2018年9月4日発売
「普通」とは何か? 現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作 36歳未婚、彼氏なし。コンビニのバイト歴18年目の古倉恵子。 日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、 「店員」でいるときのみ世界の歯車になれるーー。 「いらっしゃいませー!!」 お客様がたてる音に負けじと、今日も声を張り上げる。 ある日、婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて、 そんなコンビニ的生き方は恥ずかしい、と突きつけられるが……。 累計192万部突破&44の国と地域で翻訳決定(2025年10月現在)。 米国〈ニューヨーカー〉誌のベストブック2018に選ばれるなど、 世界各国で読まれている話題作。 世間のものさしに少しでも違和感を感じたことのある あなたのための物語! 解説・中村文則
池袋の雑居ビルで若者が飛びおり自殺を図る。彼は急成長したチェーン店の従業員だった。無能の烙印を押され、退職を強要された末にヤケになった若者。そして、次の犠牲者がー。耳触りのいい言葉で若者を洗脳し、つかい潰すブラック企業の闇に、マコトとタカシが斬りこむ!表題作ほか3篇を収録のIWGPシリーズ第12作。
エッ、結婚? エエッ、道場閉鎖!? 宮本武蔵を心の師と仰ぐ磯山香織と、日舞から剣道に転進した変り種の甲本(西荻)早苗。高校を卒業後、早苗は一浪ののち、大学の文学部で日本文化を専攻。卒業後は浪人時代から付き合い始めた充也とすぐに籍を入れ、桐谷道場裏手のマンションに新居を構える。 一方、香織は、剣道で大学に進学して、数々のタイトルを獲得。桐谷道場では、玄明の代理で小中学生の指導もしていた。 そんななか、道場の師範である桐谷玄明が倒れた。身体に不安を覚えた玄明は、江戸時代から続く歴史ある道場を閉鎖しようと決意。充也に伝えるが、桐谷の血を引く充也は、警官を辞めてでも道場を継ごうとする。しかし、玄明に警官としての職務を全うするよう諭され、充也は、道場の後継者となることを断念させられてしまう。 就職も決まらず、師範代見習のような立場の道場にいた香織は、これ幸いと「だったら自分が道場を継ぎます」と申し出る。ところが充也によれば、香織には桐谷道場の後継者になる資格が、そもそもないのだという。後継者には、桐谷道場に密かに伝わる「シカケ」と「オサメ」と呼ばれる形を習得する必要があった。どうしても道場をなくしたくない、充也と香織は、誰にも告げず、血の滲むような特訓の日々を始めるが……。 香織と早苗、それぞれの方法で道場を守ろうと奮闘する姿を描く「武士道」サーガ第四弾。はたして、この勝負、如何に──。 ボーナストラックとして短編「美酒道コンペティション」と書店員座談会を収録! 1一張羅 2 思いのほかハッピーでした 3大仰天 4 こんなはずでは…… 5後継者 6 時代が動き始める予感 7裏奥義 8 変わったこと、変わらなかったこと 9師匠談 10 訊いてみました 11異邦人 12 これは、意外と根深い問題かも 13好敵手 14 タイミング悪過ぎ 15大炎会 16 逃げちゃ駄目だ 17猛特訓 18 袖振り合うも…… 19武勇伝 20 違う、違うの! 21御馴染 22 なに考えてるのよ…… 23求道者 24 重大発表がございます 25 未来像 ボーナストラック 美酒道コンペティション 特別収録 書店員座談会
新迷探偵コンビ登場!? 文芸編集者の娘と高校国語教師の父が、出版社の「日常の謎」に挑む! 主人公は大手出版社「文宝出版」に勤める田川美希。女性誌から晴れて希望の文芸部門への配属がかなうと、大学時代までバスケットボール部で鍛えたバイタリティを活かし、仕事に燃える毎日だ。 ある日、文宝推理新人賞の最終候補を決める会議で、有力な候補作品「夢の風車」の担当となった美希は、その候補者へお知らせの電話をかけた。が、まさかの返事を聞くことになる。「--応募していませんよ、私は」、と。一昨年までは新人賞へ投稿していた候補者の男性だが、まったく芽が出ずに今回は応募をしていないというのだ。 何とかこの作品を世に送り出したいと願う美希は、さまざまな可能性を探るが、どこからこの原稿が届いたのかまるで見当がつかない。ふと、父親にことの顛末を話してみようと思ったのは、高校教師をしている父は最近、ずいぶんお腹は出てきたものの百科事典タイプの人間で、インターネットで分からなかった疑問を解決してくれたりもする。相談役として誠に便利な存在だからだ。娘の相談にお父さんが導き出した真実とは果たして? 大作家同士の手紙、スケッチを映した写真、落語の解釈、マラソン大会でのハプニングなど、中野の実家に住む父は抜群の知的推理で謎を次々に解き明かす。 「日常の謎」の名手が、自らのフィールドを最大限に楽しみつつ、新たに送り出したユーモアとけれん味たっぷりの名探偵シリーズ。 解説・佐藤夕子 夢の風車 幻の追伸 鏡の世界 闇の吉原 冬の走者 謎の献本 茶の痕跡 数の魔術 解説・佐藤夕子
あの日、私はあと十五分も土手でぼんやりしていたら、津波に吞まれていたかもしれない。奇跡のような十五分に恵まれた自分と、そうでない人とを比べて思うーー。 福島県の実家で震災に遭遇した女性の実人生に基づく表題作をはじめ、ままならない人生を直視する市井の人々を描いた大人のための名品14篇。 第66回芸術選奨文部科学大臣賞受賞作
憧れの大手出版社「千石社」に入社し、文藝関連のPR誌で充実した日々を送っていた日向子は、突然、週刊誌「週刊千石」しかもまさかの「事件班」への異動を言い渡される。千葉の田舎から出てきた普通の女子大生だった自分が、えげつないスクープ記事・人の命がかかった事件記事を扱う「お近づきになりたくない、イメージの悪い雑誌」を作る側になろうとは! 「無理、ぜったい無理!」怯える気持ちをなんとか隠し、「日本の最前線」週刊誌部員として働き始めた日向子がはじめに任されたのは、モデル事務所の有名イケメン社長の調査と、連続殺人事件の指名手配犯人の関係者への取材だったがーー 一緒に働く記者、上司、他部署の同期たち、取材で出会う一般の人、事件の渦中の人物と現実の仕事をする中、「あまりに普通」の日向子に一体何ができるのか。 深まる事件の行方と、スクープ記事の実現にむけて積み重ねる記者たちの真摯な仕事ぶり、迷いながらも記者としての意義を見出していく新人女子のリアリティがグイグイしみじみ読ませる、「プリティは多すぎる」(千葉雄大主演で、日本テレビ2018年10月ドラマ化)、「クローバー・レイン」に続く好評「千石社」シリーズ第三弾! 目次 1話 取材のいろは 2話 タレコミの精度 3話 昼も夜も朝も 4話 あなたに聞きたい 5話 そっと潜って 最終話 正義ではなく
超ハイレベルで奇想天外、予測不能なトリック駆使の本格ミステリ! 警視庁付属犯罪資料館、通称「赤い博物館」の館長・緋色冴子はコミュニケーション能力は皆無だが、ずば抜けた推理力を持つ美女。そんな冴子の手足となって捜査を行うのは、部下の寺田聡。過去の事件の遺留品や資料を元に、難事件に挑む二人が立ち向かった先はーー。 予測不能なトリック駆使、著者渾身の最高傑作! TVドラマ原作 「読者に対して手がかりを堂々と提示しながらも真相を当てさせない」という 難題を見事にクリアしている。 --飯城勇三「解説」より ◎目次 パンの身代金 復讐日記 死が共犯者を別つまで 炎 死に至る問い
生態系が一変した未来の地球、その熱帯雨林で少女は暮らす。“カナピウム”と呼ばれる地上四十メートルの林冠部には多彩な動植物が集まり、少女たちは彼らが発散する匂いを手掛かりに、しなやかに樹上を跳び回る。ある日やってきた旅の者たち、そして森に与えられた試練。少女の季節は大人へと巡っていく。
ありすが暮らし始めた、京都によく似た不思議な町「京洛の森」。ある日想い人の蓮が老人になり戸惑うありすは、町に迷い込み同じく突然年老いた女性たちと出会う。この町で存在するためには、大事なルールがあるが、彼らはそれに反してしまったようなのだ。かつて同じように老人化したありすは彼らを救うことができるのか?
火付盗賊改方の伊刈運四郎ら「しノ字組」は、白兎の面を被る極悪非道の凶賊「因幡小僧」を追うが、杳として尻尾が掴めない。一方、内勤の同心・野々村が質草に流した妖刀・村正が辻斬りに使われたことが判明。買い手を探る運四郎を白兎の凶刃が襲う。絡み合う事件の背後に蠢く巨悪を討て!新参侍の活躍を描くシリーズ第二弾。
日本橋にある薬種問屋・田島屋が賊に襲われ、番頭が殺され、店の金千二百両ほどが盗まれた。早速「鬼彦組」の面々が現場に駆けつけるが、賊がどのように店に侵入したのか、その手立てが皆目見当がつかない。内部から手引きした様子もなく、外部から侵入したに違いないのだが、途方に暮れる鬼彦組の面々…。
可愛がっている孫に、賭場で借金を作り取り立てられていると泣きつかれた呉服屋の隠居が、二十両を用立てたという。自身も孫ができた弥平次はそれが騙りではないかと疑い、さらに調べると、近ごろ金持ちの年寄り相手に騙りを働く坊主がいるという。卑劣な騙り屋を久蔵たちは追い詰められるのか!?快調な新シリーズ第2弾。
まるで手品のような、謎、謎、謎! 退職刑事、怪奇な不可能犯罪に挑む。 1000までの数字を頭に思い浮かべてみろ。 退職刑事ガーニーの友人のもとに届いた手紙はそう命じていた。 思い浮かべた数字は、658。指示にしたがって同封された小さな封筒を開けると、そこにはこう書かれていた。 おまえが思い浮かべる数字はわかっていた。658だ。 やがて次々に届く脅迫状めいた不吉な手紙。恐怖に駆られて元刑事ガーニーに相談を持ち込んだが、やがて男は殺害されてしまう。殺人現場は一面の雪。犯人らしき人物の足跡は森のなかで途切れていた……。数々の難事件を解決してきたガーニーを翻弄する謎また謎。手品めいた不可解な連続殺人ーーその手段は、動機は、目的は何なのか? そしてちりばめられた奇妙な暗示の影にひそむ犯人は何者か? 眩惑的な奇術趣味と謎解きの興趣あふれるHONKAKU MYSTERYの野心作!
長く辛い不妊治療の末、自分たちの子を産めずに特別養子縁組という手段を選んだ夫婦。 中学生で妊娠し、断腸の思いで子供を手放すことになった幼い母。 それぞれの葛藤、人生を丹念に描いた、胸に迫る長編。 第147回直木賞、第15回本屋大賞の受賞作家が到達した新境地。 河瀬直美監督も推薦! このラストシーンはとてつもなく強いリアリティがある。「解説」より
メイン州のショッピングモールで起きた銃乱射事件。僅か8分間の凶行だったが、36人が尊い命を落とし、生存者たちは心に深い傷を負っていた。親友を喪いながらも第一通報者となった女子高生のシモーネ、モールのレストランでアルバイトをしていた大学生のリード、主犯格とみられる男子高校生を射殺した女性警察官のエシーは、被害が拡大するのを食い止めたとしてマスコミに称賛されるが、犯人の妹であるパトリシアは彼らを逆恨みし、復讐を果たそうと企んでいた。震撼のラブ・サスペンス!
銃乱射事件から数年後、芸術家として活躍するシモーネは、アトリエを構えた海辺の町で、警察署長として働くリードと出会うことに。同じ事件の被害者でもあったふたりは、互いの過去を知るほどに惹かれあってゆく。一方で、事件の関係者をひとり残らず消し去るために、パトリシアが新たな殺戮を繰り返し、リードたち警察を追いつめていた。やがて彼女の狂気はシモーネのもとへと忍び寄り…!?恋人たちは恐怖の殺人鬼から逃れられるのか?愛と官能に彩られたミステリー&ラブロマンス!