2017年4月6日発売
松島、天橋立、宮島。日本三景と呼ばれる名勝が次々と倒壊炎上し、篭神社で神職が惨殺される。高村皇らの最大の仕掛けの始まりだった。神々を鎮めるため、辻曲兄妹と関わりのある女性たちが全国の神社に散る。摩季が亡くなり六日目、「死反術」を執り行う期限も迫る。八年前、天橋立で辻曲夫妻を巻き込んだ大事故の真相とは?これまで日本の怨霊を揺り起こしてきた高村皇の真意が明かされる。
「援交探偵」上木らいちの「お客様」藍川刑事は「二匹の蛇」の夢を物心付いた時から見続けていた。一歳の頃、自宅で二匹の蛇に襲われたのが由来のようだと藍川が話したところ、らいちにそのエピソードの矛盾点を指摘される。両親が何かを隠している?意を決して実家に向かった藍川は、両親から蛇にまつわる二つの密室事件を告白された。それが「蛇の夢」へと繋がるのか。らいちも怯む(!?)驚天動地の真相とは?
業界大手の音楽会社に勤める吉山朗美(28)は、大物ロック歌手の絹川空哉が、社長に契約解除を宣告され、事務所に乗り込んでくる姿を目にする。空哉は十年前、朗美と同じ高校に通う同級生だった。同じ日、極度のあがり症にも関わらず全社報告会で発表を任された朗美は、壇上で気を失ってしまう。目を覚ますと、なぜか高校時代の制服を身に着けた朗美を、あの絹川空哉と、世界的ヴァイオリニストになった深山蓮、そして死んだはずの父親が心配そうに見下ろしていた。いったいどうなってるの?思わず本を抱きしめたくなる、突き抜けるラストに乞うご期待!!
通島武志は、朝の通勤で混み合う地下鉄のなかでかつての部下、枝田千秋に出会った。しかし、それは偶然でもなんでもなかった。由あって一線を退いていたこの元刑事にとっての新天地が、警察庁の外郭団体、犯罪史編纂室であり、千秋はそこの室長を任されていたのだ。東京・吉祥寺の古ぼけたビルの一室に居を構えるこの編纂室に招集された他の人員も皆、一度は辞職願を出したほどの訳あり揃いの輩たちだった。そして、警察庁情報通信局長の岩崎から、本当の密命を告げられた武志は愕然とする。その任務とは、これから起こる犯罪を未然に防げ、というものだったー。
室長の枝田千秋を触媒にした「繭」システムを使って、ネット空間などに溢れるデータのなかから犯罪の兆候を嗅き取り、その抑止を任とする未犯調査室。東陽銀行の支店長を狙った凶悪事件から、謎の集団ポリスの存在に辿り着くことに成功した。だが一方で、警察の本来の職分を逸脱したその活動内容が上層部で問題となり、2か月の活動休止に追い込まれる。さらに追い打ちをかけるように吉祥寺にある調査室のある古いビルに謎の隕石が落ち、全壊してしまう。時を同じくするように、病院に長期入院していた通島武志の妻・沙織が忽然と姿を消してしまった。
神田川病院に勤務する医師の早坂ルミ子は末期のがん患者を診ているが、患者の気持ちがわからないのが悩みの種。ある日、ルミ子は病院の中庭で不思議な聴診器を拾う。その聴診器を胸に当てると、患者の“心の声”が聞こえてくるのだ。「もし高校時代に戻れたら、芸能界デビューしたい」-母に反対されて夢を諦めた小都子が目を閉じて願うと、“もうひとつの人生”へ通じる扉が現れる。念願の女優になった小都子だが…。聴診器の力で“あの日”へ戻った患者達の人生は、どんな結末を迎えるのか。夢、家族、結婚、友情。共感の嵐を呼んだヒューマンドラマ。
若きカリスマ経営者の戸鹿野智貴は、女と旅行に行った異国の地で、薬物密輸の疑いで逮捕された。会社は破綻し資産は没収される。なぜ自分ははめられたのか?事件の真相を探るべく、彼は名前も顔も変えて調査に乗り出す。一方、イギリスで麻薬捜査をするジャッド・ウォーカーは、ユーロポールへの出向を命じられ、イタリアでマフィア幹部の惨殺事件に遭遇。さらに第二の事件が…。日本、イギリス、イタリア、アメリカ。舞台は目まぐるしく動き、予想もしなかった真相が立ちはだかる。世界スケールで展開するサスペンス巨編。この真相を見抜けるか!
「ルークは嘘をついた。きみも嘘をついた」意味深な手紙を受けとった連邦警察官フォークは二十年ぶりに故郷を訪れる。妻子を撃ち、自殺したとされる旧友ルークの葬儀に出るためだ。彼は手紙の送り主であるルークの両親から、息子の死の真相を突き止めてくれと頼まれる。生まれ育った町での捜査は、フォークの脳裏に苦い記憶を呼び起こしていく。かつて彼がここを離れる原因となった、ある事件の記憶を…。灼熱の太陽にあえぐ干魃の町で、人々が隠してきた過去と秘密が交錯する。オーストラリア発のフーダニット
香港で母さんと出会った父さんは母さんをアメリカに連れ帰った。泣き虫だったぼくに母さんが包装紙で作ってくれた折り紙の虎や水牛は、みな命を吹きこまれて生き生きと動きだした。魔法のような母さんの折り紙だけがずっとぼくの友達だった…。ヒューゴー賞/ネビュラ賞/世界幻想文学大賞という史上初の3冠に輝いた表題作など、第一短篇集である単行本版『紙の動物園』から7篇を収録した胸を打ち心を揺さぶる短篇集。
“新しきミロク”が密かに勢力拡大をたくらむヤガで、かつて魔道師であった“ミロクの使徒”たちのたくらみによって神殿の最下層に追い込まれたブランだが、ソラ・ウィンとヤモイ・シンという二人のミロクの老僧に出会い、その恐るべき法力に接して反撃の糸口をつかむ。さらに思いがけず人間でないものの助力を得ることができたことで、拉致されたフロリーとヨナを救うべくブランの想像を絶する戦いが、ついに始まった!
突如羽田空港に出現した巨大立方体「カド」。人類はそこから現れた謎の存在に接触を試みるがーアニメ『正解するカド』の脚本を手掛けた野崎まどと、評論家・大森望が精選したファーストコンタクトSFアンソロジーをお届けする。筒井康隆が描く異星人との交渉役にされた男の物語、ディックのデビュー短篇、小川一水、野尻抱介が本領を発揮した宇宙SF、円城塔、飛浩隆が料理と意識を組み合わせた傑作など全10篇を収録
帰ってきてほしいー十年前に故郷を離れ、海外で軍務についていたバンのもとに、ずっと音沙汰のなかった祖父からの手紙が届く。プロの泥棒である祖父の弱気な言葉に胸が騒いだバンは、急ぎ帰郷した。だが到着した彼を待っていたのは、頭に銃撃を受けた祖父の姿だった!人事不省の祖父をまえに事件の真相を追う決心をしたバンは祖父の仕事仲間に協力を仰ぐ…ミステリ賞三冠を制した昂奮と哀愁がクロスするサスペンス
禁酒法時代末期、ボストンのギャングの部下ジョーは、敵対組織のボスの情婦エマに一目惚れし、関係を持つ。エマと駆け落ちしようと企てるジョーだが、仲間と銀行を襲って警察に追われる身となったことから、その運命は大きく狂っていった…街の無法者から刑務所の囚人へ、そして再びのし上がらんとする若者を待つ波瀾万丈の運命とは?巨匠ルヘインがアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞を受賞した歴史ミステリ大作。
刑期を終えたジョーは、ボスの指示で新天地フロリダへと向かう。現地の密造酒組織を掌握するためだ。かつての仲間と再会し、先任者を追い払ったジョーは、キューバの大物と手を組み、次第にその勢力を強め、ついに覇権を握る。だがその先には、さらに過酷な運命が待ち構えていた…激動の時代を腕一本で乗り切ろうとするギャングたちの生きざまを描く入魂の大作。ベン・アフレック製作・監督・主演で映画化の超話題作!
緑地の平屋に住む姉妹・貴子と澄子が奏でるあまりにも純粋な愛憎(「風」)、ともに大手肌着メーカーに就職した十五年来の友人・実加と未紀が育んだ友情の果て(「二人の場合」)、身体の声に忠実に決して踊らない優子(「ダンス」)、そして旅行を終えて帰ってくると、わたしの家は消えていた…(「予感」)-疾走する「生」が紡ぎ出す、とてもとても特別な「関係」の物語。
「坊っちゃん」、幕末に現る!庄内藩で霞流忍術を修行中の松吉は、尊王攘夷思想にかぶれたお調子者の悪友・寅太郎に巻き込まれ、風雲急を告げる幕末の京への旅に。坂本龍馬や新撰組ら志士たちと出会い、いつのまにか倒幕の争いに巻き込まれ…!?奥泉流夏目漱石『坊っちゃん』トリビュート小説にして、歴史ファンタジーの傑作。
遺産相続で金持ちになった青年が、自分につれない女の愛を勝ちとるために企てた策とは…ボッティチェルリの名画でも有名なナスタージョ・デリ・オネスティの物語をはじめ、不幸な事件を経てめでたく終わる男女の話、機転で危機を回避した話など四十話を収める、全訳『デカメロン』第二弾。無類の面白さを誇る珠玉の物語集。
冴えわたる批評精神。優雅で辛辣で洗練された洞察は、また普遍的な文明批評の顔をもつ。女性だからこそ、男性だからこそ、文学として味わえる現代語訳を付す。下巻は、第一二九段「無徳なる物」から第三二五段「物暗う成りて」までを収録。