2018年8月発売
ジュディ・ランハムーー映画スターの名前にぴったりね。 気ままな義姉のそのひとことが、すべての悲劇の始まりだった。 女優の義姉は、ジュディの名前を芸名にしてしまったのだ。 ある日、ジュディ宛に一通の手紙が届く。それは義姉への ギリシア人億万長者ビダスからのプロポーズの手紙だった。 理由なき求婚。義姉は彼に会ったことすらないという。 ところが、義姉の留守中に、ビダスがジュディを訪ねてきて、 応対したジュディを、自分のジュディと思い込んだ。そして…… ジュディは永遠に囚われた。彼が余命半年だとも知らずに。
ショーナは念願の社長秘書の仕事を手に入れた。給料も申し分ないうえに、住居まで提供されるというが、社長のマックスは鼻持ちならない色男で、こう警告したのだ。君の前任の秘書は僕に恋して仕事を失った、と。いくら雑誌で“結婚したい男性50人”に選ばれたとしても、私はこんなうぬぼれ屋になんか興味がないわ。そう思っていたショーナの自信は、だが、すぐに打ち砕かれた。提供される住居とは、会社の最上階の豪華なペントハウス。彼女はマックスと一つ屋根の下で暮らすことになったのだ。
二人が結婚しなければ、牧場を競売にかけるーー そうお互いのおじに遺言を残された、ジリアンとセオドア。 幼いころから知っているセオドアを慕ってはいたけれど、 ジリアンには彼との結婚を素直に喜べない事情があった。 彼女には、暴行されかけた過去があったのだ。しかも二度も。 一度目は15歳のときに。次は16歳のときに。 そのときのトラウマのせいで、どうしても男性を恐れてしまう。 しかも、犯人のひとりが出所し、過去を吹聴し始めたせいで、 セオドアにも白い目で見られている気がして……。
下半身不随だったデヴォンは、ある日、恐ろしい事実を知る。彼女の莫大な手術費用を捻出するため、父が横領したというのだ。父を救おうと、社長のグラントに慈悲を乞うも、彼は信じようとしない。どころか、デヴォンを放蕩娘と決めつけ、代償として、18歳の娘には酷すぎる愛人契約を申し付けた。「僕が飽きるまで、いいなりになるなら考えてもいい」とー。だが初めての夜、彼が一瞬、息をのんだのがわかった。傲慢な笑みを浮かべ、デヴォンの裸を月光に晒したグラントは、抉られたような深い手術傷を、彼女の腰に見つけたからだ。
文学好きの母の望みは“僕”が作家になること。幸せに満ちた少年時代に訪れた悲しい別れまでの日々が、言葉の力によって瑞々しく蘇るー。『失われた時を求めて』を換骨奪胎しつつ、人生と文学への愛を謳う。マルセル・プルースト賞受賞の現代フランス作家による小説、本邦初訳。
夢現ゆめうつつの母の声、囲炉裏端の昔話。心の奥深くへ「語り継ぐ力」とは。 語りの世界は地球上のあらゆる国に存在する。地形的な条件から似た文化が存在する日本とアイルランド。そんな二つの国を比較しながら、現在の『語り』の置かれている状況、『語り』の素材となる伝承文学、次の世代を育てる教育の果たす役割に焦点を当てながら総括的に展望する。 平成26年度から3年間にわたって科学研究費助成金を受け、語り部たちの声・教育現場の声・現地調査・アンケートをふくめ研究を重ねた。できるだけ多くの方に、この本が届き、語りやそれに付随する文化、伝統が守り続けられることを、願っている。 目次 第一部 論文と研究調査 1 アイルランドと日本の民間伝承 2 アイルランドと日本の異界に関する3つの民話・伝説 3 放浪の詩人の系譜 4 失われてなお生きる世界 5 昔話を語り聴くこと 第二部 アイルランドの作家の招聘イベント 6 コルマーン・オラハリーの招聘 7 エディ・レニハンとキース・レニハンの招聘 第三部 アンケート調査と伝承文学教育 8 アイルランドと日本の民話教育の実態と人々の意識(アンケート調査を含む) 9 コルマーン・オラハリーへのインタビュー 10 アンケートから見た日本の民話教育 11 日本とアイルランドの教育現場での試みの例 12 神話・民話を語り継ぐ 梗概 編集後記 注・参考文献・資料