2017年2月7日発売
失踪した公安刑事の行方を追うため、IT企業に潜入した特命係の二人は、社長の北潟の元に、人間の左腕が送られてきた場面に遭遇する。数日後、東京湾から、片腕のない男性の焼死体が発見され…。事件のかかわりを調べる右京と薫の前に、思いもかけない人物が立ちはだかる!
タンゴにしか興味がない孤独な殺し屋<ハムレット>。 その男に両親と弟を殺され、一人生き残った少女、ヒロミ。 ブエノスアイレスに住む唯一の肉親である日系二世の祖父に引き取られた少女は、家族の復讐を果たすため、人の殺し方とタンゴの踊り方を覚えてゆく。 「あの男を殺して、人生の一部を取り戻す」。それだけが彼女の生きる目的となった。 やがて彼女は<ロミオ>と名乗る凄腕の美しい殺し屋に成長する。 アルゼンチン軍事政権時代の暗黒の歴史を絡めた血塗られた復讐劇はどこへ向かうのか? 全編にちりばめられたタンゴという音楽とシェイクスピア作品への深いオマージュ、破滅へとひた走る狂気のような疾走感、切なく痛ましい殺し屋としての宿命。 ピアソラの「タンゴ・ゼロ・アワー」を暗殺者のための音楽として崇める殺し屋ハムレット。 タンゴのステップを踏むように踊りながら殺す、いかれた女殺し屋ロミオ。 東京とブエノスアイレスを舞台に、ロミオとハムレットの壮絶な闘いが幕を開けるーー。 読みはじめたら止まらない、圧巻のノンストップ・ジェットコースター小説! 美しく、激しく、そして息苦しいほどの切なさが胸を打つ、傑作ノワール長篇、誕生!
【文学/日本文学小説】井の頭公園で、胸に1/TTXと刻印されたパントマイマーの遺体が発見された。武蔵野署の白鷹雨音は捜査を進めるうち、数年前に未解決となった幼女誘拐殺害事件に辿り着くが……。「このミス」大賞受賞作家による、書き下ろし警察小説。
【文学/日本文学小説】国道246号沿いでバイクを利用したコンビニ強盗が連続発生、警視庁の覆面捜査チームトカゲに出動命令がくだる。IT捜査専門の捜査支援分析センターや、交通機動隊までもが動員されたが、解決の糸口は見つからない──。犯人はどこへ消えたのか?
魔界さえも潰え、人間界も壊滅した。再会を果たした七つの者たちの眼下に広がる巨大な海こそ生命の根源・ユゴスだった。“混沌”の海に埋没していく多一郎。やがて突き上げる歓喜を潜め、胎動の如きうねりが訪れる。繰り返されてきた永遠の輪廻、終わりなき生命と死の輪舞。七つの者たちは“永劫”という途方もない時空間の彼方へと旅立った。大河小説の第20弾、第二部「地球聖戦編」がここに完結する!
離婚を契機に新しい家族像を模索し始めた夫、妻、小学生の2人の息子たち。その日常を優しく、切なく綴った物語「ウホッホ探検隊」。同作は芥川賞候補となり、後に森田芳光脚本、根岸吉太郎監督で映画化もされた著者の代表作。ほかに「プラネタリウム」「幾何学街の四日月」「月曜日の兄弟たち」の3作を収録。
逆境に陥った中年サラリーマンの復活物語 王崎ホームの芦溝良郎は、50歳を前に会社からリストラされた。再就職先を人材派遣会社から紹介されたが、どこも長く働くことが出来ない。予備校生の娘の手前もあって、いままで通りに家を出る毎日だった。ある日、公園のベンチに座った良郎は、ドングリ拾いをしている子どもを見て、自分も拾って調理してみる。「食えるのなら、食ってみようかな」。調理して食べられることがわかった良郎は、続いて野草の採取と魚釣りへと行動の範囲が広がった。食材を無料で入手して家で調理しながら、良郎が向かったのは、サラリーマン時代に食べていた弁当屋のいわくらだった……。 同じリストラ仲間の姿に元気づけられ、一度は途方に暮れた中年サラリーマンが、自らの夢を叶えて仕事を始め、おおいなる復活を遂げる。 逆境に陥った主人公を次第に応援したくなる、心温まる感動小説! 【編集担当からのおすすめ情報】 中公文庫版になかった、著者の「あとがき」が入ります。
「オケ老人!」作者が描く新しいお仕事小説 中堅よりやや落ちるレベルの女子大を卒業した片桐いずみは、就活で大苦戦し、ようやく住宅リフォーム会社に内定した。しかし、入社早々、理不尽に怒鳴りまくる部長・大木田の姿を目にして生ぬるい空気が一変する。 それから、3年。なんとか社内でのポジションをキープしながら鬼の飛び込み営業を続けていたある日、片桐に新人の部下が付く。だが、これが、前代未聞のとんでもないやる気のない男だったのだ。連日連夜、超絶無気力新人・俵の教育に骨を折るものの、一向に改善の余地は見られない。業を煮やした大木田はある策に出るのだがーー。
四月の雪の日。あの夜、シェアハウスで開かれたパーティで、一体何があったのか?「樅木照はもう死んでいた」という衝撃的な一行からこの物語は始まる。しかも死んだはずの照の意識は今もなお空中を、住人たちの頭上を、「自由に」浮遊している。悪意と嫉妬、自由と不自由ー小さな染みがじわじわ広がり、住人たちは少しずつ侵されていく。“みんなが照を嫉(ねた)んでいたにちがいない。みんな不自由だったが、照は自由だった。…俺も彼女が嫉ましかった。でも、俺は殺していない。じゃあ、誰だ?”著者の新境地をひらくミステリ&恋愛小説の傑作。
幼くして両親を亡くした島井徳太夫、のちの宗室は、十七歳で朝鮮に渡り、茶道具を買い付けて売ることで博多の有力商人となった。博多を治める大友氏、そして織田信長、さらには羽柴秀吉とも交わるようになる。荒廃した博多を復興した秀吉には、大陸制覇の野望があった。家臣にならなければ攻撃すると朝鮮に伝えるよう、対馬の宗氏に言い渡した。大陸との貿易で栄えてきた宗室は戦火を交えぬ工作をしたが、息子鶴松を亡くした秀吉は、朝鮮出兵を決断。石田三成の依頼を受け、宗室は命懸けで秀吉を諫めたのだがー。戦なき世を求めて生きた気骨溢れる商人の生涯。
「あげなクソ婆、弔ってやらんでもいい、とか言うんで」東京の生活に行き詰まった私は、曽祖母の三十三回忌を口実に、大分の実家に帰郷した。曽祖母・匹田サダは、臼杵の裕福な家に生まれながら、昭和二年、数え歳二十のときに野津市村の農家に嫁いできたという。豊臣秀吉似のサル顔と歯に衣着せぬ物言いが災いして、実家を追い出されたらしい。しかし嫁いでからは次々と男の子ばかりを産み落とし、精米所を大繁盛させ女太閤様と呼ばれた。人に嫌われても決して家族を飢えさせず、懸命に働き続けた熱すぎる女の一生とはー。悩みも悲しみも癒えてゆく、人間賛歌!
一九三三年、私は「天皇」と同じ日に生まれたー東京オリンピックの前年、男は出稼ぎのために上野駅に降り立った。そして男は彷徨い続ける、生者と死者が共存するこの国を。高度経済成長期の中、その象徴ともいえる「上野」を舞台に、福島県相馬郡(現・南相馬市)出身の一人の男の生涯を通じて描かれる死者への祈り、そして日本の光と闇…。「帰る場所を失くしてしまったすべての人たち」へ柳美里が贈る傑作小説。
外様として徳川家康に仕えた井伊直政は、“赤備え”の精鋭部隊を組織しつつ、知謀と胆略を発揮、頭格を現わし、徳川きっての策謀家・参謀として家臣の筆頭格を占め、彦根藩主、大老職を務め、幕末まで徳川家、幕府に貢献した。その豪雄と悲愴、維新後の苦難までを描く、名門井伊家の本質と実態を描く傑作七篇。
略奪婚をした専業主婦の満里子、女性誌編集者の悠希、不妊治療を始めた仁美、人気翻訳家の理央。元同級生達は再会を機にそれぞれの悩みに向き合うことになる。前妻への罪悪感、要領のいい後輩への嫉妬、妊娠できない焦り、好奇の目に晒される戸惑いー。華やかな外見に隠された女性同士の痛すぎる友情と葛藤、そしてその先をリアルに描く衝撃作。
十年前に妻を失うも、最近心揺れる女性に出会った津村。しかし罪悪感で喪失からの一歩を踏み出せずにいた。そんな中、遺された手帳に「だれもわかってくれない」という妻の言葉を見つけ……。彼女はどんな気持ちで死んでいったのかーー。わからない、取り戻せない、どうしようもない。心に「ない」を抱える人々を痛いほど繊細に描いた代表作。
京都・二条で小さな和食器店を営む紫。好きなものに囲まれ静かに暮らす紫の毎日が、20歳近く年上の草木染め職人・光山の出現でがらりと変わる。無邪気で大胆なくせに、強引なことを“してくれない”彼に、紫は心を持て余し、らしくない自分に困り果てる。それでも想いは募る一方。ところが、光山には驚くべき過去がー。ほろ苦く、時々甘い、恋の物語。
他人のものばかりほしくなる不倫女、スーパーの「お客さまの声」に夢中な主婦、旬がすぎ実家に帰ったタレント、人との距離が測れず、恋に人生に臆病になった女。愛に飢え、自分をもてあまし、将来に悩みながらも、このまま足踏みはしていられないー。現状に焦りやもどかしさを抱える6人の女性の生々しい性愛の呪縛と一瞬の煌めきを描いた恋愛小説。
福岡のお屋敷に奉公に出た千恵子。そこで出会った美しい令嬢の和江は、愛に飢えた寂しい日々を送っていた。孤独の中、友情とも恋とも違う感情で惹かれ合うが、第二次大戦下、戦況は刻々と悪化。女たちの運命はたやすく戦火に揺り動かされ…。人生を選ぶことも叶わず、時代と男に翻弄されてもなお咲き続ける昭和の女性たちの、誇り高き愛の物語。
さみしいとか悲しいとか切ないとか、そんなのを感じる心のひだが、全部なくなればいいのにーー。ブスと呼ばれ続けた女、年上男に翻弄される女子高生、未来を夢見て踊り続ける14歳、田舎に帰省して親友と再会した女。「何者でもない」ことに懊悩しながらも「何者にもなれる」と思って、ひたむきにあがき続ける女性を描いた、胸が締め付けられる短編集。
史実に経済(銀)という指標を重ねると、歴史は意外な姿を現す。 信長の真の夢とは、そしてなぜ葬られたのか? 銀をめぐって繰り広げられる、神武一族と倭の末裔との権謀術数。息もつかせぬ歴史ミステリー。 「ノブナガは、ジパングの外を見ていました。……かれが十余年前から遂行してきたジパング統一が、後々の国外進出を視野に入れたものであることは、わたしにはすぐに理解できました。 そして、撰銭令(えりぜにれい)という通貨統制令を発令して、金銀比率の安定化に乗り出したと聞かされたとき、早晩、かれが、銀の海外流出防止策を講じるであろうことも、容易に理解できました。(本文より)」 序の章 叡山討伐 一の章 三日風邪 二の章 羽柴兄弟 三の章 明智一族 四の章 しろがね録 五の章 暗 謀 六の章 吉凶万華 七の章 本能寺、炎上 八の章 山崎の戦さ 九の章 倭の裔結集 十の章 帝都襲撃 最終章 南海通信