2017年4月発売
漆原院長夫妻は、浪人中の息子の性欲処理のため、女性を誘拐する。だが、誘拐した松葉尚子を誤って殺害。スキャンダルを恐れて隠蔽をはかるが、なぜか死体が消えてしまう。一方、尚子の兄・潤一の妻が、多摩川で殺害される。刑事たちは、小さな糸口から二つの事件の繋がりを見つけ真相に迫っていくが…。性、金銭、名誉で心を満たすエリート。大都会の人間たちの激しい欲望と滑稽さを描くミステリー。
パリに行けば、自分が見つかるの? 私は何がしたいの? 私は何ができるの? とまどいながらも自分の人生を見つめ、前に歩んでいこうとする10人の女性の物語。(解説/カヒミ カリィ)
時は幕末。富山藩の薬売り、於菟屋藤次が帯びた使命は薩摩への販路開拓。交渉の切り札“昆布”を求め、北前船で大坂から蝦夷へ。死と隣り合わせの道中、秘伝の忍の技で難局を切り抜けていく。一方、支藩の動きを察した加賀藩が放った刺客は必殺剣の使い手、馬渕洋之進。北から南へ呉越同舟の決死行。二人の男が求めるは生きる道か、はたまた死に場所か。圧倒的迫力で贈るハードボイルド時代小説。
人気作家が「少女」をキーワードに紡いだ短編9本を収録したアンソロジー。少女の微妙な心情や確かな成長が感じられることはもちろん、各作家の個性も楽しむことができる贅沢な1冊。(解説/大森望)
石出は、殺人の罪を償って13年ぶりに出所。真面目に仕事を始めた矢先、石出の部屋で、祖母の介護担当だった女性が殺される。石出は容疑を否認するが、情況は不利。鶴見弁護士は、彼の無実を信じて調査を開始する。出所直後に山中温泉を訪ねている事実を知り、行動をたどると、意想外の過去の因縁がー。哀切をおびた山中節の世界から連続殺人を解き明かす鶴見弁護士の活躍!書き下ろしミステリー。
超ロングのスカートに裏地がヒョウ柄のブレザー、黒い口紅…時代を超越した「ツッパリ」スタイルを貫く沙耶香は、母親の再婚がきっかけで埼玉の公立高校から代官山の超セレブ高校に転校する。自分の常識が全く通用しない世界に困惑しつつも、クラスで友達を作ろうとする沙耶香だが、無視や陰口、仲間はずれなど地味なイジメに遭い…。沙耶香はこの閉鎖的な学園を壊すことができるのか!?
亡き妻が遺した、八つの不思議なチャーム。そこに秘められた妻の過去を追ううちに、アーサーは思いも寄らない冒険に乗り出していく……。笑いあり涙ありの、ハートウォーミングな感動作!
地球からの文明疎開船が高次元跳躍に失敗、生存のため銀河帝国を建国してから700年余。帝国の護衛艦“ブルーベル”は、隣国のヘレネス統一体が領有権を主張する星系に侵入したとして攻撃を受ける。艦長の戦死により、先任将校の天城真守大尉は的確な判断で艦を無事に帰投させた。予備役編入を希望する天城だったが、各国の複雑な思惑は彼を紛争の最前線へと導いていく。架空戦史の雄による新シリーズ、初巻にして最終巻。
不治の病を宣告された母が愛する娘のために選び取った行動をつづる表題作、明治時代の満州にやってきた熊狩り探検隊一行の思いがけない運命を描いた「烏蘇里羆(ウスリーひぐま)」など、あたたかな幻想と鋭い知性の交錯を透徹した眼差しで描いた16篇を収録した、待望の第二短篇集。 〈収録作品〉烏蘇里羆/草を結びて環を銜えん/重荷は常に汝とともに/母の記憶に/存在/シミュラクラ/レギュラー/ループのなかで/状態変化/パーフェクト・マッチ/カサンドラ/残されし者/上級読者のための比較認知科学絵本/訴訟師と猿の王/万味調和/
主人公の真知子は海外企業に職を得た夫と共に南半球へ移住。娘を出産し、新生活が始まった。美しく小さな異国の街に暮らす日本人達のコミュニティには、夫の職業や住む場所によって暗黙のヒエラルキーが築かれていた。その中で真知子は、投資銀行に勤める夫を持つ郁子、商社マンの妻の宏美、現地の日本人シェフと再婚した弓子らと親しくなる。しかし、日本人会のバザーで起こった事件をきっかけに、彼女たちの関係は一気にあやういものになっていく…。孤独と自立、家族と友情…。今、女性が「生きる」ことに正面から向き合った傑作長篇。
二〇二二年仏大統領選。極右・国民戦線マリーヌ・ル・ペンと、穏健イスラーム政党党首が決選に挑む。しかし各地の投票所でテロが発生。国全体に報道管制が敷かれ、パリ第三大学教員のぼくは、若く美しい恋人と別れてパリを後にする。テロと移民にあえぐ国家を舞台に個人と自由の果てを描き、世界の激動を予言する傑作長篇。
密偵として潜り込んだ城で、父を殺した仇のジョンへの復讐を目論むアーサー。一方、ジョンの娘アナは父の命でアーサーを見張ることに。行動を共にする二人の間にいつしか恋心が燃え上がり……。
「鑑定スキル」と「アイテム創造」で異世界コレクション生活、継続中! 秘密の薬で一日女子体験? 殺人料理大会で悪夢のクッキングバトル!? 異世界でのコレクター生活も順調なコーマ。 だが、作ったばかりの性別反転薬を飲んでしまい、なんと美少女に大変身!? 思いがけず一日だけの女子体験をすることになるがーー。 美食の町ではルシルが出場した「殺人料理大会」で三途の川を渡りかけ、 ドラゴンとガーゴイルに襲われる町で絶体絶命の危機に立ち向かう!! 波乱の日々を描く、小説家になろう発「ネット小説大賞」受賞作、第3弾!
双子の姉を交通事故で喪った、十六歳の少女。自らの半身というべき存在をなくした彼女は、家族や友人らの助けを得て、悲しみのなかでアイデンティティを立て直し、新たな歩みを始める。全米が注目するハイチ系気鋭女性作家による、愛と抒情に満ちた物語。 「わたしは、本書の日本語版をみなさまに読んでいただけることをとても光栄に思っています。(…)この本が世に出てから一年あまりのあいだに、わたしは何百人もの読者に会いました。十二歳から九十二歳までの年齢層の人びとです。彼らはそれぞれに、この物語にどんなに心を打たれたかをわたしに伝えてくれました。(…)主人公はまだ少女といえる年齢で、その若さは物語のひとつの大事な側面ではありますが、彼女をめぐる物語の全体は、老若男女の別なく誰にも共感できるものと信じます。読者の方々はまた、この本が愛のーーロマンチックな愛と家族の間の愛の両方のーー不思議とともに、生と死について語っていることを喜んでくれています。それに、ボワイエ家の人びととマイアミのハイチ人コミュニティの人びととのつながりや、ボワイエ家の人びとの目に映る生まれ故郷のハイチの姿も楽しんでくれています」--「日本の読者への手紙」より
《主な登場人物》 ナツキ・ナシーム・トオミネ 15年前の内戦で両親を失い、後宮で育てられた日系孤児。植物工場の技術者だった父にならい、技術コースを専攻している。いつかアラルスタンに雨を降らせ、アラル海を復活させるのが夢。また密かに遊牧民への憧れも抱いている。頭脳明晰だが空気を読む能力は低め。だが真っ直ぐな性格で、皆から呆れられつつ愛されている。臨時政府ではなし崩し的に国防相を担当することに。亡き父の口癖「俺が現場にいなくてどうする」を実践し、口癖は「やることはやった。あとは野となれ」。 アイシャ・ファイシャル 人望篤い後宮のエリートにして若い衆のリーダー。“睡蓮(ニルフィヤ)の笑み”と呼ばれる微笑みが印象的なクールビューティ。政治コースを修了し外務省入りが決まっていたが、大統領暗殺を受け、アラルスタン臨時政府を立ち上げ、大統領代行に就任する。チェチェン難民の子女であり、この国を第二のチェチェンにすまいと奮闘。しっかり者だが、時にボケる一面も。 ジャミラ・クンディ・サドザイ ケニア出身。ナツキを妹のように思っており、最初に仲よくなった人物。明るく勝ち気で面倒見が良いが、ノリに弱い面がある。いずれかは中央アジアの伝統文化を守る側になりたいと願っており、臨時政府では文化相を担当。銀のアクセサリーで鎧のように固めたファッションをしている。 ウズマ・ハリーファ 建国時よりアラルスタンの女社会に君臨する、枢密院の議長にして後宮のボス。アイシャたちを雛鳥扱いし、折に触れ妨害する老女。後宮内の保守派を取り仕切り、無学だが誰よりも政治の肝を心得ている。 イーゴリ・フェルツマン 後宮に出入りする神出鬼没の吟遊詩人。西欧の道化を思わせる服装で、どこからか二胡片手に現れる。 武器商人という一面も持っており、その真の顔は計り知れない。 ナジャフ・アリ・ラシード イスラム原理主義系組織「アラルスタン・イスラム運動(AIM)」の幹部。大統領暗殺に乗じ、政権奪取をもくろみナツキと相見える。過激派組織に属してはいるが、その考えは本当は穏健な保守派。優男風の容姿で、後宮に隠れファンも? 1.塩の都 2.水上の後宮 3.マグリスラード攻防戦 4.三人のミカエル 5.二人のドミートリィ 6.船の墓場 7.あまねく生者のために 8.レインメーカー