2017年12月8日発売
ヨークシャーに壮大な邸宅を構える伯爵家インガム一族と、使用人スワン一族。固い絆で結ばれた両家の間には、身分差を超えた愛も生まれた。少女の頃から服飾デザインに天賦の才を発揮し、インガム家の令嬢達を美しく装わせてきたセシリーと伯爵家の跡継ぎマイルスは、身分の差を超えた秘密の恋を成就させ、ついに結婚。セシリーは平民の身でありながら、次期伯爵夫人となったのだ。だが、幸せに包まれる両家には暗雲が垂れ込めようとしていた。時は1938年。遠く第三帝国で響く軍靴の足音が、キャヴェンドンにも迫りつつあったー。
英国も戦争を回避できない情勢となり、セシリーはあるジレンマに陥る。次期伯爵の妻である以上、跡継ぎをもうけることは義務であり務めだが、戦時下に子どもを産むことに怖れも感じていた。だがどれだけ戦況が深刻になろうとも、マイルスとの愛は深まりこそすれ陰ることはなく、二人は互いへの情熱を絶やさず燃やし続けた。やがてセシリーは身ごもるが、その尊い命は儚くも失われることとなる。最愛の家族の出征、失われる命…キャヴェンドンが迎えた最大の試練の時、セシリーは立ち上がるー両家を繋ぐ、愛と絆の掟を胸に。
オハイオ州の小さな町でダイナーを切り盛りするバイオレット。町のマドンナとして愛され、誰に対しても分けへだてなく接する彼女だが、唯一、悪名高いホーガン・ガスリーだけは話が別だ。妻を亡くしてから自暴自棄になり、生まれ持ったフェロモンを駆使して放蕩をつづける彼ーバイオレットはそんなホーガンに手厳しい態度を崩さなかったが、それは、激しく彼を求める自分から目をそむけるためでもあった。しかし、友達以上恋人未満の危うい関係は、ある出来事から大きく狂いはじめ…。“ネクストドア・ブラザーズ”完結編!
5歳になる息子を幼稚園に迎えに行った帰り道、停車中の高級車から降りたった男を見て、スカイは凍りついた。歳月を経ても、魅力的な姿は見間違いようがない。ルチアーノだ。6年前、スカイはイタリア名家の長男である彼と愛し合っていた。だが彼の弟が突然、自分もスカイと関係を持っていると言い、あげくにスカイには身に覚えのない証拠写真まで持ち出してきた。そして弟を信じたルチアーノは、罵声とともにスカイを捨てたのだ。その彼がなぜここに…?スカイは混乱し、息子の手を握った。ルチアーノに生き写しの、息子の手を。
10歳年上の幼なじみダンとの結婚式が近づくにつれて、エリザベスはかすかな不安を抱くようになっていた。最近ダンはどこかよそよそしく、めったに会ってもくれない。わたしはほんとうに愛されているのかしら…?ある夜またデートを取り消され、散歩に出たエリザベスは、ダンが彼女の親友と抱き合っているのを偶然目撃してしまう。裏切られ、張り裂けそうな胸の痛みをおぼえながらも、エリザベスは彼の幸せのために身を引くことを決意する。悲しみをひた隠し、心変わりしたと嘘をついて。
季節も変わり、夏真っ盛り。モルテールン領は父カセロールが国軍の隊長を務めることになったため、息子ペイスが領主代行となった。新領主のミッションは上級貴族へ宛てる新作お菓子の開発。ペイスは大好きなお菓子作りの進展に目を輝かせていた。だが、妻リコリスの姉の婚家カドレチェク家への襲撃事件が発生し、事態は急展開を迎える!王都に現れる不審な物乞い、聖国からの工作員も出没し、更にはペイスが母アニエス共々、拉致されてしまう!だがこれは、国内外を巻き込む大戦の始まりに過ぎなかったー。甘く激しいスイーツ・ファンタジー第8弾!書き下ろし新章「好敵手は魔法使い」も収録!