2017年10月発売
内証苦しい尼崎藩の江戸家老・塩谷隼人。藩邸を取り仕切る一方、国許の農政に腐心する日々。その頃、加島屋正誠ら大坂の両替商たちは公儀から米切手買い持ちのための御用金調達を命じられていた。隼人は旧知の正誠に藩への融資を頼むべく大坂へ向かい堂島の米会所で面会にこぎつけるが、突如として三人の賊が乱入。正誠が連れ去られてしまった。老練の知恵と剣技で立ち向かう隼人だが……。
上司の逆鱗に触れ定年待合室へ追いやられた、大手百貨店の敏腕営業マン大和田は、妻のガン宣告を受け50代で早期退職をする。妻を喪ったあと、ふとしたきっかけで“人助け”に手を貸し始めるのだが、その中で出会った経験も人脈も豊富なその道のプロたちは、それぞれの職場でそれぞれの鬱屈を抱えていたー再起をかける男たちを描いた、痛快経済小説。
医療ボランティアでカンボジアを訪れた医師のエリオットは、赤ん坊の手術をしたお礼に、不思議な老人から過去に戻ることができる10粒の薬を受け取る。彼の願いは、30年前に亡くなった当時の恋人レイナに、もう一度だけ会いたいということだけだった。半信半疑でその薬を飲むと、30年前にタイムスリップし、過去の自分と出会うのだが…。フランスのベストセラー作家ミュッソの映画原作本が、装いも新たに登場。
吉本興業創立者・吉本せい。その弟・林正之助は、姉を支えて大正・昭和の時代にお笑いを大きなビジネスへと築きあげた。才能ある芸人を発見し、興行界のややこしいトラブルは体を張ってでも解決した。その辣腕ぶりは業界に知れ渡り、ライオンの異名で呼ばれた。さまざまな芸人との出会いや、驚くべき芸界秘話などを満載!「小説吉本興業」を改題文庫化
不器用で欠点だらけの人達が、卓球の男女混合(ミックス)ダブルスを通じて小さな“奇跡”を起こす、恋と人生の再生物語。大注目の脚本家・古沢良太による、笑いと涙が詰まったオリジナル脚本を、人気作家・山本幸久が、感動と幸せに満ちた物語として、豪華小説化!
新しい局長がやってきたり、面倒をみた後輩が異動になったりと、みつば局も歓送迎会シーズンに。慌しい日々のなか、「益子先生」とだけ書かれた一通のハガキが舞い込む。大事なお礼のようだが、どうみても宛先不明。しかし、秋宏は受取人をなんとか探し出そうと推理をめぐらしていく……。街を駆ける配達員と住人たちの交流を描く、人気シリーズ第4弾!
<内容紹介> 時は江戸。 火事で姉と離れ離れになった少女・梅乃が身を寄せることになったのは、お宿・如月庵。 如月庵は上野広小路から湯島天神に至る坂の途中にあり、知る人ぞ知る小さな宿だが、もてなしは最高。かゆいところに手の届くような気働きのある部屋係がいて、板前の料理に舌鼓を打って風呂に入れば、旅の疲れも浮世の憂さもきれいに消えてしまうと噂だ……。 梅乃は部屋係として働き始めるが、訪れるお客は、何かを抱えたワケアリの人ばかり。 おまけに奉公人達もワケアリばかり。美人で男好きな部屋係に、いつもパリッとしているがやたらと強い中居頭。強面で無口だが心は優しい板前、宿に来るお客を全て覚えている下足番。そしてそれらを束ねる女将。 個性豊かな面々に囲まれながら、梅乃のもてなしはお客の心に届くのか? そして、行方不明の姉と再会は叶うのか? 心温かくなるお江戸人情シリーズ第一弾! <プロフィール> 中島久枝 東京都生まれ。学習院大学文学部哲学科卒業。フードライターとして活躍中。『日乃出が走る』で第3回ポプラ社小説新人賞の特別賞を受賞しデビュー。同作で歴史時代作家クラブ賞新人賞ノミネート。著作に『金メダルのケーキ』『いつかの花』など。
生真面目な千代田区が思い出すビートルズが皇居を歩いた日のこと、洒落者の港区が語る魅力的な若者たち、文学を愛する杉並区が明かすある女性との出会い…23区23様のドラマチックなストーリーが踊りだす。今すぐ東京を歩きたくなる、ユーモアと機知に溢れた傑作小説集。
一年生部員たちもようやく部活に慣れ、コンクールに向けた練習もいよいよ本格的になってきた北宇治高校吹奏楽部。しかし麗奈は、オーボエのみぞれのソロの出来に不満を感じていた。二人で音大を目指すというみぞれと希美だったが、その関係が演奏に影響を及ぼしているのだろうか。また、一年生の小日向夢は、実力者でありながらソロを吹くことを嫌がり…。アニメも大人気の吹部エンタメ、新章完結編。
新規オープンする美術館の目玉の一つ、葛飾北斎の肉筆画に贋作疑惑が浮上した。江戸と現代で二重生活を送る元OLの関口優佳=おゆうは、真贋をはっきりさせるため、江戸で直接北斎に尋ねてみることに。しかし、調査を始めた途端、絵の売買にかかわった仲買人が死体で発見された。同心の伝三郎たちから疑惑を持たれながらも、おゆうは現代科学と北斎の娘・阿栄の助けを借り、事件を追いかける。
未来に起こることの確率が調べられるとしたら、あなたは何の確率を調べますか?政略結婚で好きでもない女性と暮らすことになった夫は、毎日『妻を殺してもバレない確率』を調べるようになった。しかし夫は妻を殺さず、流れる時の中で二人の関係は徐々に変わっていく…。様々な『確率』が繋ぐ人と人との不思議な縁。読めば心が晴れやかになる、未来を見つめるオムニバスストーリー。第5回ネット小説大賞“グランプリ”受賞作!
日本の庭園を取材するため、ドイツからやってきたぼくは、京都の禅寺でナミコに出会う。二度目に会ったとき、彼女は言った。「まだ、庭園の語る言葉がわからないんですか?」ナミコに誘われるままに、ぼくは「月のため息」の庭を訪れ、トラクターで田舎を訪れ、庭に隠された物語を見つけていく。同じときを過ごすなかで、ぼくは世界がささやき声に満ちていることをはじめて知るのだった。純度120%の恋愛小説。
元料理人のサトジが居酒屋で一目惚れした女性と、14年ぶりに再会する。彼女の名はマヨ。いまは離婚を経験し、一人娘のウフと二人で静かに暮らしていた。別れの理由は夫の横暴なふるまい。そのことがウフのこころの傷にもなっている。決して豊かとはいえない母娘の暮らしだが、ともに卵が好物で…。サトジの作る卵料理が二人に幸せの笑みをもたらしていく、芥川賞作家による初の料理小説!
【文学/日本文学小説】北町奉行所同心の夫を亡くした商家出のうめは、独り暮らしを楽しもうとしていた矢先、甥っ子の隠し子騒動に巻き込まれ、ひと肌脱ぐことを決意するが……。笑って泣いて──人生の哀歓、夫婦の情愛、家族の絆を描いた宇江佐文学の最高傑作!
両国の川開きの日、船頭・多吉の屋根船に乗り移った浪人は、商家の旦那を殺して姿を消した。幼馴染みで同心の音之進と調べ進めるうち、その男は堂々と姿を現すが、それと呼応するように、多吉に想いを寄せる女中のお文が何者かに連れ去られ…。人気シリーズ第四弾。