2018年2月発売
働くって、生きるってどういうことだろうー。モモコ、22歳。就活に失敗して、バイトもクビになって、そのまま大学卒業。もしかして私、世界じゅうで誰からも必要とされてないー!?何をやってもうまくいかなかったり、はみだしてしまったり。寄るべない気持ちでたゆたうように生きる若者の、云うに云われぬ憂鬱と活路。はりつめた心とこわばった躰を解きほぐす、アンチ・お仕事小説!
被害者と加害者、その家族たちの“想い”をみつめてきた刑事・夏目信人が出会う四つの事件。社会の歪みが生み出す不平等に、虚しさを抱えつつも懸命に前を向く人々。非力な彼らを餌食にする犯人を前に、刑事のまなざしが怒りに燃える。私たちが願うのは、被害者の幸せだけでいいのだろうか?
ある晩、血にまみれた少女が織の家の敷地内で発見された。舌を切られた少女の手の平に彫られていたのは、織り子エリアナの名だった。彼女の素性と入れ墨のことを探るうちに、エリアナは町の背後に見えない組織の力がうごめいていることに気づく。洪水が島を何度も襲い、未知の病によって動植物や島民に異変が起こり始め、織り子たちが織り上げた道はゆっくりと沈んでいく。やがてエリアナは、糸が結びあい絡みあうような島の過去と現在に、自身の運命も編みこまれていることを知る。織り子たちの糸の壁ーもしくは、島で固く禁じられている夢のなかにいるかのように。
東京・高円寺の家賃5万円のアパート月光荘。「サロン」と名付けた居間を下宿人に開放して食事や小遣いまで世話を焼くひとり暮らしの大家・雪子さんと、大学3年生の薫と、同い年のOL小野田さん。微妙なバランスで3人の関係は続いていたが…。第158回芥川賞候補作!
自らの魔法ー「プラスチック爆弾を生み出す能力」をフルに活用し、国王であった父、そして兄であるマックスを倒し、ラングミュア王国を手に入れた少年王・ヴェルナー。まずはラングミュア王国を混乱から立て直すことを目指すが、混乱するラングミュアを他国が放置するはずもなく、まずは兄マックスの婚約者・エリザベートの祖国、ヘルムホルツ帝国から使者がやってくる。爆弾の威力を誇示し、牽制するヴェルナーだが、さらにまた別の国から使者が来てー!
規格外の固有スキル『鑑定』ランクEXを持つ少年メル・ライルートは、悪竜に与する妖精を退け、パワーアップした鬼人族の剣士も倒す。そうして悪竜本体に宣戦布告した。さっそく悪竜退治の準備に取りかかるメルとその仲間たち。悪竜に効果抜群の秘剣を手に入れるため、人とリザードマンとの抗争の地へ赴く。しかしその背後では、悪竜が自身の手足となって働く“姉妹”たちを暗躍させていた。それでもメルは彼女たちの動きを察知し、その企みを防ぐばかりか、奇想天外な策に打って出てー。当代の勇者メルは仲間とともに、“神の眼”の力を駆使して悪竜との最終決戦に挑む!
北陸の漁村で育った二十歳の十兵衛は、険しい龍神参りを成功させ村に大漁をもたらす。一時は英雄となるも、初恋の君と過ちを犯して村を追われてしまう。突きん棒漁師・伝照に命を救われ、三陸で銛突き漁の修行を始める十兵衛。狙う獲物は、師の片目を奪った巨大メカジキー。
祖父から大正末期に建てられた宿泊施設「ミナトホテル」の裏庭の鍵捜しを頼まれた芯輔。金一封のお礼につられて赴いた先は、「わけあり」のお客だけを泊める、いっぷう変わったところだった。さらには失踪したホテルの猫も捜す羽目になり…。温かな涙に包まれる感動作。
中村慶介は、人気テレビ番組『ザ・プレミアワイド』により、母親を女児殺害事件の犯人扱いされ、亡くした過去を持つ。それから12年後、慶介は事件の真相究明と、母を追い詰めた者たちへの復讐に動き始める。復讐の矛先が向けられるのは、当時、事件の取材・放送にかかわった番組の司会者とスタッフたち、そして事件の真相解明のカギを握る姉妹。慶介は素性を隠してターゲットに近づき、公開されるとその者の人生が終わる致命的な映像“ファイナルカット”を突きつけることで、彼らを“ある目的”のため言いなりにしていくがー。話題の復讐ドラマを完全ノベライズ!
眼科医の遠峯が暮らす、芦屋の古い一軒家。そこに転がり込んできた、高校時代の後輩でスランプ中の小説家・白石。突然始まった同居生活は、なかなかに快適だった。事情説明の焼肉、男飯な弁当のみそ炒り卵、誕生日祝いで前菜がメインな中華コース、祝脱稿の分厚いハムとふわふわ卵の贅沢サンド、遠峯理想のコロッケ載せチキンカレー、単調作業で白菜と豚肉のミルフィーユ鍋、白石の人生初フォアグラ様。そうそう、甘党の遠峯はデザートも欠かせない。くりきんとんにモンブラン、桜餅ー。ご飯が美味しければ一年なんてあっという間。男ふたりのごはん歳時記。
冒険に繰り出した、楽天的なリュドヴィックと慎重派のルイーズ。南極近くの無人島の美しい絶景は若い夫婦を魅了した。突然の嵐が、彼らの船と希望を奪い去るまではー。ペンギンを捕獲して腹を満たす極限の生活が、人間の身体と心を蝕む。ふたりは、お互いの信頼の絆を失っていく…。女性で初めてレースにおける単独ヨット世界一周を果たした冒険家が描く、驚異のサバイバル小説。
夫の山田信・英文学教授は、渡仏中に突如パリで洗礼を受けカトリック信者になってしまう。妻の桂子は夫の独断、裏切りに自尊心を深く傷つけられる。二人の子供の将来を案じながらも、棄教か離婚かの選択を夫に突きつけ、夫婦の間で“宗教戦争”が勃発するのだがー。生涯“物語文学”を追求し続けた倉橋由美子が、禁じられた愛や夫婦交換をキリスト教を背景に描き、知識人階層を鋭く風刺した問題作。倉橋文学後期の傑作「桂子さんシリーズ」の第二弾。棄教か離婚かー驚愕の“夫婦間宗教戦争”を描いた異色作。