2018年9月4日発売
「いらっしゃいませー!」お客様がたてる音に負けじと、私は叫ぶ。古倉恵子、コンビニバイト歴18年。彼氏なしの36歳。日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる。ある日婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて…。現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作。
池袋の雑居ビルで若者が飛びおり自殺を図る。彼は急成長したチェーン店の従業員だった。無能の烙印を押され、退職を強要された末にヤケになった若者。そして、次の犠牲者がー。耳触りのいい言葉で若者を洗脳し、つかい潰すブラック企業の闇に、マコトとタカシが斬りこむ!表題作ほか3篇を収録のIWGPシリーズ第12作。
あれから六年、大学を卒業した早苗は結婚。就職が決まらぬ香織は、道場での指導の日々を送っていたが、玄明先生が倒れ、道場に後継者問題が…。香織と早苗それぞれの方法で道場を守ろうと奮闘する姿を描く「武士道」サーガ第四弾。はたして、この勝負、如何にー。番外編の「美酒道コンペティション」と書店員座談会も特別収録。
若き体育会系文芸編集者の美希。ある日、新人賞の候補者に電話をかけたが、その人は応募していないという。何が起きたか見当もつかない美希が、高校教師の父親にこの謎を話すと…(「夢の風車」)。仕事に燃える娘と、抜群の知的推理力を誇る父が、出版界で起きる「日常の謎」に挑む新感覚名探偵シリーズ。
あの日、私はあと十五分も土手でぼんやりしていたら、津波に呑まれていたかもしれない。奇跡のような十五分に恵まれた自分と、そうでない人とを比べて思うー。福島県の実家で震災に遭遇した女性の実人生に基づく表題作をはじめ、ままならない人生を直視する市井の人々を描いた大人のための名品14篇。芸術選奨文部科学大臣賞受賞作。
「週刊千石」の事件班に異動になった入社二年目の信田日向子24歳。「絶対無理!」怯える気持ちを押し隠し、未解決の殺人事件にアイドルのスキャンダル写真etc.、日本の最前線をかけめぐる!記者仲間や他部署の同期、取材で出会う人たちと現実の仕事をする中、日向子は週刊誌記者としての意義を見出していく。
警視庁付属犯罪資料館、通称「赤い博物館」の館長・緋色冴子はコミュニケーション能力は皆無だが、ずば抜けた推理力を持つ美女。そんな冴子の手足となって捜査を行うのは、部下の寺田聡。過去の事件の遺留品や資料を元に、難事件に挑む二人が立ち向かった先はー。予測不能なトリック駆使、著者渾身の最高傑作!
生態系が一変した未来の地球、その熱帯雨林で少女は暮らす。“カナピウム”と呼ばれる地上四十メートルの林冠部には多彩な動植物が集まり、少女たちは彼らが発散する匂いを手掛かりに、しなやかに樹上を跳び回る。ある日やってきた旅の者たち、そして森に与えられた試練。少女の季節は大人へと巡っていく。
ありすが暮らし始めた、京都によく似た不思議な町「京洛の森」。ある日想い人の蓮が老人になり戸惑うありすは、町に迷い込み同じく突然年老いた女性たちと出会う。この町で存在するためには、大事なルールがあるが、彼らはそれに反してしまったようなのだ。かつて同じように老人化したありすは彼らを救うことができるのか?
火付盗賊改方の伊刈運四郎ら「しノ字組」は、白兎の面を被る極悪非道の凶賊「因幡小僧」を追うが、杳として尻尾が掴めない。一方、内勤の同心・野々村が質草に流した妖刀・村正が辻斬りに使われたことが判明。買い手を探る運四郎を白兎の凶刃が襲う。絡み合う事件の背後に蠢く巨悪を討て!新参侍の活躍を描くシリーズ第二弾。
日本橋にある薬種問屋・田島屋が賊に襲われ、番頭が殺され、店の金千二百両ほどが盗まれた。早速「鬼彦組」の面々が現場に駆けつけるが、賊がどのように店に侵入したのか、その手立てが皆目見当がつかない。内部から手引きした様子もなく、外部から侵入したに違いないのだが、途方に暮れる鬼彦組の面々…。
可愛がっている孫に、賭場で借金を作り取り立てられていると泣きつかれた呉服屋の隠居が、二十両を用立てたという。自身も孫ができた弥平次はそれが騙りではないかと疑い、さらに調べると、近ごろ金持ちの年寄り相手に騙りを働く坊主がいるという。卑劣な騙り屋を久蔵たちは追い詰められるのか!?快調な新シリーズ第2弾。
数字を一つ思い浮かべろ。その奇妙な封書にはそう記されていた。658という数字を思い浮かべた男が同封されていた封筒を開くと、そこにあった数字は「658」!数々の難事件を解決してきた退職刑事に持ち込まれた怪事は、手品めいた謎と奇怪な暗示に彩られた連続殺人に発展する。眩惑的な奇術趣味と謎解きの興趣あふれる華麗なミステリ。
長く辛い不妊治療の末、特別養子縁組という手段を選んだ栗原清和・佐都子夫婦は民間団体の仲介で男子を授かる。朝斗と名づけた我が子はやがて幼稚園に通うまでに成長し、家族は平仮な日々を過ごしていた。そんなある日、夫妻のもとに電話が。それは、息子となった朝斗を「返してほしい」というものだったー。
メイン州のショッピングモールで起きた銃乱射事件。僅か8分間の凶行だったが、36人が尊い命を落とし、生存者たちは心に深い傷を負っていた。親友を喪いながらも第一通報者となった女子高生のシモーネ、モールのレストランでアルバイトをしていた大学生のリード、主犯格とみられる男子高校生を射殺した女性警察官のエシーは、被害が拡大するのを食い止めたとしてマスコミに称賛されるが、犯人の妹であるパトリシアは彼らを逆恨みし、復讐を果たそうと企んでいた。震撼のラブ・サスペンス!
銃乱射事件から数年後、芸術家として活躍するシモーネは、アトリエを構えた海辺の町で、警察署長として働くリードと出会うことに。同じ事件の被害者でもあったふたりは、互いの過去を知るほどに惹かれあってゆく。一方で、事件の関係者をひとり残らず消し去るために、パトリシアが新たな殺戮を繰り返し、リードたち警察を追いつめていた。やがて彼女の狂気はシモーネのもとへと忍び寄り…!?恋人たちは恐怖の殺人鬼から逃れられるのか?愛と官能に彩られたミステリー&ラブロマンス!