2018年6月8日発売
結婚式目前に婚約者から振られ、放心状態の雛子のもとに届いた手紙ーそれは「失恋学校」の入学案内だった。全寮制で学費も安い…訝しく思いながらも入学を決意した雛子は、入学式前に泣きじゃくっていたエミリと美人の貴和子と同室になる。「今日の授業は、“思い出の品を捨てる”です」個性豊かな先生たちの奇想天外な授業やテスト。みんな無事「失恋」できるのか。
『国史』が成らねば水戸藩は天下の笑いもの。一向に進まない編纂作業に業を煮やした前水戸藩主・徳川光圀公(実在)は、書物問屋の隠居に身をやつし、遅筆揃いの不届き執筆者どものもとへ原稿催促の旅に出た。お供は水戸彰考館の覚さん(実在)、介さん(実在)をはじめ、鬼机(デスク)のお吟など名編修者たち。まずは下田を訪れた御老公一行は、なにやら不可解な陰謀にぶち当たる!
たかがランチに3500円!?でもママ友の集まりには行ったほうがいいよね…。生協の配達員に恋する恵子。離婚を隠すシングルマザーの秋穂。スピリチュアルに傾倒する千鶴。若手俳優のおっかけにのめりこむ綾子。娘の受験に悩む由美。この街で、このタイミングで、子どもを産まなければ出会わなかった五人の女たち。幼稚園バスの送迎場所から「ママ友」たちの人生は交錯していくー。
常の如く斬り尽くせ。一人たりとも討ち漏らすな。将軍家斉公お抱えの隠密集団、相良忍群の殲滅を命ずる五十がらみの男は、かなりの家柄の大名らしい。そしてその男を父上と呼ぶ浪人姿の三十男ー蒼二郎は、いったんはそれを諌めるも、亡き母の仇こそ彼らであると聞かされ、“隠密狩り”を決意する。後日、洲崎の浜には、相良忍群、二十四体の骸が横たわっていた。剣豪小説の傑作!
花月庵蒼生と名乗り生花の宗匠として深川に暮らすのは世を忍ぶ仮の姿。実は時の白河藩主松平定信の隠し子である松平蒼二郎は、徳川の天下に仇為す者どもを闇に葬る人斬りを生業とする。宿縁で結ばれた元渡世人辰次、武家の美女澄江、医師丈之介の三人と共に巨悪を滅ぼす闇仕置を請け負う日々。そんなある日、鞍馬流奥義を極めた能役者の兄弟が蒼二郎を襲った。剣豪小説の傑作第二弾!
美しい母と二人、何不自由なく暮らしていた武田。その母が殺害された。謎の数字と、自らが本当の親ではないことを言い遺してー。自分が見てきた世界は何だったのか?自分は何者なのか?記憶喪失の女、自分を付け狙う怪しい影、実の母を殺した友人…無関係に見えた複数の謎の向こうに、武田はついに巨大な陰謀があることを知る!
健康器具会社で働く美菜子に企画部への異動辞令が下りた。6年越しの希望が叶い喜んだのも束の間、勤務先が畑とわかり、美菜子は「元カレと結婚しておけばよかった」と落胆を隠せない。しかも共に畑を運営する区の職員、河田は神経質で無愛想この上ない。二人は開園イベントの準備にとりかかるが…。都会の畑で始まる不器用な恋の行方。
追掛日菜子は舞台俳優・力士・総理大臣などを好きになっては、相手の情報を調べ上げ追っかけるストーキング体質。しかしなぜか好きになった相手は、殺人容疑をかけられたり脅迫されたりと、毎回事件に巻き込まれてしまう。今こそ、日菜子の本領発揮!次々と事件解決の糸口を見つけ出すがー。前代未聞、法律ギリギリアウト(?)の女子高生探偵、降臨。
「黒田左少将どのの猿楽の催しに貴公をお連れしたいのだが」。公儀目付役・稲生正英の言葉に多田文治郎は耳を疑った。家出娘の相談で稲生邸を訪れたのだが、その話が終わるや否や乞われたのは、大大名の催す祝儀能への同道。幽玄の舞台に胸躍らせる文治郎だったが、晴れの舞台で彼が見たものとはいったい…?瞠目の時代ミステリ、第二弾!
企業間に起きた問題を、秘密裏に解決する鶴谷康。そんな彼に、不動産大手の東和地所から土地売買を巡るトラブル処理の依頼が届く。東京五輪開催を前に、再開発事業を進める西新宿の二つの土地。その背景に、関西のある大物ヤクザの暗躍があった。政治家や警察官僚を巻き込んだ利権と癒着の巣窟を前に、命を狙われる鶴谷の運命は?シリーズ新章開幕。
女将のお滝が作る賄いの美味さに、小さな米問屋・熊野屋に居ついてしまった百地市郎太。ある日、大店に賊が押し入り大金を奪った上、主人から奉公人まで皆殺しにする事件が起きる。その店は熊野屋の大得意。ただの盗みか怨恨かー。義憤を感じた市郎太は事件解決のため動き出す。先祖伝来の鉄拳、煙幕、棒手裏剣で悪党成敗!最強義賊シリーズ第二弾。
将軍家の密偵としての顔を持つ大店の若旦那藤次郎が抜け荷の疑いをかけられ、小伝馬町の牢屋敷に送られた。噂は瞬く間に町を駆け巡り、商売は上がったりに。さらに許嫁の父の哀しい過去に端を発した事件も勃発し…。その資金力、秘伝の剣術で数々の危機を潜り抜けてきた若旦那、終に万事休すか!?江戸の風情と人の情愛が胸に迫るシリーズ第三弾。
出産が命がけだった江戸時代、妊婦と赤子を一流の医術で救う女医・お悦。助産に限らず市中に蔓延する流行病も治すお悦だったが、世話をしていた臨月の妊婦が骸となって見つかる。新入りの弟子・賢作や定町廻り同心・細貝と真相を探るうちに、大奥を揺るがす策謀に辿り着いてしまう…。病と悪を退治する6話を収録した、痛快無比の傑作時代小説。
紅茶を注ぐネズミ!?セオドシアは目の前の光景に驚きを隠せなかった。たしかに招待状には「ネズミのお茶会」と書かれてあった。でも本当に、給仕たちがお仕着せ姿のネズミの格好をして、料理や紅茶をふるまっているなんて!まるで童話の世界に迷いこんだかのよう。かつて、チャールストンの路上にネズミがあふれかえってしまった時代に、上流階級の人々のあいだでは「ネズミのお茶会」が大流行した。これを今夜、裕福な慈善家として知られるドリーンが復活させたのだ。ところがその席でドリーンの夫が、注がれたオレンジ・ペコを口にしたとたん、命を落としてしまった。ネズミのごとく、どこかに身を潜めている狡猾な犯人を、セオドシアは探し当てようと奮闘するものの!?
サマートン伯爵は冷酷な父に15歳のときに勘当されて以来、父を見返すことだけを考え、父を越える富を築くために事業に没頭してきた。そんな生い立ちゆえ、恋愛にも結婚にも興味がなかったが、親友の妻の従妹である公爵令嬢のエマ・キャヴェンシャムに出会い、天真爛漫で美しい彼女を守りたいという気持ちにかられる。本好きで福祉に興味を持つエマは、尊敬する学者の本を手に入れるため、治安の悪い地区にある古書店に向かっていたところ、馬車をサマートンに止められる。心配されているのは分かっても、落胆するエマ。しかし数日後、サマートンにめあての本を差し出されたのだ。そして誰にも理解されることのなかったエマの想いに、彼は共感を示してくれて…。きらめくような恋の瞬間を切り取る傑作リージェクシー・ロマンス。
解説「『桑華蒙求』についてー編纂素材と後続書への影響の一斑から」に続き、全612話の「本文」を翻刻し校訂を傍記、各話の「概略・出典・参考」を記し、典拠についても詳しく言及。『絵本故事談』『大東世話』『扶桑蒙求』等の影響を与えた後続書にも触れる。「人名索引」により人物故事事典としても機能。