2018年8月2日発売
姉である後桜町帝の密命を受け、朝廷と幕府の共存の道を探ってきた京ノ介だったが、その思惑とは裏腹に朝幕の対立はますます深まっていた。さらに南朝勢力も不穏な動きを深め三つ巴の様相に。各勢力が新帝擁立を画策する中、京ノ介は南朝方に囚われている母麻衣の救出に向かう。先帝の落胤である京ノ介を新帝にとの機運が高まり、京ノ介はついに決断を迫られるがー。シリーズ完結篇!
稲妻の異名で幕閣からも恐れられる前の老中首座で近江国湖東藩十二万石の藩主・大津河安芸守。幼君・家継を亡き者にして大坂に新幕府を創ろうと画策する一派の首領だ。側用人・間部詮房や新井白石と対立しながらも大奥の派閥争いを利用してのし上がってきた。旗本・御家人、そして全国の松平報徳会の面々が次々と大坂に集結する中、遂に銀次郎も江戸を出立した!新読者急増シリーズ第四弾。
江戸・深川にある十六夜長屋に幼い娘と暮らす泥鰌獲りの甚六は、ある日大川で、傷つき倒れていた大男を助ける。男は記憶を無くし、素性がわからない。とんでもない怪力の持ち主で俊敏。でも臆病。そんな奇妙な男と長屋のみんなが馴染んできた頃、甚六たちは大家から善光寺参りに行かないかと誘われた。そこには正体不明の男をめぐる密かな企みが…。
十八歳、小柄、子猫のようにしなやかな肉体と愛らしい顔ー共通する特徴の女性が長崎と東京で殺され、犯人は“子猫コレクター”と呼ばれることになった。そんなおり、十津川は鳥取県境港市で“猫娘コンテスト”が開催されることを知り、境港へ飛んだ。厳戒態勢のなか猫娘コンテスト優勝者が誘拐され、さらに犯人から「次は鎌倉で、可愛い子猫を誘拐する」との予告電話が!?長篇推理。
五ツ木守男は自殺しようと準備万端、毒入りステーキを用意した。いざ!その前にトイレ…戻ると、なんと食いしん坊の国務大臣がステーキを頬張っているではないか!慌てた守男は四階から転落死。現場に駆け付けた四道警部は、真赤な犬を見たという女中の証言が気になっていた。そんな犬、存在する?さらに雪山で扼殺死体まで見つかってさあ大変!ハイカラで流麗な本格ミステリ復刊。
瀬戸内海を望む香川県丸亀市。野球をこよなく愛する桂子は、クラスメイトのざっきゃんに誘われ、野球部の女子マネになる。目指すはもちろん甲子園!夏の県予選は準決勝で負けたけど、秋の大会に向けて再び練習に励む。そんな時、野球と同じくらい大好きなレッド・ツェッペリンのギタリスト、ジミー・ペイジ似の河崎くんに出会った桂子は…。甘酸っぱくてちょっとほろ苦い青春物語。
とある密命のもと、巨悪を葬る人斬りを業とする松平蒼二郎。辰次、澄江、丈之介ら、一癖も二癖もある仲間と共に、人知れず悪を斬る。その存在を知る者は極めて少ない。だがその正体が、火付盗賊改方、荒尾但馬守成章に気づかれてしまう。成章としては、好き勝手に見える彼らの闇仕置を断じて容認するわけにはいかぬ。追いつめられた蒼二郎たちは…。剣豪小説、圧巻の第四弾!
十文字扉、職業「電球交換士」。節電が叫ばれLEDライトへの交換が進む昨今、仕事は多くない。それでも古き良きものにこだわる人の求めに応じ電球を交換して生計を立てていた。人々の未来を明るく灯すはずなのに…行く先々で巻き込まれる厄介ごとの数々。自分そっくりの男が巷で電球を交換してる?最近俺を尾行してる黒い影はなんだ?謎と愉快が絶妙にブレンドされた魅惑の連作集!
宝暦十一年(一七六一)、主君を誑かす不届き者・丸屋を闇討ちせよとの密命が遠山弥吉郎に下る。弥吉郎は正義のため、そして家禄の引き上げのためにこれを受諾。しかし謀略に巻き込まれ、妻子とともに江戸へ逃げることになってしまう。並ならぬ貧苦により、武士とは何か、命とは何であるかを見つめなおす弥吉郎とその家族。そして彼らはひとつの真理に辿りつくが…。魂震える時代小説。
ケイは最愛の祖父を誘拐犯から救出してくれたFBI捜査官ニックへの募る想いを心に閉じ込めてきた。政府機関を巻き込む巨大な陰謀を内部告発しようという自分との関係が公になれば、彼のキャリアに傷がついてしまうから。でも今や民間警備会社の社員となった彼とのいちどだけの関係なら許されるはず。そして情熱の一夜のあと、固い決意で彼のもとを去ったケイをバイオテロが襲う。絶対絶命の彼女が助けを求められる相手はただひとり、ニックだった。大人気シリーズが新展開!
「脱北者」の三人には、亡命の過程で家族を失うという共通点があった。 ウォンギルはモンゴル砂漠で力尽きた妻を見捨てて娘を背負って逃げてきた。 トンベクは国境を越える直前に家族全員が目の前で公安警察に捕まるが、自分だけ助かった。 ヨンナムは別ルートで脱出した家族が中国で行方不明、人身売買グループの手に渡ったらしい。 やがてオリンピックの選手村建設予定地で、朝鮮戦争にさかのぼる大量の人骨が出土した……。 経済至上主義のなかで、脱北者たちのささやかな倫理感が崩れ落ちていく。北朝鮮出身の両親をもつ作家が韓国社会を凝視し、衝撃を放った小説。
カリブ海を漂流する難民ボートの上で、屍体が流れゆく「虐殺の川」の岸辺で、ニューヨークのハイチ人コミュニティで…、女たちがつむぐ十個の「小さな物語」が地下茎のようにつながり、ひとつの「大きな物語」を育んでいく。「クリック?(この話、聞きたい?)」「クラック!(聞かせて!)」-物語の始まりを告げる掛け合いの言葉とともに、現代の“伝承”が生まれ出る。
夫は、わたしの身内を拷問した「デュー・ブレーカー」(朝露を蹴散らす者=拷問執行人)かもしれない。わたしが勘づいていることを、夫もまた知っているだろう。いつの日か娘が両親の秘密を知って、アメリカでやっと手にしたこのささやかな幸せが失せる時が来てしまうのだろうか…。九つの挿話が、まるでカリブの濃密な夜空に輝く星座のように配置されるとき、故国ハイチの社会的記憶が浮かび上がる。