2018年発売
沙織は絶望のどん底にいた。恋人から手酷く捨てられ、仕事を失い、愛する姪は難病で莫大な治療費が必要だった。自らを売って姪を救おうと決心した彼女の前に現れた、完璧な美貌を持つ奴隷商人・サラサ。彼女にも、かつて奴隷として売られた過去があった。優秀な医学生だったサラサを襲った壮絶な運命が明かされてゆくー。龍のタトゥを背負うダークヒロイン誕生!
ある朝、ルリ子を起こしにいったらベビーベッドはカラだった。窓から誰かに連れ去られたのか…。自分を責めて探し回る母親は、度々家に遊びに来る女子高校生の存在に思い至る。しかし、彼女は学校を無断欠席しており、見つかったときにはー。(表題作)。愛する我が子へ、様々な思いに翻弄される母親たちの姿を描いたミステリー短編傑作集。
北町奉行所定町廻り同心、木暮信次郎が腹を刺された。信次郎から手札を預かる岡っ引の伊佐治、信次郎と旧知の小間物問屋・遠野屋清之介に衝撃が走る。襲った男は遺体で大川に上がる。背後で糸を引く黒幕は何者なのか。深まる謎のなかで見えてきたのは、信次郎の父親・右衛門の衝撃の「過去」だったー。あさのあつこの代表時代小説シリーズ、衝撃の第六弾!
高校生の時、偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来、調律に魅せられた外村は、念願の調律師として働き始める。ひたすら音と向き合い、人と向き合う外村。個性豊かな先輩たちや双子の姉妹に囲まれながら、調律の森へと深く分け入っていくー。一人の青年が成長する姿を温かく静謐な筆致で描いた感動作。
北町奉行所の年番与力が、小籐次に面会を求めてきた。極秘の依頼があるらしい。その晩遅く、酔った小籐次が嵐のなか望外川荘に帰ろうとするのが目撃される。だが翌朝、小籐次は帰宅しておらず、小舟や蓑などだけが発見された。奉行所の依頼とは何だったのか、そして小籐次は死んでしまったのか!?緊迫の書き下ろし第10弾!
商社で働く志村栄利子は愛読していた主婦ブロガーの丸尾翔子と出会い意気投合。だが他人との距離感をうまくつかめない彼女をやがて翔子は拒否。執着する栄利子は悩みを相談した同僚の男と寝たことが婚約者の派遣女子・高杉真織にばれ、とんでもない約束をさせられてしまう。一方、翔子も実家に問題を抱えー。友情とは何かを描いた問題作。第28回山本周五郎賞&第3回高校生直木賞を受賞!
畑中圭介は大分県警刑事研修所、通称「刑事学校」の教官である。6人の新米刑事に捜査術と刑事魂を教え込むため、全国の警察と連携を取り研修を進める畑中。そんな中、幼馴染の立石健吾が死体で発見され、研修生と共に事件解決を命じられる。畑中の、抑えきれない刑事の熱い血がさわぎ出す!文庫オリジナル警察アクション。
野球の才能に恵まれながら、家庭の事情で一度はあきらめたプロ野球選手になる夢を叶えた北澤宏太。高校時代の恋人・穂波、野球雑誌に左遷された編集者・美潮、先輩選手の妻・雪菜、落ち目の歌手・マリア、娘をもうけながら離婚した女子アナの妻・茉莉。一人の投手の光り輝く瞬間の軌跡に関わった女性たちの物語。
幼いころに両親を亡くし、引き取られた叔母の家でも身の置きどころのない少女ありすは、遠く離れた京都で舞妓修業を決意する。彼女のもとにやってきた老紳士に連れられて訪れた京都は不思議な世界だったー。ともに人間の言葉を話す、カエルのハチスとウサギのナツメと、ありすは京洛の森の謎に触れていく。書き下ろし小説。
樹海ーそれは社会の底辺で生きることに疲れた人びとの終焉の場。虐待、借金、失業、薬物中毒…悲惨で救いようのない人間たちは、生きる苦しさから解放されるため、次々と樹海へ足を踏み入れる。弱者を生みだし、死へと導いたものとは何か。親と子の恐ろしい因縁が引き起こす、不幸の連鎖を描いた連作短編集。
本物の殿様にして若年寄となった元影武者・与多寅右衛門の前に、次々に難題が立ちふさがる。増税を唱える上役、野心家の勘定奉行、財政改革の妙手を引っさげ幕政に食い込もうとする謎の男、江戸の子供が消える誘拐事件。そして、恋?寅右衛門は庶民のための政治改革を貫けるか?大人気シリーズも第五弾にして大団円!?
時代は戦国。一匹の痩せ馬に乗り、斑鳩をゆく一人の男がいた。渡辺条四郎、メリケンでいえば賞金稼ぎ、本邦では勧賞目当ての素浪人のていである。諸国を旅しながら、高札にかかげられた勧文に記された手配書に従って、下手人を捕え金品を得ることで糊口をしのぐ。しかし本当は仇討の大望が…。
小説の書き手である「わたし」は物語を始めるにあたり、日本語の表記の範囲を定め、登場人物となる13氏族を制定し、世界を作り出す。しかしプログラムのバグというべき異常事態が起こり…。文学と言語とプログラミング、登場人物と話者が交叉する、著者初の「私小説」にして、SFと文学の可能性に挑んだ意欲作。
推理小説の人気作家であると同時に、超一流の歴史研究者でもあった松本清張。昭和史研究の代表作が『昭和史発掘』だ。その成果からつながる未完の小説『神々の乱心』は、清張が30年余にわたって「あの話はいつか小説にしておきたい」と繰り返し、死の瞬間まで情熱的に取り組んだ遺作である。二作に秘められた清張の遺志を解き明かすー。
凄腕の殺し屋が警察官ケスラーを狙っているという情報が入った。敵の名はヘンリー・ラヴィング。標的を拉致し、拷問で情報を引き出してから殺害するのを得意とする。ケスラーと妻子を警護すべく急行した警護官コルティだが、すでに敵の罠は仕掛けられていた!殺しのプロVS護衛のプロ。二人の戦略家が演じる限界の頭脳戦!
たったひとつのミスが警護対象者と自身の死につながる。敵は精妙な計画を立て、標的のスキを突く一流の戦略家だ。やつの狙いは何か。次なる襲撃への備えを固めながら、コルティは事件の源泉を探り、反撃の策を練りはじめる。これぞデイーヴァーの真骨頂!プロVSプロのゲーム性を研ぎ澄ましたノンストップ・サスペンス。
いよいよドイツの大富豪との結婚を決めたジョージーの母。でも、そのためにはまずアメリカで離婚手続をしなければならない。というわけで急きょ、娘のジョージーをお供に豪華客船に乗りこみ、大西洋横断の旅へと発つことに。ところが船中で有名な映画監督から熱烈に口説かれた母は、かつての女優魂に火が付いてあっさり行き先をハリウッドに変更してしまう。映画スターに会えるかも!?期待に胸を膨らませるジョージーだったが、そこで待ち受けていたのはイギリスの貴族社会では考えられないほど自由奔放な映画人たち。撮影はのっけからトラブル続きで、わがままな俳優たちを諌めようとした監督が何者かに殺されてしまう始末。ジョージーはダーシーと協力して犯人を突き止めようとするものの、勝手の違う国では戸惑うことばかりで!?
戦地で負傷したダーリー子爵ヴィンセントを、家族は過保護なまでに気遣うが、同時に早く結婚させようと躍起になっていた。跡継ぎができなければ、爵位も財産もいずれ失うことになるからだ。生き方を指図されることに嫌気がさしたヴィンセントは家出を決意し、従者を一人だけ連れて、自分が生まれた家のある田舎で暮らすことに。子爵の帰還を村の人々が歓迎するなか、爵位を継ぎ大金持ちになったヴィンセントに娘を嫁がせようと画策するクラレンス夫妻は、彼を陥れようとたくらむ。クラレンス家の居候で孤児のソフィアにヴィンセントは窮地を救われるが、夫妻は激怒して彼女を家から追い出してしまった。責任を感じたヴィンセントはソフィアに求婚するのだが…。魂の癒しと再生を描く、サバイバーズ・クラブシリーズ待望の第2巻!
本を読みすぎたり、意見を持ったりするのはレディらしくないと、好奇心を抑え込まれて育てられた侯爵令嬢クララ。ロンドン一美しいと称えられる彼女だが、自分の表面しか見ない男性たちにも辟易としていた。結婚に興味がもてず、貧困女性向けの学校の支援に力をそそぐなか、ある生徒から弟がギャング団に誘い込まれたと相談される。クララが助けを求めたのは弁護士ラドフォード。多忙を理由に一度は断った彼だが、一人でギャング団に乗り込みかねない勢いのクララに押され、引き受けてしまう。冷静であろうとつとめてきた彼は自由闊達な彼女に魅了され、隠していた情熱や優しさを解放していく。クララもまた、真摯に彼女に向き合ってくれるラドフォードに惹かれてゆき…。2017年RITA賞最終ノミネート作、ロレッタ・チェイスの新境地!