2018年12月発売
手紙雑貨の店「おたより庵」の店主・詩穂は、 「自分が死んだらこの手紙を投函してほしい」と中学時代の親友・響子に託された。 やがて季節は巡り、彼女の死を知った詩穂は手紙を開封し、 過去にまつわる事件に巻き込まれてゆくーー。 町家の並ぶ、どこか懐かしい町で「あの日の約束」が再び動き出す。 店を訪れる者と、想いを伝えたい大切な誰かを繫ぐ、 あたたか優しい手紙ミステリー! 疎遠になった親友へ、今は亡き母へ、離れても大切な家族へ…… 『おたより庵』の店主は今日も、 さまざまな想いをこめた手紙にそっと寄り添う……。
圧倒的中華幻想譚、衝撃のシリーズ第2巻! 後宮の奥深く、妃でありながら夜伽をすることのない、 「烏妃」(うひ)と呼ばれる特別な妃が住んでいる。 漆黒の殿舎のなかでひっそりと暮らし、外に出てくることはめったにない。 彼女は不思議な術を使い、憎い相手の呪殺から招魂、祈祷、失せ物さがしまで、 なんでも引き受けてくれるともっぱらな噂だった。 後宮で生きながら、けして帝のお渡りのない妃。 そして、けして帝の前でひざまずくことのない妃。 ーーそれが烏妃だった。 しかし、それが意味するところを知る者は、ほとんどいない。 当代の烏妃として生きる寿雪は、先代の言いつけに背き、 侍女を傍に置いたことに深く戸惑っていた。 烏妃とは、なにも望まず、ひとを遠ざけ、ただひとりでいるものだからだ。 そんな彼女のもとに、今夜も「頼み事」のために訪ねてくる人がいる。 ある少年宦官は、自分と同じ年頃の宦官の幽鬼が現れるという。 入水して死んだ、かつて仕えていた妃の幽鬼を弔ってほしいと老宮女はいう。 古い布作面には男の幽鬼が取り憑いている、という気味の悪い話もある。 そしてある夜、後宮で起きた凄惨な事件は、 寿雪が知る由もなかった驚愕の真実をもたらすことになる、がーー。 烏妃をしばる烏漣娘娘(うれんにゃんにゃん)とは何か? 烏漣娘娘がおそれる「梟」(ふくろう)とは一体誰なのか? 烏妃の孤独と運命を知ることとなった皇帝・高峻はーー。
夏の南仏プロヴァンスで、正義とリチャードの宝探しが始まる……! きっかけは、リチャードに母のカトリーヌからメールが届いたことだった。 カトリーヌが正義に会いたがっているという。 どこで正義のことを知ったのかなど、分からないこともあり不審がりつつ、 正義はカトリーヌが夏のヴァカンスで滞在しているという、南仏プロヴァンスの屋敷を訪ねることに。 到着したばかりのリチャードと正義を前に、カトリーヌはゲームをしろと言い出した。 敷地中のどこかある32個の石を探し出せというのだが、 そこには一族の過去にもかかわる秘密が隠されていて……?
あの世とこの世の境にある湯屋・高天原。いつのまにか狗神と結婚させられてしまった凛子が元の世界に戻るには…? ふしぎな温泉郷が舞台の異類婚姻譚! いやなことがあっても、お風呂に入ると癒されるーー。そんな思いで一人、温泉旅行をしていた凛子。ところが気づいたときには、不思議な温泉街で狗神と婚礼をあげたことになっていた! 元の世界に戻るには手切れ金を貯めて離縁しなければならないと言われ、夫である狗神・京之介が営む湯屋で下働きをすることに。様々なあやかしが訪れる湯屋・高天原には凛子のほかにもう一人「生きている人間」沙世がいて、彼女も元の世界に戻るために働いているというのだが…?
審査委員が、惚れこんだ! 2018年度ノベル大賞 大賞受賞作。 この町で自分の名を知る者はどれくらいいるのだろう。 青井東仙(あおいとうせん)は十一歳のとき貧しさから逃れるように家を出て、 江戸で偶然出会った絵師・松山翠月(まつやますいげつ)に才能を見出され、弟子となった。 しかし、夜具も食事も着物も与えられ満たされた暮らしに次第に創作意欲をなくして破門されてしまうーー。 才能に溺れ、落ちぶれた絵師が再起をかける、大江戸人情譚! 闇と現が隣り合わせの江戸で、東仙は再び夢を描く…。 墨色の猫 古井戸の月 松に蝉 寒椿 の四編を収録。 四季折々の江戸。 そこに生きる人々が、鮮やかに動き出す! 足掻き、それでも進んでいく絵師の再生を通じ あたたかな江戸の日常を描く 新・時代小説!!
人生猫あればラクあり!? 人気作家陣が描く、どこかにあるかもしれない猫と誰かの日々を5編収録! 猫専用の洋裁店を訪ねてくる猫たちの交流と、それぞれが選ぶ生き方(かたやま和華「猫町洋裁店」)。 「NO」と言えない地味な女性が出会った、ある小料理屋の『見えるひとにしか見えない』看板猫(水島忍「猫又の小料理屋さん」)。 イケメンで有能な同期から、海外出張の間、猫の世話をしてほしいと頼まれたOL(毛利志生子「七匹もいる!」)。 愛猫家の店長が営むカフェに通う、お嬢様が初めてのバイトに挑戦した結果…?(秋杜フユ「Cafeトラ猫のマスターは猫を愛しすぎている」)。 元捨て猫と、彼女にまつわる「ありがとう」の物語(前田珠子「ありがとう」)。
塾講師の仕事も婚活もドン詰まりな春見順子(31歳)。親の期待に応えようとガリ勉づくしの青春時代を送り、東大受験をしたが失敗し、その後もパッとしない生活を送ってきた。そんな彼女の前にピンクの頭をした不良高校生・由利匡平が突如現れ「俺を、東大に入れてくんない?」と言ってきたその日から、順子の人生が大激変!?ドラマ化決定!大人気コミックを小説で!
日本新報記者・南康祐に、大手IT企業が不正献金をしているという政治家リストがメールで届く。真実なら政界を揺るがす大事件だが、送信者に心当たりがない。甲府支局時代に誤報を飛ばし、会社を窮地に陥れた過去がある身として、慎重にならざるを得ない。だが、本社に戻った今、特ダネを物にしたい思いは募り…。一通のメールから政治の闇を炙り出して行く記者が掴んだ真相とは!傑作事件小説。
会社員の小柴は、毎年2月に釧路へ旅行し、行方不明の恋人ゆみを探している。今年も『SL冬の湿原号』に乗り、乗客を丹念に撮影。レンタカーに戻ると見知らぬ女の死体があり、容疑がかかる。7年前ゆみの失踪時も疑われた過去があった。小柴と同級生の十津川警部は、彼の写真を手がかりに捜査を始め、3Dカメラ開発が絡んでいると…。人気のSLが走る釧網本線を舞台に描く長編旅情ミステリー。
幕末、文久元年の大坂。弥吉は河内から、緒方洪庵の適塾を目指し市中に出る。尊王攘夷思想に染まった彼は村の仲間から洪庵の暗殺を任じられていた。しかし、潜入した適塾で、自らを顧みず患者のために尽くす洪庵に接するうち、弥吉の心に迷いが生じる。故郷の仲間の無謀な決起を知り、弥吉がとった行動は。動乱の世に懊悩しつつも自らの信じる道を歩まんとする若者を活写した、鮮烈なる時代小説。
「同世代と会うと、つい病気自慢大会になっちゃう」そんなお父さん。「風邪くらいで休めないのは私も同じよ!」とお母さん。「眠剤効かねえマジ病む」と娘さん。それぞれ事情もおありでしょうが、皆さんいったん落ち着いて、この本読んでみて。元医師による本格的な医療ものから、短編の名手による不条理ものまで、本当に面白いですから。えっ症状は良くならない?それは病院に行ってください。
オレが通う高校は、いわゆる「底辺校」だ。偏差値は下位だけど、女生徒のスカート丈の短さだけが最上位にランクしている。平凡なオレは、ひょんなことから番長へとまつりあげられ、国籍不明の友人2人が常に脇を固め、同級生に恐れられていた。ある日、初恋の純子が慶應大学を目指すという話を耳にし、甘いキャンパスライフを夢見て、オレの高校生活は一変!笑えて、最後に熱い涙がこみ上げてくる痛快青春小説。
東京浅草。診療所の医師・真野麟太郎は、大先生と呼ばれ近所の人々に慕われている。ある日、手首を切った女子高生・麻世が治療にやってくる。麻世の心の傷を知った麟太郎は、一緒に暮らすことを提案。麻世は、家事をすることを条件に同居人になるが…。虐待、認知症、癌など、診療所に持ち込まれる病気や患者の問題に、真摯に向き合う医師と型破りな女子高生が織りなす切なくて温かい下町物語。
健全な国土のため、地縛霊を説得して立ち退かせるのが専門の幽冥推進課で、臨時職員として働く夕霞。過疎の村に一人残る老人が抱える未練や、就活に失敗した女子学生にとり憑いた恐ろしい死神など、難題が続く業務に体当たりで取り組む夕霞だが、相棒の火車先輩が妖怪としての力を失い、消滅の危機が迫って!?この国に暮らす人々が遺した想いを描く、笑えて泣ける心霊お仕事コメディ第3弾!
私立金田大学は、留年も中退もお咎めなしのおおらかな大学だ。そんな大学に通う社本勇の所属サークルは、メンバーがやめてしまうことで有名だった。そして、中退したクセの強いOBたちが部室を訪れ、お酒片手に語りまくる。そこに寝泊まりする勇は常に睡眠不足。勇がサークルで出会った後輩との初恋に浮かれる裏で、中退者たちはある画策をするのだがー。ラストまで目が離せないブラック“サークル”コメディ!
25年前に起きたホテル爆破事件。その救出劇で一躍、国民的な英雄となった“少佐”を、取材することになったテレビ局リポーターのケーラ。彼女には、3年前に隠遁した彼を公衆の面前に引き出す、ある秘密があった。晴れて取材は成功。しかし、その直後、二人は銃撃される。少佐の息子、ジョンは拉致するようにしてケーラを保護し、銃撃事件の真相を追おうとするが…。興奮度MAXのサスペンス!
ジョバンニの旅は終わってもカムパネルラの旅は続く…。あの「銀河鉄道の夜」を今夜、カムパネルラが語りなおします。長野まゆみデビュー30年記念小説。