2018年2月22日発売
戦艦「伊勢」「山城」の轟沈と引き替えに、日本軍は最重要拠点であるトラック環礁の防衛に成功した。しかし敵部隊への索敵の遅れから防戦を強いられる。旗艦「大和」が奮戦する中、ついに索敵機が補給中の敵艦を発見。機動部隊同士の闘いに向け、新型機「零戦三三型」「彗星」が発艦する。一方で米太平洋艦隊は、英艦隊と連携し艦隊戦の構えを取る。「大和」「武蔵」と米英の最強戦艦。太平洋の派遣を握るのは、誰だ! シリーズ堂々完結。
『スタア誕生』公開にちなみ、地方都市の映画館でニューフェース審査会が開かれる。揺れながらカーテンが引かれ、シャンデリアは虹色に輝き、まばゆい光のスクリーンで、私たちの“金魚の娘”ははなやかに泳ぎまわるだろうか…すずらんの香水、首筋に感じる風、数多の映画の情景、幾度となく紡ぎ直される物語。’50年代の記憶を精緻に編みこんだ切なく甘い最新長編小説。
2017年12月、第9回日経小説大賞(選考委員:辻原登、高樹のぶ子、伊集院静)を高い評価で受賞した小説「義と愛と」を改題、作品の舞台となった戦国時代の史実をタイトルにして世に問う本格歴史小説。 本作は戦国時代の有名な武将の戦や権謀術数を巡る物語でもなければ、下克上の物語でもない。主家に仕える重臣たちの内面を通して熾烈な勢力争いを繰り広げる戦国大名家の”生身の人間ドラマ”をあますところなく描ききった点で新しい。大型新人のデビュー作である。 物語は、天文19年(1550年)、九州・豊後(現在の大分県)の戦国大名、大友氏に起こった政変「二階崩れの変」を、時の当主・大友義鑑の腹心、吉弘兄弟を通して描く。 大友家20代当主・義鑑が愛妾の子への世継ぎのため、21歳の長子・義鎮(後にキリシタン大名として名をはせた大友宗麟)を廃嫡せんとし、重臣たちが義鑑派と義鎮派に分裂、熾烈なお家騒動へと発展する。家中での勢力争いに明け暮れる重臣の中で、一途に大友家への「義」を貫いた吉弘鑑理と、その弟で、数奇な運命で出会った姫への「愛」に生きた鑑広を主人公に、激しく移りゆく戦国の世の武将たちの生き様を迫力ある筆致で活写していく。派閥争い、裏切り、暗黙の盟約、論功行賞、誰に仕えるか……それらを「義」と「愛」を貫き、筋を通した兄弟を通して描くことで、現代の組織と人間との関係にも通じる普遍的なドラマに仕上がっている。良質なエンターテイメント作品だが、組織人が読めばビジネス小説の側面も併せ持っているだろう。 第一章 大友二階崩れ 一、大友館 二、主命 三、貴船城 四、戸次川 五、先生の遺臣 六、二人の軍師 第二章 天まで届く倖せ 七、星野谷 八、天念寺 第三章 一本道 九、比翼の鳥 十、義と愛と 第四章 反転 十一、初めての嘘 十二、誰がために 第五章 鑑連の手土産 十三、秋百舌鳥 十四、義は何処にありや
身に覚えのない咎で断罪され、皇太子殿下から婚約を破棄されたクリスティアーヌ。七歳の頃から、自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生したことを知る彼女は、来るべき日が来たと邸を飛び出す。ところがある日、下町の宿屋兼食事処で働く彼女のもとに、なぜか皇太子殿下と取り巻きたちがやってきた!事の真相がわかり公爵令嬢に戻ったクリスティアーヌは、半年ぶりの学園で、店の常連客だったレオと再会。レオや友人たちの助けを借りながら市井官を目指すが…!?「小説家になろう」発、「ネット小説大賞」受賞作!!
女神たちの力を借りて、異世界アースガルドで新しい人生をスタートさせた考助は、気が付けば初の現人神になっていた。セントラル大陸にあるすべての塔を制覇したうえ、新たに国も造り、考助にベた惚れ続行中な塔の女性陣との関係も順風満帆。そのうえフローリアが懐妊し、第一子の誕生を待つだけだった考助は、周囲の後押しもあり、出産時期までしばし旅に出ることに。のんびり各地を見て回る予定が、トラブルを呼び寄せる考助のお陰で、思わぬ事件の連続となり!?新展開の異世界シムストーリー第8巻。
サイドストーリーをぎゅっと詰め込んでお届け! さて、それじゃあ、あと少しだけ。 思い出話でもしようか、三葉。 『魔法』を使える者だけが入れる私立桜ノ宮魔法高等学校に急遽入学することになった野花三葉。クラスに馴染めず、担任教師からは理不尽に嫌われ、憂鬱な毎日を送っていたところ、何者かに階段から突き落とされ命を落としてしまう。しかし、白猫の姿をした天使から特別にあと六ヶ月だけ余命を与えられた三葉は、残りの時間を思う存分生き直すことを誓うーー。第一回モーニングスター大賞受賞作のサイドストーリー集。
太宰が最も尊敬し、芥川、川端が恐れた作家 豊島与志雄の全貌が明らかになる代表作が 現代仮名遣いによって甦る! 芥川龍之介に 「山間の湖の如く静かなのは、豊島与志雄氏の作品である」 と言われた豊島は、「忘れられた作家」と呼ぶには あまりにも大きな存在である。 太宰治、坂口安吾、田中英光らは豊島を深く尊敬した。 太宰は「先生も、私と同様に、だらしがない。 そうして、日本で、いちばんの教養人だ」と評し、 川端康成は、「終始孤高の高士であるが、 そのひとりの世界では魔につかれて、 なにをしているかわからぬ怪物である」と言った。 本書では、初期の作品から戦後のものまで収録しているが、 どの時期の作品も、深いメランコリーの影が射している。 そして終始一貫して理知的であった。 怜悧さ故の虚無感に包まれながら完璧への希望をも 持ち続けた隠れた名作をお届けします。 収録作品 蠱惑 悪夢 都会の幽気 丘の上 常識 食慾 逢魔の時 球体派 怪奇な話 碑文 白塔の歌 秦の憂鬱 沼のほとり 聖女人像 絶縁体 解説 知性が持つ感性と、感性が持つ知性と 長山靖生
アルファグアラ賞受賞作! 〈城〉と呼ばれる自宅の近くで誘拐された大富豪ドン・ディエゴ。身代金を奪うために奔走する犯人グループのリーダー、エル・モノ。彼はかつて、“外の世界”から隔離されたドン・ディエゴの可憐な一人娘イソルダに想いを寄せていた。そして若き日のドン・ディエゴと、やがてその妻となるディータとのベルリンでの恋。いくつもの時間軸の物語を巧みに輻輳させ、プリズムのように描き出す、コロンビアの名手による傑作長篇小説! 「俺は堕落する前に、あんたみたくイソルダを抱き締めて、俺のイソルダ、と呼んでみたかった。俺が欲しかったのはあんたの金じゃないんだよ、ドクトール。あんたの娘を欲しかったんだ。城の近所に住む金持ちのぼんぼんが日がな一日、城の周りをうろついているのと同じように、俺もイソルダの行動を遠くから窺っていたんだ」(中略) 今度こそ、エル・モノは腹から笑った。俺にしたって同じだよ。あの娘を思い出すと、ときどき自分でも知らないうちになんでもないのに笑っているんだ。悪ふざけかなにかを思い出したんじゃないか、って訊かれるけど、あんたと同じだよ、ドクトール、あの娘のせいだ。俺たちのイソルダを思うと、笑いがこぼれてしまうんだ。あんたは、俺たちのって言うと怒るけどな。(本書より)