2016年発売
流浪の生活を送っていた兵ノ介。念願かなって仇敵・高杉玄之丞と果たし合うが、実の父親だったことに衝撃を受け、世話になっていた伝兵衛の前から姿を消す。一方、江戸で酒問屋を営む伝兵衛が消息を追ったところ、中山道の倉賀野宿で博徒の用心棒の噂を掴む。剣が滅法強く人斬りに長けたその男は兵ノ介なのか?それとも血を分けた双子の兄なのか?運命の糸に導かれるように、兵ノ介に新たな試練が待ち受けるー。
ミッション・スクールの名門「聖アリスガワ女学校」の生徒たちが、春期合宿に出発してゆく。ところが今日子の属する班は、目的地とはまるで異なる隠れ里に迷いこんでしまった。その村の名は「鬱墓村」。終戦を知らない不思議な人々。厳しい戒律と落ち武者の呪い。そして発生する、連続聖歌見立て殺人ー犯人を推理する今日子、手口を推理するみづき、動機を推理する茉莉衣が解き放った、見立てと呪いの恐るべき真実とはー!?
雨が降りしきる夜道でうずくまる女に遭遇した、実直な武士のUさん。20年便所から出てこなかった商家のIさん。酒好きのMさんと一人娘を心配して狐に相談した女房の幽霊。猫になったYさんの母親。さらには、「稲生物怪録」や「播州皿屋敷」にまつわる裏話など、江戸時代の旗本・根岸鎭衞が聞き集めた随筆集『耳嚢』から怪しい話や奇妙な話を選び、京極夏彦が現代の怪談実話スタイルに書き改める。新しく書かれた“旧い”怪談集。
僕、来栖倫太郎には大切な思い出がある。それは7年も前から行方がわからない大好きな“大空兄ちゃん”のこと。でも兄ちゃんは見つからないまま、小学生だった僕はもう高校生になってしまった。そんなある日、僕は池袋のサンシャイン水族館で、展示通路に謎の扉を発見する。好奇心にかられて中へ足を踏み入れると、そこはまるで潜水艦のような不思議なカフェ。しかも店主の深海は、なぜか大空兄ちゃんとソックリで…!?
お兄ちゃん、なんで死んじゃったの…!?あたし、月夜は18歳のパープル・アイで「もらわれっ子」。誰よりも大好きなお兄ちゃんの奈落に目の前で死なれてから、あたしの存在は宙に浮いてしまった。そんな中、町で年に一度開かれる「無花果UFOフェスティバル」にやってきたのは、不思議な2人連れ男子の密と約。あたしにはどうしても、密がお兄ちゃんに見えて…。少女のかなしみと妄想が世界を塗り替える傑作長篇!
化け物退治を仕方なく請け負っている広島藩士・京嵐寺平太郎。ある日、平太郎の夢に“山の神”と名乗る美しい女が現れた。女から箱根山を襲う大百足退治を頼まれた平太郎は、山の方角の空が奇怪に赤く染まるのを見て、日本征服を目論む真之悪太郎の仕業だと直感する。平太郎は、白狐のおきん、三つ目入道の樋熊長政と箱根に向かうが…。日本を守るため、妖怪仲間の総力を結集した最後の戦いが幕を開ける。シリーズ、堂々完結!
享保13年。吉宗の配下にいる採薬使の佐平次は、長崎から2頭の象を運ぶことを命じられた。その後、象を乗せる予定の船の船長が死亡し一旦白紙になった契約がなぜか復活したのだ。船長の代理の清国人と会見した佐平次は、裏に老中をはじめとした各藩の将軍失脚を狙う企みを嗅ぎ取る。だが「献上品」である以上、象は将軍のもとに届けなれければならない。江戸への途上、象と左平次に魔の手が迫る!好評シリーズ第2弾!
東京に住む16歳の小春(こはる)は、ある理由から中学の終わりに不登校になってしまっていた。 そんな折、京都に住む祖母・吉乃(よしの)の誘いで、祇園の和雑貨店「さくら庵」で住み込みの手伝いをすることに。 吉乃を始め、和菓子職人の叔父・宗次朗(そうじろう)や美形京男子で大学生のはとこ・澪人(れいと)など、賑やかな家族に囲まれ、小春は少しずつ心を開いていく。 けれどさくら庵は、少し不思議な依頼が次々とやってくる店だった……!? 京都在住の著者が描く、ほっこり優しい日常ファンタジー!
桃は35歳の歯科医。入籍間近と思われていた恋人と別れ9歳下の鯖崎とつきあい始めた。だが鯖崎は桃の親友の主婦・響子にも興味をしめす。一方、ネットで知り合った60歳の男と同棲していた響子の母・和枝が急死。亡き母の同棲相手への対応を巡り響子は夫と衝突する。そんな響子に鯖崎が接近し始め、桃は別れた恋人と再び会ってしまう…。年齢も境遇も異なる男女たちを通して恋愛、孤独、結婚の赤裸々な姿が浮かび上がる。
雨の坂道で出会い、恋におちるも、自意識のために、愛する女を死に追いやってしまった作家の苦悩が哀切な「愛染坂」。坂に棲みついている猫たちの写真を撮るために訪れた女子高生が、その夜から金縛りと奇妙な悪夢に悩まされる「口縄坂」。大坂で頓死した松尾芭蕉の最期を怪談に昇華した「枯野」など9篇を収録。大阪の町にある「天王寺七坂」を舞台に、その地の歴史とさまざまな人間模様を艶のある筆致で描く。
東京の事務員・亜佐子、佐世保の歌手・マユリ、仙台のOL・鳩子。彼女たちには忘れたくても忘れられない男がいる。結婚を匂わせ金銭を預けた途端に消えた宝石鑑定士・古海。ある女は待ち続け別の女は絶望した。だが鳩子は探し続け、ついに古海の相棒・千石るり子にたどり着くのだが…。「結婚」という魔物に騙された女たちと騙した男女、そして詐欺師・古海の妻。彼らが持つ闇と欲望の行き着く先とは!?
掏摸だった六松は、江戸で評判の目明し“稲荷の紋蔵”に見出され目明しの修業を始めた。孤児で荒んでいた六松だが、紋蔵のもとで徐々に真っ直ぐな心根を取り戻し、やがて手下として認められる。だが大伝馬町の長屋に家移りして早々、住人の一人が溺死。店子達の冷淡な態度を不審に思った六松は探索を始めるが、裏には思わぬ陰謀が…。十手持ちになった若者の奮闘と町の人々の哀歓を優しい筆致で描く著者の新たな代表作。
梨園の御曹司にして絶世の美男、藤村霞右衛門に男女の双子が生まれた。兄の桂は跡継ぎとして、妹の葵も父に溺愛されて天真爛漫に育った。が、真に父の才を受け継いだのは、皮肉にも娘の葵の方だった。女は歌舞伎役者にはなれないージレンマに身悶えながら女優への道を模索する葵。しかし彼女の前には、我が子を愛するがゆえに、その夢を全力で潰そうと立ちはだかる父の姿が…。芸の鬼に取り憑かれた、梨園の父娘ふたり。その愛と葛藤の物語!
四方を中国山地に囲まれた、寂れた温泉町に架かる小さな石橋『かんかん橋』。食堂『ののや』の一人娘真子は、毎日その橋を渡って学校に通っていた。真子と父を残して出て行った母。かつて白無垢をまとい嫁入りしてきた写真館の老女。町を去り愛する人とともに帰ってきた踊り子。誰もが『かんかん橋』を渡る…。小さな食堂を舞台に、精一杯生きる女たちのたくましさ、しなやかさを鮮やかに描き出した、人気作家の傑作長編!
だからこそ潜るのだ。誰も潜らないから、誰かが潜らなければいけないのだと信じる。3・11から五年目となるフクシマ。非合法のダイバーは人と町をさらった立入禁止の海に潜降する。慟哭の夜から圧倒的救済の光さす海へ。鎮魂と生への祈りをこめた著者の新たな代表作誕生。
やくざの用心棒で稼ぐ次男黎二郎、その下に歳の離れた三男順三郎と、二人の弟をもつ旗本来嶋家の長男太一郎は、徒目付組頭のお役についたが、若年寄から、旗本相手の贋作詐欺の下手人を捕らえよとの密命を受ける。黎二郎の手も借りて一味をあぶりだそうとするが、逆に敵の術中にはまり、襲われてしまう。裏に幕閣に関わる陰謀?太一郎必死の戦い!
南町奉行所の巻田禎次郎は、将軍家の菩提所を守る上野の山同心への出向を命じられた。お山の参道を下る禎次郎の背に「盗人だ」という声が上がり、浪人風の侍が箱を抱えて逃げ下ってくる。追うのは参拝の大名家の一行。こうして始まった“事件”の背後には、永年にわたって犬猿の仲の二つの大名家の諍いが…。
三年ぶりに再会した憧れの叔母・佳世子。ところが、彼女は直樹の目の前で、大腿の付け根を見せつけるようにお尻を蠢かすのだった。その光景に心を奪われ、彼は自室で自らを爆発させるが、彼女のマッサージを頼まれて…。佳世子も、女体のこと、セックスのことを教え込みつつ、さらなる性の深淵へとー人気作家による傑作官能!
2000年7月、秋葉原。九重祐子が捜査一係に着任したとき、事件はすでに始まっていた。食玩フィギュアを巡るトラブルが発生し、相談に来ていた男が、翌日遺体となって発見された。祐子は彼の相談を真剣に聞かなかったことに罪悪感を覚え、独自に捜査を始める。フィギュア店に潜入した祐子は犯人を見つけ出すことに成功するものの逆襲に遭う。ピンチに陥った祐子を救ったのは、謎の男・ギークスターだった。悪党に制裁を下す闇のヒーローとして街で噂になっているギーク(オタク)スター。正体を知った祐子は、反発を覚えながらも次第に惹かれ始める。秋葉原で続発する凶悪事件で、警察の組織捜査に限界を感じた祐子はギークスターの力を借りようとするが、断られてしまう。秋原葉の闇に潜む、悪を見つめるギークスターの目的はー!?