2017年6月15日発売
重田ミドリは小学3年生の女の子。一緒に暮らすのは父親の広とその恋人、源三である。母親の貴美子は広の心境の変化についていけず、離婚話もあまり進まない。だが、進まない理由はそれだけではなくー。それぞれの理想の“かたち”を追い求め、もがくミドリたち。彼女たちに訪れるのは一体どんな結末なのか。
シャーロック・ホームズが現実の歴史に溶けこんだ。いかに彼は目撃者のいないライヘンバッハの滝の死闘で、モリアーティ教授への正当防衛を立証し、社会復帰しえたのか。日本で実際に起きた大津事件の謎に挑み、伊藤博文と逢着する。聖典のあらゆる矛盾が解消され論証される、20世紀以来最高のホームズ物語。
ランドマークタワーの六十八階で、横浜の大神が「横浜大戦争」の幕開けを宣言。大洋ホエールズのユニフォームを着ている保土ケ谷の神を主人公に、戸塚・泉・栄の三姉妹、それぞれ身勝手な鶴見や金沢や港南、港北・緑・青葉・都筑の擬似家族、横浜中心部を司る中・西の姉弟などが、横浜の“中心”を決めるべく、くんずほぐれつの戦いを繰りひろげる。舞台は旧ドリームランド、山下埠頭、こどもの国などに展開し、驚くべき結末が待っている…。前代未聞にして空前絶後のエンタテイメント長編。
名探偵・阿久津透。その性格、傲岸不遜にして冷酷非情。妥協を許さず、徹底的に犯人を追い詰める。しかし、重大な疑惑が持ちあがった。それは、彼が証拠を捏造し、自らの犯罪を隠蔽したというものだったーKappa-Two応募当時、弱冠20歳。新しい才能は、本格ミステリにどう挑んだのか。ミステリファン必読のデビュー作!
関東随一の犯罪都市と噂される「烏賊の都・烏賊川市」では、連日、奇妙な事件が巻き起こります。時には、私立探偵・鵜飼杜夫が駆けつけられないことも。でも大丈夫。この街では事件もたくさん起こるけど、探偵もたくさんいるのです。ひょっとしたら、探偵がいなければ事件も起こらないのかも…。日本推理作家協会賞にノミネートされた佳編「ゆるキャラはなぜ殺される」など、安定感抜群のユーモアミステリ5編を収録した傑作集!
あるとき起こった夫婦間の殺人事件。妻の浪費癖や浮気が原因と思われた。事件は一応の終焉を迎えたかに見えたが、行方不明事件が発生し、さらには連続頭部遺棄事件という深い闇が…。幼児誘拐犯+頭部遺棄殺人犯VS.刑事×憂鬱な引きこもり青年。甘美な罠、許されざる復讐。そして迎える慟哭のラスト!新感覚ミステリー、ここに誕生!史上最弱、不安椅子探偵あらわる!
ダム工事の現場で、縄文人男性と弥生人女性の人骨が発見された。二体はしっかりと手を重ね、互いに向き合った姿であった。三千年近く前、この男女にいったいどんなドラマがあったのか?新聞記者の佐藤香椰は次第に謎にのめりこんでいくー。紀元前七世紀、東日本。谷の村に住むウルクは十五歳。野に獣を追い、木の実を集め、天の神に感謝を捧げる日々を送っている。近頃ピナイは、海渡りたちがもたらしたという神の実“コーミー”の噂でもちきりだ。だが同時にそれは「災いを招く」と囁かれてもいた。そんなある日、ウルクは足を踏み入れた禁忌の南の森でカヒィという名の不思議な少女と出会う。
“コーミー”は暮らしを豊かにする神の実か、それとも災いの種なのか。禁忌の南の森に入ったウルクのピナイ追放が決まった。だが裏ではコーミーを手に入れてくれば帰還を許すという条件がつけられる。初めて目にする村の外、ウルクは世界の大きさを知る。しかし、そんな彼を執拗につけ狙う存在がいた。金色の陽の獣・キンクムゥ。圧倒的な力と巨躯を持つ獰猛な獣に追い詰められたウルクは、ついに戦いを決意するー。一方、新聞記者の佐藤香椰は、死してなお離れない二体から、ある大切な人を思い出していた。第5回山田風太郎賞受賞作。
こわがりなのに、大学の推理小説研究会に入ってしまった「僕」と、ミステリが大好きな中学生の「先生」が、身のまわりで起きるちょっとした「?」を解決していく“二葉と隼人の事件簿”シリーズの第2弾。前作『先生と僕』同様、ふたりの活躍に加え、ミステリガイドとしてみなさんを愉しいミステリの世界へと導く!
スマート泥棒ー略してスマドロは、閑静な住宅街で白昼堂々、鮮やかな手口で盗みを働き、世間を騒がしている。物語は、ある主婦がスマドロの話題から、自分の半生をどこの誰ともわからぬ電話の相手に延々と喋り続けるシーンから始まる。新たな語り手が登場する度に、彼女をとりまく複雑な人間関係が見えてくる。パズルのようなミステリーの最終章に待ち受ける真実とは!?第35回小説推理新人賞を受賞したデビュー作!
市民楽団のヴァイオリニスト・宇田川匠は、同じ楽団の涌井朱音と懇意になり、ある夜、19世紀のメキシコで起きた「死者の日」の出来事を語り出した。それは人の精気と能力を奪い、永遠に生きる夜の種族が人間の女に恋をするという信じがたい物語だった。現代の東京と19世紀のメキシコー交差する二つの物語の結末は、幸せか、破滅か…。魂を揺さぶる幻想ミステリー。
恋人も仕事も失い、伊勢神宮に神頼みにやってきた谷原芽衣。事もあろうか、駅から内宮に向かう途中に有り金を盗られた芽衣は、泥棒を追いかけて迷い込んだ内宮の裏の山中で謎の青年・天と出会う。一文無しで帰る家もないこともあり、天の経営する宿『やおよろず』で働くことになった芽衣だが、予約帳に載っているのは市杵島姫や磐鹿六雁など聞きなれない名前ばかり。なんと『やおよろず』は、お伊勢参りにやってくる日本中の神様御用達のお宿だった!?
妹とともに、両親の遺した定食屋を継ぐことになった高坂哲史。ところが哲史は料理がまったくできず、妹に怒られてばかり。ふと立ち寄った神社で、「誰かに料理を教えてもらいたい」と愚痴をこぼしたところ、なんと神様に、この世に未練を残した魂を憑依させられてしまった。神様曰く、魂から料理を教わる代わりに、その魂が望む相手に料理を振る舞い、未練を解消してやってほしいということでー。思い出の味を繋ぐ、五編の心温まる物語。
高校三年生の夏休みに入ってすぐ、友部僚太の家の隣に引っ越してきた沢井美菜は画家で、最愛の人を亡くした未亡人だった。その夜、自室の窓から美菜の寝室を覗き見ることができると知った僚太の眼に、バスタオルを巻いただけの姿の美菜が現れる。反対側の隣に住む、幼馴染みの大学生川村彩香の母もまた、未亡人だった。実力派による傑作エロス。
妻が旅行で不在のあいだ、実家に戻った作家が、犬の散歩の際に訪れた河原で、のっぺらぼうの奇妙な人形を拾う(「人形」)。小さな箱を携え、エーゲ海の船旅に参加した男が、いけすかないアベックの殺害を企てる(「エーゲ海の殺人」)など、歴史ある日本推理作家協会賞を受賞し、ミステリー界が誇る作家六名による、奇異で妖しい物語を収録した珠玉作短編集シリーズ第四弾。
同居の老人の奇行に悩まされ追い詰められた主婦が、一線を越えた末に信じがたい事実を知ることになる(「厭な老人」)。静かな部屋で時を告げる古い鳩啼時計には、遠く離れた恋人との悲劇の結末が隠されていた(「鳩啼時計」)など、歴史ある日本推理作家協会賞を受賞し、ミステリー界が誇る作家六名による、幻想と怪奇に彩られた物語を収録した珠玉作短編集シリーズ第五弾。
寛永寺御上覧試合に東海代表として出場が決まったものの、未だ負傷した右腕が癒えない湯瀬直之進は、稽古もままならず、もどかしい日々を送っていた。続々と各地の代表が決まる中、信州松本で行われた信越予選では、老中首座内藤紀伊守の家臣室谷半兵衛が勝ち名乗りを上げる。だが、江戸では内藤家に仕える中間の首なし死体が発見され、内藤紀伊守の行列を襲う一団が現れた。不穏な気配が漂う中、遂に御上覧試合当日を迎える!人気書き下ろしシリーズ第三十七弾。