2018年3月14日発売
“にらみ”とは、刑事が公判を傍聴し、被告人が供述を翻したりしないよう、無言で圧力をかけることー。事務所荒らしで捕まり、懲役五年の判決を受けた窃盗の常習犯・保原尚道は、仮釈放中に保護司を殺害しようとした容疑で逮捕された。取り調べを担当する片平成之は、四年前の保原の裁判で“にらみ”をしていて面識があった。保原は自首しており、目撃者による面通しも終えているのだが、片平は納得していない。保原は人を殺めようとするほどの悪人なのかー。(「にらみ」)驚きと情感あふれるミステリー傑作集!
君原樹来は推理作家を目指す法学部の四年生。あるとき、同じ大学に通う妹・麻亜知の友人、葛木夕夏があるトラブルを抱えているといい、元C県警捜査一課の刑事であった樹来の祖父に相談しに行くことに。夕夏は十年前、実の叔父に誘拐されたことがあった。ただ、記憶を失った時間があっただけで被害はなく、当時は身内のトラブルと片づけられたのだが、最近になって警視庁が再捜査に乗り出しているという。同じ十年前、同じく誘拐された男児の白骨遺体が最近発見されたことが関係しているようだ。当の叔父は行方不明になり、裕福な創業者一家だった葛木家は、その後みるみるうちに崩壊していったのだがー
技術交流を隠れ蓑に国際的な人身売買を行なう組織ITWCに潜入していたD1リーダー周藤が消息を絶つ。現場には大量の弾痕と血が残されていた。自分の身に何かあったときにはチームの解散を命じていた周藤。だが、残されたメンバーはリーダー救出のため、英国MI5の元諜報員マリアとともに、国際組織の壊滅に動き出す!圧倒的迫力で描くシリーズ最高傑作!
十津川は捜査で疲弊した帰宅途中の電車で「お願いがある」と声をかけられた。明日、電話をと立ち去った翌朝、駆けつけた殺人現場で見た死体は、声をかけてきた、その女性だった…。十津川警部が自分の判断ミスを苦悩する「事件の裏で」をはじめ、犯人当て小説「私を殺しに来た男」、プロ野球を舞台にしたスポーツ推理など、ミステリー第一人者の魅力満載の傑作集。
世界トップシェアを狙える8Kテレビの次世代技術を日本企業フロンテが開発した。凋落著しい韓国企業チムサンは、この最先端技術を盗みとる。ところが、データは一警備員に奪われ、チムサンに使い捨てられた日本人技師宮下の手に。一方、赤羽中央署の疋田は韓国人売春を追っていた。二つの事件が複雑に絡み合い、宮下と韓国スパイ、日本警察の激烈な争奪戦へと突入した!
駿河国田賀藩の中老廣澤和之進の悲願、それは自慢の妻女美雪を奪おうとする浮世絵師宗次を討ち果たすことー。その一心で伊豆から松坂へと苛烈な修行を重ねる和之進。一方、憎しみの刃を向けられているとは知らず、宗次は江戸で平穏を乱す危難に立ち向かう。オオカミの如き槍衾の気配。老中堀田正俊を狙う影。宗次の剣が修羅を討つ、新「大河」シリーズ、開幕!
悪魔に騙された聖者マエールは間違って極地のペンギンに洗礼を施してしまう。天上では神が会議を開いて対応を協議、ペンギンたちを人間に変身させて神学上の問題を切り抜けることにし、ここにペンギン国の歴史が始まった。古代から現代、未来に至るフランスの歴史をパロディ化、戯画的に語り直した、ノーベル賞作家A・フランスの知られざる名作。
生きものの言葉がわかる薫(25歳)の再就職先はペットシッター「ちいさなあしあと」。主な仕事はペットの看取りだ。イヌ、ネコ、ウサギ…彼らの最期に立ち合い、見送り、その想いを飼い主に伝える。逝くものと残されるものとの心ふるえる物語。
宇宙を守る任務を帯びたエージェントのヴァレリアンとローレリーヌ。あるミッションを遂行するうちに辿り着いたのは、銀河を揺るがす秘密だったー!最高の宇宙エンタテインメント!
人は皆、悲しみと喜びの道を歩いている。誰もが今も昔も人を愛し、平和を願い生きてゆく。信長と吉乃、かつては“ひと夜妻”として知られた志摩のはしりがね・あたい、国境を超え結ばれたラブバードさながらのカップルとて。そして。愛猫と共に生きる家族、ピースボートで世界各地を訪ね洋上生活を過ごす人びと、原発事故と大地震にうちのめされ不幸のなかであえぐ人たちだって皆同じだ。そこには別れがあり、出会いがあり、それでもたくましく生き抜く人間たちがいる。本書には、そうした物語六編がまとめられ、現代の世に“真の平和とは”を問いかけるー。