2017年11月発売
さえない日常を送る僕たちに、なんでこんな能力(ちから)が? ある日突然、不思議な力に目覚めてしまった五人。思いもよらない出来事に巻き込まれ…。小説すばる新人賞作家の、傑作エンターテインメント!
青春小説の旗手が挑む、アタラシイ家族小説 松宮周作(28歳)は、シングルマザーの紫織との結婚を前にしたある日、父親から見たこともない預金通帳を手渡される。父親の様子から、今までまったく知り得なかった人物が自分の為に大金を振り込んでいたことに感づいたが、親戚づきあいもない周作には全く心当たりがない。謎を知る唯一の人物、父親はその後脳梗塞で倒れ、昏睡状態のままだ。その人物が誰なのかを突きとめるうち、初めて、父親のこと、自身のことを全く知らなかった自分に気づき、愕然とする。 大金を自分のために用意した人物を探し始めたことにより、次々とわかっていく父親と自分の過去。そして、自分達親子が、25年前に起こったある傷害致死事件の被害者家族だとわかる。その被害者は、自分の母だった。そして、その加害者は、18歳の少年だった・・・・・・・。 【編集担当からのおすすめ情報】 ある一冊の通帳の話をしていたとき、血のつながり、家族、といった話題へと話はふくらみ、そこからこの小説は始まりました。とある一冊の通帳。そこには、過去だけではない<何か>で繋がっていたい、という熱い想いがあるのではないだろうか。色々なものが変化してきている現代、<家族>というものも、カタチを変えてきているのではないだろうか。 青春小説の旗手として、人気も実力も兼ね備えた著者が、今回は敢えて「青春小説ではない、新しいもの」に挑戦しました。旧くて新しい、イマの家族小説を、どうぞご堪能ください。 「ウズタマ」目次 序章 悪魔が彼の耳元で囁いた 第一章 今度こそ涙を流してしまう 第二章 自分ではない誰かの、声がほしい 第三章 謝らないといけないんだ 第四章 俺に復讐しに来たか? 第五章 ウズラの卵は、ないからな 第六章 血と水が入り混じった時間 終章 なんとなく、わかるでしょ
「汝の意志するところを行なえ。これこそ法のすべてとならん」-- 〈中毒〉の鎖を断ち切り、囚われた心を解き放つために。 衝撃的な出会いを経て結ばれた二人の蜜月トリップの終着点は、天国ではなく。 激しい欲望の彼方、すっかり麻痺した頭の中に、はかり知れぬ深淵がよこたわる。 20世紀最大の魔術師にしてカリスマ的アーティスト、アレイスター・クロウリー自らが執筆し商業出版したことで大きな話題を集めた小説。出版当時、毀誉褒貶相半ばし、『ユリシーズ』と共に「「汚物と猥褻物」以外何も見あたらぬ」とも批判され、クロウリーがイタリアから国外追放となる原因ともなったが、悪名に反して理智的かつ道義的であり、自身をモデルにした登場人物からその実像が浮かび上がる点でも注目される、クロウリーの代表的著作である。 ド・クインシー『阿片吸引者の告白』、ボードレール『人工楽園』、コクトー『阿片』、ハクスリー『知覚の扉』、バロウズ『裸のランチ』、ウェルシュ『トレインスポッティング』等、麻薬文学の系譜に燦然と名を刻む名著。 アレイスター・クロウリーの没後70年を記念する待望の改訳新装版。 ※本書は1987年刊、『アレイスター・クロウリー著作集 第三巻』「麻薬常用者の日記」の改訳新装版です。
一九四三年、上海。かつては自治を認められた租界に、各国の領事館や銀行、さらには娼館やアヘン窟が立ち並び、「魔都」と呼ばれるほど繁栄を誇ったこの地も、太平洋戦争を境に日本軍に占領され、かつての輝きを失っていた。上海自然科学研究所で細菌学科の研究員として働く宮本は、日本総領事館から呼びだされ、総領事代理の菱科と、南京で大使館附武官補佐官を務める灰塚少佐から重要機密文書の精査を依頼される。その内容は驚くべきものであった。「キング」と暗号名で呼ばれる治療法皆無の細菌兵器の詳細であり、しかも論文は、途中で始まり途中で終わる不完全なものだった。宮本は治療薬の製造を任されるものの、それは取りも直さず、自らの手でその細菌兵器を完成させるということを意味していたー。
死ぬまでに一度でいいから、世の結構な数の男女が経験済みらしいセックスというものをやってみたい。勅使河原一子は、人生に何の目標もなく頭の中は好きなアイドルやエロい妄想でいっぱい。おもしろいことならたくさん言えるのに、男を前にすると色っぽいことが言えない。気づいたら三十六歳処女。誕生日の正月に決心した一子は、目標を達成すべく奔走するがー。自分の殻を破るために大切なことは本当に性交体験なのか、それとも。爆笑&感涙のガールズ奮闘記。
雨は休むことなく降り続け、今朝、メラニーは父の葬儀を終えた。実業家の父のあまりにも突然の死。そのせいでメラニーと老いた祖母には、屋敷しか残されなかった。しかも、不幸に追い打ちをかけるように、ジェイソンと名乗る、精悍な面差しをした大富豪が現れたのだ。不安におののくメラニーに、彼は憐憫の目をむけながら告げた。君のお父さんに、家を担保に多額の融資をしていた、家を失いたくなければ、君の身を僕に差し出すしかないと。余命わずかな祖母のためにも、メラニーはうなずくしかなかった。
幼い息子を抱え、ローラは慎ましやかな生活を送っていた。 ところがある日、平穏な心がかき乱されてしまう。 ニュースで聞き覚えのある名前が流れてきたのだ。 コンスタンチン・カランティノスーーギリシアでも屈指の大富豪、 彼が結婚するという。自分の息子の存在も知らないまま。 唐突に、彼と過ごした8年前の夏の輝きと別離が甦ってくる。 遊ばれて捨てられたのに、高まった思慕をおさえられず、 一目見たさのあまり、ローラは婚約パーティーへと入りこんだ。 だが、コンスタンチンは彼女に冷たい一瞥をくれただけだった。
目を開けたくない。いまはまだーそこにあの人がいるから。誰もが羨む、ハンサムで献身的な理想の夫アレハンドロ。でも病室に横たわる、記憶喪失の私には見知らぬ、怖い人。若くして多国籍企業の頂点に君臨し、社交界でも際立つ存在、スペイン系の大富豪が夫だと言われても、何も覚えていない。なぜかしら?出会ってわずか1カ月で熱烈な恋愛結婚をし、2カ月の赤ちゃんまでお腹にいるというのに何も感じない。それどころか、瞳の奥にくすぶる夫の情欲の炎が私をおびやかす。今朝も彼は甘く囁き、私は目を開けた。「エリーズ。愛している」
退屈した日々をおくる高校生・裕は、はじめて訪れた中野ブロードウェイで不思議な雰囲気をもった美少女アイドル・マイと出会った。だが突如、大きな衝撃がビルを襲う。地震か事故かテロの類か。シャッターで外光も外音も遮断され、電話もネットもつながらない。さらにはビル自体が生き物のような何かに変容し、次々と人間に襲いかかってきて…!?このビルは人を“食って”生きているー史上最悪の脱出ゲームが始まる。
「俺と出会わなければ、お前は生きていられるのにー」闇に光る緋色の双眼の持ち主・タケル。彼は人の心を自在に操る不思議な力を持ち、少年の姿のまま、いつ果てるとも知れぬ時の中を生きていた。タケルの望みはただひとつ、運命の恋人のしあわせな姿。だが恋人は、何度生まれかわっても、タケルとの出会いゆえに命を削られる宿命にあったー。切なさに心ふるえる、少年たちの別離と邂逅の物語。
京都市内のビルの非常階段で、有力不動産会社社長、真鍋征矢の妻、文香の遺体が見つかる。文香の手には夫・征矢の金属製のブレスレットが握られていた。妻は夫からの暴力被害を訴え離婚調停中だった。事件後、文香の担当弁護士の和光は、彼女は嘘をついていた、DVはなかったとして、征矢の無実を証明したいと名乗り出る。果たして嘘をついているのは誰か。京都府警の準キャリア刑事、大橋砂生が不可解事件に執念で挑むが…。
「ここにいる限り、敵は来る」無双の兵法“臥鬼”を操る無名が中山道の霧深き「鬼利里宿」の用心棒となって半年。彼が身を寄せる元用心棒の清源、そしてその娘の小夜など、徐々に宿場の人々と交流が生まれたのも束の間、新たな刺客がやって来た。隠形剣、死眼剣、不動剣、変移剣…謎の剣を揮う最強の敵たち。果たして無名は彼らの剣を凌げるのか?そして敵の目的は?風雲急を告げる、巨匠の本格時代シリーズ第2弾!
百エーカーの森に、新しい仲間、ティガーがやってきた! 暴れん坊だけど、無邪気な幼い彼に、森の仲間たちはてんやわんや。にぎやかになった森に次々事件が巻き起こる。 プーとコブタはイーヨーのために家を建て、プーが発明した遊び「プー棒流し」にみんな夢中になり、オウルの倒れた家から力を合わせて脱出をはかる。そして近づくクリストファー・ロビンの旅立ちーー。 永遠の森で今も私たちを待っている、クマのプー完結編。 【もくじ】 うしろがき 1章 プー通りに、イーヨーの家が建ちます 2章 ティガーが森へやってきて、朝ごはんを食べます 3章 捜索隊がそすきされて、コブタが、ふたたび、アブリガドーに遭遇しかけます 4章 ティガーは木にのぼらない、とわかります 5章 ラビットが大いそがしで、クリストファー・ロビンが、午前中、何をしているのかわかります 6章 プーが、新しい遊びを発明して、イーヨーが仲間に入ります 7章 ティガーが、暴れぬぼうになります 8章 コブタが、たいへん、立派なことをします 9章 イーヨーが、オウルの家を見つけて、オウルがひっこしをします 10章 クリストファー・ロビンとプーが、魔法の森をおとずれ、そこで、わたしたちとお別れします 訳者あとがき
山の中腹に建つ家に引っ越してきた、小学四年生の日々乃翔太。周りの家がどれも未完成でうち棄てられていることに厭な感覚を抱くと、暮らし始めて数日後、幼い妹が妙なことを口にする。この山に棲んでいるモノが、部屋に来たというのだ。それ以降、翔太は家の中で真っ黒な影を目撃するようになる。怪異から逃れるため、過去になにが起きたかを調べ始めた翔太は、前の住人の残した忌まわしい日記を見つけーー。“最凶”の家ホラー。
大陸の強国、金椛国(きんかこく)。 後宮内の陰謀を暴いた遊圭(ゆうけい)の評判は、宮城内に広まった。 しかも皇帝・陽元(ようげん)からは褒美として妃嬪に加えるとの内示が! しかし女装で女官として勤める遊圭には不可能だし、後宮脱出未遂の無理がたたって療養中だしで絶体絶命。 そんな中、彼が過ごす養生院で火災が起こる。一体、誰が……。 そして陽元と謁見した遊圭は、売り言葉に買い言葉で、とんでもない約束をしてしまい!? 中華ファンタジー、後宮編完結!
文化祭で歌舞伎の演目「毛抜」を披露する直前、姿を消した「カブキブ」部長の来栖黒悟(クロ)。親友のトンボはじめ、部員全員で探しまわるが、クロは見つからなくて……。どうするどうなる、カブキブ!
日本橋の両替商に賊が押し入り若旦那が殺されたうえ、二千両が奪われた。黒ずくめのみみずく党なる賊に、息子を殺された松沢屋の勘兵衛は、銭で剣の腕を売る「命屋」の銭神刀三郎に敵討ちを依頼する。押し入った先で邪魔者を斬り捨てる卑劣なみみずく党。刀三郎が、手がかりを追おうとした矢先、今度は、八丁堀の同心が殺されてしまう。町方が尻込みするなか、刀三郎は、変幻自在の剣で強敵に立ち向かう。書き下ろし長篇。
出所した藤木は、七年ぶりに会った従妹に彼氏を紹介される。 彼の愛情深い様子に、藤木は従妹との“秘密”を打ち明けようと決意したとき、男は一変して正体を明かしたーー「僕は義波。復讐の贈与者です」(「アフター・ライフ」)。 復讐代行業を続ける《援助者》だが、謎の老人・志尾が率いる悪事銀行が依頼の裏で暗躍し、メンバーが次々といなくなる。 義波は、誘われた廃車工場で、ある選択を迫られることになるがーー。 静かに火花を散らす、頭脳戦の結末は。 話題沸騰の連作ミステリ、感動の完結!