2018年10月19日発売
仙台の大学に通う青年・支倉爽太は、人には秘密にしている過去があった。 失意の底にいた小学校三年生の頃、幽霊が出ると噂のある海で溺れたことをきっかけに、遠い未来ーー2070年ーーへと時間を超えたことがあったのだ。 そして現代に戻れたあとも、未来で出会った年上の女性を忘れられずにいた。再会する方法など分かるはずもなく、気持ちを押し殺して大学とアルバイトに明け暮れていた爽太。 しかし、大学の室内楽サークルに入っている友人達の揉め事に関わる中で親しくなった八宮和希という青年に「おれは、過去から来た人に会ったことがある」と告げられて……? 大好評を博した『どこよりも遠い場所にいる君へ』に続く、様々な「出会い」の物語!
金曜23時20分に始まる「イブニング・スクープ」のニュースキャスター、愛優一郎。 彼はただのキャスターではない。地道な取材と鋭い観察眼から、華麗に事件を解決する「キャスター探偵」なのだ。 同居している助手であり、新人ミステリー作家でもある竹之内誠人は、初めての単行本の出版が決まって喜んでいた。 だがその宣伝のやり方をめぐって愛と喧嘩になってしまう。 気まずい状態になってしまい、竹之内も同行するはずだった人気フレンチレストランの取材に一人で行った愛は、その晩帰って来なかった。 心配していた竹之内のところに刑事の藤田が来て告げたのは、愛が警察に身柄を拘束されたという事実。しかも容疑は殺人。 ところが愛は頑なに黙秘しているというのだ。一体何が起こったというのか?
地域密着型の地方銀行・ななほし銀行に入行一年目の小林髙(たかみ)は、顧客をクレイマー化させて支店に迷惑をかけてしまったことを気に病み、辞職をしようかと考えていた。 ところが、二年目の年度初めに支店から本部へと異動になった。部署は監査部。しかも個人取引担当ーー通称コトリ班への異動。 メンバーは三十代半ばの矢岳瑛一(美形だが考えが読めない)、きれいだが愛想のない多岐川千咲(数歳上のはずだが怖くて年齢が訊けない)など、クセの強い人たちばかり。 そんな中で、偽ドル札や、すぐに読み取れなくなる通帳など、様々な顧客トラブルに巻き込まれて!? お客さまは神様……じゃないから本当に大変です。
瑞燕国で虐げられる尹族の少女・玉瑛は、聡明な知性があったにもかかわらず、その出自から貴族の屋敷で下女として働いていた。 原因となったのは、尹族出身だった皇帝の愛妾・柳雪媛。皇帝の寵愛を得て絶大な権勢をほこり、謀反を起こそうとして誅された女だ。 以来、瑞燕国では尹族の地位は最下層となってしまった。不遇に耐え懸命に生きていた玉瑛は、しかし、皇帝が発した「尹族国外追放」の勅命により屋敷を追われた。 あてもなく山中を彷徨う玉瑛は、騎兵に追いつかれ斬られ、柳雪媛への恨みを胸に意識を失ってしまう。 ぼんやりと意識を取り戻したとき目に入ったのは、見知らぬ女。高価な調度品。そして、女が玉瑛に呼びかけた。 「雪媛様」とーー。玉瑛は時を逆しまに超え、憎んでいた女に生まれ変わっていて!? 中華幻想復讐譚!
一流化学企業に勤める研究員、瓜原はるのは、社長賞をとった憧れの先輩・南が率いる群馬の研究所に異動になった。 意気揚々と出勤したが、そこは問題社員を集めたいわゆる「追い出し部屋」。天才研究員と謳われた南はやる気をなくして酒浸りになっていた。 チームに課せられた課題は、「3年以内メロンを収穫すること」。達成できなければ全員クビと言い渡されたはるのは、チーム存続のためにも、また南を再生させるためにも、メロン栽培に乗り出す。 メロンは栽培の難しい果物で、去年まで試行錯誤していた南たちも結果を出せていなかった。残された期限は今年度いっぱい。 悪戦苦闘するはるのだが、やがて南の左遷理由がパワハラ上司に逆らったためらしいと知る。 ギャンブルマニアの茂木や、社内不倫が発覚したという美紗も、聞けば理不尽な理由があった。 絶対にこんなところでつぶされるわけにはいかない。 南を目の敵にし、今もなお妨害をしてくるパワハラ上司・室谷に一矢報いるため、メロン課メンバーは奮起するが…!?
三代将軍家光は、島原の乱鎮圧後、島原藩松倉家を潰した。牢人となった旧藩士たちは、松倉家と隣接する平戸藩松浦家へ狼藉をしかける。苦慮した松浦肥前守は、再び斎弦ノ丞を辻番に任命し、家の安泰を図ろうとする。一方、将軍“御成”の栄誉を巡り、松平伊豆守ら重臣の権力抗争が激化。この“御成”を狙う企みを知った弦ノ丞に密命が下るが…。藩のため奮迅する辻番たちの活躍!書き下ろし時代小説。
介護施設に入所中の父を支え懸命に働く亜紀と、権力者の父の元で安穏と暮らす健司。二人の偶然の出会いと、亜紀の父浩介が偶然テレビに映った「死んだはずの男」湯浅を見たことから、運命は動き始める。十数年前の湯浅の死に父の重治が関わっていたと知った健司は、亜紀と事件の真相を追うが、二人の前に公権力の壁が立ち塞がり…。巨匠が描く渾身の社会派サスペンス。吉川英治文学賞受賞作。
人間が犬を選び、犬が人間を選ぶ。その先に生まれる信頼関係が“ソウルメイト”の証。長年寄り添った愛犬の最後の時。家族の決断とはー。(「フラットコーテッド・レトリーバー」)、自殺を踏みとどまらせてくれた一匹の犬の存在。(「フレンチ・ブルドッグ」)心に空洞を抱えて生きる人々と、そこに寄り添う犬たち。犬と生きる喜びも、犬を失う悲しみも刻まれた、一つ一つの物語が胸を打つ全七編。
南米のコカインを駆逐せよ!ホワイトハウスから命を受けた退役将軍バーンズは、作戦の遂行を宿敵にして最良の友、那須野治朗に託す。那須野はキューバへ飛ぶが、愛機「ネオ・ゼロ」は敵に爆破されてしまう。絶体絶命の窮地の中、那須野とチーム・ゼロのメンバーは賭けに出る。伝説のパイロット、ぶれない男の生きざまの物語、ついにクライマックス。発表から25年冷めない熱。シリーズ感動の最終話。
五感の中でもっとも記憶が薄れないのが味覚。人間は食とともにある。健康のためには一日三食、規則正しい食生活を。心の健康のために、一日一作、規則正しい読書生活はいかが?ただしご注意を。「食」ではなく「味覚」、しかも「冒険」と銘打たれたこのアンソロジー、一筋縄ではいかないかも。ただ、14編どれもがリアルな味覚に訴えかける迫力と、飛び切りの面白さを備えていることは保証します。
武家の出身ながら、髪結いとして生きる少女・卯野。友人の花絵と、新しい商いの相談も楽しい日々を送っている。近頃ひいきの青物問屋のお嬢さん・里世は、火消しに恋をしているらしい。「恋を叶える」という卯野の噂を信じているようだが、度を超した頻度で呼ばれるようになり、家族も心配している様子。どうやら里世の思いは、ただの恋心ではないようで…。むすめ髪結いの奮闘記、第3弾。
誰もが顔見知りの小さな町トールオークス。深刻な犯罪とは無縁のこの町で、嵐の晩に、三歳の子供が忽然と消えた。全米の注目を集めたこの失踪事件は、住民総出の捜索でも警察の捜査でも、手がかりすら出てこない。絶望に抗いながら捜し続ける母親。そして、町の住民たちそれぞれが抱えていた秘密が次第に明らかになっていくなかで、意想外の真相が姿を現してーCWA新人賞受賞の傑作ミステリ!
シリーズの楽しさを みっちり詰めこんだ リンカーン・ライム最新刊! ニューヨークからナポリへーー “漆黒の絶叫”にとり憑かれた犯人を追え! ニューヨークの路上で男が拉致されるのを少女が目撃した。やがて被害者の苦痛のうめきをサンプリングした音楽とともに、監禁されて死に瀕している被害者の姿が動画サイトにアップされた。アップロードしたのは「作曲家(コンポーザー)」を自称する人物。捜査を依頼された科学捜査の天才リンカーン・ライムは現場に残された証拠物件から監禁場所を割り出し、被害者を救出したものの、〈コンポーザー〉は国外に逃亡してしまった。 そして事件の場はイタリアへーーリビアからの移民が誘拐されたのだ。〈コンポーザー〉の犯行だった。ナポリに飛んだ名探偵ライムとパートナーのアメリア・サックス、そしてライムの介護士トムは、若き森林警備隊員エルコレとともに事件に挑む。ニューヨークの白人とナポリの難民。被害者をつなぐものは何か? 〈漆黒の絶叫〉に駆りたてられる〈コンポーザー〉の目的は? アメリカ総領事館から持ち込まれた留学生の暴行事件も調査することになったライムは、想像を絶する真相を探り当てることに…… ニューヨークで起こった誘拐事件の犯人を追って、ほぼ全編がイタリアで展開する最新作。名探偵ライムが証拠とロジックで快刀乱麻の名推理を導き出せば、アメリアは凶行を阻止するために車を疾走させ、死地へと飛び込む。シリーズのファンが「こうでなくちゃ!」と快哉をあげる場面が満載、もちろん大規模ドンデン返しも待ち受けています!
大人気作家テッサ・デア、待望のヒストリカル最新作! 【ロマンス版“美女と野獣"!?】 戦争で顔と身体の右半分に大火傷を負ったアシュベリー公爵。 どうしても跡継ぎが欲しい公爵だったが、醜い傷が原因で許嫁に去られ、失意のうちに暮らしていた。 そんな時に公爵の前に現れたのが、貧しいお針子のエマ。子どもができた暁には、広大な屋敷での自由な暮らしを与えることを条件に、公爵はエマに求婚する。 突然の話に戸惑うエマだったが、彼女もある事情から広い屋敷を必要としていた……。 二人はそれぞれの思惑から便宜結婚で結ばれた。愛情もキスも抱擁もすべて必要なし、ひたすら子作りだけを求める公爵。しかしエマは、そんな彼に次第に心惹かれていくーー。 火傷の痕が大きなコンプレックスとなって、公爵は頑なに心を閉ざしてきた。 優しい使用人たちの助けもあり、エマはなんとかして公爵の心を開こうとするのだが……。 ロマンス専門誌ロマンティック・タイムズ主催「レビュアーズ・チョイス」賞 ヒストリカル部門大賞のヒストリカル&ユーモア部門を受賞! 原題:The Duchess Deal 【著者について】 テッサ・デア(Tessa Dare) セクシーでウィットと喜怒哀楽に富んだ作品を数多く著し、〈ニューヨークタイムズ〉紙と〈USAトゥデイ〉紙でベストセラー入りを果たす。2度のRITA賞、ロマンティック・タイムズ賞など、栄えある賞を多数受賞。〈ブックリスト〉誌で「ヒストリカル・ロマンスの新星」と評され、作品は12か国以上の言語に翻訳されている。本書でRT主催の「レビュアーズ・チョイス」ヒストリカル部門大賞のヒストリカル&ユーモア部門を受賞。現在、夫と二人の子どもと共に、南カリフォルニアに暮らす。
千葉刑務所を脱獄し、亡き妻の復讐と娘・萌子の誘拐事件を解決してから三年ーー。笠原武大は輪島で塗師として修業の日々を送り、萌子は金沢の伯父の家に下宿しながら高校に通っていた。春の雨の夜、何者かが離れて暮らす二人を同時に襲った。笠原は不意を衝かれて囚われの身となるが、萌子は辛くも逃げ延びバイクで南を目指す。一方、警察庁警備局公安課特別捜査室“サクラ”に所属する田臥と室井は、父娘失踪の報を聞き、萌子誘拐事件の主犯でありながら罪を免れた日本神道連議会の板倉勘司の関与を疑っていた。
「最も古い記憶の夢を見たら注意してほしい。この病気はそこから始まる。夢は思い出のアルバムを捲るように続き、大人への成長の過程を追っていく。夢が現在に追いついたとき、その人間は人生を終える。それが夢喰いだ」恩師の堀越教授はそう言い残して死んだ。果たしてこの現象は病気なのか、なんらかの意思があるのかーー牧野は何人もが犠牲になった“夢喰い”の正体を究明しようと調査に乗り出した。第19回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した俊英が放つ戦慄のタイムリミットサスペンス!