2017年12月発売
『火宅の人』でその名を全国に知らしめた“最後の無頼派文士”その処女作品集に収められた表題作「花筐」は、十代の大学予備校生たちの愛と友情を瑞々しく描いた青春の記年碑ともいえる一作である。ほかに檀一雄自身の南極捕鯨船への乗船体験を元に描いた「ペンギン記」、自伝的な「白雲悠々」「誕生」、そして「元帥」「光る道」等、多面的な魅力の作品を収録。
土佐の13人の女たちから紡いだ13の物語。おきみさん、おときさん、おまつさん…、南国土佐の女たちの人生から着想を得て、著者が初めて試みた“ルポルタージュ・フィクション”である。高知の特産物や風物詩、名所などが鍵言葉となり、幾何かの波乱を含んだ女たちの人生と絡みあう13の短篇集。抗えぬ運命や襲いかかる困難に翻弄されながらも、健気に気丈夫に生きる故郷の女たちの気質が巧みに描かれている。
京都・祇園祭の夜に銃声が響いた!コリアンマフィアと中国マフィアの抗争の背後には、北朝鮮のサイバーテロ、そして仮想通貨強奪計画があった。さらに絡まる半グレと芸能ヤクザの闇を、警視庁公安部のエース青山望が追う!同期カルテットも結集して日本の敵を「一網打尽」にできるのか?公安を知りすぎた著者の絶好調シリーズ第10弾。
長老との結婚を拒んで舌を抜かれた女。武装集団によって拉致された女子高生たち。夢の奴隷となったアイドル志望の少女。死と紙一重の収容所の少年…人間社会に現出する抑圧と奴隷状態。それは「かつて」の「遠い場所」ではなく「今」「ここ」にある。何かに囚われた状況を炸裂する想像力と感応力で描いた異色短編集。
「乗客全員をマークせよ」。警視庁副総監の特命を帯び、人気豪華列車「ななつ星in九州」に乗り込んだ十津川警部。台湾からの旅行客、アメリカ人夫婦、気鋭の歴史学者、外務省の職員…同乗する彼らの目的が、隠された日中の歴史の真実を明かすことだと突き止めるも、相定外の妨害工作が襲う。絶体絶命の危機に、乗客たちの運命は!?
バイト先の女子高生との淡い恋、転校してきた美少女へのときめき、年上劇団員との溺れるような日々、集団自殺の一歩手前で抱いた恋心、そして人生の夕暮れ時の穏やかな想い…。サプライズ・ミステリーの名手が綴る恋愛小説集は、一筋縄でいくはずがない!?企みに気づいた瞬間、読み返さずにはいられなくなる一冊。
フランス陸軍士官のジュール・ブリュネは軍事顧問として来日し、伝習隊の指導にあたっていた。大政奉還が行われ幕府の終焉とともにブリュネらも解任されるが、日本人の士道に感じ入った彼は母国の方針に反旗を翻し、土方歳三らとともに戊辰戦争に身を投じる。「ラストサムライ」のモデルを描いた感動大作。
ふたりが迎えた衝撃の結末は最初のページで明かされる!-32歳の直子は初めて訪れたライブで「ゴライアス」のボーカル・伶也と出会う。持てるお金と時間を注ぎ込み、すべてをなげうち伶也を見守り続ける直子。失われていく若さ、変わりゆく家族や友人たちとの関係。恋愛を超えた究極の感情を描く問題作!
私小説への殉情、無頼派の矜持。横浜での生活立て直しに失敗した北町貫多は再び都内に戻っていた。そして二十歳になった彼は、その日も野良犬のように金策に奔走するが…(「無銭横町」)。筆色冴えわたる六篇に、芥川賞選考会を前にして、藤澤清造の墓前にぬかずく名品「一日」を新併録。
佐藤愛子といえば、やはり『血脈』! それは、妻子ある佐藤紅緑が、新進女優を狂おしく愛したことに始まった。 大正から昭和へ、因縁の炎が佐藤家を焼き尽くしていく。 圧倒的迫力と感動の大河長篇。 圧巻の三部作を、読みやすくした新装版で刊行。 【旧版からの変更点】 (1)人名・地名・難しい字に、ふりがなを増やしました。 (2)登場人物の系図を栞にして、上・中・下巻に挟み込みました。 (上)のあらすじ 物語は大正4年、当代随一の人気作家・佐藤紅緑が妻子を捨て、新進女優の横田シナを激しく愛したことに始まる。父親・紅緑への屈折した思いを胸に、散り散りになっていく八郎、節、弥、久の4人の息子たち。シナのつれなさに苦悩する紅緑が半ば別れを覚悟した矢先、シナの妊娠が判明。大正12年、愛子の誕生で、シナは紅緑と離れられぬ宿命をようやく受け入れる。
佐藤愛子といえば、やはり『血脈』! それは、妻子ある佐藤紅緑が、新進女優を狂おしく愛したことに始まった。 大正から昭和へ、因縁の炎が佐藤家を焼き尽くしていく。 圧倒的迫力と感動の大河長篇。 圧巻の三部作を、読みやすくした新装版で刊行。 【旧版からの変更点】 (1)人名・地名・難しい字に、ふりがなを増やしました。 (2)登場人物の系図を栞にして、上・中・下巻に挟み込みました。 (中)のあらすじ 昭和9年、四男・久が女と心中を図り、死んだ。サトウハチローとなった長男・八郎は、いまや売れっ子詩人で、あちこちに女を囲っていた。次男・節と三男・弥は相変わらず、親に金の無心を続けている。戦争の足音とともに紅緑に忍び寄る老いの影。敗戦を迎え、節を広島で、弥をフィリピンで失った。ハチローは「リンゴの唄」をはじめとして、次々とヒットを飛ばしていた。息子たちの放蕩から解き放たれた時、紅緑の生命は輝きを失っていく。
佐藤愛子といえば、やはり『血脈』! それは、妻子ある佐藤紅緑が、新進女優を狂おしく愛したことに始まった。 大正から昭和へ、因縁の炎が佐藤家を焼き尽くしていく。 圧倒的迫力と感動の大河長篇。 圧巻の三部作を、読みやすくした新装版で刊行。 【旧版からの変更点】 (1)人名・地名・難しい字に、ふりがなを増やしました。 (2)登場人物の系図を栞にして、上・中・下巻に挟み込みました。 (下)のあらすじ 紅緑が亡くなり、シナは過ぎ去った40年を思う。そして娘・愛子に「佐藤家には毒の血が流れとるから、気をつけなさい」と諭す。夫と別れた愛子に、小説を書くことを勧めたのは、シナだった。ヒロポン中毒の八郎の家で繰り返される佐藤家の因縁。愛子は再婚するも夫の会社が倒産し、多額の借金を背負う。シナが世を去り、八郎が急死。佐藤家を焼き尽くす因縁の炎の行方を見据えるのは、残された愛子であった。
独立記念日を前にしたある日、アメリカと外界との連絡、交通が突然遮断された!?40年前にトランプ大統領登場を予言したかの如き表題作に加え「眠りと旅と夢」「鳩啼時計」「幽霊屋敷」「おれの死体を探せ」「ハイネックの女」の、いずれも未来を的確に見通した六篇を収録。SF界の巨匠の面目躍如たる短編集。
駿太郎が夏風邪をひいた。幸い大事には至らなかったが、そんな折、小籐次は公儀の筋から相談を持ちかけられる。駿太郎の看病で研ぎ仕事がおろそかになり、御用の手助けは控えたかったが、すでに外堀は埋められているようだ。久慈屋の娘おやえと番頭の浩介の祝言が迫るなか、小籐次が巻き込まれた大事件とは?
おまさは、昔の仲間・お糸を茶店で見かける(「女密偵女賊」)。火盗改メの役宅にきた新しい「まわり髪結い」、その名は五郎蔵だった(「ふたりの五郎蔵」)。荒神のお夏はおまさへの思いを断ち切れず…未完となった最後の作品「誘拐」。尾崎秀樹「池波正太郎の文学」と秋山忠彌「平蔵の好きな食べもの屋」を併録する「鬼平」最終巻!
アンネは「日記」の他に童話とエッセイを隠れ家で書き遺していた。アンネは書いている時、空想の翼をうんと広げてどんなに自由だった事だろう。「子熊のブラーリーの冒険」「パウラの飛行機旅行」…どの話にも、胸の奥から噴出したキラリと光るものがある。新装版では中川李枝子の名訳に酒井駒子の挿絵を追加。
中学時代、いじめと病に絶望した野々宮恭子は従姉妹の蒲生美智留に命を救われる。美貌と明晰な頭脳を持つ彼女へ強烈な憧れを抱いてしまう恭子だが、それが地獄の始まりだったー。名誉、金、性的衝動…美しく成長した美智留は老若男女の欲望を残酷に操り、運命を次々に狂わせる。連続する悲劇の先に待つものは?史上最恐の悪女ミステリー!
鎌倉に暮らすミステリー作家・一色正和のもとに嫁いだ亜紀子は、その生活に驚くばかり。ここ鎌倉では、人間も幽霊も魔物も神様も仏様もみんな仲良く暮らしているらしい。鎌倉署の捜査にも協力する夫・正和は、小説の仕事に加え、多趣味でもあり忙しい。亜紀子の理想とはちょっと違うが楽しい新婚生活が始まり…!?しかしある日、病に倒れた正和が目を覚ますと、亜紀子の姿が消えていた。夫への愛にあふれた手紙を残してー。映画ノベライズ版。
中学1年生になったさと子が入部したのは“なぎなた部”。部員不足によりさっそく廃部の危機にさらされたが、不安しかないメンバーが揃いなんとか回避。だけど部長の朝子さんから告げられた部の目標は、「剣道部を倒す」ことでー!?13歳、部活も人生も、いざ真剣勝負!