2018年12月発売
小説家の礼一郎は、依頼をくれた編集者と初めて会う約束をした。待ち合わせの喫茶店に現れたのは、どう見ても小さなピンクの、ぶたのぬいぐるみ。これは夢だ、と思った礼一郎は、おもしろがって、ぬいぐるみに新作の構想を話し始めるが…(「長い夢」)。編集者・山崎ぶたぶたは、本や雑誌を作りながら、出会う人々にも、元気をくれるんだって。大ヒットシリーズ!
小学六年生の平山史彰は、父親の転勤のため、千葉県の犬吠崎近くの漁師町に引っ越してきた。田舎の暮らしには慣れてきたけれど、お母さんと妹は、まだ東京に残ったままだ。史彰は家族がまた一緒に住むことを願っているが、母と妹がやって来ないのには、実は複雑な事情があって…。父、母、息子、娘。それぞれの視点から、ひとつの家族の、十年間の物語を紡ぐ。
抜群の頭脳と美貌、そして最悪な性格を併せ持つ女探偵・新藤礼都が、よりブラックにパワーアップして還ってきた!ナンパ教室講師やマルチ商法会員、鴬嬢など、相変わらず怪し気なバイトを掛け持つ礼都。その先々で、傲岸不遜な発言と驚異の推理力で隠された真実を容赦なく暴き出していくー。厄介なヒロインの奇妙な活躍を描く異色の連作ミステリー第二弾。
放漫経営のツケが祟り、倒産寸前の苦境に陥った栄養剤メーカーのS製薬。銀行は融資を渋り、他社への吸収合併を迫って来た。社長の女婿で経理部長の滝沢は、資金調達に狂奔する中、九州に広大な不動産を有する資産家の知己を得たが…。愚昧な企業経営陣の顛末を描いた表題作を始め、伝説の“流行作家”が、ジャーナリスティックな視点で綴った傑作推理六編を収録。
内閣情報調査室ーCIRO-の香月喬は、首相官邸から霞が関エリート官僚たちの調査を命じられる。官邸を脅かす可能性があるとされる政策集団の官僚たちは、いったい何をしようというのか。極秘任務で動き出した香月だが、思わぬ事態に直面する。立ち上がった官僚たちの叛乱の結末はー。魂を揺さぶる人気シリーズ、特別版としての三部作第一弾。
設計士の板垣貞夫は地元の有志から、石見銀山跡を観光地にしたいと、設計の構想、工費の見積もりの依頼を受ける。その踏査の拠点となる湯治宿には、矢部と名乗る先客がいた。そして、観光中に見かけて気にかかった一人の女性も宿泊客としてやって来る。矢部は本名を谷原泰夫といい、自殺場所を求めてこの宿にやってきたのだが、金儲けの方法を思いつき…。
ある日、街に現れたイソギンチャクのような頭を持つ奇妙な生物。不思議な曲を奏でるそれは、みるみる増殖していく。その美しい歌声は人々を魅了するが、一方で人間から大切な何かを奪い去ろうとしていた。(表題作)人と人あらざるもの、呪術と科学、過去と未来。様々な境界上を自在に飛翔し、「人間とは何か」を問う。収録作すべてが並々ならぬ傑作!奇跡の短篇集。
とある温泉街にある「寿酒店」を継いだ寿ミツルは、一軒一軒に注文を取りに回る、昔ながらの御用聞きを続けていた。その理由は、霊感の強い寿一家が旅館を守る屋敷神の用事に応じるためだった!あるとき新進気鋭の「サクラリゾート」がオープンし、街は大騒ぎ。イケメン若手社長、幼なじみの神社の息子や個性豊かな屋敷神たちに囲まれ、ミツルはトラブル三昧…!?
公事宿「巴屋」の主・彦兵衛は、大身旗本の屋敷の前で、秩父忍びの陽炎に似た女に会う。陽炎とは、出入物吟味人として巴屋で働く日暮左近の元恋人だった。彦兵衛から知らされる左近が調べ始めると、はたして女は陽炎であり、幼な子を警固していた。その背後に、御三卿の当主の座を巡る大きな権力争いがー。大仕掛けの展開にハマる藤井邦夫の代表シリーズ第四巻。
盗人と疑われ、番屋につきだされてきた青物売りのお駒を放免してやった同心の柏木千太郎。跳ねっ返りで威勢はいいが、早くに両親を亡くし、十一で人買いに売られ苦労して生きてきた娘だ。そんなお駒を陰から見守っているらしき謎の男がいたー。その正体とは?(表題作)顔はないけど男前。のっぺら同心と仲間たちがあやかし騒ぎ解決に走る、妖怪捕物帖第三弾!
「影廻衆」として公儀の密命を果たす旗本高鳥家の三男坊・三郎太。以前、助けた商人の世話で歌舞伎見物に森田座を訪れる。舞台で異彩を放つ市川團十郎に感銘を受けた三郎太だったが、芝居小屋周りで不審な人物を見かける。次第に明らかになってきた、その人物の正体とはー。小納戸に出世した行平斗真とともに、天下を騒がす悪に挑む!待望のシリーズ第二弾。
天麩羅屋を営む浪人・伊達宗之介は、一人娘・千春の小言に頭の上がらぬ日々を送る。ある雷雨の夜、二人が町医者の屋敷の前を通りかかると、蓑笠姿の男が表門から遁走。邸内で目にしたのは男と女の亡骸だった。探索に乗り出した岡っ引の紋三は無数の不審な点に気付き…(表題作)。粋な紋三親分と、しがない浪人・宗之介の人情裁きが冴え渡る書下ろしシリーズ!
江戸は水の都だった。そして、水際にはたくましく生きる市井の人々の暮らしがあった。夜鷹を運ぶ船頭、橋を渡ることを禁じられている質屋の息子、母を失い船宿で働く幼い娘、水茶屋に売られて船宿の主に囲われた女…。『武士の家計簿』『武士の献立』の脚本家で小説家でもある著者が水にまつわる人々の物語を描いた七編を収録した心を打つ一冊。
書院番与力の月崎兵衛が小伝馬町の揚り座敷から破獄した。目付たちが必死に行方を捜す中、将軍の毒味役である御膳奉行の矢背蔵人介の前に月崎が現れた。月崎は、蔵人介が以前、御前試合で唯一不覚をとった相手。剣友として事情を聞いた蔵人介は、苦界へ身を落とした月崎の妻を捜し始めたが…。そして、衝撃のラストが待つ!超人気シリーズ、待望の二十五弾。
焦げた朝食に、ピンク色に染まった洗濯物…。アガサが家事下手なことは承知で結婚したはずなのに、夫のジェームズは不満たらたら。妻の厚化粧やファッションセンスにもケチをつけはじめ、早くも二人の結婚生活は暗礁に乗りあげる。それでもアガサはいじらしく尽くしていたのに、ある日突然、ジェームズが失踪してしまった!残されたアガサが耳にしたのは、彼が重大な秘密を隠していたこと、そして殺人犯として警察に追われていること…。いったいどうなっているの?ずっと思い描いていた甘い新婚生活とはかけ離れた悪夢のような展開に、愕然とするアガサ。必死に涙をこらえて真相をさぐろうとするものの、調べれば調べるほど、自分の夫のことがわからなくなっていき!?
親戚たちの手引きで社交界デビューしたパンドラ。田舎でのびのびと育った風変わりな彼女は、同年代の貴族の令嬢たちの集団からは浮いている。結婚にも興味がもてないので、舞踏会での恋のさやあてにも加われず、今日も舞踏会室の片隅でじっとしていた。しかし、ただ一人優しくしてくれた友人の危機を救おうとしたために、思わぬスキャンダルに巻き込まれてしまう。噂の相手となったセントヴィンセント卿ガブリエルは、責任をとって彼女と結婚すると言い出すのだが、自立をめざすパンドラは求婚を拒む。困惑するガブリエルだったが、パンドラのことを知るほどに、彼女の自由な心と聡明さに魅せられて…すべてを受け入れる深い愛に心ふるえる、“レイヴネル家”シリーズ第3巻!
隠蔽された事故原因の証拠を探し出せー。キャピタル自動車社員のエンジニア・藤沢美希は、工場勤務から役員秘書へ突然、異動の辞令を受ける。理不尽に思いながらも、新しい上司、専務・谷原勇人の正義感溢れる姿にやりがいを見出していく。やがて経営陣が主力車種「バレット」の事故原因を隠蔽していると疑った谷原は、ある事情から美希に調査を依頼するが…。神の手を持つ匠の職人、自動車の組み付けを行う社員たちの熱いプライドと、乗る人の命を思う真摯な想いが奇跡を起こす!!
ありえませんか?春の宵、公園に集まった老人たちは、「まさか」の出来事に遭遇する。騙されることへの不思議な感覚、亡き妻への思い、罠を逆手にとる知恵ー。人生の味がする、熟成エンタテインメント小説!