2018年1月26日発売
仮装パーティで、赤い悪魔の扮装をさせられたエミリーは、 黒衣の天使に扮した実業家、アントン・ディアズに紹介される。 「僕はきみが欲しい」と囁かれ、初対面での誘いに驚きながらも、 セクシーな彼にあらがえず、エミリーはたちまち恋に落ちた。 性急なプロポーズののち、純白の花嫁衣裳で式を挙げ、 ハネムーンを過ごすために、ふたりは一路南フランスへ。 ところが、甘すぎる愛の交歓をした翌朝のことだった。 アントンは黒い瞳に悪魔のような光を宿し、彼女に告げたのだ。 エミリーと結婚した真の理由を、残酷な本当の彼の姿を。
ある日、ローラのもとに、祖父の会社の次期後継者ダンが現れる。心臓病で余命わずかな祖父は、会社の安泰のために、ローラと祖父の信任厚いダンとの結婚を望んでいるのだという。ダンは魅力的だが、無慈悲で目的のためには手段を選ばない。なかば強引に、指に青いサファイヤの宝石をはめさせられて、祖父の前で、ローラはダンとの結婚の誓いをさせられる。一目で心を引かれた…けれど私に愛など微塵もないこの人と?しかも彼はローラの体を値踏みしながら、端整な顔を歪めたのだ。「跡取りをこしらえてくれたらいい。これは会社のための結婚だ」
シャネイは3歳の娘と一緒に、カーニバルの喧騒を楽しんでいた。そこで思わぬ相手とでくわしてしまうー夫の弟夫婦と。スペインの名家の一員で、億万長者のマルチェロと結婚し、上流社会に溶けこもうと努力したシャネイだったが、嫌がらせを受けたうえに、夫に愛人までいるとわかり、逃げるようにして、故国オーストラリアに帰ったのだ。その後に妊娠が発覚し、娘を産んだことを隠してきたのに、このままではマルチェロにすべてを知られてしまう。案の定、夫は自家用飛行機ですぐさま現れた。娘を奪うために。
物語は紀元前45年の手紙に始まる。この時カエサル(前100-前44)はガリア征服戦争を完了の後ルビコン川を渡ってイタリアに侵入、ひきつづく内乱を制し、あらゆる政敵を倒し、古代ローマ帝国の最高権力者となっていた。 自信と才気にみちあふれ、誰をも魅了するオーラをまとった覇者カエサルのまわりには、軍人、政治家、祭司はもとより文化人、名家の美女など思惑を秘めた多彩な人物たちが蠢いていた。詩人カトゥッルス、妻ポンペイア、魔性の女クローディア、その弟の無法者クローディウス、エジプト女王クレオパトラ… 互いのあいだで交わされる心理ゲームのような手紙のやりとりが、暗殺までの8ヶ月を描きだしてゆく。 書中、カエサルが唯ひとり本心を明かすのは、無二の友トゥリヌスだーー「思うに、軍隊の指揮官や、国家の指導者の孤独より深い孤独は一種類しかない。それは詩人の孤独だ……」。頂点に立つ者の運命を知ったとき、自らの声のみにしたがって生きてきたカエサルの心は揺れ始め、不可知の存在に目を凝らし始めるーー。 人間の本性をテーマに数々の名作を織り成したアメリカ演劇・文学界の巨星ソーントン・ワイルダーが’いつかこの手で描きたい’とあたためてきた人物がカエサルだった。1948年に刊行されて以降、版を重ね、長く読み継がれてきた現代の古典である。 序言 (カート・ヴォネガット・Jr) まえがき 第一巻 クローディアの晩餐会 第二巻 女王クレオパトラのレセプション・パーティー 第三巻 善き女神秘儀冒涜事件 第四巻 三月十五日 カエサル最期の日 訳注 本作成立のあらまし (タッパン・ワイルダー) 資料 訳者あとがき
2007〜2016年に刊行された複数作家の作品を集めたアンソロジーのうち、近現代小説に関するもの1,164冊の内容細目集。純文学、ミステリー、歴史・時代小説、SFからホラーまで、収録作品の全タイトル、作家名、序文、解説・あとがき、頁数等を記載。「作家名索引」「作品名索引」付き。