2017年5月発売
念願かなって百万書房に編集として入社した平摘栞。あこがれの作家の担当を任され喜んだのも束の間、その人は大ヒットのデビュー作以降筆を止めてしまっていた!?さらにベテラン作家の新作を担当するも「売れる本とは?」という難題にぶつかって…。戦う新米編集・平摘栞、100万部目指して今日も編集業に奔走中!読めば元気になる、文芸業界お仕事小説。
母子家庭の幼い姉妹が自宅で殺害される。死体発見時から母親が行方不明の為、母親犯人説が浮上。日本新報甲府支局の南は、本社への栄転を懸け、特ダネを狙って精力的に事件情報を収集。警察のネタ元から犯人の情報を掴み、紙面のトップを飾る記事を書いた。だが、それは大誤報となって…。巧妙な罠に翻弄されながらも、新聞記者としての矜持と野心の狭間で真実を追う男の闘い。長編ミステリー。
時は奈良時代。藤原家の一族として生を享け、美しく光り輝くように成長した姿から、父・藤原不比等に光明子と名付けられた一人の少女がいた。成長とともに激しさを増す朝廷の権力争い、貧窮者の救済、仏教の広布、相次ぐ災害や疫病…数々の混迷を乗り越え、夫・聖武天皇を支え、国と民を照らす大仏の建立を目指す。時代を大きく動かし、国の礎を築いた光明皇后。その生涯が鮮やかに蘇る歴史長編。
南宋の根本を揺るがす「印璽・短剣」と引き換えに、秘密裏に南宋を脱出した岳飛。直後、許礼ら南宋軍に追われるも、梁山泊の致死軍に守られ南下、大理の近くで居を構えることに。そんな中、弱体化したかに思われた青蓮寺の不穏な気配が其処彼処で感じられるようになる。一方、秦容のいる南の開墾地は銭が流通し、町としての機能が整い始めていたー。独り聳立する岳飛。ついに岳家軍、再起の第七巻。
夫との関係に悩む泉は、ある日女子高生の飛び込み自殺を止める。事情を聞いているはずが、知らず知らずのうちに自らの身の上話をしていた泉。やがて二人は魅かれ合い、お互いをかけがえのない存在だと知る。家族として共に歩むことを決意し、理想の地を求めて山里へ移り住んだタカシマ家は、母二人、子二人での生活を始めてー。たくさんの喜びを紡いだ一家の軌跡を描く、愛と再生の感動長編。
享保十三年、久留米藩領井上村。大庄屋、高松家の長男である甚八と次男の庄十郎は、父に連れられて訪れた善導寺で、何千と集まる人々の姿を目の当たりにする。「ようく見とけ。これが百姓の力ぞ」。藩主から言い渡された増税に抗議して集まる群衆。あわや一揆かと思われたそのとき、あるお達しが下りー。九州の田舎で飢餓と圧政に苦しむ百姓のために医者を志した少年の成長を描く歴史巨編。
貧富を問わず患者の看病にあたる鎮水のもとで医師修業を積む庄十郎。一方で兄の甚八は大庄屋を継いでいた。あの一揆騒動から二十六年、身を挺して増税を撤回した稲次家老は病に倒れた。度重なる不作、飢饉、人別銀。再び百姓に困難が降りかかるとき、怒りの矛先は甚八のいる大庄屋へ向けられた。時代のうねりの中で懸命に慈愛の心を貫こうとする青年医師の目を通して市井の人々を見た歴史大作。
舞台は東京。地中に潜む「地霊」が、歴史の暗黒面を生きたネズミや人間に憑依して、自らの来歴を軽妙洒脱に語り出す。唯一無二の原理は「なるようにしかならぬ」。明治維新、第二次世界大戦、バブル崩壊から福島第一原発事故まで…首都・東京に暗躍した、「地霊」の無責任一代記!史実の裏側で、滅亡へ向かう東京を予言する。果てしないスケールで描かれた第50回谷崎潤一郎賞受賞作。
米ソ冷戦時代。航空自衛隊パイロット那須野治朗は、米軍大佐バーンズから「お前はソ連機を撃墜できるか?」と問われる。陰謀をはらんだ沖縄上空での米軍機密演習。那須野が迎え撃つ相手とは。そして彼が零戦を表す「ジーク」という二つ名を得た15年前の出来事とは。四半世紀にわたり読み継がれた名作“ゼロ・シリーズ”第一巻、待望の復刊。今こそ、男を取り戻し、そのG(重力)を体感せよ。
異常な暑さと日照りが続く平安京。雨を願う人々の期待を集め、二人の女御がそれぞれ推薦する陰陽師と僧による雨乞い合戦が行われた。だが、祈祷の最中、雲の中から異形の獣が現れる。日照りはその獣ー魃鬼という妖怪によってもたらされていたのだ。そんなとき、逃げ出した魂を追って馬頭鬼のあおえが冥府から再び現れ…。少年武官と美貌の陰陽師見習いが怪異に挑む平安怪異譚、第二弾。
武士を捨てて竹光作りを生業とする雀丸。ある日、三人の武士にボッコボコにされている老人を救い出す。庶民の揉めごとを裁く横町奉行だというこの老人は、あろうことか雀丸に跡を継いでくれと言い出した。危険な目に遭っても「三すくみ」という助っ人が馳せ参じるから大丈夫とも。ところが現れたのは悪徳商人に女ヤクザ、破戒僧という面々でー江戸期の大坂を舞台に描く、抱腹絶倒の時代小説。
人生で大切なことはすべて深夜のラジオが教えてくれた。夜更けに、ラジオのスイッチを入れる。きょうも一日、いろいろあった。みんな、どんな事情を抱え、なにを考える?私たちは、精いっぱい生きている。実在するラジオ番組に耳を傾ける人々の人生を切り取った哀歓5篇。
「失恋した女の子は、タダで髪を切ってくれる美容院があるんだって」そんな噂を聞いた女子高生・葵は、お小遣いがピンチのため美容院『クール・ブリゼ』を訪れ、嘘をつく。が、店長の美容師・港に見抜かれ、おまけに美容師の卵・蛍にまで怒られションボリ帰ろうとした矢先、とある女性客が来てー。ほろ苦くて、ちょっぴり甘い青春ストーリー!「第2回お仕事小説コン」特別賞受賞作。
1階で客から物を買い取り、2階では客に情報を売る『質屋からす』。店主・烏島廉士は、高価な物より人の不幸や欲望にまみれたワケアリの品ばかりを集め、店員の目黒千里も彼がある能力ごと“買い取り”大切なコレクションにしている。あるとき、質草に、哀しみを秘めた赤いかたわれ靴が加わるがー。物に宿った記憶を読み解く大人気ダークミステリー『質屋からすのワケアリ帳簿』シリーズ、待望の新作書き下ろし!
アランソンで一大サロンを築くコルモン嬢をめぐり、水面下で婿の座争いが起こる。老嬢を射止めるのは文なしの老騎士か、中産階級の商人か、貧しく純情な青年か?コミカルな表題作ほか、ルイ11世の宝石泥棒探しを描く「コルネリュス卿」「ボエームの王」「二つの夢」の四篇。
名作揃いの“ブラウン神父”シリーズでも、特に傑作が集まっている第三集が、読みやすくなって新しいカバーでリニューアル!これを読まずしてブラウン神父は語れないほどの傑作「犬のお告げ」、チェスタトンならではの大胆で奇想天外な密室トリックが炸裂する「ムーン・クレサントの奇跡」など、珠玉の8編を収録する。ブラウン神父の魅力あふれる名推理をどうぞご堪能あれ!
1913年オーストラリアの港に英国からの船が着き、ひとり取り残され、名前すら語らぬ少女が発見された。優しいオーストラリア人夫妻に引き取られ、ネルと名付けられた少女は21歳の誕生日にその事実を告げられる。時は移り、2005年のブリスベン。老いたネルを看取った孫娘カサンドラは祖母がコーンウォールのコテージを彼女に遺してくれたと知る。ネルとはいったい誰だったのか?
祖母からコーンウォールのコテージを相続したカサンドラは現地へと向かう。1975年に祖母はなぜそのコテージを買ったのか?今はホテルとなった豪壮な屋敷の敷地のはずれ、茨の迷路の先にコテージはあった。そこでカサンドラは、ひっそりと忘れられていた庭園を見出す。封印されていた花園は何を告げるのか?祖母は誰だったのか?デュ・モーリアの後継といわれる著者の傑作。