2018年2月23日発売
深い悲しみを背負ったふたりが、 うたかたの愛を紡ぐときーー 雇い主ブラムの姿をひと目見た瞬間、臨時秘書のルビーは呼吸を忘れた。 “この世のものとは思えないほど美しい異国の大富豪”-- 5年も隠遁生活を送っているにもかかわらず、その魅力は健在らしい。 初対面の臨時秘書に不信感をあらわにするブラムだったが、 彼はルビーが天涯孤独だと知ると、驚くことに便宜結婚を申し出た。 祖国に戻ることになり、花嫁を連れ帰る必要に迫られているのだと。 大富豪の妻なんて大それた役が、私なんかに務まるのかしら……。 ルビーは悩んだ末、亡父の負債を返済するために依頼を引き受けた。 口裏合わせのロマンスを創作し、ブラムの優しさに触れるにつれて、 つのる想いに苦しむことになるとは思わずに。 相思相愛の妻としてブラムの国を訪れたルビーは、彼が弟のために自ら国を追われ、その背景に愛する女性の存在があったことを知って苦悩します。期限つきのはかない恋の結末は……? RITA賞受賞作家L・フィールディングが繊細に紡ぐ、美しき千一夜物語。
あれから時が過ぎた今もなお、 貴方への愛と失恋を繰り返している。 イタリア屈指の名家の御曹司ジオ・ヴァルティエリと、 そばにある農場の娘アニータは幼少期からの親友だ。 5年前に恋人同士となるも、その後突然ジオから一方的に振られ、 アニータはひどく傷ついた。それでも今なお、彼を愛し続けている。 あるとき、ヴァルティエリ一族の休暇旅行の直前にジオが大怪我をし、 アニータが身の回りの世話をすることになった。 二人きりの時を過ごすうち、ふたたび熱い情熱の火花が散ったが、 自分は不誠実で結婚には向かないと言うジオに、彼女は肩を落とした。 やがてそれぞれの日常へ戻ったあと、予期せぬ妊娠が発覚する。 義務感から求婚するジオに向かって、愛なき結婚はできないと、 心で泣きながらアニータは告げるのだった……。 アニータに拒まれてもなお、生まれくる我が子の面倒をみると主張するジオ。やがて、気まずく、切なく、熱い同居生活が始まりますが……。『フィレンツェで生まれた恋』の関連作。
持参金も、まともな服さえもない私に、 値打ちなんてあるはずがないけれど……。 屋敷と財産を賭博で失った父が蒸発し、シーアは独り取り残された。 父は最後にサー・デヴリンなる貴族を相手に大負けして、 彼女の花嫁持参金まで巻き上げられていた。 路頭に迷ったシーアは苦渋の選択でサー・デヴリンの館を訪れ、 切なる願いを申し出たーー私をもらってください、と。 デヴリンは突如現れたみすぼらしい身なりの女性の言葉に驚きつつも、 理想の花婿と見るやつきまとってくる貪欲な令嬢たちを退けられ、 跡継ぎも手に入るなら好都合と、彼女の願いを叶えてやることにする。 半年前に見かけた瞬間から彼に恋していたシーアは舞い上がるが、 初夜を迎えた翌日から、夫は急に冷たく無口になってしまい……。 貧しい姿に隠されたシーアの魅力を見抜き、一度は彼女を妻としたデヴリンでしたが、思うところがあって婚姻無効の申請をしようと心に決めます。そうとは知らないシーアは、情熱的だった次の瞬間には冷たくなるという彼の気まぐれな態度に大いに翻弄されて……。
男爵が求めるのは、お飾りの妻。 人形のようなつまらない花嫁……。 “利口すぎず、慎ましやかで、口答えしない、家柄のいい美人。 そんな娘がもしもいるなら、結婚を考えてもいい” 祖母に結婚をせっつかれている男爵チャールズは、 まだ独身を謳歌したくて、無理難題と言える結婚の条件を出していた。 ところが驚いたことに、そんな娘がいたのだ。 祖母の知人の紹介で引き合わされた彼女の名は、セラフィーナ。 面白みがなく従順そうで、天使のように愛らしいだけの彼女となら、 結婚後も自由にやれそうだ。高慢にもそう考えた彼はまだ知らなかった。 自分の目に映っているしおらしいセラフィーナが、 愛する家族を苦境から救うための、一世一代の名演技をしているとは! 本当は聡明で快活なセラフィーナは、大人しい仮の姿で高慢な花婿候補の希望に沿おうとしますが、男爵が恋に落ちたのは、彼女の妹“サリー”でした。じつのところサリーの正体は、元気な真の姿でふるまうセラフィーナなのですが、彼はそれに気づかなくて……。
亡き親友の兄で大富豪のリードのもとを訪れたライラは、黒髪と明るい緑色の瞳にたちまち心を奪われてしまった。だまされてはだめ。外見はゴージャスでも、彼の本性は傲慢で冷酷。妹がお金に困っていたときも、助けようとしなかったのだから。「この子はあなたのものよ」ライラは胸の痛みをこらえ、腕の中の赤ん坊ー親友の忘れ形見を伯父にあたるリードに引き渡した。そして、ナニーが見つかるまでの約束で子供の世話を引き受ける。リードの家でともに暮らすうちに、ライラは冷たい仮面の下の本当の彼を知り、惹かれる気持ちを抑えられなくなる。だが、彼が求めているのはベッドをともにしてくれるナニーで…。
情熱の一夜のあとで去っていった彼。 この子の存在を知ったらなんて言うかしら? 亡姉の子を代理出産したケイラは、赤ん坊の父親、ドノバンを訪ねたーー 姉の葬儀の日の夜、たった一度だけ情熱を分かち合った魅惑の大富豪を。 生まれた子にきょうだいを作ってやりたいという姉の望みを叶えるには、 彼にもう一つの受精卵を使用する許可を得なくてはならなかった。 「この子はあなたの娘よ」 だが自分にそっくりな目を持つ赤ん坊を見ても、ドノバンは冷淡だった。 「受精卵は破棄する約束だった。それに、ぼくには婚約者がいる」 頼みをはねつけられ、肩を落として帰宅したケイラを悲劇が待ち受けていた。 あろうことか、住み込みのナニーに貯金を全額盗まれてしまったのだ。 困り果てたケイラが、もう一度ドノバンを訪ねると……。 我が子を見ても眉一つ動かさなかった、億万長者との悲しい再会。かつて一度だけ関係をもったヒロインに彼がつらくあたるのには、ある特別な理由がありましたが……。波瀾万丈なストーリー展開とセクシーな作風で人気のイヴォンヌ・リンゼイの力作です。
父の死後、ペイジは妹とふたり、叔母の家で貧しい暮らしに耐えていた。ある日、再会したのは、ギリシア海運王ニコラス・ペトロニデスー4年前、18歳だったペイジがひと目で虜になり、純潔を捧げた男性。夢の日々を過ごし、その後悲嘆のどん底に突き落とされるとも知らず。彼は資金難の父の事業に投資するふりをして近づいてきただけだったのだ。あんな仕打ちをした彼が、なぜ今になって現れたのだろう?「友人の娘の家庭教師としてギリシアに来てほしい」ニコラスの言葉にとまどうペイジだったが、折悪しく妹の非行が叔母の逆鱗に触れて家を追い出され、やむなく仕事を引き受けることに。二度と彼に心を奪われてはいけない。ペイジは固く胸に誓うが…。
21歳の掃除人マグダは、派遣先の豪奢な邸宅で、若きイタリア人実業家ラファエッロと初めてはち合わせた。ハンサムな顔に思わず見とれていると、彼がいきなり申し出た。10万ポンドの報酬で、半年だけ僕の妻になってくれないか、と。亡き友人の赤ん坊を育てるマグダは、戸惑いながらも引き受けるが、「跡取り息子が不器量で貧乏なシングルマザーを嫁にした!」と、由緒あるラファエッロの実家の逆鱗に触れてしまう。それこそ、両親と確執のある彼の思惑どおりだったのだが、あまりの責めを受ける彼女を不憫に思ったか、ラファエッロはマグダを美容室に連れていき、ドレスも買ってやる。すると…。
名家の御曹司マックスとケイトは、誰もが羨む理想の夫婦だった。 ところが、父親の汚いビジネスを継ぐことを嫌ったマックスが 怒りを溜めこみ冷たくなり、思い余ったケイトは家を出た。 まだ彼に知らせていないお腹の子のために、できるだけ遠くへ。 時が過ぎ、入院中の家族を見舞いに訪れた病院で、 ケイトは偶然にマックスと8年ぶりの再会をはたす。 かつての夫の姿がよみがえり、ケイトは恐れおののくが、 彼は初めて恋した頃の、穏やかな自信あふれる男性になっていた。 でも彼の魅力に屈してはだめ。だってわたしには秘密が……。 そのときエレベーターの扉が開き、7歳になる娘が走り寄ってきた。 HQイマージュで長年ベビーもののロマンスを書いて人気の作家スーザン・メイアーが贈る、夫婦の復活愛とシークレットベビーの物語です。問題を克服し、継いだ会社を健全な方法でさらに大きく成長させた元夫に惚れ直すヒロイン、共感度100%です。
敏腕弁護士ホークは、シリの父親の共同経営者だ。 少女の頃から、シリはハンサムなホークに夢中だった。 だがホークはシリを子ども扱いし、想いを隠せない彼女を叱責する。 一度など、ホークの髪に思わず指を絡めた彼女に激しく口づけ、 男を挑発したらどんな目に遭うか思い知れ、と脅した。 あるとき、シリはホークの出張に同行することになる。 ふたりの距離を縮められるかもしれないと期待するシリに、 ホークはまたも残酷な仕打ちで応えるーー 「子守りなんぞごめんだ」そう言い捨てると、 かつての婚約者とディナーに出かけ、朝まで帰らなかったのだ。 嫉妬に身を焦がし、涙に濡れ、今度こそあきらめようと誓うヒロインですが、年上の男性のほうにも、実は彼女にはわかりようもない“大人の事情”があってーー? 焦れながら読むのが楽しい、人気No.1作家ダイアナ・パーマーの初恋ロマンスをどうぞ!
父の急死で、身寄りのなくなった19歳のニコラは、憧れの弁護士ブレットと結婚した。しかし、新婚生活は惨めなものだった。父の親友で、ニコラの後見人でもあるブレットにとって、この結婚はニコラが男友達に襲われかけた事件がきっかけで生じた、便宜的なものにすぎず、ニコラを子供扱いして、指一本触れようとしないのだ。だから、2年たってもニコラは純潔のままーしかも彼は、別れた美しい妻にいまも想いを寄せていた。
あと半年で、子供が産めない体になるかもしれない……。 医師から衝撃的な診断を下されたアンドレアは打ちのめされ、 治療に専念しようと、社長ゲイブに休職を申し出た。 だが、なぜか許されず、ゲイブはパリ出張への同行を命じる。 現地に到着したものの、仕事を始める様子もないゲイブに、 不審感を抱いたアンドレアが問いただすと、 「きみをパリに連れてきたのはーーきみに子供を授けるためだ」 同情からの求婚だとわかり、彼女は思わず言葉を失った。 なぜならアンドレアは密かにゲイブを愛していたからだ。
会ったこともないギリシャ人の祖父から手紙が届いた。 病床に伏し、死ぬ前に一目ヘレンに会いたいと言うのだ。 ヘレンは同情をおぼえるも、父と駆け落ちした母を勘当し、 亡くなるまで許さなかった祖父を恨む気持ちもある。 迷う彼女の前に、ある日、祖父の使者だという謎の富豪が現れる。 その男、デイモンは美しいが、微塵の甘さも感じさせない 野獣のような鋭い目で、力ずくでも君を連れていく、と告げた。 容赦なく追いつめられて、怯えるヘレンは思いもしなかった。 このあとの船旅で、デイモンの激情の炎に焼かれようとは。
キンバリーは脅迫状を受け取り、背筋を凍らせた。 すぐさま500万ドル用意しなければ、息子を誘拐するというのだ。 彼女はやむなく、二度と顔も見たくなかった実業家ルスを訪ねた。 ほかの女の影に怯える日々に疲れ、 捨てられるようにして別れて以来、彼とは一度も会っていない。 しかもルスは知らないが、彼は息子の父親でもあるのだ。 ルスははなから贅沢のための金だと決めつけ、嘲笑とともに、 報酬として2週間、自分の愛人になるよう要求した。 彼女は言いなりになるしかなかった。たとえ辱められても。
永遠に君を愛するー繰り返される口づけ。18歳の切ない誓い。義兄ジェイクと結ばれたジェイミーは輝きのなかにいた。だが、その日、義兄がほかの女性と抱きあう姿を見て、少女はすべてに絶望し、無言のまま家を去ったのだ。それから6年がたち、思いもよらぬ義兄との突然の再会が、あの日の苦痛よりもっと酷な傷をジェイミーに刻みつけた。既に婚約者がいる、大企業の社長となった義兄が唇を歪め、辛辣な言葉を浴びせたのだ。あれから何人の男を知った、と。あなたしか知らないわ…ジェイミーは寂しい心でつぶやいた。
コーデリアは父亡きあと、継母にずっと粗末に扱われてきた。だから、住み込み家庭教師の職を得たときはうれしかった。しかも教え子の少女の同行で、ウィーンに赴くことになったのだ。少女の伯父の家にしばらく滞在するのだという。伯父のチャールズは長身の、とてもハンサムな麻酔医だった。冴えない容姿の彼女をちらりと見るや、見下した顔をしたので、コーデリアは芽生えかけた恋心を封印した。永遠にーでも人々は言うのだ。ウィーンには不思議な魔法がある、と。だから願わずにはいられなかった。先生に魔法をかけられたら。
古典ギリシャの情熱的普及者でアテネ市名誉市民のルチャーノ・デ・クレシェンツォが、トロイア戦役をホメロスになり代わり、16歳の若者レオンテスを介して語りつくす。 5年前から消息不明の父は戦死したのか、それともトロイア人の捕虜になったのか─。この父を訪ねて上陸したトロイアで、レオンテスはいろいろな出会いをはたす。毒舌のテルシテス、俗物で搾取者のアガメムノン、残忍な暗殺者アキレウス、名うてのごろつきオデュッセウス、それにレオンテスと愛を交わすヘクタ……かの絶世の美女ヘレネにそっくりなのだが、果たして本人なのか? クレシェンツォ神話学の集大成! プロローグ 1、イリオンへの航行 2、戦争の原因 3、一番美しい女性へ 4、テルシテス 5、メネラオス対パリス 6、神々のえこひいき 7、神託 8、毒殺者エウアイニオス 9、猪の牙 10、“二つの泉”にて 11、ポリュクセネ 12、アキレウスの叫び 13、ヘクトルの死 14、アマゾンたち 15、アキレウスの踵 16、木馬 エピローグ 訳者あとがき 付録 ギリシャ神話小事典