2017年4月21日発売
中央アジアのアラルスタン。ソビエト時代の末期に建てられた沙漠の小国だ。この国では、初代大統領が側室を囲っていた後宮を将来有望な女性たちの高等教育の場に変え、様々な理由で居場所を無くした少女たちが、政治家や外交官を目指して日夜勉学に励んでいた。日本人少女ナツキは両親を紛争で失い、ここに身を寄せる者の一人。後宮の若い衆のリーダーであるアイシャ、姉と慕う面倒見の良いジャミラとともに気楽な日々を送っていたが、現大統領が暗殺され、事態は一変する。国の危機にもかかわらず中枢を担っていた男たちは逃亡し、残されたのは後宮の少女のみ。彼女たちはこの国をー自分たちの居場所を守るため、自ら臨時政府を立ち上げ、「国家をやってみる」べく奮闘するが…!?内紛、外交、宗教対立、テロに陰謀、環境破壊と問題は山積み。それでも、つらい今日を笑い飛ばして明日へ進み続ける彼女たちが最後に掴み取るものとはー?
平成2年。全国紙の採用試験にすべて落ち、北海道の名門紙・北海タイムスに入社した野々村巡洋。縁もゆかりもない土地、地味な仕事、同業他社の6分の1の給料に4倍の就労時間という衝撃の労働環境に打ちのめされるが…会社存続の危機に、ヤル気ゼロだった野々村が立ち上がる!休刊した実在の新聞社を舞台に、新入社員の成長を描く熱血お仕事小説。『七帝柔道記』の“その後”を描く感動作。
結婚詐欺の末、男性3人を殺害したとされる容疑者・梶井真奈子。世間を騒がせたのは、彼女の決して若くも美しくもない容姿と、女性としての自信に満ち溢れた言動だった。週刊誌で働く30代の女性記者・里佳は、親友の伶子からのアドバイスでカジマナとの面会を取り付ける。だが、取材を重ねるうち、欲望と快楽に忠実な彼女の言動に、翻弄されるようになっていくー。読み進むほどに濃厚な、圧倒的長編小説。
女の胸をかき乱す、淋しさ、愛欲、諦め、悦びー。安野モヨコが愛した、女心のひだを味わう傑作群。孤独な男を残酷なまでに誘惑する「耳瓔珞」、愛している男を自分の親友と結婚させる「むすめごころ」などー繊細な挿絵とともに、円地文子、川端康成、白洲正子、岡本かの子、有吉佐和子、芥川龍之介、織田作之助らの奥深い魅力に出会える、好評シリーズ第二弾。
捜査一課への異動から一年。一之瀬は、新たに強行班へ加わった後輩の春山と共に福島へ出張していた。新橋で発生した強盗殺人事件の指名手配犯が県内で確保され、その身柄を引き取るためだ。楽な任務と思われたが、被疑者を乗せ福島駅に向かう途中、護送車が襲撃されー。若手刑事たちの奮闘を描く、書き下ろし警察小説シリーズ。
浪人が殺され、二百両はするという名刀が奪われた。同心の河上惣三郎は、刀剣道楽の数寄者の線を洗い始める。一方、重兵衛の頭の中は、ある男のことで一杯だった。親友と弟の仇・遠藤恒之助。妖剣を使うこの強敵を倒すため、新たな師のもとで“人斬りの剣”の稽古に励む重兵衛だったが…。男たちの友情に胸が熱くなる、人気シリーズ第四弾。
相次ぐ当主の早世により、男系の嫡流が途絶えた会津守護、芦名家。近隣の大名から婿養子として当主を迎えることになったが、それをきっかけに家中に軋轢が生じる。一触即発の家臣たちをなんとかまとめていたのは家臣筆頭であり「会津の執権」の異名を持つ金上盛備。しかし彼も老齢にさしかかり、領土の外からは伊達政宗の脅威が迫っていた。
価値のないもの専門の怪盗ニックに、まさかのライバル登場!?“白の女王”ことサンドラ・パリスは、“不可能を朝食前に”をモットーに、早朝にだけ仕事をする美女だ。二人はときに競い、ときに協力しながら盗みに挑む。サンドラ初登場短編「白の女王のメニューを盗め」を巻頭に、「ハロウィーンのかぼちゃを盗め」「枯れた鉢植えを盗め」など、本邦初訳の6編を含む全15編を収録。
『日比谷公園の鶴の噴水が歌を唄うということですが一体それは真実でしょうか』-昭和九年の大晦日、銀座のバーで交わされた奇妙な噂話が端緒となって、帝都・東京を震撼せしめる一大事件の幕が開く。絢爛と狂騒に彩られた帝都の三十時間を闊達自在な筆致で活写した、小説の魔術師・久生十蘭の長篇探偵小説。初出誌“新青年”の連載を書籍化、新たに校訂を施して贈る決定版。
俳優を夢見てNYにきたエミリー。念願かなって舞台で脚光を浴びたその晩、忽然と姿を消してしまった。だが、姉のソフィーにはわかっていた。妖精たちが、かつてソフィーに踊りを教えた対価に妹をさらったのだ。とはいえ、警察には信じてもらえまい。親切な刑事の追及をかわしつつ、ソフィーは妹を捜し始める。『ニューヨークの魔法使い』の著者が贈る、現代のフェアリーテイル。
地球の治安部隊は火星の軌道上にまで撤退し、無血革命は成功するかに思われた。だが和平交渉中、過激な一分派が宇宙エレヴェーターに攻撃を開始する。第一次火星革命の悪夢が繰り返されてしまうのか?壮大な火星入植計画をリアルに描きSF史上に不滅の金字塔を打ち立てた、『レッド・マーズ』『グリーン・マーズ』に続く“火星三部作”完結編。ヒューゴー賞、ローカス賞受賞。
憲法を制定した火星政府は、地球との交渉の末についに念願の独立を勝ち取った。人びとは自由を謳歌し、多様な文化が共生する火星ならではの社会システムと新たな文明を発展させていくが…。赤い荒野から緑の大地へ、そして青い大洋を持つ人類の第二の故郷へと劇的に変容してゆく火星の姿を、人びとの綾なす人間ドラマとともに壮大なスケールで描き上げた大河三部作、堂々完結。
様々な勢力が暗躍する魔都・上海で起こる連続不可能犯罪事件。密室状況で殺された被害者のそばに残されたカード…。密室が解かれても、真犯人・上海デスドールをとらえることはできない。エキゾチックな不可能趣味満載の連作集。
イーズ帝国の魔導兵団を撃退して1年、メリアはついに内外に独立を宣言した。だが、合衆国となったメリアを次々に困難が襲う。イーズ帝国の大軍勢による侵攻、さらに魔術師のマリーンによって封印を解かれた巨大女神像の進撃…。再びメリアはピンチに陥るが、そのタイミングで機神シィルが目覚める。物語がめまぐるしく展開する最終巻。エニードによる“開拓”の向かう先は!?-「小説家になろう」発、大人気異世界救世ファンタジーがついに完結!
平凡で、この先ドラマティックなことも起こらなさそうな日常。自分で購入した1LDKのリビングとソファで得られる幸福感だって憂鬱のベールがかかっている。そんな瑛子が近所で見つけたのは日当たりが良い一軒家のカフェ。店主はかつての同僚・円だった。旅先で出会ったおいしいものを店で出しているという。苺のスープ、ロシア風チーズケーキ、アルムドゥドラー。メニューにあるのは、どれも初めて見るものばかり。瑛子に降りかかる日常の小さな事件そして円の秘密も世界のスイーツがきっかけに少しずつほぐれていくー。読めば心も満たされる“おいしい”連作短編集。
消息不明の大物映画人を捜し出し、不可能と思われたインタビューを成功させるー“人捜しの神部”の異名を取る女性編集者・神部実花は、上司からの無理難題、読者からの要望に振り回されつつ、持てるノウハウを駆使して今日も奔走する。だが自らの過去を捨てた人々には、多くの謎と事情が隠されていた。次号の雑誌記事を書くために失われた過去を追う実花の取材は、人々の追憶を探る旅でもあった…。
OL・亜子が、先輩からの嫌がらせに耐えられず落ち込んでいると、見知らぬキツネ顔の男、『井成不動産』の社長・井成幸吉に声をかけられる。ご縁に導かれ、下町の稲荷神社近くの店で働き始めるが、ペット可の物件を求める人面犬や古民家リノベに奮闘するシェアハウス仲間の雪女達、はたまた“出る”物件を探す人間など、一風変わった客達からの要望はメチャクチャで!?「第2回お仕事小説コン」特別賞受賞作!
静岡県の海辺、あさぎ町には世にも不思議なレトロ喫茶店『猫の木』がある。なんと店主・片倉が猫のかぶり物を被っているのだ。転勤でこの町にやってきた、恋愛オクテ女子・有浦夏梅はそこの常連なのだが、あるときマスターに猫断ちを提案し…?一風変わったマスター×悩めるOL×リアル猫・ニャー介が繰り広げる、優しい街の猫まみれ、ほっこりライフ。小説投稿サイト「エブリスタ」の大人気作、待望のシリーズ化。