2018年8月20日発売
北陸地方にある村の駐在所から警察官が失踪した。県警本部から派遣された調査官・樋口透吾は、後任の駐在・島崎巡査部長と共に失踪の謎を追う。そして、過去に発生した事件や事故が、村に存在する大型複合福祉医療施設に関係していると気づいた。「施設」に収容されている人々は、認知症の老人、問題を抱える小中学生、更生が必要な若者たちのみ。経営母体は世界的巨大資本の製薬会社。それに群がる日本政官財の黒い欲望と闇。そして子どもたちの間で囁かれる「アル=ゴル神」。この村で、一体何が起きようとしているのか。二人の捜査が難航する中、さらに凄惨で不可解な殺人事件が発生した。連鎖しながら加速する事態は、樋口自身の過去にも繋がっていくー。慟哭の警察小説。
公試中の「大和」沈没という逆境の中、ハワイ沖海戦に勝利した第一航空艦隊。日本はその勢いのまま南方作戦を完了した。作戦の第二段階として、連合艦隊首席参謀・澄川道男は撃ち漏らした米空母撃滅のための秘策を立案する。一方、アメリカはイギリスに再三の対日参戦を要求するも、対独戦の激化を背景に拒否を受ける。ソ連も対独参戦を保留、欧州戦線は膠着する。痺れを切らした米太平洋艦隊は、戦力を真珠湾に集結し反攻を開始。グアム沖にて史上初の空母決戦が幕を開ける!
私は和戸隼。殺し屋だ。今夜も完璧な準備をもってターゲットを仕留めた、はずだった。ところが偶然が偶然を呼び、おそろしく不可解な密室状況となってしまった。やむなくわれわれは、そこへ「操査」のための仕掛けを施すのだが、その後も、ことごとく事件は不可解な状況へと転がっていく…。「真相」を超える「新相」、そして「深層」へいたる多層推理の極み。
注文されたお菓子はなんでも作る博多の“和洋”菓子店「お気に召すまま」はサボリ癖のある店主・荘介とアルバイト・久美のコンビで今日もほっこり営業中。ふとした拍子に、美奈子が気に入っていたという木型を壊してしまう久美。荘介は「大丈夫ですよ」とは言うけれど、落ち込んでしまう久美。そして、改めて美奈子の存在を意識せざるを得なくなる。二人の関係が大きく動いて…。
カフェ経営を決意した美咲は、綾瀬商店街の一角にある元は喫茶店だったという物件を借りることにー。そこで縁結びを司る茄子神様の蒼空と出会う。ナスが大好きな美咲の趣味もあり、そのカフェは内装からメニューまでナスづくし!しかし、開店から一ヶ月、客はほとんど入らず、早くも深刻な経営難に陥っていた。そんなある日、凄腕シェフの漣がやってきてー?
「ペットシッターちいさなあしあと」は岩手県盛岡市にある、ペットの看取りを行なう会社だ。社長の陽太(25歳)はにおいで生き物の死期が分かる。社員には動物の言葉が分かる薫(26歳)、動物に深い愛情と敬意を抱く柚子川(31歳)がいる。ある秋の日。海外から帰国した父親と久しぶりに対面した陽太は、彼から漂うそのにおいに気付いた…。「死」を通じて明らかになる、それぞれの人生。粗末にしてかまわない「生」などひとつもないことが静かに語られる、切なくも温かい命の物語。