2018年7月発売
千両という高額な賞金が人気の、谷中大京寺の富くじに絡む殺しが続く。富札を財布ごと掬り取った男は堀に浮かび、札を預かった小間物商は刺殺される。抽選前なのに、なぜ?札には何かいわくがあるのか?同じ頃、風烈廻り与力青柳剣一郎は、陰富と呼ばれる御法度の富くじの取締りを命じられる。老中からのお達しというが…。庶民の夢、富くじの背後に蠢く闇を斬る!
七年の歳月が過ぎ、齢五十四となった園瀬藩の道場主岩倉源太夫。だれにも避けることのできぬ“老い”を自覚しつつも、かつて退けた剣士の挑戦を再び受けて立つ。挑戦者の註文は「真剣で」だったー(『歳月』)。道場を開いて弟子を持ち、後添いにみつを娶って、思いがけず子を得た源太夫。息子の成長と旅立ち、弟子の苦節と克服を見守る、逃徹した眼差しの時代小説。
信玄の埋蔵金伝説が残る山梨で、殺人と誘拐が同時発生。それぞれの事件を追う二人の名探偵が邂逅した時、武田家を支えた、戦国時代から続く名家の謎が浮上する!
なぜ「真珠湾」だったのか?欧州戦線への参戦を目論み、日本に仕掛けられるルーズベルトの謀略。開戦やむなしに至った時、命運を託された連合艦隊司令長官・山本五十六が見せた、もうひとつの貌とは?
2031年、ネットで「実験アシスタント募集」の広告を見つけた“僕”は、「先端脳科学研究所・脳内ビジョン研究室」を訪れ、目を瞠る。脳内に浮かぶイメージを可視化する「マインド・ピュア」という技術を開発していたのだ。しかもその裏では、さらに高度な研究が進行していた。アシスタントになった僕は、同じ被験者で、解離性同一性障害を抱える桜蘭に一目惚れ。彼女の別人格・空歩の妨害にもめげず、恋に、研究に取り組むが…。
大手化粧品会社のデザイン部に入社した麻衣子は、噂のイケメン常務が、初恋の人・京一と知って驚く。まさか、彼がこの会社の御曹司だったなんて!住む世界が違うと距離を置く麻衣子に京一は「もう我慢はしない」と甘いキスで翻弄してくる。戸惑う麻衣子だが、内緒で付き合うことに。けれど、社内で京一の元恋人との結婚の噂を聞いてしまい…!?
会社員として平凡な日々を送っていた拓真はある日、辞令により農業研修をすることに。慣れない農作業を終えて下宿先に戻り、そのまま風呂場へと直行。脱衣所に入ると浴室から湯を使う音が!?この家に暮らす未亡人・花恵かもしれない。拓真は欲望に負けて引き戸に指をかけた。わずかな隙間から見える花恵のむっちりした裸体。泡だらけの手を重たげな乳房にあてがって、それは洗うというよりまるで愛撫しているかのよう。彼女の呼吸は微かに乱れ、喘ぎ声までもらしはじめて…。花恵は八つ年上の三十七歳。熟れた身体を持てあます未亡人との奇妙な共同生活がはじまった。
かつて理想に燃え、幻の帝国「満州国」建設に青春を賭けた主人公の青木隆造ー。敗戦後は福祉事業団兼愛園の園長となり混血児収容、保護教育を自己の責務として全うするのだったが、その内面には果てしない曠野が拡がっていた。その業績が表彰された時、彼は突如崩壊し、凶行に走る。
戦後まもない1947年に新聞小説として連載され人気沸騰。その後、いちやく大ベストセラーとなった青春小説の代名詞ともいえる作品。元々、高校教師であった筆者・石坂洋次郎が、東北地方の私立女子高校を舞台に、戦前の暗くじめじめした封建性を打破し、民主的な社会の実現を目指す人々の姿を爽やかに描きあげ、新風を巻き起こした。幾度も映画化され、作品発表から七十年余を経た現在でもまったく色あせない瑞々しい傑作である。
「耳なし芳一の話」「むじな」「ろくろ首」「雪女」…。日本をこよなく愛したハーンが、古来の文献や伝承をもとに流麗な文章で創作した怪奇短篇集。日本の文化、伝統、習慣を世界に紹介し、いまや「日本文学の古典」とも言えるハーンの代表作。昆虫エッセイ「虫の研究」も収録。
ヴィルパリジ夫人のサロンに招かれた語り手は、ドレフュス事件や藝術の話に花を咲かせる社交界の人びとを目の当たりにする。一方、病気の祖母の容態はさらに悪化し、語り手一家は懸命に介護するのだが…。第三篇「ゲルマントのほう」(一)後半と、(二)前半を収録。
将軍徳川吉宗に直々に命じられて道中奉行副役となった水城聡四郎。小田原での視察を済ませて箱根を越え、家士の大宮玄馬とともに東海道をひた上る。神君徳川家康のお膝元ともいえる駿府へ入った聡四郎は、駿府の役人から衝撃の事実を知らされる。そして、駿府を早々に出た聡四郎は、新たな刺客に襲われる。突然、現れた「敵」の正体とはー。待望のシリーズ第二弾。
ついに最恐の物件現る!?アメリカのアリゾナ州にある洋館の一室では、犯罪容疑が濃厚な人物が次々と拳銃自殺を遂げているという。大島不動産販売・問題物件担当の若宮恵美子は、その「悪魔が棲む部屋」へと送り込まれる。最強の相棒・犬頭光太郎不在の中、恵美子は部屋に秘められた恐るべき謎を解明できるのか?(表題作)痛快!「問題物件」シリーズ、待望の第二弾。
森の中に建つ人気のオーベルジュ(=泊まって食事を楽しむレストラン)、ル・ミステール。そこには、泊まった人にしかわからない「謎」があるらしい。ちょっと変わった名前のシェフが、四季の美味しい料理で出迎えてくれるというけれど…?中身は心優しい中年男性、外見はぶたのぬいぐるみ。山崎ぶたぶたが大活躍。読めば元気になれる、大ヒット・ファンタジー!
フリーライターの葉山虹子は東京湾に浮かぶ孤島「猿島」へ上陸する。帰りそびれた虹子が迷いこんだのは島で暮らす猿谷家の館。ところが、主人の藤吉郎が密室で殺され、その後も怪事件が続発する。犯人を示す鍵は「猿」。脱獄犯を追って島へきた黒星光警部と虹子は真相に辿り着けるのか。猿づくしの異色長編ミステリーが著者の大幅加筆修正のうえ新装版で新たに登場。
ビデオジャーナリストの深町芽衣が殺害された。胴体を切断するという猟奇事件の捜査が難航したために、警視庁捜査一課の特命遊撃班に出動命令が下る。異色のメンバーとともに風見竜次たちが捜査を始めると、女性ビデオジャーナリストが想像を絶するほどの事件を追っていたことが判明。そして、ついに浮かんできた仰天の真相とはー。好評シリーズ、待望の第三弾。
シンドゥラ国王・ラジェンドラは、パルスが放棄した要衝ペシャワール城を占領する。そこへ攻め入ろうとするチュルク軍だったが、両軍を空から悪鬼の群れが襲う!魔軍を率いる狂戦士イルテリシュの狙いは?さらに、国土再建に邁進するアルスラーンたちにも、魔軍の凶悪な牙が迫りつつあった。蛇王ザッハーク完全復活の時が近づく緊迫のシリーズ第十四弾!
祐子の母は、父を裏切って家出をした。それを苦にして、父は自殺してしまう。一緒に暮らしていた祖母も病死。たった一人取り残された祐子は、母への憎しみを募らせ、それはやがて殺意に!凶器を携え、母の住むアパートへと向かうが…。(表題作)他に、オフィスを舞台にした「消えた会議室」、ホラーの秀作「犬」など、サスペンスあふれる傑作を揃えた短編集。