2018年11月発売
池袋の風俗嬢ルミが失踪した。彼女の過去を追う風俗店のドライバー。彼が辿り着いたのは、伊勢の海に浮かぶ不思議な女たちの島だった。(「渡鹿野」)/東北の町を津波が呑み込んでいく映像に見入る男女。女が呟く。「出番が来たんちがう?」…被災地を舞台に繰り広げられる犯罪、そしてー。(「仮面」)/2016年11月30日に報じられた、ある男の逮捕のニュース。それはやがて、中学時代に遭遇した、教師の壮絶なリンチ事件の記憶へと「私」を誘う。(「いかなる因果にて」)/幻覚は数十分後に現実に再現されるー帰還した女性宇宙飛行士を惑わす知覚の変容。これは偶然か、誰かの意志なのか?(「Delusion」)/定年から一年、無事な人生を歩んだ奥本さんの頭に不意におとずれた小さな欲望、それは…。(「月も隈なきは」)
大手弁護士事務所に所属する甲斐正午は稼ぎ頭の敏腕弁護士だが、勝つためには違法行為スレスレの手段を用いることも。そんな甲斐に手をやいていた所長の幸村チカは、昇進の条件に若手弁護士を雇い、ともに行動することを提案。その採用面接会場に麻薬取締官に追われる鈴木大貴が飛び込んできた。成りゆきで面接を受けることになった大貴は、六法全書を2回読んだだけで一言一句正確に覚えてしまう頭脳の持ち主だった。エリート弁護士と天才青年が難解な訴訟に挑むスタイリッシュなリーガルドラマ。
ある町で突如発生した連続通り魔殺人事件。所轄の刑事・中島と捜査一課の女刑事・小橋は“コートの男”を追う。しかし事件は、さらなる悲劇の序章に過ぎなかった。“コートの男”とは何者か。誰が、何のために人を殺すのか。翻弄される男女の運命。神にも愛にも見捨てられた人間を、人は救うことができるのか。人間存在を揺るがす驚愕のミステリー!
アラゲイジアの存亡を賭けた戦いの火蓋が、切って落とされた!せまりくる巨大な黒ドラゴン、シュルーカン。エラゴンとアーリアは、エルフ族の魔力を帯びた最強の武器“死の槍”を手に入れ、戦いの切り札を得たかに思われたが…。
ガルバトリックスの狙いどおりなのか、敵の牙城へたぐり寄せられるエラゴンたち。そんななか、ナスアダに危機がおとずれる。魔法ネコがつなぐ過去からの伝言をひもといたとき、新たな使命があきらかになる!
明かされる“13人の裏切り者”の恐ろしい真実とガルバトリックスの過去の闇。敵の手に落ち、過酷な拷問に耐えぬくナスアダ。グレイダーとともにたどり着いた伝説の地“クシアンの岩”でエラゴンは驚くべき光景を目にする…。
勝てば願いが叶う魔法のカードゲーム誕生!バッグが欲しい、病気の友人を助けたいと、少女たちは奇妙な仮想現実世界へ飛び込み、バトルを繰り広げる。だがタダより高いモノはない。案の定、ゲームには少女たちの命を脅かす激ヤバな仕掛けが!友人がプレイヤーとなってしまった出屋敷市子は妖怪を従えてゲームに参戦、最強魔法少女モード全開で黒幕を追う(「今どきのゲームは一日一時間では終わらない」)。シリーズ短編3編収録。
熟年主人公の「私」は大阪府出身ながら生家は郊外にあり、家庭を持ってからは東京暮らしとあって、大阪の街について、実はよく知らない。そこで「私」は妻の従弟にあたる「悦郎さん」に会い、昔日の大阪を語って貰おうと会いにでかける。そして明治・大正・昭和の三代にわたる大阪商人の日常を丹念に聞き取ることで、“水の都”の移り変わりが匂い立つように浮かび上がってくる。淡いファンタジーの如く、さまざまな市井の人々の営みが生き生きと描かれた“第三の新人”庄野潤三の秀作である。
昭和ホームドラマの金字塔、その原作小説 1977年夏にTBS系列で放送され、「辛口ホームドラマ」として放送史に燦然と輝く名作。その原作小説は1976〜77年にかけて東京新聞ほかで連載された。 高度成長期の大企業に勤めるモーレツサラリーマンの夫・田島謙作。傍目には恵まれた貞淑な妻・則子。才気煥発な女子大生の娘・律子と気弱な高校三年生の息子・繁。一見すると、郊外の戸建て住宅に暮らす幸福そうな一家が、ある1本の電話から破綻に向かって走り出す。主婦の浮気、レイプなど当時は斬新なテーマを意欲的に描いた、脚本家・山田太一の代表作。
かつて東北有数の湊であった能代湊に佇む安東家八代当主愛季。その目の前を交易船が素通りしていく。「もう一度東北最大の湊を造り、民のためにこの地を富ます!」。滾る思いを胸に「載舟覆舟」の国造りが始まる。安東家を統一し、東北最大の湊を造り、蝦夷を治め、信長・秀吉とも誼を通じた男の野望、葛藤、そして恋!秋田の礎を築いた智将、安東愛季に迫る歴史巨編。
言葉はウソをつくから当てにならない、と気づいたチャンドス卿が、もう書かないという決心を流麗な言葉で伝える「チャンドス卿の手紙」。世間知らずのうぶな青年の成長物語「アドレアス」(未完)。世紀末ウィーンの天才ホーフマンスタールを代表する表題作を含む散文5編を収録。
やりくり上手の妻に先立たれ、失意の日々を過ごしていたランタン氏。妻が遺したイミテーションの宝石類を店に持って行ったところ、じつは…(「宝石」)。伯母の莫大な遺産相続の条件である子どもになかなか恵まれず焦る親子と夫婦を描く「遺産」など6篇を収録。魅力再発見の第2弾。
世田谷区祖師谷で起きた母子三人惨殺事件。被害者が地下アイドルだったこともあり、世間の大きな注目を集めていた。真っ先に特捜本部に投入された姫川班だが、遺体を徹底的に損壊した残虐な犯行を前に捜査は暗礁に乗り上げる。やがて浮上する未解決の二十八年前の一家四人殺人事件。共通する手口と米軍関係者の影。玲子と菊田は非道な犯人を追いつめられるのか!?
バブルの頃、自然写真家としてもてはやされた立花浩樹は、ブームが過ぎると忘れられ、所属事務所に負わされた多額の借金を返すうちに四十代になった。カメラも捨て、すべてを失い。自分が人生で本当に欲しいものとは、なんだったのか?問い返すうち、ある少女からの撮影依頼で東京へ行くことになった浩樹は、思いがけない人生の「敗者復活戦」に挑むことになる。
倉本歩は港ケ丘高校一年。テレビで見た同い年の庄野瑞希の走りに圧倒され、彼女のように走りたいと陸上部に何とか入部するが、他の部員たちについていくのも大変だ。ある日、その瑞希が同じ高校に進学していることを知る。しかし、憧れた彼女にかつての面影はなくー。走ることが大好きで、仲間を思い、笑い、時に泣き、駆け抜けていく少女たちの青春駅伝小説。
ベルギーの小さな村の教会から、壁に掛けられていた絵がなくなった。この絵が実はブリューゲルの作品だと聞いていた牧師は、取り戻さなければならないと、知り合いに助けを求める。一方、スイスにある屋敷の屋根裏から、フェルメールの作品が見つかった。メトロポリタン美術館からは、フェルメールの絵が強奪された。名画は一体どこへ?騙し合いが始まった!
建設会社のワンマン会長・丹波竜造が、ヨットでの航海中に遭難した。葬儀が行われた当日、長男が密室状況の仏間で謎の死をとげる。密室好きで知られる白岡署の黒星光警部が駆けつけるが、しかし、それは丹波家を襲う連続密室殺人の幕開けにすぎなかったー。遺産相続を巡る悲劇に、“迷警部”黒星が挑む。異色の長編ミステリーが大幅加筆修正のうえ新装版で登場。
塔から飛び降りた学者の死体が屋上で発見された!?北村薫氏絶賛の「神なき塔」をはじめ、ノアの箱舟を模した船での密室殺人「ノアの最後の航海」、貴族庭園の宝探しゲームが死体発見に発展する「永劫の庭」など、妄想と奇妙な論理に彩られた三編を収録。名探偵が実在するパラレル英国を舞台に、パンク刑事キッド・ピストルズの推理が冴える中編集が改訂新版で登場!