2018年2月9日発売
第13回本屋大賞、第4回ブランチブックアワード大賞2015、第13回キノベス!2016 第1位……伝説の三冠を達成! 日本中の読者の心を震わせた小説、いよいよ文庫化! ゆるされている。世界と調和している。 それがどんなに素晴らしいことか。 言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。 高校生の時、偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来、調律の世界に魅せられた外村。 ピアノを愛する姉妹や先輩、恩師との交流を通じて、成長していく青年の姿を、温かく静謐な筆致で綴った感動作。 解説は『一瞬の風になれ』で本屋大賞を受賞した佐藤多佳子さん。 豪華出演陣で映画完成! 外村青年を山崎賢人、憧れの調律師・板鳥を三浦友和、先輩調律師・柳を鈴木亮平、ピアニストの姉妹を上白石萌音、萌歌が演じています。6月8日公開。 「才能があるから生きていくんじゃない。そんなもの、あったって、なくたって、生きていくんだ。あるのかないのかわからない、そんなものにふりまわされるのはごめんだ。もっと確かなものを、この手で探り当てていくしかない。(本文より)」
小籐次、死す!? 久慈屋昌右衛門の供で伊勢詣でに行っていた小籐次が江戸に帰ってきた。昌右衛門は念願の伊勢参りと墓参を叶え、隠居する決意を固めたようだ。 そんな折、北町奉行所の年番与力の米郷が、小籐次にたっての願いがあるとして面会を求めてきた。 その晩遅く、久慈屋の荷運び頭の喜多造は酔って千鳥足の小籐次を見かける。天気が荒れているにもかかわらず、これから舟で望外川荘に帰るという小籐次を喜多造は止めるが、小籐次はそのまま堀へと消えていった。 ところが翌朝、小籐次が望外川荘に帰っていないことがわかる。そればかりか、小籐次の小舟だけが石川島の人足寄場に流れ着いており、小籐次の蓑や破れ笠も川で発見された。小籐次行方不明の報におりょうと駿太郎は半ば覚悟をし、また江戸中の人々も小籐次の死を受け入れ、久慈屋の店先で弔いをするに至った。 小籐次の行方不明と、年番与力・米郷の頼み事は関係があるのか、そして小籐次は本当に死んでしまったのか!? シリーズで最も緊迫した展開を迎える第10弾書き下ろし!
商社で働く志村栄利子は愛読していた主婦ブロガーの丸尾翔子と出会い意気投合。だが他人との距離感をうまくつかめない彼女をやがて翔子は拒否。執着する栄利子は悩みを相談した同僚の男と寝たことが婚約者の派遣女子・高杉真織にばれ、とんでもない約束をさせられてしまう。一方、翔子も実家に問題を抱えー。友情とは何かを描いた問題作。第28回山本周五郎賞&第3回高校生直木賞を受賞!
畑中圭介は大分県警刑事研修所、通称「刑事学校」の教官である。6人の新米刑事に捜査術と刑事魂を教え込むため、全国の警察と連携を取り研修を進める畑中。そんな中、幼馴染の立石健吾が死体で発見され、研修生と共に事件解決を命じられる。畑中の、抑えきれない刑事の熱い血がさわぎ出す!文庫オリジナル警察アクション。
野球の才能に恵まれながら、家庭の事情で一度はあきらめたプロ野球選手になる夢を叶えた北澤宏太。高校時代の恋人・穂波、野球雑誌に左遷された編集者・美潮、先輩選手の妻・雪菜、落ち目の歌手・マリア、娘をもうけながら離婚した女子アナの妻・茉莉。一人の投手の光り輝く瞬間の軌跡に関わった女性たちの物語。
幼いころに両親を亡くし、引き取られた叔母の家でも身の置きどころのない少女ありすは、遠く離れた京都で舞妓修業を決意する。彼女のもとにやってきた老紳士に連れられて訪れた京都は不思議な世界だったー。ともに人間の言葉を話す、カエルのハチスとウサギのナツメと、ありすは京洛の森の謎に触れていく。書き下ろし小説。
樹海ーそれは社会の底辺で生きることに疲れた人びとの終焉の場。虐待、借金、失業、薬物中毒…悲惨で救いようのない人間たちは、生きる苦しさから解放されるため、次々と樹海へ足を踏み入れる。弱者を生みだし、死へと導いたものとは何か。親と子の恐ろしい因縁が引き起こす、不幸の連鎖を描いた連作短編集。
本物の殿様にして若年寄となった元影武者・与多寅右衛門の前に、次々に難題が立ちふさがる。増税を唱える上役、野心家の勘定奉行、財政改革の妙手を引っさげ幕政に食い込もうとする謎の男、江戸の子供が消える誘拐事件。そして、恋?寅右衛門は庶民のための政治改革を貫けるか?大人気シリーズも第五弾にして大団円!?
時代は戦国。一匹の痩せ馬に乗り、斑鳩をゆく一人の男がいた。渡辺条四郎、メリケンでいえば賞金稼ぎ、本邦では勧賞目当ての素浪人のていである。諸国を旅しながら、高札にかかげられた勧文に記された手配書に従って、下手人を捕え金品を得ることで糊口をしのぐ。しかし本当は仇討の大望が…。
小説の書き手である「わたし」は物語を始めるにあたり、日本語の表記の範囲を定め、登場人物となる13氏族を制定し、世界を作り出す。しかしプログラムのバグというべき異常事態が起こり…。文学と言語とプログラミング、登場人物と話者が交叉する、著者初の「私小説」にして、SFと文学の可能性に挑んだ意欲作。
推理小説の人気作家であると同時に、超一流の歴史研究者でもあった松本清張。昭和史研究の代表作が『昭和史発掘』だ。その成果からつながる未完の小説『神々の乱心』は、清張が30年余にわたって「あの話はいつか小説にしておきたい」と繰り返し、死の瞬間まで情熱的に取り組んだ遺作である。二作に秘められた清張の遺志を解き明かすー。
凄腕の殺し屋が警察官ケスラーを狙っているという情報が入った。敵の名はヘンリー・ラヴィング。標的を拉致し、拷問で情報を引き出してから殺害するのを得意とする。ケスラーと妻子を警護すべく急行した警護官コルティだが、すでに敵の罠は仕掛けられていた!殺しのプロVS護衛のプロ。二人の戦略家が演じる限界の頭脳戦!
たったひとつのミスが警護対象者と自身の死につながる。敵は精妙な計画を立て、標的のスキを突く一流の戦略家だ。やつの狙いは何か。次なる襲撃への備えを固めながら、コルティは事件の源泉を探り、反撃の策を練りはじめる。これぞデイーヴァーの真骨頂!プロVSプロのゲーム性を研ぎ澄ましたノンストップ・サスペンス。
いよいよドイツの大富豪との結婚を決めたジョージーの母。でも、そのためにはまずアメリカで離婚手続をしなければならない。というわけで急きょ、娘のジョージーをお供に豪華客船に乗りこみ、大西洋横断の旅へと発つことに。ところが船中で有名な映画監督から熱烈に口説かれた母は、かつての女優魂に火が付いてあっさり行き先をハリウッドに変更してしまう。映画スターに会えるかも!?期待に胸を膨らませるジョージーだったが、そこで待ち受けていたのはイギリスの貴族社会では考えられないほど自由奔放な映画人たち。撮影はのっけからトラブル続きで、わがままな俳優たちを諌めようとした監督が何者かに殺されてしまう始末。ジョージーはダーシーと協力して犯人を突き止めようとするものの、勝手の違う国では戸惑うことばかりで!?
戦地で負傷したダーリー子爵ヴィンセントを、家族は過保護なまでに気遣うが、同時に早く結婚させようと躍起になっていた。跡継ぎができなければ、爵位も財産もいずれ失うことになるからだ。生き方を指図されることに嫌気がさしたヴィンセントは家出を決意し、従者を一人だけ連れて、自分が生まれた家のある田舎で暮らすことに。子爵の帰還を村の人々が歓迎するなか、爵位を継ぎ大金持ちになったヴィンセントに娘を嫁がせようと画策するクラレンス夫妻は、彼を陥れようとたくらむ。クラレンス家の居候で孤児のソフィアにヴィンセントは窮地を救われるが、夫妻は激怒して彼女を家から追い出してしまった。責任を感じたヴィンセントはソフィアに求婚するのだが…。魂の癒しと再生を描く、サバイバーズ・クラブシリーズ待望の第2巻!
知的好奇心旺盛な侯爵令嬢クララは、「女性らしくない」と興味をおさえつけられ、周囲からは美人なばかりに中身がないと見られて、窮屈な思いをしてきた。結婚に興味がもてず、貧困女性向けの学校の支援に力をそそいでいるなかで、ある生徒から弟がギャング団に誘い込まれたと相談される。 彼女は助けを求めて幼なじみの弁護士ラドフォードを訪ねた。最初は本業が忙しいと断ったラドフォードだったが、一人でギャング団のアジトに乗り込みかねない勢いのクララに押され、引き受けてしまう。冷静で合理的であろうとつとめてきた彼は、自由闊達な彼女に魅了され、隠していた情熱や優しさを解放していく。クララも傲慢な彼に反発しながらも、正面から彼女と向き合ってくれる彼に惹かれていく。
遠州峰生の名家・遠藤家の邸宅として親しまれた常夏荘。幼少期にこの屋敷に引き取られた耀子は寂しい境遇にあっても、周囲の人々の優しさに支えられて子ども時代を生き抜いてきた。18歳になった耀子は、誰にも告げずに常夏荘をあとにした。バスの中、4年前のあの夏を思い出す。久しぶりに常夏荘を訪れた立海と過ごした日々-。
”正しく”なくても ”ふつう”じゃなくても 懸命に僕らは生きていく。 銭湯×シェアハウスを舞台に描く、希望の青春群像劇! どうしても就職活動をする気になれず、内定のないまま卒業式を迎えたマヒコ。 住むところも危うくなりかけたところを、東京の下町にある築100年の銭湯「刻(とき)の湯」に住もうと幼馴染の蝶子に誘われる。 そこにはマヒコに負けず劣らず”正しい社会”からはみ出した、くせものばかりがいてーー。 人気企業の内定を蹴り、気ままな愛人生活を送るマレーシアと日本のハーフ・蝶子 奇抜なファッションに身を包み、誰にも言えない秘密を持つプログラマのゴスピ 事故で片足を失ったハンサムでいつも明るい美容師の龍くん ネットベンチャーに務める、SNSが大好きなガツガツ上昇志向のまっつん 刻の湯の持ち主である老人・戸塚さんと、両親と離れて暮らすことになった小学生の孫・リョータ そして刻の湯を実質経営し、いつも中心にいながらも全てが謎に包まれた青年アキラさん 「生きていてもいいのだろうか」 「この社会に自分の居場所があるのか」 そんな寄る辺なさを抱きながらも、真摯に生きる人々を描く 確かな希望に満ちた傑作青春小説! 著者プロフィール 小野美由紀(おの・みゆき) 1985年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部仏文学専攻卒業。2011年、震災を描いた絵本「ひかりのりゅう」の発売のためクラウドファンディングを立ち上げ、2014年に出版。著書に『傷口から人生。』(幻冬舎文庫)、『人生に疲れたらスペイン巡礼』(光文社新書)がある。本書が初の小説。