2018年発売
空飛ぶ自動車にロボットメイド、宇宙観光…かつて人々が夢見た輝かしい未来が実現したもう一つの2016年からぼくはやってきた。きみたちの“間違った世界”に。この世界がディストピアになったのは、すべてぼくのせい。クリーンなエネルギーを無限に生みだす革命的装置ゲートレイダー・エンジン起動の瞬間に、ぼくが立ち会わなければ…。世界を変えてしまった残念な時間航行士の冒険を描く、可笑しくも哀しい時間SF。
現代日本SF第一世代作家6人の傑作選を日下三蔵の編集により刊行するシリーズ。第4弾は“ウルフガイ”『幻魔大戦』で知られる平井和正。デビュー作「レオノーラ」、「死を蒔く女」「虎は目覚める」「転生」など、人間の残虐性と暴力性を抉り、暗い情念あふれる初期中短篇10篇を第一部に収録。第二部は、黒人サイボーグの誇りと哀しみを描くSFハードボイルド長篇『サイボーグ・ブルース』、付録として『デスハンター』のエピローグを特別収録
その夜、マルティンとオーサの夫婦が自宅近くのレストランで食事をしていた、そのほんのわずかな間に、11歳の娘マグダが自宅から忽然と消えた。必死に情報提供を呼びかける夫婦だったが、警察や世間は彼らに疑いをかける。夫婦の間でも互いへの疑心がつのり、やがて彼らの周囲の人々にも波紋は広がって…事件のそもそもの発端は?そしてマグダは今どこに?交錯する過去と現在の人間模様が描き出す鮮烈なサスペンス!
プロの強盗のフィンは仲間とともに大規模な列車襲撃を決行した。万事順調だったが、なぜか急襲してきた警察に逮捕され一同刑務所へ…七年後、娑婆に出たフィンを大仕事が待っていた。獲物は希少金属ロジウムの山、総重量約一トン。鉄道基地にある難攻不落のハイテク倉庫が相手だ。しかしフィンに秘策あり。仲間を集め、準備を進めるが、彼らが予想もしないところで完全想定外の事態が進行していた!痛快ケイパー小説。
いじめ、うわさ、夏休みのお泊まり旅行…お決まりの日常から逃れるために、少女たちが試みた、ささやかな反乱。生きることになれていない、小学生から高校生までの主人公たちの、不器用なまでの切実さを描く、直木賞作家の傑作青春小説集。「学校ごっこ」「夏の出口」など四篇を収録。
今一度思い出してみてほしい。あなたが闘争の領域に飛び込んだ時のことをー。「自由」の名の下、経済とセックスの領域で闘争が繰り広げられる現代社会。自意識の強い顧客、列車の女子学生、同僚の馬鹿女、薄着の看護師…。愛を得られぬ若者二人は出口のない迷路に陥っていく。『素粒子』『服従』ほかベストセラー作家、魂の原点。
朝は三女の喫茶店、昼は次女の讃岐うどん屋、夜は長女のスナックー朝・昼・夜で業態がガラリと変わるその店は通称「三人屋」。やって来るのは、三女にひと目惚れしたサラリーマン、出戻りの幼なじみに恋する鶏肉店主、女泣かせのスーパー店長など、一癖ある常連客たち。三姉妹が作るごはんを口にすれば、胃袋だけじゃなく、心もたっぷり満腹に!?
「文化的遺産はすべて、それをめぐる人とのかかわり合いにおいてこそ、後世の人々の心をより強く打つものなのだ」隠密が潜み、裏切りが行われ、亡霊がさまよう。-北は松前城から南は鹿児島城まで、全国三十の古城名城にまつわる秘話裏話伝説記録を、そこに込められた哀しみと憤りと、怨念と呪詛と、闘いとその血汐とともに鮮やかによみがえらせる。
社会の落伍者が集まるアパート「飛田ホテル」。刑期を終えたヤクザ者の有池が戻ると待っているはずの妻がいない。有池は妻の足取りを追うが、思いもよらなかった彼女の姿を知ることになる(表題作)。昭和の大阪、光の当たらない暗がりで悲しく交わる男女の情と性。自身も大阪のどん底を経験した直木賞作家が「人間の性」を抉り出す、傑作ミステリ短篇集。
地下アイドル・愛野真実の応援だけを生き甲斐にするぼくは、ある日、彼女が殺人犯だというニュースを聞く。かわいいだけで努力しか取柄のない凡庸なアイドルである真実ちゃんが殺人犯なんて冤罪に決まっていると、やはり真実ちゃんのファンだという同じクラスのイケメン・森下とともに真相を追い始めるがー。歪んだピュアネスが傷だらけで疾走するポップでダークな青春小説!
おけら長屋にわけがあって引っ越してきた商家の若旦那が、金太に弟子入り!?(「さかいめ」)、研屋の半次は万造と松吉にそそのかされて、ひと目惚れした相手のために大食い大会に出ることに(「もりそば」)、火消の纏持ち・政五郎は、男の中の男として江戸っ子の憧れだったが、思わぬ過去が明らかになり…(「おくりび」)など、著者入魂の五篇を収録した笑って泣ける超人気シリーズ第十弾。
北州最北端の田舎町で、無気力に生きていた高校生・蒼は、一人の少女ー儚げな外見とは裏腹に芯の強さを持つ“幽霊”の凛と出会う。ある人物の死を気がかりに思う彼女の力になるべく、事件の調査を始めた蒼だったが、その真相に辿り着いたとき、明かされたのは二人の絆にかかわる大きな秘密だった。-触れたいのに触れられない、そして絶対に“好きになってはいけない”。不器用な少年と強がりな幽霊少女が紡ぐ、ラブストーリー。
女性モデル殺害の疑いで山下という男が出頭。殺害現場で採取されたDNA型が山下のものと一致したため起訴間違いなしと目されたが、警視庁捜査一課の刑事・飯綱だけは異を唱え、捜査を外されてしまう。同じ頃、少年が車に轢かれ、直後に連れ去られる事件が発生。担当をあてがわれた飯綱は少年の居場所を特定し無事保護したが、少年から山下と全く同じDNA型が検出されたとの報せが入りー。
九州でトマトが枯死する病気が流行し、帝都大学の植物病理学者・安藤仁は農林水産省に請われ現地調査を開始した。安藤は、発見した謎のウイルスの分析を天才バイオハッカー「モモちゃん」の協力で進めるが、そんな折、トマト製品の製造販売会社の研究所に勤める旧友が変死。彼は熟さず腐りもしない新種のトマト“kagla(カグラ)”を研究していたが…。弩級のバイオサスペンス、登場!
慶長五年(一六〇〇)夏ー。徳川家康と石田三成の対立は決定的となり、一触即発の様相を呈していた。反徳川の急先鋒である上杉景勝を討つべく家康は会津に向かう。利にさとい伊達政宗は伊達家の将来を家康に賭け、秀吉に愛娘・駒姫を処刑された最上義光も東軍へ与する。上杉家の重臣・直江兼続は、豊臣秀吉の恩顧に報いるべく、三成に呼応して西軍の旗を掲げる。やがて、“東北の関ケ原”とも呼ぶべき大合戦の時が近づいていた…。伊達政宗、直江兼続、最上義光という奥羽を代表する三人の武将の視点で、関ケ原合戦とほぼ同時におきていた奥羽の争乱をダイナミックに描く書き下ろし長篇歴史小説。
幸せな日常を断ち切られ、親に棄てられた女子高生たち。ネグレクト、虐待、DV、レイプ、JKビジネス。かけがえのない魂を傷めながらも、三人の少女は酷薄な大人たちの世界をしなやかに踏み越えていく。最悪な現実と格闘する女子高生たちの肉声を物語に結実させた著者の新たな代表作。
中国が尖閣諸島を不法占拠した。国内では軍事力に訴える声が高まり、対話路線の阿川内閣は総辞職、新たに柘植友里恵が総理大臣となる。彼女は積極外交を訴え、米国との「極秘文書」を公開しようとする。だが、ホワイトハウス、日本の政治家、スパイたちの思惑が絡み合い…。
杉下右京は東大法学部時代に知り合った動物写真家・パトリシアに招かれて、アラスカを訪れる。雄大な風景に惹かれる右京だったが、人食い熊による事件が頻発していることを知る。やがて熊も射殺され、誰もが一件落着かと思ったが、右京は不審な点に気づいて…。
新米巡査・柿田亮は、自分が警察官に向いているのか悩みつつも、異動先の機動隊で激しい訓練を受けていた。そんな柿田に、ハイジャックなど凶悪事件を解決する特殊急襲部隊『SAT』入隊の声がかかる。若い警察官の成長を書く、著者の警察小説新境地!