2018年発売
78歳の忍(おし)ハナは夫岩造と東京の麻布で営んでいた酒店を息子雪男に譲り、近所で隠居生活をしている。 年を取ることは退化であり、人間60代以上になったら実年齢に見られない努力をするべきだ、という信条を持つハナは美しさと若さを保っており、岩造は「ハナと結婚してよかった」が口癖の穏やかな男だ。 雪男の妻由美には不満があるが、娘の苺や孫の雅彦やいづみにも囲まれて幸せな余生を過ごしているハナだったが、ある日岩造が倒れたところから、思わぬ人生の変転が待ち受けていた。 人は加齢にどこまで抗えるのか。どうすれば品格のある老後を迎えられるのか。 『終わった人』でサラリーマンの定年後の人生に光を当てた著者が放つ新「終活」小説!
1662年晩夏のアムステルダム。宝石商人ホーへフェーンがペストで死んだ。しかし遺体が埋葬された翌日、厳重に人の出入りが管理された館の、鉄格子がはまった部屋でホーへフェーンに瓜二つの男が意識不明で発見される。画家レンブラントの息子ティトゥスは謎の解明に乗り出すが。蘇った死体。記憶喪失の男。迫る運河の水。濃い闇の中から浮かび上がる真相。 Apple Best of 2018 、今年のベストミステリーに選出! 1662年晩夏のアムステルダム。宝石商人ホーへフェーンがペストで死んだ。 しかし遺体が埋葬された翌日、厳重に人の出入りが管理された館の、 鉄格子がはまった部屋で、ホーへフェーンに瓜二つの男が意識不明で発見される。 画家レンブラントの息子ティトゥスと記憶を失った男ナンドは、ひょんなことから 事態に巻き込まれ、謎の解明に乗り出す。 ペストの恐怖。蘇った死体。二重密室。 17世紀ネーデルラントの濃い闇の中から浮かび上がる真相とは。
宇奈月弥生は女優・朝倉ミチの専属ヘアメイクとして多忙な日々を送っていた。仕事の仕方を考え始めていたある日、ミチが脱税疑惑で逮捕されてしまい、宙ぶらりんの状態になる。一方、宇奈月家の四女・葉月は幼い頃の病気により妊娠出来ない身体なのにもかかわらず、どうしても子供が欲しいと思い詰め、母親の益美にとある相談を持ちかける。長女と四女の生活の激変が、平穏そうに見えた宇奈月家の秘密を暴くきっかけとなっていく。
芥川賞受賞から2年、本谷有希子が描くSNS狂騒曲!海外旅行でインスタにアップする写真で"本当”を実感する僕たち、ネットショッピング依存症から抜け出せず夫に携帯を取り上げられた妻、自分たちだけの"印”を世間に見せるために動画撮影をする夫婦ーー。SNSに頼り、翻弄され、救われる私たちの空騒ぎ。 芥川賞受賞から2年、本谷有希子が描くSNS狂騒曲! 海外旅行でインスタにアップする写真で"本当”を実感する僕たち、ネットショッピング依存症から抜け出せず夫に携帯を取り上げられた妻、自分たちだけの"印”を世間に見せるために動画撮影をする夫婦ーー。 SNSに頼り、翻弄され、救われる私たちの空騒ぎ。 本当の旅 奥さん、犬は大丈夫だよね? でぶのハッピーバースデー
「憎きあいつを殺したのは……私!?」二十年前に起きた通り魔事件の犯人が刺殺された。警察に「殺した」と通報したのは、同じ事件で愛する両親を失った女性。だが、彼女はその現場から逃げる途中で交通事故に遭い、脳に障害を負っていた。警察の調べに対し、女性による殺害の記憶は定かでない。復讐は成し遂げられたのか、最後に待つ衝撃の真相とは? 驚愕の長編サスペンス・ミステリー!
東京・葛西駅前のコインロッカーから女性の左腕が発見された。「ロックスミス(錠前師)」を名乗る犯人はヒントとなるメッセージとロッカーの鍵を残しており、引き続き身体の断片を捜すよう命じる。筋読みに優れた女性刑事・城戸葉月を中心とした警視庁の捜査チームは都内を奔走。一方、エンバーマー(遺体整復師)の折口聡子は「ウツロ」を名乗る人物に監禁されていた。ウツロは手足のない女性の骸の復元を聡子に要求する。一向に姿を現さないロックスミスとウツロの真意は?そして葉月と聡子が迎える衝撃の結末とはー?
地球で最も深いと言われる太平洋のマリアナ海溝。その深海では太古の昔に絶滅したはずの巨大ザメ“メガロドン”が密かに生き残っていたー。突然、海洋研究所に招かれたジョナスは、昔、深海探査艇の敏腕操縦士だった。事故で仲間を喪って以来、初めて海に潜った彼を待ち受けていたのは、地球最大にして最恐のモンスターだった…。体長20メートル、体重20トン。巨大ザメと人間の死闘を描く迫真のパニック・アクション小説!
死化粧を施され、死装束を着せられた母は、静かな美しさをたたえていた。そして母の脳だけが標本として残された。(「死化粧」)。末期癌患者を診ながら、医者である私は、癌告知をしたものかと頭を悩ませていた(「訪れ」)。医局で初めての心臓移植手術。死に瀕した患者の心臓提供を説得する立場に立った医師(「ダブル・ハート」)。人間の病と生命の果て、肉体の意味とを、医師の視座から描いた初期の傑作医療短篇集。
第23回日本ホラー小説大賞〈優秀賞〉受賞作。かつてこんなにも凄絶で美しいエンディングがあっただろうかーー選考委員も絶賛した、生と死、夢と絶望が同居する混沌とした街で繰り広げられる、壊れたながらも究極に美しいボーイ・ミーツ・ガールの物語。
吹雪のアルプス山中で遭難機が発見された。傍には引き裂かれたジェラルミン製トランクの破片。中には、感染後70時間以内に生体の70%に急性心筋梗塞を引き起こし、残りも全身マヒで死に至らしめるMM菌があった。春になり雪が解け始めると、ヨーロッパを走行中の俳優が心臓麻痺で突然死するなど、各地で奇妙な死亡事故が報告され始めるーー。人類滅亡の日を目前に、残された人間が選択する道とは。著者渾身のSF長編。
電車内で女子高生に痴漢を働いたとして会社員の武本が現行犯逮捕された。武本は容疑を否認し、金を払えば示談にすると少女から脅されたと主張。さらに武本は県内有数の資産家一族の婿だった。担当を任された検事・佐方貞人に対し、上司や国会議員から不起訴にするよう圧力がかかるが、佐方は覚悟を決めて起訴に踏み切る。権力に挑む佐方に勝算はあるのか(「死命を賭ける」)。正義感あふれる男の執念を描いた、傑作ミステリー。 第一話 心を掬う 第二話 業をおろす 第三話 死命を賭ける 「死命」刑事部編 第四話 死命を決する 「死命」公判部編 解説 恩田陸
新宿・歌舞伎町のラブホテルのフロントに立つ本杉高志は、奇妙な成り行きから18歳の少女理絵と同居を始めた。その頃、高志の顔見知りのエスコートクラブ嬢フェリシアが町田市内の「防空壕」で絞殺死体で発見される。死体のそばには隠岐島特産の桧扇貝の断片が落ちていた。しばらくして、理絵が姿を消し、彼女の残した手帳には「隠岐汽船乗船名簿」がはさまっていてー。棟居の推理が切ない真実を暴く、森村ミステリーの傑作。
警視庁に、奇妙な通報があった。 石廊崎で起きた女性ダイバーの溺死は、事故ではなく殺人であるという。 妻の裏切り以来、刑事としての情熱を失っていた鳴海は、特命を受け、大病院の看護師であった被害者の調査を開始する。 医療過誤、製薬会社との癒着、患者の自殺関与ーー。 病院内部の黒い疑惑を追うが、取り憑かれたように奔走する鳴海刑事に、強大な圧力がふりかかる。 人間の尊厳を問い、病院組織の暗部に切り込む社会派ミステリの傑作。
若くして扇野藩士の後家となった紗英は、江戸から配流されてきた旗本・永井勘解由の接待役兼監視役を命じられる。この年、江戸城内で赤穂藩主浅野内匠頭が吉良上野介を斬りつける事件が起きた。勘解由は浅野の切腹直前、“最後の言葉”を聞いたという。その行いが将軍綱吉の機嫌を損ね、流罪となったのだ。だがある日、浅野家国家老大石内蔵助が密かに訪ねてくる。勘解由に惹かれていた紗英は、自らの立場との間で揺れ動くー。
第1回角川文庫キャラクター小説大賞隠し玉が、満を持してデビュー。涙なしでは読めない、ダメな父と健気な息子の不器用な物語。 【ストーリー】 夏のある日、しがない30代男・奥田狐のアパートを訪ねてきた天使。その小さな天使は汗をかきかき顔を上気させ、曇りのない目で狐を見つめるーー天使の名前は遊。離婚により離れ離れになった息子だ。突然現れた息子の登場に、狐に訪れたのは嬉しさより、むしろ得体のしれない者に対峙したときの「恐怖」だった。こうして「ダメ親父」と「天使すぎる息子」のひと夏の生活がはじまったーー自分のことしか愛せないダメ男に、必要以上に気を遣う健気な息子、そんなダメ男をなぜか慕うヤンキー娘、そして、狐のすべてを知る元嫁。親子であって親子でない父と息子は、親子以上に親子な関係を模索するが……? 「アバウト・ア・ボーイ」「とんび」に続く、切ない親子の物語。 装画/柳沼行(「ふたつのスピカ」など) クズ男のA玉/少女とサボテン/幸せのバームクーヘン クズ男のA玉/少女とサボテン/幸せのバームクーヘン
父の代理として壱葉と宇宙用生活シェルターの見学に訪れた花穎は、そこでヴォルコフ家のイリヤと彼の従者・不知火と再会する。そんな中トラブルが発生し、花穎は不知火と二人きりで閉じ込められてしまい!?
あるホラー作家のもとに送られてきた手紙には、存在しない架空の歌手とラジオ番組のことが延々と綴られていたという。編集者たちの集まりによると、チェーンメールのように、何人かの作家にも届いているという。かくいう私にもその手紙は届いていた。その手紙のことを調べるうちに、文面の後ろのほう、文字が乱れて読み取れなくなっていた部分が、徐々に鮮明になってきている……。ある日、友人作家が手紙のことで相談があると言ってきた。なんと、その手紙、サイン会で手渡しされたという。誰がその人物だったかはわからない。けれど、確実に近づいてきているーー。(「手紙の主」)。その交差点はよく交通事故が起こる。かつてそこで亡くなった娘の霊が、巻き添えにしていると、事故死した娘の母親は言っているという。その娘が好きだったという「M」の字の入ったカップがいつもお供えされていた。ある雨の日、そのおばさんがふらふらと横断歩道にさしかかり……。死が母娘を分かつとも、つながろうとする見えない深い縁を繊細な筆致で描く「七つのカップ」。闇の世界の扉を一度開けてしまったらもう、戻れない。辻村深月が描く、あなたの隣にもそっとそこにある、後戻りできない恐くて、優しい世界。 【解説:朝霧カフカ】 十円参り 手紙の主 丘の上 殺したもの スイッチ 私の町の占い師 やみあかご だまだまマーク マルとバツ ナマハゲと私 タイムリミット 噂地図 七つのカップ
散歩サークル「加茂川乱歩」の遠近倫人と、謎好き理系女子・青河幸の恋の行方は? 季節は初夏から冬。京都を舞台に雅な謎解きとじれったい恋模様が、季節感豊に描かれる古都お散歩ミステリー、第2幕。 たまにはセドリー・オン・ザ・ロックスを/見えないブルー/撫子はもう好きじゃない/五分だけでも待って/ 銀叡電の夜
夜中に動画サイトを見ていた那由多は、何かに操られるように不気味な映像を見つける。それはユーチューバーが、地下鉄の終電である駅の地下街にある蕎麦屋を訪ねるというものだった。タイトルは「現代版『本所七不思議』灯り無し蕎麦」。「灯り無し蕎麦」とは夜道にある真っ暗な蕎麦屋に入った客が、灯りをつけるとその人に悪いことが起きるという、江戸の怪談だった。ライブ映像の中、半信半疑で進む彼らは蕎麦屋を見つけて驚喜し、早速店に入っていく。が、真っ暗な店内で何事か起き映像は突然切れてしまう。不安になった那由多は翌日狭間堂に相談しに行く。そばで話を聞いていたポン助が浮世に怪談が増えているという噂を伝える。その動画を開く直前、那由多は妖しい人影を部屋の外で目撃していた。それが関係しているのではと、狭間堂は那由多たちと一緒に実際の駅を訪ねてみる。しかし、最終で着いた駅の地下街に蕎麦屋は無く唖然とする。そこへ黒い学生帽とマントを着た青年が現れるが。シリーズ最大の禍が登場に、狭間堂と円は? 第一話 那由多と妖しい語り部 第二話 那由多と姥ヶ池の怪談 第三話 那由多と亡霊の記憶 余話 百代円記者の怪奇事件簿