2018年11月発売
おれはなんで、こんなに空っぽなんじゃー野球部を引退し受験勉強に邁進するはずだった高校3年の渓哉。だが自分の将来を思い描けず、焦燥感に苛まれている。ある日、道に迷っていた美しい女性・里香を案内することになるが…あさのあつこが故郷・美作を舞台に描く“直球”青春小説。書き下ろし短篇「もう一つの風」を収録。
美濃国主土岐氏に連なる明智光秀は、浪々の身となり諸国を流れ巡り、やがて尾張の織田信長のもとで働くことになる。歌道、故実式目、軍学を究めていた光秀は瞬く間に織田家の出世頭に駆け上がり、城持ち大名となる。しかし、遂に信長を討つべく立ち上がった。本能寺の変の後、光秀が辿った数奇な運命とは!
私は、よく娼婦の顔をしていると言われる。 今までに、ホステスを含めた何種類かの職業を経験したという話をすると、「もしかしてあれも?」と売春をほのめかした聞き方をよくされるのだ。十六歳で家出して、野宿から始めた生活ではあったが、ぜったいに売春だけはしなかったのに。 ところが、私は思い出した。十五歳のとき、私は娼婦だったのだ。売春宿のおかみは私の実母で、ただ一人の客は私の育ての父だった……。 養父との関係に苦しむ多感で早熟な少女の怒りと哀しみと性を淡々と綴り、読む者の心を揺さぶった自伝的小説。 衝撃の出版から25年、著者が凄絶な過去を公表し、生身をさらして生きることで、性的虐待の後遺症に苦しむ女性たちに「私も……」と精神科医を受診する勇気を与えたという。 解説は、当時「被害当事者側から書かれた貴重な作品」と評価した精神科医の斎藤学氏。 25年後のあとがきがついた、完全版で登場!
戦前から続く紡績会社。次期社長の呼び声が高い専務・恩地は検査入院中に社長らが仕組んだ緊急重役会によって平取締役に降格される。社長の椅子へ執念を燃やす恩地がはまった、さらなる組織の罠とはー(表題作)。高度成長期を舞台にしながら、現在に通じる日本の組織人の欲望を描いた傑作企業小説集を復刊。
第二回島田荘司推理小説賞受賞作。台湾の出版社が企画し、島田荘司が選考を努める、華文(中国語)による本格推理小説の新人賞を受賞したのは、香港の新進気鋭、陳浩基(サイモン・チェン)。最先端と前近代の町並みが混在したエネルギッシュな過密都市を、「記憶を失った男」が、事件の真相を追って失踪する。秀逸な構成、驚愕の結末。アジアに新しい「新本格」ブームの幕が開いた。 車の中で目覚めた刑事。つい先日起きた夫婦惨殺事件を捜査していた・・・はずが、警察署に出てみれば建物も顔ぶれも全く変わっている。そこに現れた女性記者から、事件は6年前に起きたもので、その犯人は逃走中に事故死、事件はすでに解決している、と知らされる。自分は6年間の記憶を失っている? 何故? しかし、刑事には何故か確信があった。「死んだ男は、真犯人ではない!」 事件の真相を求め、女性記者とともに香港島、九龍、新界と、かつての事件関係者を訪ね回る。次々に出くわす意外な事実、そして不可思議な違和感。自分の記憶はなぜないのか、なぜ自分は「真相は別にある」と知っているのか。そして、自分は何者なのか。 どんでん返しの連続、アクロバティックな謎解き。これぞ新本格ミステリーの誕生、という新鮮な感動を、我々日本人はこの一冊で思い起こすことができるだろう。 そして、主人公の「アイデンティ・クライシス」は、今の香港に生きる作者の切実なテーマでもある。 今年、陳浩基の新作「13・67」は大きな話題となり、ウォン・カーウァイが映画化権を取得した。返還から中国支配により激しく変化する香港の歴史を辿った連作集だ。 激動を香港をリアルタイムで活写している陳浩基のメジャーデビュー作に、改めて注目が集まる。
このミス、週刊文春ミステリーベスト10、ともに第3位。 アメリカ最高のミステリーに贈られるエドガー賞最優秀長編賞を受賞。 TVドラマ化された巨匠初のミステリー。 老若男女が職を求めて早朝から列を成す市民ホール。そこで惨劇は起きた。突如あらわれた一台のメルセデスが人々の群れに突っ込んだのだ。死者8名、重傷者多数。現場から逃走したメルセデスはほどなくして発見されたが、運転者は姿を消していた。マスコミが「メルセデス・キラー」と呼んだ大量殺人犯は逃げおおせたのだ。 それから一年。この事件を担当した退職刑事ホッジズのもとに手紙が届いた。差出人は「メルセデス・キラー」。犯人はホッジズを愚弄するような言葉を書き連ねていた。退職から半年を経て、生きる目的を失っていたホッジズは動き出す。名刑事と謳われた彼が最後の最後に解決できなかった大事件を調査するのだ。一方、「メルセデス・キラー」ことブレイディは歪んだプライドを抱えつつ傍目には平凡な暮らしをつづけていた。仕事はアイスクリーム売り。ターゲットはホッジズだ…… 病的な殺人者を追う不屈の退職刑事。あの巨匠が40年の作家生活で初めて放ったミステリー大作。アメリカ探偵作家クラブ最優秀長編賞受賞の傑作!
暴走車による大量殺人犯、ブレイディ。母親とともに暮らす孤独な男。いま彼は新たな大量殺人計画を練っていた。一方、退職刑事ホッジズも犯行に使われた自動車を手がかりに真相に近づきつつあった。開始される惨劇の秒読み。それを阻止すべく、ホッジズと仲間たちは奔走するー。巨匠渾身のミステリー大作。
この展開は、いったい何!?『捜神記』『唐代伝奇』『聊斎志異』『子不語』…六朝時代から清代まで、中国に綿々と受け継がれた変幻自在な奇想・幻想小説26篇を精選、練達の新訳でよみがえるー
海の近くの日本家屋に愛猫と暮らす、小説家のハナ。二度の離婚を経て、人生の後半をひとりで生きようとしていた。喪失も、手放すことも知ったから辿り着いた、古くて新しい恋人ー。小説家が25年をかけて到達した、恋愛文学の至芸。
無邪気な青い情熱を、 彼はこっぱみじんに打ち砕いた。 半年前、両親を事故で失って以来、クロエの人生は一変した。 父母が築きあげた化粧品会社を、ニコが引き継いだのだ。 なぜ父は遺言書で、私ではなく彼を後継者に指名したのだろう。 確かにニコは父の亡き親友の息子で、これまで実子同然の援助を 与えられてきたけれど、いくらなんでもあんまりよ。 クロエの脳裏に10年前の苦い思い出がよみがえった。 地味で奥手な18歳の彼女を励まし、自信を与えてくれたニコ。 だが無垢な身を捧げたとたん裏切り、冷酷に立ち去ったのだ。 もうこれ以上彼に奪われてはだめ。そう、心までは……。 リアルな現代の男女の機微を、クラシックなハーレクイン・ロマンスにうまく落とし込んだ恋物語を得意とするジェニファー・ヘイワード。今作も彼女の筆致が冴えわたります。お見逃しなく!
捨て子だったニコルは、世界有数の製薬会社バルベリ社で清掃の仕事をしていたとき、社長ロッコに見初められ結婚した。しかし不運にも流産したあと、ロッコの態度は急変する。悲嘆に暮れるニコルを顧みもせず、仕事に没頭したのだ。情熱が冷めれば、身分違いの妻など必要ないのね…。打ちのめされた彼女は家を出た。だが夫は居場所を突き止め、離婚の条件を切り出した。大きな買収案件を成功させるため、愛妻としてモナコへ同行しろ、と。ニコルは条件をのんだ。その芝居が望まぬ情熱に再び火をつけることになるとも知らず。
愛する人から愛されぬ孤独。 さらに今後は、屈辱にも耐えろと? エロイーズは皇太子である夫、オーディルのもとに戻ってきた。 今夜、彼はロンドンの高級ホテルで慈善パーティを開く。 彼女はオーディルに離婚を切り出した。もともと政略結婚だから、 夫は愛していない妻と別れられて、せいせいすると思っていた。 だが、その返事は“君に僕から離れるという選択肢はない”で、 パーティでの夫のスピーチに、エロイーズは愕然とする。 なんと彼は、“妻は妊娠している”と世界に向けて発表したのだ! ありえない。浮気の濡れ衣を着せられて、私は宮殿を追われた。 しかも夫は結婚後、ただの一度も私にふれたことがないのに! ヒロインが政略結婚を承諾したのは、権力を望む父に逆らえない母に懇願されたからでした。12時間以内に妻とベッドをともにし、嘘を真にしたい夫の目的とは……。ピッパ・ロスコーは期待の超大型新人です! 大ヒット間違いなしのデビュー作をご堪能ください!
偽りの秘書が恋をしたーー 皮肉なほど、純真な気持ちで。 リヴは旅行に行く双子の姉に頼みこまれ、数日間だけ立場を入れ替わり、 大企業の社長であるセブの秘書を務めることになった。 彼は海外出張中なので、ばれる心配はまずないという。 ところがある日の昼食後、オフィスに戻ったリヴは仰天した。 机にベビーシートが置かれ、赤ちゃんが眠っていたのだ! 〈あなたの責任よ!〉というセブ宛ての手紙と一緒に。 頼みの姉は帰りが遅れるというし、警察に届け出るわけにもいかず、 やむをえずセブに連絡すると、彼は急ぎ帰国し、こう主張した。 「僕の子供ではないが、とりあえず世話を頼めないか?」 まさか秘書が別人とは疑いもしないセブに罪悪感を覚えつつ、 魅力的な彼の懇願に負け、リヴはナニーを引き受けてしまうが……。 これまでさまざまな作家によって描かれてきた、双子の入れ替わりがテーマのラブストーリーですが、いま新たに秀逸な作品が誕生しました。ある日突然、かわいらしい赤ちゃんが書類のようにデスクに置かれていたら? ハラハラドキドキの展開から目が離せません。
クリスマスツリーを買いに来た家族連れ。 わたしたちもそうなれたら……。 ロンドンの病院で働くエイプリルは、 数週間だけの予定で赴任してきた魅力的な医師のライリーを避けている。 がんで命を落とした双子の妹と同じ遺伝子を自分も持っているから、 男性に心を奪われ、ともに歩む未来を夢見てはいけないのだ。 それに、もうすぐ予防手術を受け、子どもを産めない体になる……。 ところが、ライリーの赴任期間が終わる日に驚くべき知らせが届いた。 元恋人の女性が事故で亡くなり、 別離後ひそかに出産して育てていた5歳の息子が遺されたという。 その場に居合わせていたエイプリルは愕然とするライリーに頼られ、 彼とその息子との新たな生活に深く関わっていくことになり……。 S・ウィルソンは胸が震える物語を次々に贈ってくれる作家です。魅力の塊のような医師ヒーローと、彼に心を奪われながらも頑なに距離を置こうとする理学療法士ヒロイン。はたして二人のロマンスのゆくえは? イギリスのクリスマスの雰囲気もご堪能ください。
お腹の子と3人で温かい家庭を……。 その夢が叶うことはないの? ペネロープは半月前に一夜を共にした大富豪ザックと再会し、 彼の予想外の行動に驚いた。パーティの席で、彼女の腕をとるなり、 周囲に宣言したのだ。「彼女はぼくの婚約者。ぼくたち、結婚するんだ」 じつのところ、ザックは元恋人につきまとわれて困り果て、 相手をあきらめさせるため、思いつきでペネロープを利用したのだった。 ところが、ペネロープは新しい命をーーザックの子をお腹に宿していた。 この婚約はしょせん偽り。本物の結婚に変わるはずもない。 すでに彼に本気になっていたペネロープの胸は張り裂けそうだった。 現にザックから愛されていないと感じた彼女は、 いっそ離れたほうがいいと、身を引く時機と方法を考え始めるが……。 大富豪がついた嘘に乗せられるうち、あれよあれよと彼の魅力の虜になってしまったペネロープ。けれども、彼は過去の恋愛がもとで、もう二度と女性を愛さないと固く心に誓っているようで……。ニューヨーク編集部も絶賛する気鋭のロマンス小説家の日本デビュー作!
恋に不器用なアリスは、26歳にしていまだ異性を知らない。だから、仕事で訪れた町で出会った男性ハーリーに対しても、ついけんか腰にふるまってしまったー内心、彼との会話が楽しくて、うれしくて、胸が高鳴ってしかたがなかったのに。「もしあなたが花婿ショップで売りだし中でも、買わないと思うわ」売り言葉に買い言葉でそんな悪態をついたものの、翌日アリスは、不品行な若者に絡まれ、ハーリーが駆けつけてくれたことに驚く。両親なきあと孤独を抱えていたなか、不思議な安心感を覚え、アリスは思わず冗談めかしてプロポーズしてしまった!すると、ハーリーは言い訳を作ってはぐらかし、その場を去った…。
未来や遠くの出来事が見えてしまうグローリーは、人々から“魔女”と疎まれ、ずっと孤立してきた。ある吹雪の夜、グローリーは凄惨な事故の幻影を見て飛び起きた。横転した車、血まみれの男性…“彼”が助けを求めている!急ぎ病院に駆けつけ、救命に協力したー稀な血液型が一致したのだ。その男性ワイアットに絆を感じつつ、名も告げずに去った数カ月後。何者かによる放火で最愛の父と兄、そして家を失ったグローリーは、恐怖と哀しみに震えながら、虚空を見つめていた。ワイアット、どこにいるの?あなたに会いたい…私を助けて!
キジアが勤めるレジャー企業グループのロンドン支社に、 ギリシアの本社から社長のニコスが視察にやってきた。 噂どおり、まるでギリシア神話の神のような男性だわ! 初めて会ったキジアも彼の圧倒的な魅力に思わず息をのんだ。 ニコスの個人秘書に抜擢されたキジアは懸命に仕事をこなしつつも、 住む世界の違う彼への恋心を抑えきれない自分にうろたえていた。 そんなある日、ニコスが開いた大邸宅での豪華なパーティのあと、 キジアは彼から思いがけず甘い言葉をささやかれ、激しく動揺する。 私は病気の後遺症のせいで子供が産めない体になってしまった。 彼に跡継ぎを授けられないのだから、そっと身を引かなければ……。 英国人作家シャンテル・ショーの日本デビューを飾った名作をお届けします。ギリシア人の傲慢なボスと生真面目な秘書の恋模様を描くオフィスものには、ため息が出るほどゴージャスな場面がいっぱい! 二人と共に豪華客船の地中海クルーズをお楽しみください。
ある日リディは、父が破産寸前だと母から聞かされた。今すぐ銀行に5万ポンドを振り込まないと家を差し押さえられるから、父に代わり、ジョナ・マリオットに昔貸した資金を回収してほしいという。7年前に一度会ったきりの大企業の社長ジョナは、リディの憧れの人。内気な彼女は愛する父のために勇気を奮い起こすと、彼のオフィスに出向いて懸命に事情を説明し、首尾よく資金を回収した。だが帰宅後、家を手放したくない母が嘘をついていたことが発覚する。私はジョナの寛大さに甘えて大金を借りてしまったんだわ!気に病むリディに、彼は笑みを浮かべながら驚くべき解決方法を提示した。「僕と結婚すれば、すべてうまくいく」
キャサリンはドミニクに別れを告げようとしていた。 この半年間、彼女は夢の世界に漂っていた。 豪華なドレスに身を包み、毎夜パーティにくりだして、 とびきりすてきなフランス人富豪の男性と熱い恋に落ちて……。 でも本当のキャサリンは、平凡で控えめでまったく目立たないタイプだ。 それに比べて長身で魅力的なドミニクは常に女性たちの注目の的。 彼が本気で想ってくれているとは、ましてプロポーズされようとは、 キャサリンは夢にも思っていなかった。 あとわずかしかない命を輝かせるため、ロンドンに来ていたのだから。 ドミニクを愛している。だからこそ、彼からの婚約指輪は受け取れない。 ほかに恋人がいると嘘をついてドミニクを激怒させ、別れを告げたキャサリン。ところが、バーミンガムに戻って元の地味な暮らしを送っていた彼女のもとに、ドミニクが突然姿を現し……。人気作家C・ウィリアムズのシンデレラ・ロマンスをご堪能ください。