2017年発売
薬草栽培、生薬精製につとめる小石川御薬園同心・水上草介。様々な人達の心身を癒し、自身も多くの人に助けられてきた。更なる礎を築くため、ある想いを胸に秘め歩み出そうとする草介の前に、やっかいな騒動が巻き起こり…。江戸を舞台に繰り広げられる、青春時代小説。
「昼も夜も、この部屋を見張れ。この子をこの部屋から一歩も外に出してはならん。死ぬまでな」 なぜ息子をひと思いに絞め殺してしまわなかったのか、その理由を知る者はひとりもいない。しかし皇帝の考えというものは、いつの世でも理解しがたいものだ。(本文より) 1991年に金原瑞人の訳で『ゴースト・ドラム 北の魔法の物語』として福武書店より刊行された、英国人作家スーザン・プライスによる「Ghost World」3部作シリーズの第1部『The Ghost Drum(ゴーストドラム)』が、同じ金原瑞人の改訳でサウザンブックスより蘇りました。美しい限定BOXに入れたゴーストシリーズ3冊セットはサウザンブックスのECショップのみで販売しています。 魔法使いにだけわかる言葉を伝える不思議な太鼓、ゴーストドラム。ニワトリの脚を持つ家に住む、若い女魔法使いチンギスは、ある日ゴーストドラムを通して救いを求める叫びを聞きつけた。叫んでいたのは皇子サファ。生まれてこのかた、父皇帝によってずっと塔の小部屋に閉じこめられていた……。チンギスはサファを救い出せるのか。荒涼とした北の国を舞台にくり広げられる、荒々しい魔法の物語。 1987年、イギリス・カーネギー賞受賞作。 ■ゴーストシリーズ第二弾『ゴーストソング』 愛する息子は渡さない! 魔法使いに逆らった男の一言から始まる苛酷な運命の物語。 ■ゴーストシリーズ第三弾『ゴーストソング』 悪に立ち向かう見習い魔法使いは、世界と自分を救えるのか? 鮮烈で苛酷な闘いの物語、ついに完結。
クラブのVIPルームで撲殺された死体は、鋭利な刃物で鼻がすっぱりと削がれていた。その頃、東京地検特捜部に28歳の若さで配属された秋月さやかは、“無理筋”の仕事に戸惑っていた。大物代議士の不正献金事件の証拠がつかめず、立件が難しくなってきていたのだ。にも拘わらず捜査を急ぐ特捜部。正義を掲げ秋月は孤立していく。結びつく二つの事件。その背景には日本社会の腐敗した組織構造があった。秋月は事件の真相に近づけるのかー。著者渾身の社会派ミステリー。
亡き友の家を守る物書き、綿貫征四郎。姿を消した忠犬ゴローを探すため、鈴鹿の山中へ旅に出た彼は、道道で印象深い邂逅を経験する。河童の少年。秋の花実。異郷から来た老女。天狗。お産で命を落とした若妻。荘厳な滝。赤竜の化身。宿を営むイワナの夫婦。人間と精たちとがともに暮らす清澄な山で、果たして再びゴローに会えるのか。『家守綺譚』の主人公による、ささやかで豊饒な冒険譚。
国内二例目の赤ちゃんポストで張り込んでいた新聞記者・長谷部友美が目撃したのは、嬰児を抱いた石葉宏子の姿だった。独身だと思っていた知人の行動に戸惑う友美。慌てて姿を消した石葉の行方を追ううちに、女の抱えていた修羅が浮き彫りになってゆく。最後に掴みとった驚愕の真相とは。先端医療は新たなる福音か、人倫を揺さぶる悪魔の誘惑かー。
抱かれたい。触れられたい。早くあなたに私を満たして欲しいー。身分の違いで仲を裂かれ、命を落としたはずの女との、蕩けるほどに甘く激しい交わり。殿様の側室と女中が密かにたがいを慰め合う、快楽と恍惚の果て。淫らな欲望と嫉妬に惑い、魔性の者と化した高貴な女の告白。牡丹燈籠、雨月物語、四谷怪談、源氏物語…古の物語に濃厚なエロティシズムを注ぎ描き出した、八つの愛欲の地獄。
ひとりの男が失踪した。金融庁長官の特命を帯びた捜査官の伊地知耕介がマークしているベンチャー銀行の専務だった。銀行の急所を突く証拠と共に消えた金庫番を探し出し、伊地知は不正を暴くことができるのか。野望実現に驀進する会長の坂巻、銀行に巣くう闇の暴力組織。男たちは沖縄の離島へ飛ぶ…。金融界を熟知した著者が放つハードボイルド金融エンターテインメント!
逃げて、逃げて、逃げて。私は“彼”に出会う。樺島信濃は、逃げていた。誰から? 包丁を持った女から。なぜ? 愛人であることがバレたから。逃げて、逃げて、逃げて。今はスポーツジムのアルバイト。けれど、給料では生活費すら賄えず、貢がれたブランド品を売って、なんとか暮らす二十六歳の日々。これではダメだ。わかっている。でも。そんなある日、弟が元恋人とやってきて……。愛とは。家族とは。切なさ極まる長篇小説。
事件の謎はゴッホに聞こう。天才学芸員の佐久間と娘のかえでが越してきた香瀬町では、いま奇妙な事件が起きていた。それは、18年前の消印の絵葉書が届くこと。その当時、一人の少年画家が亡くなり一人の郵便局員が失踪していた。事件の謎を解く鍵は、少年が遺したピカソらを模した絵画。絵に込めた画家の想いを読み解けば、この町の止まった時間が動き出すーーアガサ・クリスティー賞作家の絵画ミステリー!
孤児院で育ったジュディの人生に、とびきりのチャンスと幸せが舞い込んできた。名を名乗らない裕福な紳士が、奨学金を出して彼女を大学に通わせてくれるという。ただし条件がひとつ。毎月、手紙を書いて送ること。ジュディは謎の紳士を「あしながおじさん」と呼び、持ち前のユーモアがあふれた手紙を書き続けるのだがーー。最高に素敵なハッピーエンドが待ち受ける、エバーグリーンな名作。
幸せな結婚を果たした級友ジュデ ィに、彼女の育った孤児院の運営を任されることになったサリー・マクブライド。何不自由ない家庭で育ったサリーにはとても抱えきれない重荷だが、ジュディや恋人の政治家、嘱託医にユーモアたっぷりの愚痴を手紙に書いて送るうち、少しずつ院長の責務に喜びを見出していくーー。『あしながおじさん』に勝るとも劣らない、愛と感動の結末が待つ名作。
まま母と二人の義理の姉にこき使われても明るく暮らす16歳の少女エラ。お城から舞踏会への招待状が届くが、まま母の意地悪でエラは留守番。悲しみに暮れる彼女に、美しい妖精が魔法をかけてーー。輝く宝石と煌めくドレス、珍しいご馳走、不思議な道化、無邪気なダンス、極上の砂糖菓子、そして王子のキス。夢のように魅惑的な言葉で紡がれた、ときめきと幸せが溢れだす永遠のシンデレラ物語。
『結晶世界』『ハイ・ライズ』などの傑作群で、20世紀SFに独自の境地を拓いた鬼才の全短編を五巻に集成。第三巻はサイエンス・フィクションを文芸的手法を用いて、小説に新たな次元を切り開いた濃縮小説(コンデンスト・ノヴェル)の代表作「終着の浜辺」、本邦初訳となる「光り輝く男」など20編を収める。
月桂樹の館で暮らす男の子ジェームズ。ある日館を逃げ出したジェームズは、フィルチングの町で、決して使うなと言われていた金貨でパンを買ってしまう。それがとんでもない事態を招くとも知らず……。物の声を聞く能力をもつクロッド・アイアマンガーと、勇敢な召使いのルーシー。世にも奇妙で怖ろしい運命に見舞われた二人の未来に待つのは? 堆塵館に何が起きているのか。著者本人によるイラスト満載。『堆塵館』で読書界に衝撃を与えた三部作第二部。 解説=深緑野分
明治12年。鉄道局技手見習の小野寺乙松は、局長・井上勝の命を受け、元・八丁堀同心の草壁賢吾を訪れる。「京都・大津間で鉄道建設の最中だが、逢坂山トンネルの工事現場で不可解な事故が多発している。それを調査する探偵として雇いたい」という依頼のためだった。井上の熱意にほだされ、草壁は引き受けることに。逢坂山へ向かった小野寺たちだが、現場の最寄り駅で乗客が不審死を遂げた報告を受ける。死者は工事関係者だった! 現場では、鉄道工事関係者と、鉄道開発により失業した船運送業者・馬子らの対立が深まる中、更に事件が……。〈八丁堀のおゆう〉シリーズの新鋭が描く、本格鉄道ミステリ。
英都大学に入学したばかりの一九八八年四月、ある人とぶつかって落ちた一冊ーー中井英夫『虚無への供物』--が、僕、有栖川有栖の英都大学推理小説研究会(EMC)への入部のきっかけだった。アリス最初の事件ともいうべき「瑠璃荘事件」、著者デビュー短編「やけた線路の上の死体」、アリスと江神の大晦日の一夜を活写した「除夜を歩く」など、全九編を収録。昭和から平成へという時代の転換期を背景に、アリスの入学からマリアのEMC入部まで、個性的なEMCメンバーたちとの一年を瑞々しく描いたファン必携の短編集、待望の文庫化。
英文学の最高峰の文学賞をダブル受賞! 破壊と感涙のダーク・ファンタジイ 怪物は真夜中過ぎにやってきた。墓地の真ん中にそびえるイチイの大木の怪物がコナーの部屋の窓からのぞきこんでいた。おまえに三つの物語を話して聞かせる。わたしが語り終えたら、おまえが四つめの物語を話すのだ。闘病中の母の病気が再発、学校では母の病気のせいでいじめにあい、孤立……。そんなコナーに怪物は何をもたらすのか。夭折した天才のアイデアを、カーネギー賞受賞の若き作家が完成させた、心締めつけるような物語。カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞ダブル受賞!