2017年12月26日発売
文久3年(1863)。北陸の要・越前福井藩の家中は異様な緊迫感に包まれていた。京の尊攘派激徒を鎮めるべく、兵を挙げて上洛すべきか否か。重大な決断を迫られた前藩主・松平春嶽が思案をしている折、幕府の軍艦奉行並・勝海舟の使いが来ているとの報せがあった。使いは浪人体のむさくるしい男だという。名は、坂本龍馬。彼の依頼を即決した上で、上洛についての意見を聞いた春嶽はー。旧幕府にあって政権を担当し、新政府にあっても中枢の要職に就いた唯一の男、松平春嶽。日本を守るため、激動の時代を駆け抜けた春嶽の生涯を描いた歴史長編!
一九五六年、大阪から上京し、早稲田大学露文科に入学。米川正夫ら教授陣、個性豊かな級友たち、コケティッシュな女学生、親戚のような大家夫妻や愛情深い両親の姿…。八十代を迎えた作家による自伝的連作集。
刀根秀俊、美月、亮介、陽菜乃は仲のいい友達グループだった。あの事件が起こるまではー。恐怖、怒り、後悔、そして絶望。生涯拭えぬ過ちと心の傷を負ったまま、各々の人生を歩んでいた4人。純粋な想いと暴力の行き着く果てに迎えた結末とは?純愛と狂気。聖と贖い。読む者すべての感情を揺さぶる究極の愛!
文化大革命の嵐が吹き荒れるなか、血気盛んな人民解放軍の若者・高愛軍は、故郷の貧村・程崗鎮に復員し、美しき人妻・夏紅梅とともに革命を志す。中国古来の価値観が残る村は、対日抗戦の殊勲者たる名家の人々が支配していたが、現状に不満を抱く若者たちを煽動して革命委員会を樹立し、村幹部を追放し実権を掌握していく。アメリカ帝国主義、ソ連修正主義に囲まれ、世界的な反中国の逆流のなか、マルクス、レーニン、スターリン、毛沢東ら、革命の聖人たちを奉じ、愛情の力で邁進する二人。やがて二人は愛軍が掘った「愛のトンネル」を通って夜な夜な逢瀬を重ねることとなる。近年ノーベル文学賞の候補と目される最重要作家による、セックスと革命、血と涙と笑いが交錯するドタバタ狂想讃歌!!
明治の日本は74年目、昭和16年に太平洋戦争に突入。20世紀末、著者は戦後74年目、平成30年の日本の姿を探った。データ分析から導き出されたのは、「何もしなかった日本」。作中では、現状突破のために政治家と官僚たちが奮闘、「天下分け目の改革合戦」が始まる。現実の日本はどうか!?選択の、その先を示唆する予測小説の快作。
トレジャーハンター、ファーゴ夫妻のもとに友人の考古学者から驚愕の知らせが届いた。ソロモン諸島の海底に人工遺物を発見したというのだ。ガダルカナル島沖で、太平洋戦争の激戦地としても有名な歴史のある場所だ。島を訪れた二人は、遺物が840年ほど前に沈んだ建造物の可能性があると知り、調査を進める。古代都市が地震や津波などの天変地異により海底に沈んだのか?だが文字を持たず、記録もない文明の謎の解明は困難をきわめる。やがて二人は島で語り継がれる驚くべき伝承を知る!
かつてこの島では傲慢な王が都市を建設したが、神々の怒りで破壊され、呪いがかけられたという。さらに密林の洞窟群に住み、人間を食らう「巨人族」にまつわる伝説もあった。そんななか島で反政府勢力が台頭し、それをきっかけに混迷が深まる。何者かの襲撃を受けながらもファーゴ夫妻は大規模な潜水調査に踏みきり、海底の建造物の内部に財宝らしき痕跡を発見した。二人は、島を占拠していた旧日本軍の不審な駆逐艦の存在を知るが…美しい島に潜む陰謀と歴史の謎に挑む巨匠の冒険ミステリー。
次期聖騎士団長のライナスと結婚が決まった皇女ローゼマリー。ずっと憧れていた彼との夢のような婚礼が終わり、迎えた初夜…なのに、キスから先に進もうとしない彼の腕枕で眠ってしまう。「妹みたいに思っていた私なんか抱く気になれないんだわ」落ち込むローゼマリーだが、一方のライナスも重大な誤解をしているようで?思いつめたローゼマリーは「もう子供ではない」と証明するためある行動に出るが…?勘違いとすれ違いから始まる、幼馴染夫婦の甘々新婚物語。
両親を失った令嬢・ジュリエッタの前に現れた青年・アルベール。「あなたを最高の姫君に育てる」そう宣言した彼は、ジュリエッタの傍に寄り添い、何不自由なく養育してくれた。それから4年。アルベールに恋心を抱き始めるジュリエッタだが、彼が自分を異母弟である皇太子に差し出すつもりだと知って?悲しみを堪えつつ『最後の仕上げ』と命じられた閨教育に身を任せるが、ジュリエッタを快楽で翻弄しつつもアルベールは何かをためらっているようで…!?