2018年8月30日発売
30代にして職を失い、無為な日々をすごす由佳が出会ったのは、北新宿“花まみれビル”に暮らすお年寄りたち。見た目は、ほのぼのとしたシニアグループ、その実態は…七色の声を持つカリスマ歌手や、日本中にネットワークを張り巡らす植物学の元教授、ハイテク機器を駆使して暗躍する探偵チーム(メンバーはおばあさんのみ!)など、型やぶりのマダムたちだったー。
6年間の放蕩の果てに実家の寺に出戻った照月は、あらゆる欲を捨て「絶食系男子」に生まれ変わることを決意する。しかし修行を終えた彼を出迎えたのは、父ではなく欲望まみれの謎の美人姉妹だった! 派手でセクシーな “女豹”ことフミヨと、清楚だけど肉感的な“菩薩”のテイ子。自称姉妹の2人が境内に開いたバーには、連日煩悩まみれの檀信徒や町の人々がトラブルを持ち込んでくる。寺での生活を守るため、照月は嫌々トラブル処理に奔走するが……!? 欲と食の極楽へようこそ! 無欲の絶食系僧侶×欲深き美人姉妹、異色のトリオがあなたのお悩みを解決します。 痛快・爽快・うっかり泣ける!? 新食感のお仕事小説!!!!
麻有子(46歳)は、美術館に勤める学芸員。シングルマザーで中学二年の娘・葵がいる。東京の郊外で親子二人、平和に暮らしている。そんな折、麻有子の姉・鈴子から「母が倒れた」と電話がかかっきた。そもそも麻有子自身は、母とも姉とも折り合いが悪く、どうしても避けられない冠婚葬祭以外は極力関わらないようにしてきた。帰省など一ミリたりともしたくない。しかし、一向に聴く耳を持たない姉は、「とにかく来て」の一点張り。しかも、いつの間にか、麻有子に退院した母の世話を押しつけようとしているのだ。電話ではらちが明かなくなったため、仕方なくお見舞いに行くことに。そこから、麻有子の「家族」という檻に捕らわれるようになってきてーー。あらためて家族とは何かを考えさせられる、著者渾身の問題作!
『わたし、定時で帰ります。』の著者が描く、もう一つの長時間労働。家族の為に「家事をすること」を仕事に選んだ詩穂。幸せなはずなのに、自分の選択が正しかったのか迷う彼女のまわりには、性別や立場が違っても、同じく現実に苦しむ人たちがいた。誰にも頼れず、限界を迎える彼らに、詩穂は優しく寄り添い、自分にできることを考え始めるーー。終わりのない「仕事」と戦う人たちをめぐる、優しさと元気にあふれた傑作長編! 『わたし、定時で帰ります。』の著者が描く、もう一つの長時間労働。 家族のために「家事をすること」を仕事に選んだ、専業主婦の詩穂。娘とたった二人だけの、途方もなく繰り返される毎日。幸せなはずなのに、自分の選択が正しかったのか迷う彼女のまわりには、性別や立場が違っても、同じく現実に苦しむ人たちがいた。二児を抱え、自分に熱があっても休めない多忙なワーキングマザー。医者の夫との間に子どもができず、姑や患者にプレッシャーをかけられる主婦。外資系企業で働く妻の代わりに、二年間の育休をとり、1歳の娘を育てるエリート公務員。誰にも頼れず、いつしか限界を迎える彼らに、詩穂は優しく寄り添い、自分にできることを考え始めるーー。 手を抜いたっていい。休んだっていい。でも、誰もが考えなければいけないこと。 終わりのない「仕事」と戦う人たちをめぐる、優しさと元気にあふれた傑作長編! プロローグ 第一話 専業主婦が絶滅危惧種になった日 第二話 苦手なパパ友 第三話 時流に乗ってどこまでも 第四話 囚われのお姫様 第五話 明るい家族計画 第六話 家のことは私に任せて 第七話 大きな風 エピローグ
青春期。部活に進路、友情や恋愛、親への反抗ーー。数えても数えきれない複雑な思いを、葛藤を抱え、少女たちは大人になっていく。「響け! ユーフォニアム」シリーズ著者、待望の最新刊! “青春”の一言では片づけられない、切実でリアルな思いの数々を、5人の女子高生の視点で描いた珠玉の連作短編集。 青春期。 数えても数えきれない複雑な思い、葛藤を抱え、少女たちは大人になっていくーー。 「白線と一歩」……一番の親友だけど、負けたくない。あの子には。 「赤点と二万」……ズルいと思われたくない。でも損もしたくない。 「側転と三夏」……私は空っぽなんかじゃない。もっと私を見て! 「作戦と四角」……私って、人からどんな風にみられてるんだろう? 「漠然と五体」……はみ出したくない。でも、たまに息がつまりそうになる。 ーーこの作品に出てくる誰もが自分だった。(高校生・女子) ーー誰にも言えなくて張り裂けそうになる、そんな気持ちを詰め込んだ本。(高校生・女子) 現役高校生からの共感の声、続々!! この痛みは、感情は、“青春”の一言で片づけられない!! 「響け! ユーフォニアム」シリーズ著者、待望の最新刊! 切実でリアルな思いの数々を、5人の女子高生の視点から描いた連作集。 白線と一歩 赤点と二万 側転と三夏 作戦と四角 漠然と五体
『その女アレックス』の鬼才ルメートル、最新作。 徹夜必至。一気読み保証。 どんづまり人生の一発逆転にかける失業者アラン、57歳。愛する妻と娘たちのため、知力と根性とプライドをかけた大博打に挑む! 鬼才のノンストップ再就職サスペンス! リストラで職を追われたアラン、失業4年目。再就職のエントリーをくりかえすも年齢がネックとなり、今は倉庫でのバイトで糊口をしのいでいた。だが遂に朗報が届いた。一流企業の最終試験に残ったというのだ。だが最終試験の内容は異様なものだった。 〈就職先企業の重役会議を襲撃し、重役たちを監禁、尋問せよ〉 重役たちの危機管理能力と、採用候補者の力量の双方を同時に査定するというのだ。アランは企業人としての経験と、同じく人生どんづまりの仲間たちも総動員し、就職先企業の徹底調査を開始した。そしてその日がやってきた。テロリストを演じる役者たちと他の就職希望者とともに、アランは重役室を襲撃する! だが、ここまでで物語はまだ3分の1。「そのまえ」「そのとき」「そのあと」の三部構成を操って名手はアランと読者を翻弄する。残酷描写を封印、ルメートルが知的たくらみと皮肉なブラック・ユーモアを満載して送るノンストップ再就職サスペンス!
第5回創元SF短編賞受賞 天才科学者である気の強い姉に、なにかにつけて振りまわされる「ぼく」。大学4年生だった夏に日本で行われた「あの実験」から3年、「ぼく」はまたしても姉に呼び出された。向かった先は、ラグランジュポイントL2に浮かぶ、姉の勤務する国際研究施設。姉はそこで、宇宙論に関するある途轍もない実験を秘密裏に進めていた。第5回創元SF短編賞受賞作に始まる新時代のハードSF中編連作。
半七、銭形平次、顎十郎らが江戸を騒がす奇怪な謎を追う「黎明篇」。軍靴の足音響く東京で、ナチスが探す“輝くトラペゾヘドロン”を巡る国家的謀略に巻き込まれた法水麟太郎・帆村荘六らの活躍を描く「戦前篇」。空襲の傷が癒えぬ東京で、神津恭介が“あべこべ死体”に遭遇し、明智探偵事務所宛の依頼を受けた小林少年が奇禍に見舞われ、帝都を覆う巨大な陰謀に、警視庁捜査一課の名警部集団のほか、大阪など各都市からも強力な援軍が駆けつけ総力戦を挑む「戦後篇」。五十人の名探偵たちが新たな犯罪と戦うため、いま集結する。
時は明治。銀座は南紺屋町に「静修館」という古いけれど居心地の良い下宿屋がある。若者が多く住むこの下宿屋を取り仕切る大家は、料理をはじめ家事万端を見事にこなす梨木桃介だ。その働きぶりの前では、小説家の仙道湧水も我が儘を封印し、居住まいを正して下宿している。しかし静修館にはなにかと謎が持ち込まれ、「先生なら助けてあげられるかもしれないね」という桃介の一言に湧水は奔走する羽目になるのだった。連作短編集。
1944年9月。英国補助航空部隊の女性飛行士ローズは、戦闘機を輸送する途中でナチスに捕まり、ラーフェンスブリュック強制収容所に送られてしまう。飢えや寒さに苦しみながら過酷な労働に従事するローズが、収容所で出会った仲間と生き延び、地獄を脱出するための意外な方策とはーー。数々の日記や手紙で構成された先の見えない展開と結末が胸を抉る。少女たちの友情と闘いを描く、『コードネーム・ヴェリティ』を超える傑作!
2001年、新聞社を辞めたばかりの太刀洗万智は、編集者から海外旅行特集の協力を頼まれ、事前調査のためネパールに向かう。現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を送ろうとしていた太刀洗だったが、王宮では国王をはじめとする王族殺害事件が勃発。太刀洗は早速取材を開始したが、そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女の前にはひとつの死体が転がり……。『さよなら妖精』の出来事から十年のときを経て、太刀洗万智は異邦でふたたび大事件に遭遇する。
あまりにも巨大な竜グリオール 彼の上には川が流れ村があり、その体内では四季が巡る “舞台”は動かぬ巨竜 唯一無二のシリーズ短篇集が遂に日本初刊行 初邦訳1篇 初収録2篇 全長1マイルにもおよぶ、巨大な竜グリオール。数千年前に魔法使いとの戦いに敗れた彼はもはや動けず、体は草木と土におおわれ川が流れ、その上には村ができている。しかし、周囲に住むひとびとは彼の強大な思念に操られ、決して逃れることはできないーー。 奇想天外な方法で竜を殺そうとする男の生涯を描いた表題作、グリオールの体内に囚われた女が見る異形の世界「鱗狩人(うろこかりゅうど)の美しき娘」、巨竜が産み落とした宝石を巡る法廷ミステリ「始祖の石」、初邦訳の竜の女と粗野な男の異類婚姻譚「噓つきの館」。 ローカス賞を受賞したほか、数々の賞にノミネートされた、異なる魅力を持つ4篇を収録。動かぬ巨竜を“舞台”にした傑作ファンタジーシリーズ、日本初の短篇集。