2018年発売
『スタア誕生』公開にちなみ、地方都市の映画館でニューフェース審査会が開かれる。揺れながらカーテンが引かれ、シャンデリアは虹色に輝き、まばゆい光のスクリーンで、私たちの“金魚の娘”ははなやかに泳ぎまわるだろうか…すずらんの香水、首筋に感じる風、数多の映画の情景、幾度となく紡ぎ直される物語。’50年代の記憶を精緻に編みこんだ切なく甘い最新長編小説。
2017年12月、第9回日経小説大賞(選考委員:辻原登、高樹のぶ子、伊集院静)を高い評価で受賞した小説「義と愛と」を改題、作品の舞台となった戦国時代の史実をタイトルにして世に問う本格歴史小説。 本作は戦国時代の有名な武将の戦や権謀術数を巡る物語でもなければ、下克上の物語でもない。主家に仕える重臣たちの内面を通して熾烈な勢力争いを繰り広げる戦国大名家の”生身の人間ドラマ”をあますところなく描ききった点で新しい。大型新人のデビュー作である。 物語は、天文19年(1550年)、九州・豊後(現在の大分県)の戦国大名、大友氏に起こった政変「二階崩れの変」を、時の当主・大友義鑑の腹心、吉弘兄弟を通して描く。 大友家20代当主・義鑑が愛妾の子への世継ぎのため、21歳の長子・義鎮(後にキリシタン大名として名をはせた大友宗麟)を廃嫡せんとし、重臣たちが義鑑派と義鎮派に分裂、熾烈なお家騒動へと発展する。家中での勢力争いに明け暮れる重臣の中で、一途に大友家への「義」を貫いた吉弘鑑理と、その弟で、数奇な運命で出会った姫への「愛」に生きた鑑広を主人公に、激しく移りゆく戦国の世の武将たちの生き様を迫力ある筆致で活写していく。派閥争い、裏切り、暗黙の盟約、論功行賞、誰に仕えるか……それらを「義」と「愛」を貫き、筋を通した兄弟を通して描くことで、現代の組織と人間との関係にも通じる普遍的なドラマに仕上がっている。良質なエンターテイメント作品だが、組織人が読めばビジネス小説の側面も併せ持っているだろう。 第一章 大友二階崩れ 一、大友館 二、主命 三、貴船城 四、戸次川 五、先生の遺臣 六、二人の軍師 第二章 天まで届く倖せ 七、星野谷 八、天念寺 第三章 一本道 九、比翼の鳥 十、義と愛と 第四章 反転 十一、初めての嘘 十二、誰がために 第五章 鑑連の手土産 十三、秋百舌鳥 十四、義は何処にありや
悪役令嬢に生まれ変わり、人生を諦めていたクリスティアーヌ 誰も信じられなかった彼女が、夢に向かって邁進する! 濡れ衣を着せられ、皇太子殿下から婚約破棄を言い渡されたクリスティアーヌ。自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生したことを知る彼女は、事態を受け入れ公爵家を出ることに。ところが半年後、町娘のふりをして宿屋兼食事処で働く彼女のもとへ、皇太子殿下がやってきた! 無実がわかり邸に戻ったクリスティアーヌは、久しぶりの学園で、店の常連客だったレオと再会する。お世話になった下町のみんなに恩返しをするため、周囲の手を借りながら市井官を目指すが……!? 「ネット小説大賞」受賞作!
女神たちの力を借りて、異世界アースガルドで新しい人生をスタートさせた考助は、気が付けば初の現人神になっていた。セントラル大陸にあるすべての塔を制覇したうえ、新たに国も造り、考助にベた惚れ続行中な塔の女性陣との関係も順風満帆。そのうえフローリアが懐妊し、第一子の誕生を待つだけだった考助は、周囲の後押しもあり、出産時期までしばし旅に出ることに。のんびり各地を見て回る予定が、トラブルを呼び寄せる考助のお陰で、思わぬ事件の連続となり!?新展開の異世界シムストーリー第8巻。
サイドストーリーをぎゅっと詰め込んでお届け! さて、それじゃあ、あと少しだけ。 思い出話でもしようか、三葉。 『魔法』を使える者だけが入れる私立桜ノ宮魔法高等学校に急遽入学することになった野花三葉。クラスに馴染めず、担任教師からは理不尽に嫌われ、憂鬱な毎日を送っていたところ、何者かに階段から突き落とされ命を落としてしまう。しかし、白猫の姿をした天使から特別にあと六ヶ月だけ余命を与えられた三葉は、残りの時間を思う存分生き直すことを誓うーー。第一回モーニングスター大賞受賞作のサイドストーリー集。
太宰が最も尊敬し、芥川、川端が恐れた作家 豊島与志雄の全貌が明らかになる代表作が 現代仮名遣いによって甦る! 芥川龍之介に 「山間の湖の如く静かなのは、豊島与志雄氏の作品である」 と言われた豊島は、「忘れられた作家」と呼ぶには あまりにも大きな存在である。 太宰治、坂口安吾、田中英光らは豊島を深く尊敬した。 太宰は「先生も、私と同様に、だらしがない。 そうして、日本で、いちばんの教養人だ」と評し、 川端康成は、「終始孤高の高士であるが、 そのひとりの世界では魔につかれて、 なにをしているかわからぬ怪物である」と言った。 本書では、初期の作品から戦後のものまで収録しているが、 どの時期の作品も、深いメランコリーの影が射している。 そして終始一貫して理知的であった。 怜悧さ故の虚無感に包まれながら完璧への希望をも 持ち続けた隠れた名作をお届けします。 収録作品 蠱惑 悪夢 都会の幽気 丘の上 常識 食慾 逢魔の時 球体派 怪奇な話 碑文 白塔の歌 秦の憂鬱 沼のほとり 聖女人像 絶縁体 解説 知性が持つ感性と、感性が持つ知性と 長山靖生
アルファグアラ賞受賞作! 〈城〉と呼ばれる自宅の近くで誘拐された大富豪ドン・ディエゴ。身代金を奪うために奔走する犯人グループのリーダー、エル・モノ。彼はかつて、“外の世界”から隔離されたドン・ディエゴの可憐な一人娘イソルダに想いを寄せていた。そして若き日のドン・ディエゴと、やがてその妻となるディータとのベルリンでの恋。いくつもの時間軸の物語を巧みに輻輳させ、プリズムのように描き出す、コロンビアの名手による傑作長篇小説! 「俺は堕落する前に、あんたみたくイソルダを抱き締めて、俺のイソルダ、と呼んでみたかった。俺が欲しかったのはあんたの金じゃないんだよ、ドクトール。あんたの娘を欲しかったんだ。城の近所に住む金持ちのぼんぼんが日がな一日、城の周りをうろついているのと同じように、俺もイソルダの行動を遠くから窺っていたんだ」(中略) 今度こそ、エル・モノは腹から笑った。俺にしたって同じだよ。あの娘を思い出すと、ときどき自分でも知らないうちになんでもないのに笑っているんだ。悪ふざけかなにかを思い出したんじゃないか、って訊かれるけど、あんたと同じだよ、ドクトール、あの娘のせいだ。俺たちのイソルダを思うと、笑いがこぼれてしまうんだ。あんたは、俺たちのって言うと怒るけどな。(本書より)
優勝すれば願いが叶う、魔法の大会「ヘクセンナハト」。学校対抗戦に向けて独・英・インド、各国のメドヘンたちは日々努力……のはずが!? 珠玉の前日譚3篇、魔法少女ファンタジー、初のスピンオフ!
自分と同じ姿の生き物【ドッペルゲンガー】の目撃が相次ぐリンド・ヴルム。診療所を営むグレンは、働きすぎをサーフェに咎められ、中央病院に入院させられるが、そこに事件の鍵が……!? 好評第4弾!
怪我で王立騎士団を退団したアレンは、刺客を捕らえ尋問する「高級尋問官」を命ぜられる。美少女刺客を尻叩き、泡濡らし責め、愛の言葉囁き責め……真面目に取り組むアレンだが!? エロティックファンタジー!
百年戦争末期、フランスは、イングランドに首都パリを攻略され、亡国の危機に瀕していた。そんな中、幼馴染の姫太子シャルロットを救うため、錬金術師のモンモランシと、超人「ユリス」と化したジャンヌが、彼女の軍勢に参戦。オルレアンの解放、パテー会戦で勝利をもたらす。モンモランシたちの活躍により、フランスの正式な女王の座についたシャルロットは、イングランドの同盟国ブルゴーニュ公国のフィリップに休戦協定を持ちかける。だがシャルロットとモンモランシの仲を誤解したジャンヌは、シャルロットの意向を無視して、独自にパリ奪還を目指して進軍していった…。混沌の百年戦争を描き尽くす歴史戦記+能力バトル+伝奇ファンタジーの三位一体巨編、第4巻!!
東京の銀行と大手企業にそれぞれ五億円と二億円を要求する脅迫状が届いた。送り主は“神戸の悪党”。十津川警部は犯人逮捕の罠を仕掛けるが、まんまと現金を強奪されてしまう。神戸へ向かった十津川は怪しいグループを発見するも、金融機関に新たな脅迫状が届く。十津川と知恵比べを続ける“悪党”が神戸で実現しようとする「夢の計画」とは!?
移動要塞ガーディアンの懐深くにダニエルが捕まっている。宇宙一物騒な夫婦こと女王ジャスミンと海賊ケリーは協力し、ダニエル奪還作戦を調えていた。そんな折、ジャスミンの親友ジンジャーはガーディアンに乗り込み、「ジャスミンを忍ぶ映画の撮影」にガーディアンの出演を依頼する。映画の撮影という侵攻作戦が順調に進められるなか、夫婦の反撃が行われ……。やがて「その時」が訪れる。異色なラヴロマンスの終幕となるのか?
「ため息に溺れてしまいました。ご迷惑をおかけします」立川市の蔵元病院で、蔵元家の婿養子・指月の遺体が発見された。本人筆跡の遺書が残っていることから警察は自殺と判断。だが患者や同僚からも慕われていた彼がなぜ? 女刑事・羽木薫の捜査で見えてきたのは、権力を巡る開業医一族の闇。そして指月が胸に秘めた、悲しき過去の記憶だったーー。 優しき医師は自殺か、他殺か。見えていた世界が一変する、衝撃のクライマックス!
すれ違う心。忘れることのできない過去の呪い。そして「おりおり堂」休業の危機が……どうなる、山田の恋と人生!? 大人気のおいしいラブコメ第3弾。『出張料亭おりおり堂』改題
旅客機が爆破され、乗客全員が死亡。五十一名のうち四人と、切符を買いながら乗らなかった者一人には奇妙な共通点があった(「77便に何が起きたか」)。電車では毒殺、フェリー内では密室殺人…楽しいはずの旅路が血に染まる!乗りものにロマンと魅力的な謎を見いだした著者による、トラベルミステリーの名作をセレクト。
鷲を親だという娘「鷲」、鰻に人生を狂わされた「鰻に呪われた男」、河獺に嫉妬された漁師「深川の老漁夫」、そして美しい白い肌の少女に懸想した「くろん坊」という山の妖怪と安易な口約束が招いた悲劇ーー。 ほかにも蟹や狢など、近代化がすすむ日本の暗闇にとりのこされた生き物や道具を媒介に、異界と交わるものたちを描いた妖異譚を、名人綺堂の語り口でたっぷりとお届けする。 山本タカトによる書き下ろしのカバーと口絵。綺堂が生前編んだ短篇集『異妖新篇』より全作品を収載。西 瓜、鴛鴦鏡、白髪鬼、鷲、鰻に呪はれた男、くろん坊、妖 婆、深川の老漁夫、怪談コント、五色蟹ほかに単行本未収の作品二作を付録として収載。