2018年4月発売
吉原の妓楼から依頼を受け、客から借金を取り立てる始末屋「だるま屋」。そこで働く直次郎は、大見世「丁字屋」の花魁・真鶴から名指しで依頼を受ける。真鶴の妹分である花菊の首を絞めて逃げた男を探し出し、百両を取り立ててほしいと言う。直次郎の胸に、吉原で命を落とした妹の最期が浮かびあがるー。逃げた男の正体は!?そして、花魁の秘めたる思いとは!?
幕府の役職を投げ打ち、兵学と儒学を講義する兵聖閣と武術稽古場・兵原草廬を創って門弟を育ててきた兵法家の平山行蔵。江戸の町を荒らす巨悪が出現し、もと老中の松平定信の命で盗賊集団退治に乗り出したがー。当代屈指の武術研究家・長野峻也氏の原案。過去の時代小説にないド迫力の剣戟と武士の悲哀などを描いた珠玉の作品。著者、光文社文庫デビュー作品。
池田屋に踏み込むも、なぜか敵を斬ろうとしない新選組隊長・近藤勇。その胸中にあった切実な願望とはー。(「戦いを避ける」)新選組について語られる史実の隙間を覗けば、隊士らの心理や葛藤がにじみ出る。近藤・土方らの意外な一面や、馬術師範・安富才助、密偵・村山謙吉、文吏・尾形俊太郎らにも光を当て、歴史小説の名手が、鮮烈にして新しい新選組像を描き出す。
東京・秋葉原の路上、若い女性が浅見光彦の腕の中に倒れ込んだー。それはロマンチックな出会いなどではなく、凄惨な事件の始まりだった!そのまま絶命した女性からは毒物が検出され、死の直前まで故郷の兵庫県淡路島の神社にまつわる“祟り”を怖れていたという。浅見は古事記に描かれた神話の里・淡路へ飛ぶが、待っていたのは官僚の死と巨大な闇だった…。
北緯三十四度三十二分。数々の遺跡と神社が一本の線上に並んだ通称「太陽の道」。事件の鍵はその「道」にあると考えた浅見光彦は、連続毒殺事件を追って淡路島から伊勢に向かう。すると不気味な動きを示す謎の宗教集団が浅見の前に!やがて、有力政治家と大企業の黒い関係が浮上、関係者が次々と姿を消した。難事件に挑む浅見が掴んだ戦慄の事実とはー!?
高さ四百五十メートルを誇る超高層タワーが銀座にオープンした。数万人が集まる営業初日、漏電による小火が発生。防火設備を過信するあまり対応が遅れ、タワーのあちこちで炎が噴出。嵐のような火が群衆を混乱に陥れた。未曾有の大火災に飛びこんだ銀座第一消防署の消防士・神谷夏美は最上階に取り残された人々を救えるのか?究極のパニック小説、待望の文庫化!
量子コンピュータ開発企業の代表・辻川が米国で殺害された!警護していた山辺努も負傷し、帰国後に「キー」を捜す男たちから襲撃を受ける。キーとは何か?なぜ自分が?すると、田上美香と名乗る女が現われ、衝撃の事実を告げるー。闇組織が企てる史上最悪のサイバーテロ。日本を護る、そう決意した山辺の前に、因縁の男が立ちはだかった。烈しい戦闘の行方は?
花巻の正教会で、宮沢賢治のロシア語の師ペトロフ司祭が殺された。現場で犯人を目撃しながら誤認逮捕された賢治は、釈放後、恩師から鉱物調査を依頼されて遠野を訪れる。そこで待っていたのは、民俗学者の柳田国男、美しき公爵令嬢エルマらとの貴重な出会いだった。しかしそこへ司祭殺しの大男が再び現われ、エルマを攫い…。エルマの救出に賢治が駈ける痛快冒険活劇!
始まりは新宿発、松本方面行きの最終列車、急行「アルプス号」だった。浮気旅行の相手延子に袖にされた赤阪は、乗り合わせた美女美那子と旅先で一夜をともにする。だが、帰京すると、延子は殺害されており、美那子も何者かに殺される。一方、暴力団黒幕の暗殺に失敗したヒットマン北浦は、車中で隣り合った弘子と上高地へ逃亡し…。二組の男女の背後で蠢く驚きの殺意とは?
袋物問屋伊勢屋の主が斬殺された。北町奉行所臨時廻り同心鷲津軍兵衛は圧倒的な斬り口から、数年毎に殺しを繰り返す「黒太刀」と呼ばれる男の手口と断ずる。殺しを請け負う一味の存在を確信した軍兵衛は、亡くなった伊勢屋の身辺を探り、ある火消人足の存在を知る。しかし、唯一の手がかりの火消は殺され…。一味の意外な正体とは?軍兵衛は黒太刀を倒せるか?
少年一亮ら天蓋の小組は水戸街道新宿で鬼と戦う。討魔衆の精鋭集団“弐の小組”の助力を受けて辛くも劣勢を切り抜けたものの、鬼一匹を取り逃がしてしまった。討魔衆を統べる評議の座の僧知音は、鬼がさらなる力と知恵を身につけた可能性を訴える。なぜ鬼は戦いの場から逃げ果せたのか?なぜ一亮らが行くところ鬼が現れるのか?急展開のシリーズ第三弾。
人生で大切なことはすべてゲームから学んだ。古典から新作、洋の東西、ジャンル、メジャー/インディーズを問わずありとあらゆるゲームの魅力にとりつかれた若者が経巡る栄光と喪失の遍歴。あの時、あの人、あの場所、思い出は常にゲームとともに、明滅するドットの奥でよみがえるー。
弁護士、暗号専門家、作家、化学者、画家、数学者の六人からなる〈黒後家蜘蛛の会〉と給仕一名は、月一回〈ミラノ・レストラン〉で晩餐会を開いていた。会では毎回のようにミステリじみた話題が出て、会員各自が素人探偵ぶりを発揮する。だが常に真相を言い当てるのは、物静かな給仕のヘンリーだった! SFの巨匠アシモフが著した、安楽椅子探偵ものの歴史に燦然と輝く連作推理短編集が、読みやすい新装版として隔月で刊行開始!
資産家が住まう洋館に届いた英文の脅迫状と、奇怪な密室殺人ー迷宮入になった十年以上前の事件を巡って四人の男が推理を競う傑作「完全犯罪」を始めとする、古典文学者・伊丹英典の華麗なる探偵譚。幻の推理作家・加田伶太郎=福永武彦が謎解きの粋を凝らした全八編を収める。精緻な論理と遊戯性を共存させて、日本推理小説史上に於いて記念碑的一冊に数えられる推理小説集。
とある地方都市でSNSコミュニティ、『現代詩人卵の会』のオフ会が開かれた。九人の参加者は別れ際に、今後も創作を続け、十年後に再会する約束を交わした。しかし当日集まったのは五人で、残りが自殺などの不審死を遂げていた。生きることと詩作の両立に悩む僕は、彼らの死にまつわる謎を探り始める。創作に取り憑かれた人々の生きた軌跡を辿り、孤独な探偵が見た光景とは?
エネルギー危機を口実にした超格差社会化で一般大衆が切り捨てられ、階級対立が激化した近未来のロンドン。自由を求める人々は己の身体とテクノロジーを武器に高層ビル群を跳びまわり、軍警察の弾圧に対抗している。市民権を持つ少年ハンターは軍警察による殺人を目撃。それをきっかけにスラムの少女ウーマと出会い、ダークネットに隠された秘密をめぐる戦いにその身を投じる!ガーディアン賞候補の傑作アクションSF。
母は死に、父は人を殺したー。五歳で伯父夫婦に引き取られた峰岸晄は、中華料理店を手伝いながら豊かさとは無縁の少年時代を過ごしていた。心に鍵をかけ、他者との接触を拒み続ける晄を待ち受けていたのは、学校での陰湿ないじめ。だが唯一、同級生の木下怜菜だけは救いの手を差し伸べようとする。数年後、社会に出た晄は、まったき孤独の中で遂にある計画を実行へと移していく。生きることに強い執着を抱きながらも、普通の人生を捨てた晄。その真っ暗な心の底に差す一筋の光とは!?衝撃のラストが心を抉る傑作長編。
十五歳ながら経歴はワケありの尾崎由美は、大企業グループトップ・風祭信代の孫・歩美の身代わりとなった。信代やその周りは歩美と会ったことがないため、由美はすんなり迎え入れられる。慣れない“お嬢様生活”に苦戦する由美だったが、正体を暴こうとする者が動き出し…。歩美の存在が消された理由、由美の周りで次々と起こる事件の真相はー大人でも子供でもない、冷静だけど果敢な少女を待ち受けていた運命は!?予想のつかないノンストップサスペンス。
行人は映像専門学校に通う二年生。ある朝、人に取り憑き犯罪を起こさせる“悪意”を倒していると話す不思議な少女・香砂と出会った。卒業制作でドキュメンタリーを撮っている行人は、他人の目が気になるあまり行き詰まっていたが、彼女の存在にヒントを得て行動をともにすることに。しかし香砂は世間を震撼させる連続暴行事件現場に必ず現れることから、刑事に追われていた。行人と刑事の追跡行はやがて交錯しー。香砂の正体とその目的は?連続事件の真相は?渋谷を舞台にした異色の青春ミステリー!