2018年5月11日発売
かつて大津波に襲われたインドネシア、バンダ・アチェの海岸に、日本人と思しき一人の男が打ち上げられた。彼は記憶を喪失しており、言葉も喋れない。日本から来たサチコは、その男と出会うことで、運命的な愛に引き寄せられてゆく…
紐結びの魔道師リクエンシスの平穏を破ったのは、隣国イスリル軍の襲来だった。イスリルでしばらくつづいた内乱が平定されたので、コンスル帝国の凋落をよいことに侵攻してきたのだろう。イスリル軍の先発隊といえば、魔道師軍団。下手に逆らわぬほうがいいと、リクエンシスは相棒と共に、慣れ親しんだ湖館を捨て逃げだした。ほとぼりが冷めるまでどこかに身を寄せていればいい。だが悪意に満ちたイスリル軍の魔道師が、館の裏手に眠る邪悪な魂を呼び覚ました…。“オーリエラントの魔道師”シリーズ屈指の人気を誇る魔道師リクエンシスが自らの内なる闇と対決する、待望の三部作開幕!
「事件を解決するのは警察だ。ぼくは話をつくるだけ」そう宣言しているミステリ作家のシャンクス。しかし実際は、彼はいくつもの謎や事件に遭遇し、推理を披露して見事解決に導いているのだ。取材を受けているときに犯罪の発生を見抜いたり、『マルタの鷹』初版本盗難事件に挑んだり、講演を依頼された大学で殺人事件に巻き込まれたり…。図書館司書の著者が贈る連作短編集!
目黒区の空き家で放火が発生。現場には犯人の遺留物と思しき、ダ・ヴィンチの作品を模写した天使の絵が残されていた。そしてそれを皮切りに、都内で同じ手口の放火事件が頻発。なぜ同じ絵が現場に必ず残されるのか?被害者たちの共通点とは?有能だが本心では炎の美しさに執着している火災調査官・東と、正義感あふれるポンプ車小隊長・白木が事件の謎を追う、渾身のミステリ。
調理師の実果は、念願の三ツ星レストランで働き始めた矢先にケガで失業、恋人にも逃げられてしまう。思いがけなく休みができた彼女は、瀬戸内海の小島に滞在することに。そこで待っていたのは、気まぐれで営業しているという風変わりな食堂。謎めいたお店との出会いをきっかけに、彼女にささやかな転機が訪れるー。豊かな自然と美味しい料理が癒してくれる、休日のような小説。
山間の小さな町で育ったセレニティは、町の助けとなる事業を立ち上げるべく、敏腕コンサルタントとして名高いケイレブのもとを訪れる。容赦ない手腕で大金を動かす彼は生きる世界も価値観もセレニティのそれとはまったく違うーそれなのに、彼女は男らしくハンサムなケイレブに一瞬で心を奪われた。そしてセレニティを見つめる彼の目にも、隠しきれない情熱の炎が揺らめいていた。だがある日、セレニティに届いた一通の脅迫状が二人の関係を一変させる。ケイレブは人が変わったような眼差しで彼女を見やると、冷たく突き放したのだ。
ここはいったいどこ?蝋燭のともる見慣れぬ豪奢な部屋。目を覚ましたヘレンは腕を縄で縛られていることに気づき、愕然とした。「ようやく目が覚めたね」声の主は放蕩侯爵ピアース。彼女は父が作った借金のかたに売られてしまったのだ。レースのナイトガウンから透ける柔肌を慌てて隠そうとしたとき、侯爵が言った。「清純ぶるな」不遇な乙女の初夜に待っていたのは、世にも甘美な調教だった。ヒストリカル・エロティカの名手リン・シリバーが描く『放蕩侯爵に調教されて』他、5篇を収録。衝撃のエロティック・ロマンス!
人の苦痛を取り除く能力を持つジニーは、両親に利用されてつらい少女時代を過ごし、あげく事故で杖なしでは歩けない体になってしまった。やがて美しく成長した彼女はある日、浜辺に打ち上げられた瀕死の男性サム・ダンディーを助ける。ハンサムな麻薬捜査官は任務中に撃たれたのだが、仲間を失った罪悪感に苛まれ、感謝もせずに去っていった。ジニーの胸に、ある切望を残して。6年後、ジニーの能力を狙う狂信者が現れ、ボディガードがつけられる。現れたのはサムだった。だが彼は「借りを返しに来ただけだ」と冷ややかで…。
ベサニーは人類学者の父が異国で死亡したという知らせを受けた。生存を信じる彼女は、研究先である砂漠の国ベイラルに向かう。現地に降り立ち、猛禽をうやうやしく運ぶ行列に出合ったとき、そばにつき添う黒マントの美しい男が鋭い視線で彼女を捕らえた。獲物を追うはやぶさに似た彼こそが、この国の首長ーザッカー・サディクだった。女一人では危険だと諭されるが、ベサニーは自分で父親を見つけだす意志を崩さなかった。それがザッカーの支配欲を刺激したのか、ベサニーは、彼のベッドの囚われびととなってしまう…。
客室乗務員のティファニー・ニコルズは恋人と別れたばかり。結婚まで考えていたのに、彼が求めていたのは体だけだったのだ。しかし、つねに彼女の幸せを願っているおばとの電話で、恋人と別れたとはどうしても言いだせず、つい、近々結婚することになった、と口走ってしまう。おばは大喜びし、相手の名前をしつこく訊いてきた。さっき叱られた、有能だが厳しいパイロットが頭に浮かぶ。ティファニーは思わず言った。「ベン・マックスウェル機長よ」数日後、はからずもそのことが機長本人の耳に入ってしまい…。
最強の傭兵団をクビになった凄腕獣人のリグド。辺境の地で、元傭兵の若い奥さんと一緒に昔からの夢だった酒場を始める。リグドの出す酒や料理は瞬く間に町の噂となり、連日大盛況。かつての傭兵仲間たちも合流して新たに傭兵団を結成したり、街の元チンピラを鍛えたりと、大忙しの日々が過ぎていく。そして今夜もまた、リグドの酒場に明かりが灯るー。
異世界に転移したアラフォー独身男のケンイチ。突然のことに戸惑いながらも、ネット通販チートの能力を使いこなして商売を始める。市場での商売も軌道に乗ったが、ケンイチの目的はあくまでも異世界生活を満喫すること。気のいい獣人やモフモフの森猫なども登場して、ケンイチの異世界生活は徐々に騒がしくなっていくー。