2017年10月発売
気が付くと殺風景な部屋にいた高校二年生の鐘松孝平。彼は横須賀にむかってバイクを飛ばしている最中に、トラックに幅寄せされ……その後の記憶はなかった。建物の外には他にも多くの人々がおり、それぞれ別の時代と場所から、「死者の町」と名付けられたこの地にたどり着いたという。彼らは探検隊を結成し、町の外に足を踏み出す。一方、片思いの相手を亡くし自暴自棄になった大学生の佐伯逸輝は、藤沢市の砂浜を歩いていたところ奇妙な男に勧められクジを引くとーーいつのまにか見知らぬ地に立ち、“10の願い"を叶えることができるスターボードという板を手渡された。佐伯は己の理想の世界を思い描き、異世界を駆け巡ってゆく……。興奮と感動をよぶ、渾身のファンタジー長編!
売れないギタリストの多聞は、音楽誌に穴埋めコラムを書いて生計を立てている。最近、離婚して、妻のつくった借金を抱えて困窮していた。ある日、彼のもとに仕事の依頼が入る。カリスマ的な人気歌手、実菓子のロングインタビューだった。義理と借金のためやむなく引き受けたものの、二人は幼い頃同じ家で育ち、しかも、多聞の亡父と亡兄はともに実菓子の夫であった。二人はかつて共に住んでいた田舎の家で再会し、インタビューを開始する。実菓子への憎悪と愛情という相反する二つの感情を抱えていた多聞だったが、実菓子は多聞の知らなかった過去を語りはじめた。かつて多聞の家とともに村の二大勢力と言われた実菓子の実家の忌まわしい過去。二人の母が突然姿を消した謎。実菓子が10歳の時に起こした冤罪事件と、二度の結婚の秘密。数々の出来事の裏に隠されていた凄惨な真実が解き明かされたとき、あらたな事件が起こるーー。
北町奉行所の定町廻り同心・一色帯刀は、誰もが認める硬骨漢。老中から寺社門前の地に無頼の者が闊歩している状況を是正せよとの命を受け、意気軒昂として深川の町廻りに繰り出した。すると門前仲町の女郎屋で客が客を刺したとの一報が入る。だが現場に着くと板前が客を刺殺したという情報に変わっていた。店頭・杉太郎の関与を疑い探索に乗り出すが、やがて事件関係者が七日市藩藩邸に出入りしていることが分かってきて…。
ここに集められたのは、怪獣と戦ってきた時代の記録だ。巨大な絶望を前に、人類はいかに立ち向かい、いかに敗北したかーーアニメ版GODZILLA、唯一無二の前史が登場。
「私、火星人なの」 ーー必死なまなざしでそう語り続ける佐伯さんに、僕は恋をした。 夏休みの数学の補修を一緒に受けながら 毎日彼女のいる火星の白昼夢を見るほど、気持ちはつのるばかり。 誰もいない校舎で、夜のグラウンドで、ゲームセンターで、 佐伯さんとの距離はだんだん近づいていったが、 彼女は自分の家のことを決して話そうとしないまま、別れの時が迫っていた。 行き場のない想いを抱えた高校生たちの青春小説。(単行本『火星の話』改題)
元公安調査官の影山夏樹は新聞の求人広告を見て驚愕した。かつて北朝鮮で命を助けられたフランスの女性看護師と交わした秘密の暗号が掲載されていたのだ。彼女の身に何が?夏樹は急遽フランスへと飛ぶが、そこには「ジョーカー」と呼ばれる北朝鮮の伝説の諜報員の姿が。やがて、彼女の失踪の裏に国家を揺るがす重要な機密が浮かび上がる…。ふたたび諜報戦に巻き込まれた夏樹の運命は?緊迫のシリーズ第3弾!
東京、丸の内。 本命の一流不動産会社の最終面接で、 大学生の澪は唖然としていた。 理由は、怜悧な美貌の部長・長崎次郎からの簡単すぎる質問。 「面接官は何人いる?」正解は3人。 けれど澪の目には4人目が視(み)えていた。 長崎に、霊が視えるその素質を買われ、 澪は事故物件を扱う「第六物件管理部」で働くことになり……。 イケメンドSな上司と共に、憑いてる物件なんとかします。 元気が取り柄の新入社員の、オカルトお仕事物語! 本当に、面白いんです!!!
北海道・旭川。姿を消した幼子(おさなご)いいちゃんと、 友達の鴻上百合子を追って、 櫻子さんと僕、正太郎は、ある場所に辿り着く。 けれどようやく見つけた鴻上の言葉に、僕は絶句した。 「貴方のことが、世界で一番大嫌い」 そして彼女は、僕にとっての絶対的な秘密を突きつけ……。 (「わたしのおうちはどこですか」) ほか、ハロウィンにまつわるほろ苦だけど甘酸っぱい物語を収録。 運命的バディ、櫻子と正太郎が贈るキャラミステリ!
異世界転生したら乙女ゲームの悪役令嬢!? 中身はフツーの女子なのに誤解ばかりの嫌われ人生(涙) 遂には陰謀を企んだとの濡れ衣で一生幽閉、破滅エンド ……の寸前、騎士団長からいきなりプロポーズ!? 「ずっと見ていた。誰よりも優しく、可愛らしいお前を」 タカビー令嬢なんかじゃない本当の私に気づいてた!? ダンナ様はマジメに一途で、大人の包容力たっぷり☆ ラブラブ夫婦っぷりを、周囲にたっぷり見せつけて 「悪役キャラ」から「愛されキャラ」に変わるチャンス!? 目指せっ! 悪役令嬢の汚名返上!! 今日から愛され奥さま人生、はじまりますわっ!
施設に収容されたメアリー・ルイーズの耳には、今もロシアの小説を朗読する青年の声が聞こえているーー夫がいながら生涯秘められた恋の記憶に生きる女の物語「ツルゲーネフを読む声」。ミラノへ向かう列車内で爆弾テロに遭った小説家ミセス・デラハンティは同じ被害者の老人と青年と少女を自宅に招き共同生活を始める。やがて彼女は心に傷を負った人々の中に驚くべき真相を見いだしていく……「ウンブリアのわたしの家」。ともに熟年の女性を主人公にした、深い感銘と静かな衝撃をもたらす傑作中篇2作を収録。
「汝の意志するところを行なえ。これこそ法のすべてとならん」-- 〈中毒〉の鎖を断ち切り、囚われた心を解き放つために。 ある夜、運命的に出会った若き恋人たち。 意識変容と至高の愛をめざした、麻薬(スノー)の山への登攀が、いま始まる。 20世紀最大の魔術師にしてカリスマ的アーティスト、アレイスター・クロウリー自らが執筆し商業出版したことで大きな話題を集めた小説。出版当時、毀誉褒貶相半ばし、『ユリシーズ』と共に「「汚物と猥褻物」以外何も見あたらぬ」とも批判され、クロウリーがイタリアから国外追放となる原因ともなったが、悪名に反して理智的かつ道義的であり、自身をモデルにした登場人物からその実像が浮かび上がる点でも注目される、クロウリーの代表的著作である。 クインシー『阿片吸引者の告白』、ボードレール『人工楽園』、コクトー『阿片』、ハクスリー『知覚の扉』、バロウズ『裸のランチ』、ウェルシュ『トレインスポッティング』等、麻薬文学の系譜に燦然と名を刻む名著。 アレイスター・クロウリーの没後70年を記念する待望の改訳新装版。 ※本書は1987年刊、『アレイスター・クロウリー著作集 第三巻』「麻薬常用者の日記」の改訳新装版です。 日本語版への序(フランシス・キング) 序 第一章 ある夜の受勲者 第二章 攻撃 第三章 天翔ける馬車 第四章 桃源境にて 第五章 ヘロインのヒロイン 第六章 雪原の輝き 第七章 金の成る樹を求めて 第八章 ナポリを見てー祖国のためにー死ね 第九章 ガット・フリット 第十章 夢破れて
2005年ピューリツァー賞・全米批評家賞受賞小説 アイオワ州のギレアドという片田舎の町。 カルヴァンとバルトを愛読する老牧師が自らの死期を意識し、若い妻との間にもうけた幼い息子に手紙を綴る。南北戦争から冷戦期にいたる三代にわたる牧師一家の信仰の継承と屈折。帰郷した知己の青年と妻との関係。自らの揺れる心。隣人たちの人生ーー。 「私はこの本の虜になった」バラク・オバマ
現実か、悪夢か。現実性と非現実性が交錯する14の物語。イラクにはびこる不条理な暴力を、亡命イラク人作家が冷徹かつ幻想的に描き出す。現代アラブ文学の新鋭が放つ鮮烈な短篇集。PEN翻訳文学賞、英国インディペンデント紙外国文学賞受賞。既刊2冊から14篇を選んでアメリカで出版された英訳版からの翻訳。
県立青嵐高校サッカー部の武井遼介は、2年に進級してもAチーム入りが叶わず、Bチームでもがいていた。県3部リーグ優勝を目標に戦う中、遼介はチームのエース・上崎響と試合中に口論となり、衝突してしまう。上崎は、サッカーに対して迷いを抱えていた。インターハイでは、スタンドで応援役にまわる遼介らBチームの部員たち。Aチームのために声を嗄らし、練習を重ねた応援歌を熱唱するが、遼介の胸には、このままでは終われない、という気持ちが強くなっていきーー。
関東某所、切り立った河岸に建つシェアハウス「スツールハウス」。若者たちがひととき、腰かけるように住み、旅立って行く場所。新築時からの住人で、「スツールハウスの主」と呼ばれる女性、鶴屋素子。彼女がいた様々な時期に、ハウスのいろんな場所で生まれた、様々な謎。それらが解かれたとき、彼女の衝撃の秘密が明かされる…。「戻りたいあの頃」があるあなたへ贈りたい、胸がぎゅっと切なくなる青春ミステリ。
胸があまく苦しくときめく、そんな恋を、していますーー7組の男女が織りなす胸キュンなストーリーが話題のWEB発コミック『青春カフェテリア』。読むと恋がしたくなる、原作とリンクする珠玉の短編小説集が登場!
人の生と死に希望をもたらす感涙医療小説 奈緒(33歳)は、10歳になる涼介を連れて、二度と戻ることはないと思っていた故郷に逃げるように帰ってきた。長年連れ添ってきた夫の裏切りに遭い、行くあてもなく戻った故郷・京都の丹後地方は、過疎化が進みゴーストタウンとなっていた。 結婚式以来顔も見ていなかった父親耕平とは、母親を亡くして以来の確執があり、世話になる一方で素直になれない。そんな折、耕平が交通事故に遭い、地元の海生病院に入院。そこに勤務する医師・三上と出会う。また、偶然倒れていたところを助けることになった同じ集落の早川(72)という老婆とも知り合いとなる。 夫に棄てられワーキングマザーとなった奈緒は、昔免許をとったものの一度も就職したことのなかった看護師として海生病院で働き始め、三上の同僚となる。医療過疎地域で日々地域医療に奮闘する三上。なぜか彼には暗い孤独の影があった。 一方、同じ集落の隣人である早川は、人生をあきらめ、半ば死んだように生きていた。なんとか彼女を元気づけたい、と願う奈緒と涼介。その気持ちから、二人は早川の重大な秘密を知ることとなる。 隠されていた真相とは。そして、その結末は・・・・・・・。 【編集担当からのおすすめ情報】 著者の藤岡陽子さんは、長年看護師として働き、人の生と死を常に見つめ続けてきた方です。今回、この本の執筆にあたり、実際に京都の丹後地方で僻地医療に奮闘されている医師の方を取材し、物語に厚みとリアリティと熱が注入されました。 33歳、夫に棄てられ故郷に戻り、看護師として働き始める女性。その母親を一番近くで支える10歳の涼介。父親の入院をきっかけに出会った、孤独と寂しさを抱える35歳の医師。そして、人生をあきらめ、死を待っている72歳の女性。この4人が出会い、物語を動かしていきます。 誰もが心に傷を抱え、辛いことや悲しい思いを乗り越えて、生きていく。この物語は、それぞれの成長譚であると同時に、もっともっと根本的な、生きること、死にゆくことに思いを巡らせるきっかけを与えてくれます。人のすべて。人生のすべてを温かく、小さな小さな希望ととらえることができるようになる、そんな一冊です。 満天のゴール 目次 1│ 帰郷 5 2│ 不穏 29 3│ 暗転 46 4│ 覚悟 67 5│ 決意 93 6│ 後悔 119 7│ 葛藤 138 8│ 宿命 156 9│ 過去 177 10│ 告白 190 11│ 別離 206 12│ 傷跡 224 13│ 思慕 241 14│ 真情 267 15│ 永遠 278 16│ 星空 289