2017年7月28日発売
断末魔のような悲鳴が響き渡ったー未曾有の大地震が山内を襲い、禁門の扉がひらく。失った記憶を必死にさがし求める日嗣の御子・若宮。真赭の薄は、浜木綿の決意に衝撃をうける。宿敵・大猿との最終決戦がついに始まったその時、八咫烏の軍を率いる参謀・雪哉のとった作戦とは。壮大な世界の謎が、いま明らかになる!
悪女の私を殺そうとしているのは、誰? 幼い頃からクラスのヒエラルキーの頂点に君臨してきた光岡めぐみ。二十九歳になった今も、抑えきれない物欲を満たすべく美貌と手練手管を駆使し贅沢を味わっている。かつての同級生たちと三人同時に付き合ってそれぞれに貢がせているのだ。しかし、小学生時代に自分が行った同級生への仕打ちをなぞるかのように何者かに次々と襲われる。めぐみは婚活パーティーで知り合った山本と共に犯人を絞り込んでゆくが……?! 二転三転するストーリーに一気読み必至! 東大在学中にデビューを果たした期待の女性作家、待望の力作!
昭和十一年、夏。死体が発見されるたびに、なぜか刺し傷の数がひとつずつ減ってゆく。殺された男たちのあいだに交友関係などは一切見つからず、共通しているのは全員が多額の借金を背負っていたことのみ。警視庁特別捜査隊は奇妙な連続刺殺事件の謎を追い、帝都全体に捜査の網を広げてゆくがー。捜査隊隊長が目の当たりにした、事件の異様な構図とは?
レオポルト・ヴァリシュ、あだ名は“レミング”。刑事時代、犯人の逃走車輛の前に思わず飛び出したのを集団自殺するネズミのようだと言われ、以来その名前で呼ばれている。訳あって警察を辞め、現在は興信所の調査員だ。ある日、浮気調査で元教師を尾行中、目を離した一瞬の隙に彼が殺害されてしまい…。後先考えないお人よしの探偵が、事件の真相を求めてウィーンを駆ける!ドイツ推理作家協会賞受賞作。
巨大宇宙船ビーグル号は科学者と軍人1000人を乗せ、無窮の宇宙の探索に出発した。だが行く手には、人類の想像を超えた恐るべき怪物たちが待ち構えていた。荒廃した惑星を彷徨する凶暴で狡知にたけた猫型生命ケアル、幻影で精神攻撃してくるリーム人、宇宙空間で棲息可能なイクストル。彼らを相手に人類は科学の粋を集めて死闘を展開する。オールタイム・ベスト級の傑作宇宙SF。
2016年の日本SF短編の精華を収録。今年度版には秋永真琴、上田早夕里、円城塔、北野勇作、倉田タカシ、小林泰三、諏訪哲史、高山羽根子、谷甲州、飛浩隆、酉島伝法、藤井太洋、牧野修、眉村卓、宮内悠介、山本弘らの小説16編をはじめ、石黒正数、弐瓶勉、山田胡瓜のコミック3編を収録。巻末には第8回創元SF短編賞の受賞作と選評を掲載。編者二人による各作品解説や年間日本SF概況、短編推薦作リストなど解説記事も充実した、2016年の日本SFが一望できる年刊ベスト・アンソロジー。
旧文明を滅ぼした“大惨事”から数百年。多くの人々は地上を厭い、壮麗な地下都市に暮らしていた。その一つ、ヴィクトリア朝風文化が栄えるリコレッタでは、過去の知識は重大なタブーとされている。そんな中、禁制の知識を扱う歴史学者が何者かに殺された。女性捜査官マローンと貴族社会の裏側に出入りする洗濯娘ジェーンはそれぞれの立場から、世界を覆す秘密に近づいてゆく…。
夫の事故死から半年後、ローワンの家に義弟ダリオが突然現れると、ぶしつけに尋ねた。「兄との間にできた息子はどこにいる?」いったいなんの話?ローワンには子供はいない。夫はイタリアの伯爵家の長男だが、父親からは勘当されていた。だがダリオと話しているうちに、子供が生まれたと嘘をつき、伯爵家から多額の養育費をせしめていた夫の裏の顔が見えてきた。ダリオから明らかな疑惑の目を向けられたローワンは狼狽した。違う!私は知らなかったのよ。有無を言わさず彼が冷たく告げた。「僕と一緒にローマに来て、父の前で弁明してもらおうか」
その夜、メイドのレイニーは強欲でわがままな伯爵夫人に従って、モナコの王族が主催する舞踏会にいた。そこで突然、世界的な億万長者カシウスからダンスに誘われる。気づいたとき、レイニーは彼のペントハウスにいた。「僕が君を喜びせられなかったら、1千万ドルやろう。だが喜びを味わえたなら、僕の子供を宿してもらう」カシウスの冷酷だが熱い誘惑に、無垢なレイニーはとまどった。バージンの身で彼に従ったのは、病弱な祖母と盲目の父にお金を送るため?それとも…彼が運命の男性だと信じたため?
生き別れた弟が無実の罪を着せられて逮捕されたと知り、アマリアは13年ぶりに母国カリージュの壮麗な宮殿を訪れた。執務室に迷いこんだ彼女は、玉座のような椅子に座る男性の琥珀色の瞳に射すくめられた。若き国王シーク・ゼインーその威厳に満ちた貴族的な美貌と尊大な言葉に圧倒されながら、アマリアはこれがゼインの花嫁選びの面接であることに気づく。事情を話して窮状を訴え、弟のためなら王国を脅迫することも辞さないという彼女に対し、ゼインは不快感もあらわに命じた。「君に選択肢はない。期間限定で王妃の役を務めてもらおう」
スペインの離島で、家政婦として働いていた孤児のロージーは、雇い主の遺言で島の半分の所有権を相続することになり、驚愕する。だがその遺言に彼女以上に驚き、不満をあらわにしたのは、島のもう半分を継いだ雇い主の甥で世界的なホテル王、ドン・シャヴィエル・デル・リオだった。しかも2年以内に後継ぎをもうけるという条件まで課された彼は、強引にリゾート開発を進めようとして、ロージーと激しく対立した。大好きなこの島と人々を守りたいー悩んだ末、ロージーは決めた。自らを犠牲にして差しだすのだ。彼の後継ぎを産む花嫁として。
幸せいっぱいだったアディソンの結婚はいま、岐路にあった。情熱的な恋愛をへて結ばれたはずの夫ケイレブは、ここ数年、莫大な財を築く一方で、家庭をないがしろにする仕事人間になり果てた。思い悩んだすえ、彼女は結婚の存続をかけて旅行の計画を立てる。南の島でゆっくり過ごし、愛がよみがえるか確かめるのだ。はじめこそ反対して怒りを示していたケイレブだったが、やがて美しい景色を背に息子と戯れる彼の姿に、アディソンは安堵した。でも、問題はこれから。わたしのおなかには新しい命が宿っているーそして、2人目の子供はいらないと明言する彼には伝えられずにいる。息子の誕生に涙を流した在りし日の彼を、どうしたら取り戻せるの?2部作の第2話で、前作『シンデレラの最後の恋』と同時進行する、結婚の危機を描いた物語。心が離れた夫との離婚も脳裏をよぎるなか、妊娠に気づいたヒロイン。ベビーの存在は愛をつなぎとめるのか否か。
幼すぎた結婚と別れが、 こんなにも苦しいなんて……。 「グレッグが戻ってきたの」母の言葉に、スーザンは耳を疑った。 19歳で結婚したものの1年もせずに別れた元夫が、 彼女の父と仕事をするために、この地へ帰ってきたのだ。 もともと厳格な両親と折り合いが悪かったスーザンは、 規範にとらわれないグレッグの奔放さに憧れて妻となったが、 最愛の兄を亡くして別人のように変わってしまった彼になじめず、 彼女から離婚を切りだしたのだ。それは、幼すぎた過ちだった。 6年経っても、彼の名を聞いただけでこんなにも心が乱れるというのに、 今さら笑顔で再会するなんてできない。 だが、動揺を隠せないスーザンに追い打ちをかけるように、 グレッグと“親しい”という女性が現れ……。 Y・ウィタルの稀少な未邦訳旧作をお贈りします。かつて別れた夫への思いが残っていた自分に驚き、心が千々に乱れるヒロイン。未練な気持ちを懸命にかき消そうとしても、心は嘘をつけなくて……。切ない展開のあと、物語終盤に驚きの結末が待ち受けています!
これからずっと、私は日の当たらぬ花。 妹のためにそう決めたはずなのに……。 社交界の華ともてはやされる妹と、それを陰ながら支える姉。 エイミー・サモナーが妹の引き立て役に甘んじているのには、 世に知られざる“サモナー家の秘密”が関係していた。 無口で品位漂うとされる妹はそのじつ、知的ハンデを負っているのだ。 母が亡くなり、幼い頃からずっと面倒をみてきたエイミーは、 みずからの結婚をあきらめ、生涯、陰ながら妹を助ける道を選んだ。 あるとき、名士である姉妹の父に近づこうとする野心家のベンが 妹に求婚する計画があると聞き、エイミーは警戒心を強める。 絵に描いたような美男子の彼は公爵の落胤と聞くが、謎の多い人物だ。 ありのままの妹を本気で愛してくれる人としか結婚はさせられないわ! だが、そう心に誓った彼女自身が、よもや彼の虜になろうとはーー つねに予想もつかない展開を編み出す人気作家C・メリルの作品をお届けします。助けを必要とする最愛の妹のため、みずからの婚期を犠牲にしているエイミー。妹の不埒な求婚者に対する複雑な思いに葛藤しますが、ベンのほうも彼女に惹かれたくない理由が……。
ブルーデンスがゴシック小説を書き始めたのは、家から見えるいわくありげな館の佇まいに想像力を刺激されたからだ。その断崖絶壁に立つかつての大修道院は、今は訪れる者もない。荒れ果てた館の中に入れたら、構想も浮かびそうなのだけれど…。そんなある日、待望の好機は突然やってきた。館の持ち主レイヴンスカー伯爵セバスチャンがこの地を訪れたのだ。稲光に照らされた黒い馬車、蹄を鳴らす黒馬、漆黒の髪の美しき男性。暗い空の下、ブルーデンスは彼を呆然と見つめたー“悪魔伯爵”だわ。この人こそ、物語の主人公にぴったり!
ミラは17歳のとき、政略結婚の相手ティエリと対面し、心奪われた。教養に満ち、目もくらむほどセクシーで、自信にあふれた人!ところが、ティエリの顔に浮かんでいたのは明らかな失望の色。ミラは太って冴えない容姿だったのだ。彼にふさわしい妻になりたくて、ひそかにミラはアメリカへ渡った。婚礼の日までに美しくなろうと。7年後、輝くような美女に変身したミラは、帰国前に偶然ティエリと再会する。そして婚約者とは気づかぬ彼に偽名を名乗り、甘いひとときを過ごした。だが、結婚の日を心待ちにするミラの耳に届いたのは、彼が独身最後のこのときに高級娼婦を買うという噂。ミラは矢も楯もたまらず、自分が替え玉になろうと思い立ち…。
ハンサムでセクシーな不動産王、ニックに強引に週末旅行に誘われ、アビーは思い悩んだー彼は父親の商売敵。でも、わたしは父とは違う。一度だけなら…。思いきって応じたアビーは、贅沢な船旅や孤島の別荘での歓待に有頂天になる。彼と体を重ねるのは、ごく自然な成り行きだった。だが夢のような週末のあとには、残酷な現実が待っていた。ニックにもてあそばれただけだと知り、アビーは打ちのめされる。さらに、関係を知った父が激怒し、会社を解雇されたアビーはすべてを失って…。
ロンドンの最高級ホテル、リッツのレストラン。スティーブンがポケットから取りだしたダイヤの指輪を見てキャロラインは目をみはった。プロポーズに迷いながらもイエスと答える。やがてお祝いのダンスを終えたとき、社長が近寄ってきたーマーク・ライダー。鋼色の目と漆黒の髪を持つ、彼女の上司。ダンスに誘われ、マークの手がウエストに触れた瞬間、キャロラインの全身に震えが走った。マークの秘書として働き始めて以来、ずっとこの感覚に抗ってきた。彼を見るたび、気持ちが高ぶり、そして不安になる。わたしはスティーブンを愛しているはずなのに…なぜ?
ロンドンでパーティ・プランナーの助手として働くメリッサは、 地中海の小国ザフィリンソスを訪れていた。 近々開かれる、カジミーロ国王が主催する舞踏会を手伝うためだ。 だが、彼女にはもう一つ、重要な目的があった。 じつは2年前、カジミーロとメリッサは束の間の情熱を分かち合い、 メリッサは妊娠。彼に知らせぬまま密かに息子を産んでいた。 カジミーロには私の口からきちんと真実を話したい……。 国王への謁見を許されたメリッサは、すぐに自分の愚かさを呪った。 カジミーロは彼女のことなどまったく覚えていないばかりか、 耳を覆いたくなるような罵倒を浴びせ、手酷く追い払ったのだ。 2011年に刊行された、人気作家シャロン・ケンドリックのシークレットベビー作品をお贈りします。以前とは別人のような国王の変貌には、じつは誰にも知られてはならない秘密があったのでした。