・新宿のど真ん中に位置する『くじら堂書店』店長を務める男・宮内直人はかつて伝説的チームを率い、裏社会にまで名を轟かせた元トラブルシューターだった。そんな彼の元に、久々の“トラブル”が舞い込み…?
都会の路地裏にあるプラネタリウム、「三軒茶屋星座館」。その店主、和真のもとへ十年ぶりに弟の創馬がおしかけてきた。小学生の娘、月子を連れて…。星座館で語られる超現代語訳“ギリシャ神話”が、人の絆をつくり、仲間を家族に変えていく。声をあげて笑い、本気で泣ける、心温まるエンターテインメント小説。
父さんは早くに亡くなった。女手ひとつで自分と弟を育ててくれている母さんに、早く楽をさせてあげたいー。そんな想いを抱く少年が、裸一貫で勝負する道を選ぶ。数百年前から脈々と続く角界のしきたり、師匠や兄弟子たちの温かな人情。純粋無垢な少年の眼を通して相撲の世界を爽やかに描いた青春小説。
食品会社のサラリーマン坂田勇吉は新商品を宣伝するため、東京下町の老人会に通っていた。老人たちやボランティアの咲子の心もつかんでいた彼に、健康枕のセールス指導のバイトが持ちかけられる。打合せ場所に着いた坂田の目の前には、刺殺体が。ヤクザがらみの厄介な事態に巻きこまれた坂田に危険が迫る!
身体を自在に着脱できる人形男がどこまでも追ってくる!目的は、生みの親である博士にもう一体動く人形を作らせること。これに対し少年探偵隊は、唯一の弱点である頭部内の「命を生む紙」を入手しようとする。しかし目にしたのは想定とは違う文字だった!周到な論理によって構築された極限状況ミステリ。
偶然がもたらした人妻・蓉子と大学助教授・伊村の邂逅。乾徳山、鷹取山、丹沢…。二人は共通の趣味、登山を通して深く関わりあっていった。蓉子は夫から疑惑の目を向けられつつも伊村と冬の谷川岳に挑む。猛吹雪で七日間閉じ込められた彼らを待ち受ける残酷な現実とは?精緻な心理描写が光る異色山岳小説。
皇室の外戚としてなんとしても権威を得たかった徳川家康。天皇の在位さえも意のままに操り、二代将軍秀忠の娘・和子を、天皇家へお輿入れさせるべく動く。生まれたときから運命を定められた和子が十四歳にして帝へと嫁ぐ、その胸に秘めていた想いとはー。女たちの生き様、心情を丹念に描いた傑作歴史小説!
将軍家から朝廷に嫁いだ和子は、宮廷の女たちの巧妙な妨害により、帝と心を通わすことがなかなかできずにいた。周囲のはからいでようやく二人の仲が深まったのは、入内から二年四ヵ月後であった。和子はあまたの子をもうけ国母となるも、幸福は長続きしない…。愛と哀しみに翻弄された生涯を描く大作、感動の結末へ!
ローン未払いを理由に家を差し押さえられたシングルマザーが、大手銀行副社長撲殺の容疑で逮捕された。彼女は仲間を募って銀行の違法性に抗議するデモを繰り返す有名人。高級車リンカーンを事務所代わりに金を稼ぐ、ロスきっての人気弁護士ミッキー・ハラーは社会的注目を集める容疑者の弁護に乗り出す。
わたしはやってない!裁判で無実をひたすら訴える容疑者。検察側、弁護側ともに決定的な証拠を欠き、勝敗は五分と五分。住宅差し押さえ代行に絡む莫大な金をめぐり人間たちの欲も蠢く。裁判妨害、血痕、身長差…。刻々と変わる法廷劇の結末は?名手コナリーの技に脱帽。圧巻のリーガル・サスペンス!!
池袋の「ビックリガードの五叉路」で、私は一週間前に死んだ篠島が歩いていた。彼の告別式で久しぶりに再会した高校の同級生のアキちゃんが、ブンとピルルという猫たちと暮らす家に、妻が不在の夜に突然訪ねてくる。さらにはお隣の三池さんの娘さんも加わって終わらないおしゃべりに、思いは時空を超える。
かつて私が話をしたという「前世の記憶」という言葉に触発されてずーっと考えてきたことをアキちゃんは熱く語り、私は十五歳も年下なのに高校生に戻ってうずうずした村中鳴海といきなり旅に出たときの記憶を鮮やかによみがえらせる。その間にも猫と人間に流れる時間は続いていく…。野間文芸賞受賞作。
毎年、ドラフトで隠し球を指名するのが『堂神マジック』だ。その怪物スカウトに見習いとしてついた純哉は、次々出される不可解な指示に翻弄される。競合球団を出し抜き、幻手を寝返らせるための想像を絶する手練手管。奪い合いと騙し合い、壮絶な駆け引きに満ちた世界を描いた白熱のエンターテインメント!
小生意気だが天才的ひらめきを持つ文科省・不正研究調査チームの水鏡瑞希。ノーベル賞級の論文を科学誌に掲載した研究班リーダーの如月智美は瑞希の幼なじみだった。勃発する実験ノート窃盗と捏造疑惑。智美に降りかかる災いの真相とは?官僚を押しのけ霞が関を揺るがすヒラ職員の下克上ミステリ。
ふるさと祭りで突発した、ブラスバンドの男たちによる集団暴行事件。秘密結社にかぶれる男子寄宿学校生らによる、“生け贄”の生徒へのいじめが引き起こした悲劇。猟奇殺人をもくろむ男を襲う突然の不運。麻薬密売容疑で逮捕された老人が隠した真犯人。弁護士の「私」は、さまざまな罪のかたちを静かに語り出す。本屋大賞「翻訳小説部門」第1位の『犯罪』を凌駕する第二短篇集。
バカリズムが連続ドラマとしては初めて脚本を執筆した「素敵な選TAXI」(関西テレビ・フジテレビ系)。市川森一脚本賞奨励賞を受賞するなど高い評価を受け話題となった脚本を自らが小説化!張りめぐらされた伏線や軽妙な会話などが映像とは一味違った面白さで蘇る。
明治三十八年、福井県麻生津村。増永五左衛門はこの地に産業を根付かせるべく苦闘していた。そんな時、弟の幸八が村でのめがね枠製造を提案する。村人たちの猛反対の中、二人は困難な道を歩み始めるのだったー。めがねで世界を変えた、兄弟の魂の物語。
「社長があなたを嫌っているから」と、リストラされたかすみ。独身子なしのアラフィフが収入を失い、25年のキャリアは無に帰し、プライドはずたずた…。そんな崖っぷちの女が這い上がるきっかけをつかんだのは、東京マラソンの沿道で縁もゆかりもないランナーたちをジェット機の爆音のような声で応援する友人の姿だった…。疲れたあなたに贈る心の栄養剤小説!
同い年の妻が事故で死んだ。それから3ヵ月、心が動かない。北野は亡き妻の鍵のかかった携帯電話に、4ケタの数字を順番に打ち込むだけの毎日を過ごしていた。ついにロックの解けた携帯には、妻の秘密が残されていた。4年間を一緒に過ごした女性のことを、僕は何も知らなかったのかもしれないー北野俊英、33歳。喪ってから始まる、妻の姿を追いかける旅。