2018年2月発売
慶長五年(一六〇〇)夏ー。徳川家康と石田三成の対立は決定的となり、一触即発の様相を呈していた。反徳川の急先鋒である上杉景勝を討つべく家康は会津に向かう。利にさとい伊達政宗は伊達家の将来を家康に賭け、秀吉に愛娘・駒姫を処刑された最上義光も東軍へ与する。上杉家の重臣・直江兼続は、豊臣秀吉の恩顧に報いるべく、三成に呼応して西軍の旗を掲げる。やがて、“東北の関ケ原”とも呼ぶべき大合戦の時が近づいていた…。伊達政宗、直江兼続、最上義光という奥羽を代表する三人の武将の視点で、関ケ原合戦とほぼ同時におきていた奥羽の争乱をダイナミックに描く書き下ろし長篇歴史小説。
【文学/日本文学小説】本能寺の変を知り自刃を考えた家康に向かい、出入りの商人・茶屋四郎次郎は叫ぶ。信長への饗応費と家康への貸付回収、そして将来手にする利益のために、必ずや家康を三河に帰す、と。かくして茶屋は奉行となり、魑魅魍魎跋扈する伊賀の地を縦断する!
幸せな日常を断ち切られ、親に棄てられた女子高生たち。ネグレクト、虐待、DV、レイプ、JKビジネス。かけがえのない魂を傷めながらも、三人の少女は酷薄な大人たちの世界をしなやかに踏み越えていく。最悪な現実と格闘する女子高生たちの肉声を物語に結実させた著者の新たな代表作。
【文学/日本文学小説】奥多摩山中で瀕死の男性が発見された。警視庁刑事・荻大治郎は事件に食らいつくが、ある《極秘文書》の行方とからみ事態は複雑に。やがて政治家やスパイ、ホワイトハウスまでを巻き込み、1億3000万人の日本国民が凍りつくテロ事件が起きる……。
【文学/日本文学小説】右京は休暇を利用して大学時代の友人に会うためにアラスカを訪れるが、そこでは野生の熊に襲われる事件が起きていた。第2、第3の被害者が出るが凶暴な人食い熊は射殺され、事件は落着かと思われたところに……。スピンオフの第5弾、文庫化!
【文学/日本文学小説】新人警察官の柿田亮は、警官としての日々の仕事に悩みつつも、拳銃などを使ったハイジャックや立てこもり事件を解決する特殊急襲部隊『SAT』の隊員を目指す! 優れた警察小説であり、青春小説、成長物語でもある著者の新境地。
いまの東京に重なって、あの戦争が見えてしまうーー。 茶の間と重なりあったリビングの、ソファと重なりあった半透明のちゃぶ台に、曾祖父がいた。その家には、まだ少女だった祖母もいる。 あの戦争のときの暮らしが、2020年の日常と重なっているのだ。大混乱に陥った東京で、静かに暮らしている主人公に、昭和20年3月10日の下町空襲が迫っている。少女のおかあさんである曾祖母は、もうすぐ焼け死んでしまうのだ。 わたしたちは幻の吹雪に包まれたオフィスで仕事をしながら、落ち着かない心持ちで、そのときを待っている……。 表題作「ディレイ・エフェクト」の他、「空蝉」と「阿呆神社」を収録した驚愕の短篇集。 いま最も注目されている宮内悠介が、時の流れをこえて、この世界の真実に迫る! 芥川賞候補作品
「予の天下を描け」。将軍足利義輝からの依頼に狩野源四郎は苦悩していた。織田信長が勢力を伸ばし虎視眈々と京を狙う中、将軍はどのような天下を思い描いているのかーー。手本を写すだけの修業に疑問を抱き、狩野派の枠を超えるべく研鑽を積んできた源四郎は、己のすべてをかけて、この難題に挑む! 国宝「洛中洛外図屏風」はいかにして描かれたのか。狩野永徳の闘いに迫る傑作絵師小説。
ショッピングモールの受付が爆破された!偶然現場にいた今野夫妻により被害は最小限に。一方、劇場の清掃員が指揮棒に触れトゲがささり死亡。その指揮棒は世界的に有名な指揮者、田ノ倉靖のものだった。田ノ倉のもとには殺害予告の手紙が何度か届いていたが、彼は強気な性格のためやぶり捨ててしまっていた!誰が何のために?刑事の今野真弓と夫で泥棒の淳一が犯人を追い詰める!
人気アイドル、謎の自殺ー。彼女の親友・蓮美は呆然とするが、その死を悼む間もなく激動の渦に巻き込まれる。自殺の原因が、蓮美のいじめだと彼女のブログに残されていたのだ。まったく身に覚えがないのに、マネージャーにもファンにも信じてもらえない。全てを失った蓮美は、己の無実を証明しようと立ち上がる。友人の死の真相に辿りついた少女の目に映るものは…衝撃のミステリー。
揉め事の内済を生業とする九十九九十郎を地酒問屋“三雲屋”の女将が訪ね、七雁新三という博徒の素性を調べてほしいと大金を預ける。新三は岩槻城下の貸元に草鞋を脱いでいるらしい。三雲屋も女将も岩槻の出身だった。九十郎は貸元を訪ねる。二十一年前、藩勘定方が酒造の運上冥加を巡る不正を疑われ、藩を追われた。三雲屋が藩御用達になったのはそれからという…書下し長篇時代剣戟。
母親を殺害し少年院送りになった九子は、二年足らずで仮退院を迎える。退院の朝、警視庁の女性刑事が九子を訪ね、同級生だった井村里実が自殺したと告げる。衝撃を受ける九子だが、社会に出た彼女を待ち受けていたのは、さらに想像を超えた世間の反応だった。贖罪と更正が不充分との批判の一方で、彼女を偶像化するヲタク集団も活動していた。九子は里実の死の真相を探る。書下し長篇推理。
実在する航空自衛隊機動衛生隊の医療チームと輸送機の機長を描くヒューマン・サスペンス。空飛ぶICUと呼ばれる世界有数の装備を大型輸送機に積み込み、緊急を要する患者を遠隔地に運ぶのが任務。スタッフの医官、救命士は患者のために、機長は医官のために全力を上げる。高度1万メートルで起きた緊急事態。限られた時間。襲いかかるプレッシャー。医官と機長が連携プレーで、預かった命を守る。
神崎あたりは田舎の役場の生活相談課でクレーム対応をしている。あたりを目の敵にする教育係の杉田さんからは、毎日暴言を吐かれる。あたりに好意を寄せる同じ職場の三浦からのアプローチを受け、付き合うことになりそうだった矢先、食堂で話す二人の姿を見つけた杉田から、信じられない告白をうける。あたりは混乱し、休職願いを出す。そしてあたりが逃げ込んだ先は、町の人々から疎まれているある人物の家だった。 神崎あたりは田舎の役場の生活相談課で働いている。毎日毎日、クレームをつけにくる町営団地の住人の対応に追われる日々。そんなあたりを、目の敵にする教育係の杉田さんには毎日、役場のテラスに呼び出されて暴言を吐き散らかされる。あたりに好意を寄せる同じ職場の三浦からのアプローチを受け、このまま付き合うのかと思っていた矢先、食堂で話すあたりと三浦の姿を見つけた杉田から信じられない告白をうけ、あたりは何もかもがうまくいかないと混乱し、休職願いを出す。 そしてあたりが逃げ込んだ先が、生活安全課の時に知ったある不思議な人物の家だった……。その人物は、町の大地主で、所構わず謎の物体を置き、住民からも苦情が相次ぐ人物だった。 あたりはおじさんと共同生活を続けることにより、徐々に自分を取り戻していく。そして、いつのまにかおじさんのことがとても気になる存在となっていることに気づく。 第一章 第二章 第三章 第四章 第五章 第六章 第七章 第八章 第九章 第十章 第十一章 第十二章
映画の撮影現場で、試写室で、映画館で続発する不可能犯罪!巨塔の消失。足跡のない殺人。密室殺人。容疑者は監督、スタッフ、俳優、プロデューサー…いずれも映画の「魔」に取り憑かれた者たちばかり。映画探偵・紅門福助の大胆な推理が冴える!映画への愛情と本格ミステリへの情熱がスパークした「映画ミステリ」の傑作短篇8篇を収録。