2018年6月発売
失踪した猟犬探しを生業とする探偵・竜門卓の事務所に、盲導犬の行方を突き止めてほしいという仕事が舞い込んだ。依頼者は資産家の令嬢。相棒の猟犬ジョーとともに調査を進めるうちに、薄幸な、ひとりの目の不自由な少女のもとに行きつくが…。胸を打つラストシーンが待つ表題作を始め、限りなく優しく誇り高い男たちの人間模様を描き出す永遠の感動作!
アメリカはニューイングランド地方の田舎町、トゥームズヴィル。同地で霊園を経営するバーリイコーン一族では、家長のスマイリーが病床に臥しており、その遺産を巡って家中にただならぬ雰囲気が漂っていた。一方その頃、アメリカの各地で、不可解な死者の甦り現象が起きていたのだがー日本ミステリ史を代表する革新的な名作が、全面改稿により今鮮やかに甦る!
遺産騒動の最中、命を落としてしまったパンク青年のグリン。折しも、死者の甦り現象がアメリカの各地で発生し、彼もまたリヴィング・デッドとして甦ってしまう。霊園を経営する一族に巻き起こる連続殺人。その真相を、自らの死を隠したまま、グリンは追うのだがー。被害者、容疑者、探偵が次々に甦る前代未聞の傑作ミステリ。全面改稿により今鮮やかに甦る!
将軍家斉から武芸帖編纂所頭取を命じられた新宮鷹之介。そこへ幼なじみの大沢要之助が訪ねてくる。火付盗賊改を務める要之助の上司が、不審な死を遂げたのだという。さっそく編纂所の仲間と調べ始めた鷹之介の前に明らかになった真相とはー。武芸帖編纂所の変わった“同僚たち”と繰り広げられる笑いあり涙あり、爽快感抜群の作品。待望のシリーズ第二弾。
日照り続きの天保九年。江戸の芳町にある口入屋「ひなた屋」に、隻腕の老人、朝比奈結之助がやってきた。女将おふくの頼みでひなた屋の用心棒となった結之助に、罪なき者を葬る辻斬りの話が舞い込む。そこで、結之助は最強の剣術「無住心剣術」で顔なき悪党に立ち向かう。「鬼役シリーズ」で大人気の坂岡真が描いた「涙のシリーズ」が新装版で登場。待望の第一弾。
奈良時代、東大寺の大仏造営事業が進む中、故郷から造仏所に徴発された真楯。信仰心など一片もないのに、仲間と共に取り組む命懸けの労役は苦難の連続。作事場に渦巻く複雑な人間模様も懊悩をもたらすばかり。だが、疲れ切った彼らには、炊屋の宮麻呂が作る旨い料理があった。一膳の飯が問いかける仏の価値とは!?食を通して造仏に携わる人々の息遣いを活写した傑作時代小説。
不慮の事故でこの世を去った見習い料理人・工藤平次。彼は医師の息子として江戸時代に転生してしまう。家業を継ぐため、料理人の道を諦めざるを得なくなった平次だったが、池で溺れていた少女を助け、自宅で熱々の卵雑炊を振る舞ったことで事態は一変する。なんと少女は徳川第4代将軍・家綱だったのだ!家綱の希望で、平次は将軍付きの医師兼料理人となる。病弱な家綱の体質を改善すべく、周囲の協力を得ながら東奔西走する平次。しかしそんな中、江戸城内である事件が起きてしまうー悩める病弱な将軍様を料理で元気にし、平次は前世では叶わなかった夢を追いかける!江戸を舞台にした、とある料理人の活躍譚が開幕!
大学一年の夏休み、帰省した真吾は久々に恋人・妙子とからだを交える。そんな折、真吾は高校の同級生であった今井鈴子の訪問を受ける。在学中はあまり接触のなかった鈴子だが、封建的な家で窮屈に暮らす鈴子の胸の裡に性への憧れが芽生えていると感じ取った真吾は、夏のあいだ時々会うようになる。女教師・美津との再会、懐かしい顔が揃ったクラス会など、真夏の故郷を舞台に繰り広げられる、エロスの祭典。
夏休みを終え東京に戻った真吾は、大学の構内で年上の明美と知り合う。文学部の三年で作家志望の明美は未経験者であり、彼女の「女になる」という希望を叶えるため、ふたりは出会ったその日に旅館に向かう。自意識が強く理屈っぽい明美に多少の疎ましさを感じつつも、時折いじらしくなったり、可愛いことを言ったりするその振幅の大きさや、他の女性とは一風違う個性に次第に魅力を感じるようになっていく。
あの夜を越え、「真夜中」を生きる無戸籍の少年がいた。蓮司のよき理解者でテント暮らしの源太、心優しい客引き・井島、お腹を満たしてくれるスナックのママや屋台の主人、憧れの山笠の重鎮・カエル、兄のような存在の平治、警察官の響、そして中洲育ちの少女緋真ー土地と人とに育まれ、少年は強く成長していく。家族を超えた絆を描く感動作!
「絶望」が蔓延する地方の町・葦原に帰ってきた、破天荒な新米坊主(!?)江川放念。若者が「夢」を持てないほどに荒廃した故郷に驚愕した彼は、若い人材が町を救うはずだと「原石発掘プロジェクト」を立ち上げる。放念によって集められた4人の高校生ー常人離れした肩を持つ黒木鷹、町で一番の美少女・青山藍、微生物オタクの白土冴子、そして凡人・緑川夢二ーは、それぞれの個性を活かし「夢」に向かって走り出す。しかし、彼らの前に葦原荒廃の元凶、前市長とその傀儡と化した現市長が立ちはだかり…。「絶望」は噛み締めるほどに甘くなる?「青春小説」の新たな王道、ついに刊行!!東村アキコ描き下ろしウォームアップコミック収録!(原作=島田雅彦)
天草ゆかりの知事の強力なリーダーシップで、地元の夢・天草空港は実現に向け、動き始める。議会の反対派、一部地権者などを数年がかりで説得し、建設工事が始まるが、予定される路線の厳しい採算性とおりからの航空不況で、就航する航空会社が見つからない。熊本県庁は「7人のサムライ」を投入し、独自の航空会社立ち上げへと舵を切る。果たして「島のエアライン」は、国の審査に合格し、九州の空へ飛び立つことができるのか!?
たった一機で島の空路を支える「天草エアライン」は、重整備や故障、乗客の減少、人材流出など、次々とトラブルに見舞われる。民間航空会社から社長を招き、新路線も開設するが、思うような効果は上がらない。倒産も視野に入るなか、関係者たちは“島の翼”を守るため、それぞれの持ち場で奮闘を開始する。そして役割を終えた飛行機の第二の人生とは?独力で飛行機を飛ばす島の夢と苦闘の実話物語ー圧巻の完結扁!
定年延長制度最後の年をロス市警未解決事件班で迎えたボッシュはメキシコ系新米女性刑事ルシア・ソトとコンビを組むことに。ふたりが担当するのは、10年前広場で演奏中に銃撃され、体に残った銃弾による後遺症で亡くなったオルランド・メルセドの事件。体内から取り出した銃弾を手掛かりに捜査が始まった。
生前、車綺子のメルセドを帯同し、治安改善を訴え市長選に勝利。州知事を目指すザイアスは彼の死を利用しようと事件解決をボッシュに強く迫る。一方相棒ソトが7歳で経験した未解決の火災についても捜査を進めると、2つの事件が関連し、衝撃の展開となる。シリーズ25周年記念特別エッセイを巻末収録。
珠子、茉莉、美子ー。三人の出会いは、戦時中の満洲だった。生まれも境遇も何もかも違った三人が、戦争によって巡り会い、確かな友情を築き上げる。やがて終戦が訪れ、三人は日本と中国でそれぞれの道を歩む。時や場所を超えても変わらないものがあるー。二〇一六年本屋大賞第三位の傑作、遂に登場。