2017年5月31日発売
ノエル・チェルクェッティは、つねに、いつも一番でなければならない。名家の娘として将来を期待されピアノコンクールに挑んだものの、友人ジリアンに負け優勝を逃したノエル。失意のノエルは市長バロウズに唆され、人生を変えたくばと、悪魔を召喚する。「大悪魔カロン。召喚の儀に応じ参上した」願いを聞き届けた“代償”にと手足を奪われて初めて、ノエルは市長に騙されていたと気づく。そして漆黒の大悪魔カロンもまた、バロウズに騙され利用されたことに憤慨していた。「たすけて」絶望の淵で死に行くノエルの“第二の願い”を聞き入れたカロンは、ノエルにバロウズへの復讐を持ちかける。半信半疑ながらもカロンとともにバロウズに立ち向かい始めたノエルは、友人を害され自らも傷つき、ついに真実を知りー最後まで戦う決意をする。“被虐のノエル”の名を持つ、“ただの魔女”として。すべては復讐のために。大人気伝奇アドベンチャーゲーム小説化第一弾!
人類の多くが滅び、モンスターと異種族が跋扈(ばっこ)する新世界“アース”。そのアースを裏で支配する“見えざる敵”の存在。世界の謎に迫る村人・鏡たちと、その影で秘めるーメノウの覚悟。そして今、世界の命運をかけた戦いの火蓋が切って落とされる!!
「笑い声から想像できる喘ぎ声が好き」社内で人気のイケメン、眞野灰路の口から衝撃の性癖告白を受けたOL、平田嘉奈。しかも、隠れてボイレコに笑い声まで録音しているという。え?憧れの彼が一気に犯罪スレスレの変態紳士に変貌?あり得ないんですけど!?そしてその日から、灰路と嘉奈の恋愛攻防戦が始まる。バレンタインデーには指輪を贈られ「僕の奥さんになって」と迫られ、デートの約束もさせられるも「絶対に付き合わない」と頑なな嘉奈だが、一ヶ月後には東京へ転勤だという灰路の毎日の甘い囁きと、己の性癖に何の迷いもないストレートなアプローチに徐々に心のこわばりが解けていく。だが嘉奈には“声”に関する大きな悩みがあって…。お互いのリビドーに素直になった二人に、エロスの女神は微笑むのか!?
人工人格家電の自殺疑惑、非実在キャラクターを殺したと主張する被告人、雇用を迫る対人支援用ロボット。起こりえない事件を解決するため男たちは燭台に火を灯す。それは「真実を映し出す」と語り継がれる、フォマルハウトの三つの燭台。
常に密やかに、優雅に、挑戦し続けてきた作家の言葉が、無数の映像や小説、夢や記憶の断片と共に繊細に紡がれ、誰も読んだことのない、前代未聞の物語として誕生した!二つの批評的エッセイに縁取られ、六つのフォト・コラージュに彩られた小説群。
警察官になって六年目。(いちおう)テロ対策部門を志望していた僕は、能力も性格も平凡。なのに、県で一番大きい警察署の署長から突然スカウトされて、『刑事一課強行係』の刑事になった。とにかく、せっかく刑事になったんだ。時効完成のXデーまで三箇月の『あの事件』。全国指名手配犯の女にとっては、じき天国。追いかける警察にとってはもう地獄。運命のその日が来るまで、あきらめるわけにはいかない。あの女を、捕まえてみせる!経験と創造力の奇跡的な融合。元キャリア警察官の著者にしか描きえない、未曾有の警察小説!
金なし、地位なし、才能なしーなのに、幸せな男の物語。時は明治39年。業界紙編集長を務める宮本銀平に、母校・一高野球部から突然コーチの依頼が舞い込んだ。万年補欠の俺に何故?と訝しむのもつかの間、後輩を指導するうちに野球熱が再燃し、周囲の渋面と嘲笑をよそに野球狂の作家・押川春浪のティームに所属。そこへ大新聞が「野球害毒論」を唱えだし、銀平たちは憤然と立ち上がるー。明治球児の熱気と人生の喜びを描く痛快作。
なぜか自分以外には誰の姿も見当たらない…。治験バイトのため入っていた病院で、長い眠りから覚めたシマダミロクは驚愕する。事態を解明すべく都心に向かった彼が他の生存者たちの力を得て知ったのは、「太陽のしゃっくり」を引き金に原発危機、感染症の蔓延、ライフライン停止が同時発生し、人類が滅亡へとまっしぐらに突き進んでいること。そんな絶体絶命の状況下で、看護師の国枝すずに囁かれた言葉がミロクの頭をよぎる。「最後の一人になっても、頑張ってくださいね」。驚異の想像力で我々の未来を予見する、純文学×SFの到達点!
平安朝漢詩文のなかから雑詩、讃、記、牒、祭文、呪願文、表白、願文、諷誦文及び碑の一〇種の文体について、実例の読解および当該作品の読まれた状況の再現により、その構成方法や機能などの文体的特徴を明らかにし、日本文学史・日本文化史における位置づけを提示する。また、平安朝漢詩文における構成要素として最も基本的なものとなる語彙について、当時の時代的背景・文化的状況を複合的に考察することにより、当該語彙の意味、使用された意図などを明らかにする。平安朝の言語・文学・政治・思想等、多面的な領域に関わる基盤研究。
クロエは、今夜もファーガスに電話をしていた。一夜を過ごしたこの男性に、磁石のように惹かれ、思いもかけない情熱を抱いてしまったが、クロエには、政界に再び躍りでる父親のために、重要な使命があった。そのためにもファーガスに近づき、彼の“ある行動”を阻止しなくてはならない。ファーガスに誘惑のまなざしで見つめられるたびに、クロエは罪の意識に苛まれる。いつか真実を知られれば、この愛を信じてもらえなくなるのではないだろうかと。
レジーナはイタリアの美しき街アマルフィにやってきた。そこで彼女は、色香あふれる類まれな風貌と黒髪を持つ男性ニコ・ロマーノと出会い、一目で心を奪われる。女として自信がなく、今まで恋に臆病だったレジーナだが、よく知りもしないうちに、ニコに身を捧げてしまう。一夜の戯れのはずが、逢瀬は何度も繰り返されーやがて、彼への想いは無残にも打ち砕かれることになる。ニコは手の届くはずもない、イタリア屈指の大公爵だった。しかも彼にはすでに、家同士で決められた婚約者がいたのだ。
豪奢な屋敷で何不自由なく育ったチェシーだったが、父亡きあとは使用人部屋に移り、マイルズに雇われていた。頬に傷跡が残る孤独な主人の影に、チェシーは心惹かれるが、ある日、マイルズに求婚されて、悩んだ末、退職届をだした。彼に愛などないのは明白だったから…。だがマイルズは、仕事を辞めるまでの4週間は少なくとも僕に従うべきだと、執拗に婚約指輪を買おうとする。だから、チェシーは値崩れしないアンティークものを選んだのだ。別れてから彼が売れるように。凍りついた涙のような結晶を。
訪れたバルセロナで、19歳のローズは若き銀行家ハビエルと出会い、結ばれた。だが、ふたりの恋が砕け散るのに時間はいらなかった。10年後ー従妹の婚約パーティで、はからずもハビエルと再会した彼女は、激しく動揺する。あのあと、ローズはせめて妊娠したことだけでも告げようとし、彼が他の女性との結婚を控えていると聞かされて、流産したのだ。ハビエルはローズの顔も覚えていないのか、社交的な仮面をつけ、「お会いできて光栄だ、ロザリン・メイ」と笑顔で挨拶した。