2017年発売
ヨーロッパの小国アゴンの王宮博物館の学芸員エイミーは、皇太子ヘリオスと惹かれ合い、秘密の関係を持つようになった。しかし、いずれ国王になる彼は王族から后を迎えねばならず、二人の関係は初めから彼の結婚が決まるまでと限定されていた。そんなとき、ヘリオスの后選びのための舞踏会の開催が決まった。思いがけない胸の痛みに、彼への愛を再認識したエイミーは、別れを告げられる前にみずから身を引き、アゴンを出ようとする。だがヘリオスは無情にも愛人を続けるよう迫ると、厳しく告げた。「逃げたいなら逃げればいい。僕がすぐに君を連れ戻す」
父の命令に従い、ローズは愛なき結婚をした。夫となったのはレオン・カリディスー情熱的な黒い瞳の、傲慢でセクシーな億万長者だ。ローズはさえない少女だった頃から密かに彼に恋していたが、結婚式の夜、汚れなき妻の待つ部屋にレオンは現れなかった。それから2年経ってもレオンは外出がちで、妻に指一本触れなかった。惨めで孤独な日々に耐えかねたローズが離婚を決意した矢先、レオンは交通事故に遭い、いっさいの記憶を失ってしまう。別人のように優しい彼は激しく妻を求め、ローズは甘い衝撃に震えた。
裕福な夫妻にベビーシッターとして同行し、順調にヨーロッパ周遊旅行を続けていたポリー。ところが嫉妬深い妻から夫を誘惑したと疑いをかけられ、突然解雇されてしまう。弟になけなしのお金を貸した直後で南仏からイギリスに帰る旅費もなく、困り果てていたところ、イタリア系の魅力的な男性に出会った。ラウルという名の彼は、後見している子の世話を頼みたいと言い、豪華なクルーザーにポリーを招待した。だがふとした隙に船は出航、気づけばポリーはコルシカ島の城で囚われの身となり…。
7年前、キャットは赤ん坊を早産のすえに2日で亡くし、婚約者とも破局して、悲しみをかき消すように仕事一筋に生きてきた。ある日、出張先のバルセロナで同じ医師のドミニクと出会い、美しい彼に惹かれるまま情熱的な一夜を過ごす。一夜限りとわかっているけれど、もっと一緒にいたい…。けれど、何か秘密を抱えているようすの彼を信じきれず、けっきょくは後味の悪い別れを迎えたのだった。やがて思いがけぬ妊娠が発覚し、脳裏に7年前の恐怖がよみがえったが、キャットはドミニクには知らせず、一人で産む決心をする。だが産休中の代診医として現れたのは、ほかでもないドミニクだった!
父の住む異国で開かれたパーティで、ニッキーは思わぬ人物と再会した。女性たちの目を引きつけてやまないその男性とは、かつて彼女が熱い恋に落ちて結婚したものの、4年前に別れたブレイク。仕事で世界中を飛びまわる彼との生活はすれ違いの連続で、愛されていないと感じた彼女は悲痛な思いで離婚を申し出た。心の中では、“お願いだから、止めて”と叫びながら。しかし必死の祈りもむなしく、彼はあっさりと承諾したのだった。とうに葬ったはずの悲しみに襲われ、その夜、ニッキーは枕を濡らした。だが衝撃はそれにとどまらず、翌日、何者かに誘拐された彼女は、背後から囁かれる声に凍りついたーそれは、冷たい元夫の声だった。
「失礼しました、マイ・ロード」招待客のひしめく舞踏会で、アメリカ人作家の娘カトリーナは、ぶつかってしまった男性に謝った。知的で魅力的な彼に強く惹かれたものの、互いに名乗らぬまま別れた。じつは彼の正体は、イギリス社交界で知らぬ者はない、ライアンズデール公爵ジュリアンー“マイ・ロード”以上の高貴な呼びかけをされて然るべき身分だが、彼はあえて訂正せず、アメリカから来たという彼女と気軽な会話を楽しんだのだった。だが異国の娘とかかずらって名門の面汚しになるつもりは毛頭なかった。一方、そうとは知る由もないカトリーナは彼への想いを募らせるが、行く先々で出会うもことごとく無視されて胸を痛め…。
1789年英国。孤児のプルーデンスは、冷たい雨が降りしきるなか、宝物のブローチだけを手に、南を目指して歩いていた。人使いの荒い北部の紡績工場から逃げ出して、もう3日。追ってくるかもしれない監督官の目をあざむくため、かかしの服を拝借し、腰まであった髪も切った。そんな折、ひょんなことからウェントワース卿セバスチャンと出会い、世にも恐ろしげな追いはぎから救われたうえに、食事と服も与えられる。自分が薄汚れた少年のようななりをしていたにもかかわらず、女性だと気づいたという彼に、ブルーデンスは胸のうずきを覚えた。高貴な身分のセバスチャンに恋する資格など、あるはずもないのに…。
アメリカに花嫁を募集しに来た王子様ですって?コーリは女優を目指す双子の姉アンの話を聞いて仰天した。“王子様と結婚したいのはだれ”というコンテストに参加し、見事ヨーロッパの王子の心と婚約指輪を射止めたという。ところが、映画の大役に抜擢されて急遽撮影に入ることになり、代わりに断ってほしいと頼み込まれたのだ。姉の成功を願うコーリは、しかたなく依頼を引き受けた。現地に着いたら、話をつけてすぐに帰国すればいい。ところが空港に着いたとたん、コーリは王子の側近に連行され、部屋に閉じ込められてしまった。
「ぼくに会いに来たんだね」高級なスーツに長身を包み、黒い瞳に怒りを燃え立たせたリュックは、そう言ってシャリの唇を奪った。ひと月前、シャリは大企業の重役リュックとパーティで出会い、一夜の熱い恋におちた。皮肉なことにリュックは、暴力をふるっていた元婚約者のいとこだった。その事実を知ってシャリがまだ婚約中と誤解したリュックは、彼女の愛を疑って冷たくなじり、去っていったのだ。彼に会いたくはなかった。でも、きちんと言わなければ。“わたしのおなかには、あなたの赤ちゃんがいるの”と…。
幼い頃に両親を亡くしたテリは学生のときに兄も失った。そんな彼女を雇ってくれたのは、亡き兄の親友バック・モーガンー自らの力でリゾート運営会社を設立した裕福な男性だ。テリは14歳のときからバックに恋心を抱いているが、プレイボーイの彼には、ただの秘書としか見られていない。それなのにテリは、ある日、一線を越えてしまった。頭痛薬ののみすぎで意識が朦朧とした彼に求められるまま、ベッドをともにしてしまったのだ!でも、彼はすぐ眠ったから何も覚えていないはず。相手が私だということも。ところが翌日、バックの態度が以前と違うことにテリは気づき…。
『アテネに恋して』-まじめで地味なレベッカは伯母の死をきっかけに仕事をやめ、家も家財道具もすべて売り払い、ギリシアの島へ自分探しの旅にやってきた。ホテルのレストランで魅惑的な男性ステファノスからシャンパンをおごられ、旅行を思いきり楽しむため、衝動的に洗練された女を演じる。ところが、ステファノスは実はギリシアの大富豪で…。『危険な薔薇』-故郷を離れシカゴで孤独に暮らすクリスティのもとにある日、差出人不明の薔薇の花束とメッセージが届いた。ストーカーの影におびえていたクリスティは警察に通報するが、駆けつけた刑事の姿を見て思わず目を疑った。かつて彼女が初めて恋し破れた相手スコットが、すっかり大人の男性となってそこに立っていたのだ。『熱い砂の上で』-実業家のアダムは、幼なじみのメルと7年ぶりに偶然再会した客船の船上で嵐に襲われ、二人きりで無人島に流れ着いた。貧しい少年だったころ、名家の令嬢メルへの恋心をもてあまし、彼女をいじめてばかりいた。今、メルは昔と変わらぬ嫌悪の表情を向けてくる。この機会に誤解を正し、彼女の身も心も手に入れたい。アダムはひそかに決意し…。
田舎の小さな店で、19歳のサッシーは身を粉にして働いていた。横柄な店長からこき使われ、嫌がらせを受けようとも、病床の母と幼い義妹を養うためには耐えるほかなかった。ある日、近所に引っ越してきたばかりだという、ジョンと名乗るハンサムな男性が店にふらりとやってきた。それ以来、彼は何くれとなくサッシーを気遣い、ついには店長の横暴な振る舞いを諌め、救いだしてくれた。なんて素敵な人なのかしら。サッシーは初めてのときめきに戸惑いつつ、ジョンへの想いをつのらせていったー実は彼が世界的な億万長者で、雲の上の存在だとも知らずに。
エンリコが交通事故で意識不明ですって?知らせを受けたジャンナは車を飛ばし、すぐに病院へ駆けつけた。ジャンナにとって彼は、15歳から憧れ続けている大切な人。富豪となり美女と婚約してしまった今でも想いは変わらぬままだ。ジャンナはその日から不眠不休でエンリコに付き添い、祈り続けた。その甲斐あってか5日後、奇跡が起きる。彼の意識が戻ったのだ。だが、その口から出た言葉は耳を疑うような冷たいものだった。「僕の婚約者が見舞いに来るから邪魔をしないでくれ」追い打ちをかけるように医師からエンリコの下半身に麻痺が残ると聞かされ、ジャンナの張りつめた心は粉々に砕け散った。
ジョシュア・ディレーニー。いったいこの人は何者なのかしら。リリー・アンは、酒びたりで疎遠にしがちだった亡き父が、秘密裏にある男性に送金しつづけていたことを知ったばかりだ。どうやら父はゆすられていたらしい。自分の治療費を削ってまで金をつくり、死んでいった。真相をつきとめようと、ディレーニー家に赴いたリリー・アンは、現れた優しげな青年を見て言葉を失う。すらりと背が高く、たぐい稀な美貌を持つジョシュアはー全盲だったのだ。この人が父を脅迫していたなんて、とても信じられない…。
朝早く、玄関をどんどんと叩く音がした。ドアを開けると、見知らぬ男性が険しい顔で家に押し入り、甥の心を弄んで捨てた女だと、リアをなじった。突然のいわれのない非難に面食らったが、どうやら男はリアを、奔放な従姉ポピーと勘違いしているらしい。実業家だという、デミトリオス・クウツウピスと名乗った彼は、端整な容貌を蔑みに歪め、甥の婚約者として、いますぐギリシアに戻るよう、ポピーにーリアに迫った。リアは人違いだと説明する暇も与えられないまま連れ去られた。
気難しい父親と暴力を振るう夫に怯えて生きてきたエリザベス。父と夫が相次いで亡くなり、自由になったのも束の間、追いうちをかけるように、傷心の彼女に影を落とす事件が起こる。こともあろうに、無実の罪で警察から告発されたのだ。エリザベスの頭には、知人のドメニコの名前が浮かんでいた。脚光を浴びている優秀な弁護士だが、威圧的なところもある男だ。とはいえ、他に頼みの綱はない。事務所を訪ねると、案の定、彼の態度は横柄で、不安感を覚えずにはいられない。それなのに、その男らしさにいつしか心惹かれ始める自分がいた。
会社が倒産寸前に追いこまれ、ニーナの父は心労で倒れた。父の会社を乗っ取ろうとしているのは、富裕なギリシア人投資家、男っぽい色香が漂う甘いマスクのアントン・ラキトスだ。ある夜、ニーナは買収を考え直してもらおうと寝室に忍びこむが、酔っ払っていた彼に、無理やりベッドに引きずりこまれてしまう。暗闇でもつれ合ううちにニーナの体は痺れ、奥底に熱を感じ、望んでもいないのに甘い感覚を呼び覚まされるのだった。しかも、ニーナが誰だかわかると、怯える彼女の混乱をよそに、アントンは救済を盾にして、執拗に契約結婚を強要してきたのだ。
“魔王の血涙”と呼ばれる荒野を神様から任され、巨大な迷宮を運営する事になった元は日本人の魔王キアス。素性を隠し武器商人として働きながら、領地の管理に忙しいキアスに、ある日、仲間になった第4魔王の娘レライエとの突然の別れが訪れる。どこかに、キアスの敵対勢力を生み出そうと画策しているやつがいるー。キアスは魔大陸にも真大陸にも影響を及ぼしている、見えない敵を探ろうとする!!「小説家になろう」発、「なろうコン大賞(現・ネット小説大賞)」受賞作、第6巻!
醜く愚鈍な「ブタクサ姫」の過去を捨て、魔女レジーナの弟子として生きることを決めたジル。姉弟子の家で暮らしはじめたジルは、帝位継承権を持つルークの恋人役を演じ(?)たり、喫茶店を経営したり、妖精族と交流したり、森の魔物と戦ったりと、結講忙しい日々を過ごしている。行方をくらましたレジーナからの、皇立学園に留学せよとの伝言を受けたジルは、さっそく学園がある央都シレントに向かうことに。道中、自分を知っているらしい少年司祭と出会うが、そこに豚鬼の群れが現れて…。「小説家になろう」で話題の人気作、シリーズ書籍化第4弾!