2017年7月28日発売
日本の誇る情報機関(便宜上「イトウ家」と呼ばれる)、そこには使役される猟犬がいる。外国人にもかかわらず、不本意ながら猟犬となった男が休暇を取ったその日、日本のまどろみは崩壊したー。関西国際空港に新宿駅、日本の主要都市で起きる爆弾テロに銃撃テロ。“外国人の反乱”に、男が動く。猟犬は、どの旗に忠誠を誓うのか?現代日本を舞台とした、至極の“スパイ小説”!!
この世とあの世の狭間で迷える魂を救う仕事をしている、元タクシー運転手の速人と少女・彩葉。速人は「この世」に残してきた妻と娘のことが気にかかっていた。娘の雪音も、車に変身して現れる「父」のことを待っていて…。面白うてやがて涙ホロリの魂救済ストーリー。
化生の血を引く、稀代の陰陽師ー安倍晴明。ある日、宮腹の中納言と呼ばれる帝の血を引く貴族から、禁域の沼で瀕死の状態で見つかった息子を助けてほしいと依頼がくる。「夢に出てきた不動明王が、安倍晴明に助けを乞えと告げた」という中納言の言葉をいぶかしむ晴明の前に、禁域の沼の主・みずちが現れー!?新・安倍晴明伝第5弾!
SUBARUの安全神話の源流となった男。「疾風」をテストした米国空軍は、その性能に驚愕した。幻の「富嶽計画」に込めた平和への願い。
最強の殺し屋はー恐妻家。「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。一人息子の克巳もあきれるほどだ。兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。引退に必要な金を稼ぐため、仕方なく仕事を続けていたある日、爆弾職人を軽々と始末した兜は、意外な人物から襲撃を受ける。こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない。『グラスホッパー』『マリアビートル』に連なる殺し屋シリーズ最新作!書き下ろし2篇を加えた計5篇。
黒滝誠治警部補、非合法な手段を辞さず、数々の事件を解決してきた元凄腕刑事。現在は人事一課に所属している。ひと月前、赤坂署の悪徳刑事を内偵中の同僚が何者かに殺害された。黒滝は、希代の“寝業師”白幡警務部長、美しくも苛烈なキャリア相馬美貴の命を受け、捜査を開始する。その行く手は修羅道へと繋がっていた。猛毒を以て巨悪を倒す。最も危険な監察が警察小説の新たな扉を開く。
平穏な時間。それ以外に欲しいものなんて何もないー。山崎由実はすべてを捨てて家を飛び出し、知らない町の古びた薬屋に辿り着いた。店主の平山タバサは、由実を薬局の手伝いと家事全般の担い手として住み込みで雇ってくれた。見ず知らずのわたしを、なぜ…。謎めいたタバサの本心はわからぬままだが、由実は次第に新しい生活に慣れてゆく。誰しもがもつ孤独をたおやかに包み込む長編小説。
太平洋戦争中、南方戦線で負傷した一等兵の私は、激戦の島に建つ臨時第三野戦病院に収容された。最前線に開いた空白のような日々。私は、現地民から不足する食料の調達を試み、病死した戦友眞田の指の骨を形見に預かる。そのうち攻勢に転じた敵軍は軍事拠点を次々奪還し、私も病院からの退避を余儀なくされる。「野火」から六十余年、忘れられた戦場の狂気と哀しみを再び呼びさます衝撃作。
サーフィンの夢を諦め、バリ島から香港を経由し、流木のようにマカオに流れ着いた伊津航平。そこで青年を待ち受けていたのはカジノの王「バカラ」だった。失った何かを手繰り寄せるようにバカラにのめり込んでいく航平。偶然の勝ちは必要ない。絶対の勝ちを手に入れるんだー。同じくバカラの魔力に魅入られた老人・劉の言葉に導かれ、青年の運命は静かに、しかし激しく動き出すのだった。痛切な青春小説にして、究極のギャンブル小説。
取り憑かれたようにバカラに打ち込む伊津航平。中国人を装ってマカオに長く暮らす劉。心に深い傷を負いながら航平と惹かれ合う娼婦の李蘭。それぞれに背負う闇の淵を互いに覗き合う三人。そして物も言わずその中心に鎮座するバカラとその謎。もっとも純粋な生き方を求めた先に待つのは、破滅だけなのか…。雷のように交錯し、薔薇の花弁のように砕け散る三人の運命は何処へ向かうのか。カジノの王バカラに挑む男たちの熱い物語。
劉が遺したノートにたった一言書かれた謎の言葉。あの人はついにバカラの必勝法を見出したのか?偶然のなかに完全な必然はあったのか?その指先でバカラの深奥に触れた航平は退路を断ち、最後の賭けに打って出るー。もう後戻りなどしない。勝つためではなく、生を濃く生きるために。世界を掴み、神になるために。幾多の河を渡り、最後の岸辺に着いた青年は何を見たのか。激動の完結編。
文武両道の県立北園高校にとって、甲子園への道は遠かった。格下の相手に負けた主将香山が立ち尽くした昭和最後の夏。その十年後は、エース葛巻と豪腕宝迫を擁して戦った。女子マネの仕事ぶりが光った年もあった。そして今年、期待されていないハズレ世代がグラウンドに立つ。果たして長年の悲願は叶うのか。先輩から後輩へ託されてきた夢と、それぞれの夏を鮮やかに切り取る青春小説の傑作。
「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが……。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、「夜警」「関守」の全六篇を収録。史上初めての三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔。山本周五郎賞受賞。
両親の離婚でひとりぼっちになった少年は、13歳の誕生日を迎え、憧れのサーカス団・レインボーサーカスに飛び込んだ。ハイヒールで綱の上を歩く元男性の美人綱渡り師、残り物をとびきり美味しい料理に変える名コック、空中ブランコで空を飛ぶ古参ペンギンと、個性豊かな団員達に囲まれて、体の小さな少年は自分の居場所を見つけていく。不自由な世界で自由に生きるための、道標となる物語。
親に抑圧されて育った無気力な高校生・有森澪音は、喫茶カグヤのマスター・小野寺豪から奇妙な忠告を受けた晩、“夜”と呼ばれる異形が跋扈する廃墟に迷い込んでしまう。そこで澪音は、自分を一方的に知る謎の少年・イザヨイに導かれ、悩みを抱える人のトラウマが具現化した“夜”をなりゆきで退治することになるのだが…。優しくて、ちょっぴり切ない青春異界綺譚、ここに開幕。
時は戦国黎明期、大航海時代。火縄銃・銀・宣教師…世界につながる薩摩の海には、後の大乱の世の火種が流れ着いていた。島津宗家の四兄弟が、祖父・日新斎から受け継いだ「海内統一」「天下静謐」の大願。その鍵は、失われた明の巨大艦船を甦らせることにある。史実を基に、奇才が圧倒的な想像力で物語を展開。歴史小説の新時代の到来を告げるかつて無い戦国巨編が、いま始まる。
米国NSAの局員アーヴァインは暗号解読の専門家。中東のテロリストを炙り出すためのプロジェクト「サイバー・シェパード」を立ち上げた。その矢先に世界各地で同時多発テロが発生するが、被害は最小限に止まる。その立役者は英国MI5の諜報員サリーだった。次なるテロを阻むべく手を組んだ二人は、逃亡したテロリストの首魁アスワミーの行方を追ってサイバー空間を渉猟していくが…。
イギリスが検挙したテロリストを訊問したアメリカは、大失態を犯す。国家の思惑を背負いながらも互いに惹かれ合うアーヴァインとサリー。アーヴァインはアスワミーに繋がるアドレス「スマートマン」を発見したものの、発信元にはたどり着けない。テロリストたちの真の狙いとは?緊迫感が募っていく中、サリーはある符号に気づいた…スパイ小説の巨匠が放つ迫真の電脳諜報サスペンス!
緑の蔦に覆われた大学の古い建物、深い霧に包まれる森。東部ヴァーモント州の大学に編入した主人公リチャードは、衒学的なモロー教授のもとで古代ギリシアの世界に耽溺する学生五人と知り合う。そしてある夜、バッコス祭の神秘を再現する熱狂の中で凄惨な事件が起こった。美と恐怖と狂気が彼らを駆り立てるー『罪と罰』を彷彿とさせる傑作長編小説!