2017年12月15日発売
神秘の扉を前に最後の試験に失敗し、奇跡の剣を手にできなかったパウロは、剣を見つけ出すため、スペイン北部を東西に横切る巡礼の道、「銀河の道」へ向かう。古来からの道を歩き、聖地サンチャゴを目指す長い旅路のなかで、パウロに幾多の試練が降りかかる。しかしそれは、オカルトや魔法に心を奪われていたパウロに、真のマスターへの道を示す偉大な旅だった。自らの体験を基に描いたデビュー作に、刊行当時、あえて本に入れなかった奇跡的な体験や巡礼路の言い伝え、旅をするときのアドバイスなどについて語った「まえがき」と「あとがき」などをくわえた、刊行25周年記念特装版! 【もくじ】 まえがき プロローグ 第一章 到着 第二章 サン・ジャン・ピエ・ド・ポー 第三章 創造する者、創造されし者 第四章 自分に対する愛と寛容 第五章 メッセンジャー 第六章 愛 第七章 結婚 第八章 法悦 第九章 死 第十章 祈り 第十一章 征服 第十二章 狂気 第十三章 命令と服従 第十四章 トラディションの儀式 第十五章 エル・セブレロ エピローグ:サンチャゴ・デ・コンポステーラ あとがき 訳者あとがき 特装版への訳者あとがき
「山」と「海」──それは私たち人間にとって、最も身近な「異界」です。深い森の奥や暗い海の底には、今もなお、人知の及ばぬ神秘の世界が広がっています。天狗や山人、海坊主や舟幽霊といった山妖海怪は、そうした異界に対する畏怖の念が生み出したものなのかも知れません。 山の怪異、海の恐怖──それらはまた、小説から実話まで、古今の怪談文芸の得がたい源泉ともなってきました。とりわけ近年は、田中康弘『山怪』シリーズの記録的な大ヒットを契機に、「山の怪談」本が熱い注目を集めています。斯界の先覚者・安曇潤平の一連の著作や『里山奇談』のヒットも記憶に新しいところです。 本誌は2008年刊行の第8号で、いちはやく「山の怪談」を特集し、現在のブームに10年近くも先駆けて、トレンド形成に先鞭をつけました。そこで今回の特集では趣向を変えて、「山」と「海」の怪談文芸を対比的に取りあげます。ふたつの異界のはざまに、私たち日本人が何を垣間見、何を語り伝えてきたのか……御期待ください! 『幽』編集顧問 東 雅夫 特集「山妖海怪、奇奇怪怪」 ●巻頭グラビア 宇佐見まこと書き下ろし「獺祭」+玉川麻衣作品 ●日本怪談紀行/怪談巡礼印象記 恐山から仏ヶ浦へ 加門七海/東雅夫 ●名作復刻 幸田露伴「幻談」/上田哲農「枕」/安部公房・山下彌三左衛門対談 ●競作 安曇潤平/黒史郎/里山奇談チーム ●エッセイ 小池真理子/樋口明雄/朱野帰子/安田登 ●論考 田中康弘/川島秀一 ほか 小説連載 京極夏彦/小野不由美/有栖川有栖/初野晴/山白朝子/円城塔/恒川光太郎/近藤史恵/織守きょうや 実話連載 福澤徹三/中山市朗/松村進吉/安曇潤平/藤野可織/小池壮彦 漫画連載 波津彬子/高橋葉介/諸星大二郎/押切蓮介/花輪和一 ほか エッセイ&書評&企画 南條竹則 ほか 特別企画 「カクヨム異聞選集」選考会リポート 稲川淳二 ほか
いまいち冴えない営業職の牧野祐介と、才女にして美人な女上司・黒木姫乃(26)との秘密、それはノー残業デーで行われる“ふたりっきりのダンジョンアタック”だった。ダンジョンではへっぽこな黒木とのダンジョンアタックにも楽しさを覚え始めていた牧野に、かつてのパーティーメンバー・小池寧々からプロハンターへの誘いが届く。「そんなド素人の指導してる器じゃないだろ、お前は」不向きな仕事を続けるか、それとも新たな仕事を選ぶのか?答えの出ない牧野に黒木主任がかけた言葉とはーえっ、これがふたりの最後のダンジョンアタック!?
■各界から、絶賛の推薦コメント多数!! 良質の暗黒青春小説である。男子がモヤモヤしたい時に手に取るべき一冊として、本書はこの上なくふさわしいだろう。全男子、童貞せよ! ーー田中ロミオ(作家、シナリオライター) すれ違ってはいたかもしれない。 不器用に見えるかもしれない。 けれどこれはきっと、どこまでもまっすぐな、愛の物語だ。 ーー枯野 瑛(作家、シナリオライター) 非実在人物を聖域と考える人は手に取るのをやめた方がいい。 この作品には毒が含まれている。 しかし、その毒は生産性のない感情を呼び覚まさせてくれる。 ……たまには非現実的な夢を見てもいいという人は是非…… ーー藤原佳幸(アニメ「GJ部」「NEW GAME!」監督) まったくもって手に負えないヤバい女、ミツキさん。 マンキー君と一緒にハラハラドキドキイライラムカムカしながら彼女を見守っていたら……いつの間にか恋してました。 それは多分私がMだからでは無いと思います。 ーー和田純一(アニメ「終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?」監督) ■内容紹介 小学校を卒業して中学生になった幼なじみのミツキは、すぐにセックスを覚えた。 覚えたというか、生活の一部にセックスを取り入れてしまった。 実の父と四つ上の兄と寝て、自ら定めたルールに則り、いろいろな男とやってやってやりまくった。 もちろん童貞で毛も生えていなかった僕マンキーは、それを聞いて「なんだそりゃっ?」 成績優秀で容姿端麗、誰にも支配されず男と寝るミツキと、幼なじみの童貞男マンキーのワイルドな青春。 「オレは愛のないセックスはしない主義なんだ」 「童貞が主義とか言うな」 かつて童貞だったすべての男たちに捧げる、純愛。 ■登場人物 ●田中文紀 通称・マンキー。童貞。織原ミツキの唯一の友人。 愛のないセックスはしない主義(キスならOK)。 ●織原美月 マンキーの幼なじみ。幼少期より学校や友人関係といった小社会に興味がない。 ●佐藤理恵 通称・リエ。高校でマンキーの同級生。 小柄で丸顔、ショートヘアー。猫を思わせるつり目に巨乳。マンキーを好きになる。 ●中学の英語教師 29歳。顔も心意気もよく、生徒から慕われている英語教師。 ●サクライくん マンキーたちの一学年上の先輩。177センチの巨体に赤髪ロン毛の不良少年。 ●班長 マンキーの同級生。修学旅行でマンキーの班の班長。
幸せな結婚を夢見るOLのミサ。もちろん相手は高学歴、高収入のイケメン御曹司に限るッ! そんな打算だらけの“本性”を隠し、恋活を頑張ったけれど……今日も重いとフラれた。 思わずヤケ酒をし、酔い潰れてしまったミサ。翌朝、目を覚ますとそこはホテルの一室で!? しかも隣には裸の男ーー過去にミサの本性に気づき、コケにしたフツメン・ウエハラが!! 「介抱してやったら襲われた」「嘘言わないで、訴えてやる!」「ご自由にどうぞ」 あれ、ウエハラってこんなにいい体してた?? って違ーう! 私がこんなフツメンと恋するわけがない! 私の輝かしい未来はどうなる? 猫かぶり女子VSフツメンの告訴ラブコメ!
泥酔すると豹変して寺の鈴緒にぶら下がる男、露天で買った亀の甲羅に息子が閉じ込められ半狂乱となる父、自らの水子の霊に祟られて大好物の饅頭を絶ち供養する飯盛女、小塚原刑場に曝される生首女の口を吸う男…そこはかとない怖気と滑稽さが背筋を摩る大凶評江戸寄譚、努涛の33連発。
次々と教団幹部が逮捕され、自白を始めた。そしてついに教祖・阿佐川公照がーーカルマ真仙教と公安警察の戦いを描いた全三作、完結! 第一章 幹部の供述 第二章 Xデー 第三章 捜査情報漏洩 最終章 最後の逃亡犯──再び、あの公園へ
九州の秘境にある集落を、大手テレビ局のドキュメンタリー番組で取材することになった森カオル。なぜか伊集院大介は同行を申し出る。鬼の子孫を自称し伝説と因習に生きる住民と、やらせ体質の強いテレビスタッフが対立するうち次々と犠牲者が。不可解な連続殺人の謎に伊集院大介が挑む、探偵小説の傑作!
児童誘拐殺害事件で大誤報を打ち、中央新聞社会部を追われ、支局に飛ばされた関口豪太郎。あれから七年。埼玉東部で、小学生の女児を狙った連れ去り未遂事件が発生。犯人は二人いたとの証言から、豪太郎の脳裏に“あの時”の疑念がよぎる。終わったはずの事件が再び動き出す。第38回吉川英治文学新人賞受賞作
「頼子が死んだ」。十七歳の愛娘を殺された父親は、通り魔事件で片づけようとする警察に疑念を抱き、ひそかに犯人をつきとめて刺殺、自らは死を選ぶーーという手記を残していた。しかし、手記を読んだ名探偵法月綸太郎が真相解明に乗り出すと、驚愕の展開が。著者の転機となった記念碑的作品。長く心に残る傑作! 第一部 西村悠史の手記 第二部 余波 第三部 再調査I 第四部 再調査II 第五部 真相 文庫版あとがき 新装版への付記
黒船来航から十二年、江戸亀戸村で三代豊国の法要が営まれる。広重、国芳と並んで「歌川の三羽烏」と呼ばれた大看板が亡くなったいま、歌川を誰が率いるのか。娘婿ながら慎重派の清太郎と、粗野だが才能あふれる八十八。兄弟弟子の二人が、尊王攘夷の波が押し寄せる江戸で、一門と浮世絵を守り抜こうとする。
神君家康の次男秀康の血を引く越前松平家は、幕府にとって格別な藩となる。外様第一の加賀藩にとっては監視される隣藩でもある。藩主前田綱紀のお国入りの際に襲撃しようとしたのは、はたして越前の者なのか? 藩主綱紀と数馬の舅となった宿老本多政長は、数馬を越前福井に向かわせる。わが藩のためにと先走る敵方は、数馬たちの目的を察知し、襲いかかる。使者として登城した数馬は、敵陣包囲の中、血路を開けるか!? 第一章 藩主の不在 第二章 格別な家柄 第三章 長年の確執 第四章 殿中争闘 第五章 獅子身中の虫
定年間近の無気力巡査部長・浦安圭吾に、若き異色のキャリア警視・箱崎ひかりとコンビを組む特命が下る。被害者は全員身元不明、さらに身体の一部が取り除かれていた。真逆の二人が噛み合い始める時、オリンピックで激変した東京湾岸に潜む、国を覆す陰謀の蓋が開く。元警察官僚が喝破するリアル警察小説。
東京都西多摩で、男性のバラバラ死体が発見される。岩楯警部補は、山岳救助隊員・牛久とペアを組み捜査に加わった。捜査会議で、司法解剖医が出した死亡推定月日に、法医昆虫学者の赤堀が異を唱えるが否定される。他方、岩楯と牛久は仙谷村での聞き込みを始め、村で孤立する二つの世帯があることがわかる。息子に犯罪歴があるという中丸家と、父子家庭の一之瀬家だ。──死後経過の謎と、村の怪しい住人たち。残りの遺体はどこに! 東京都西多摩で、男性のバラバラ死体が発見される。岩楯警部補は、山岳救助隊員の牛久とペアを組み捜査に加わった。捜査会議で、司法解剖医が出した死亡推定月日に、法医昆虫学者の赤堀が異を唱えるが否定される。他方、岩楯と牛久は仙谷村での聞き込みを始め、村で孤立する二つの世帯があることがわかる。息子に犯罪歴があるという中丸家と、父子家庭の一之瀬家だ。──死後経過の謎と、村の怪しい住人たち。残りの遺体はどこに! 第一章 水気の多い村 第二章 芳香の巫女 第三章 雨降る音は真実の声 第四章 オニヤンマの復讐 第五章 メビウスの曲面 解説 香山二三郎
亡霊も涙すると評判の琵琶法師・芳一。足利義詮の前で弾き語りを始めるや、尼の霊が出現、義詮が姿を消す。親友を人質に取られた芳一は、義詮を探すよう命じられるが、事件の裏には日の本を揺るがす“北条文書”の存在があった。いつしか芳一は文書をめぐる陰謀にまきこまれることに。痛快歴史ファンタジー!
35歳になるさなえは、故郷の海辺の町へと戻った。幼い息子、希敏とともに。希敏の父、フレデリックは、美しい顔立ちだけを残し、母子の前から姿を消してしまった。“引きちぎられたミミズ”のように大騒ぎする子を持て余しながら、さなえの胸には、九年前のあの言葉がよみがえる。芥川賞受賞作を含む四篇を収録。
外交官から首相秘書に抜擢された新一は、七つの別人格に苦しむスパイでもあった。その新一が仕える世襲総理・松平定男は、凡庸な極右との前評判を覆し、米大統領も黙らせる名演説で世間の度肝を抜く。しかし、彼の内部にも奇妙な変化が現れて…。二重スパイと暴走総理は、日本の破壊を食い止められるのか?第70回毎日出版文化賞受賞作品。
青春を謳歌していた十六歳のレベッカ・ウィンターが失踪した。十一年後、「行方不明になっていたレベッカは、この私だ」と名乗り出る女が現われた。生還を喜び「私」を迎える家族。しかし、一度たりとも過去を問わない彼らの態度が、逆に「私」を不安に陥れる…。豪州で話題の、背筋も凍るサイコスリラー。
あの「小さな家」の物語は、ここから始まったー。アメリカ開拓時代の少女ローラとその家族を描いた、児童文学傑作シリーズのオリジナル版が、ついに日本語で登場!物語との比較が楽しめるエピソード満載の解説・注釈つき。